公園にボールが落ちていましたよ。
いつものように機嫌よく
転がして遊んでいたところ
鼻先がすっかり
砂だらけになってしまいました。
顔に泥を塗られるようなできごとが
起こったのかと思いましたが
嬉しそうに笑っているところを見ると
そういうわけではないようです。
遊び疲れて休んでいると
どこからか、Cocoさんを呼ぶ声が聞こえてきます。
「ちょっと顔を貸してください」と
言っているようですよ。
行ってみましょうか。
呼んでいたのは
この大きなボールさんです。
どれくらい大きいかというと
さっきの赤いボールに比べて
こんなに大きいのです。
小さいボールは好きですが
大きいボールは苦手なCocoさん。
ボールは全然動かないのに
一人で、逃げ惑っています。
こんなことではいけない。
顔を洗って出直さなくては!
そう決意して、
砂に汚れた鼻を洗い、
さあ、出直しです。
顔色を伺いながらそっと近づき
「もしもし。私がみつけた
赤いボールさんを
連れて帰ってはいけないでしょうか」
おそるおそる交渉に入ります。
「そうはいきません。
私もあの子も、この公園の所属ですから
勝手に別の場所に行ってしまってはいけないのです。
顔に書いてあるでしょう」
ここは児童館に隣接した公園。
確かによく見るとボールには
児童館の名前が
記入されていました。
「ボールだけではありません。
バットもラケットも
滑り台も鉄棒も、
すべて、児童館の名前が書いてあるのですよ」
と、青いボールは得意そうです。
「なるほど。どだからあなたは
大きな顔をしているのですね」
「顔が広いと言ってください」
それでは仕方がありません。
ここは、青いボールの顔を立てて、
赤いボールを連れ帰るのは、あきらめることにします。
そう伝えると2つのボールは嬉しそうです。
帰り際には顔をそろえて、
「いつでも遊びに来てください」と
Cocoさんを見送ってくれました。
おしまい♪
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