土俵際の魔術師

Cocoさんは
テニスボールが大好きです。

あんまり汚いので
お風呂場で洗っていたところ、
普段は濡れるのを嫌がるCocoさんが、
ボールを救出するために、
果敢に、お風呂場に飛び込んできました。

おかげですっかり、ぬれねずみ。

ボールとCocoさん。
両方が濡れたままです。

しかしCocoさんはドライヤーも苦手ですから
乾かすこともままならないまま、
バスタオルごと、リビングに移動しました。

濡れると、毛がくるくるに
カールしてしまうCocoさんです。

嬉しそうですね。

でもボールもあなたもまだ湿っていますから
乾くまでは、そのバスタオルの上だけで
遊んでくださいね。

そう言ったものの、
まず無理だろうとあきらめていましたが

意外にCocoさん。
バスタオルから、出ていきません。

ボールを咥えて
ぶるぶるんっと振った拍子に
放り投げてしまうかと思いましたが

うまく抑え込んでいますし

勢い余って転がしてしまいそうになりながら

ぎりぎりで
もちこたえています。

バスタオルの上から
さすがにもう、降りていってしまうのか・・・

しかし、ぎりぎりでUターン。

なかなかやりますね。
土俵際の攻防に
これほど強いなら
角界に入門したら、横綱を狙えるかもしれませんよ。

水入りの大一番に

水際立った足の踏ん張り。

しかし、そんな都合のいい話が
長く続くわけもなく、

やがて生乾きのまま
Cocoさんはバスタオルから
離れてきてしまいました。

そうは見えませんよ。
まだ結構湿っています。

横綱を目指す前に
「つゆはらい」を
つとめてくださいね・・・。

 

 

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ミルクガムの事情

両端を結んだ形になっている骨ガムよりも
細長い形に巻いた、ミルクガムの方が
好きなCocoさんです。

しかし、その日はミルクガムを切らしていたので
今日は骨ガムを食べてくださいね、というと
この不満顔。

今日は家には
ミルクガムはないのです。
今日のおやつは骨ガムです、と
説得すると

渋々と言った様子で
食べ始めました。

翌日にはミルクガムを買って
一応、どっちを食べるか聞いてみましたが

やはり、迷うことなく
ミルクガムを選びました。

前日に、ミルクガムを食べられなかったことを
まだ恨みに思っているCocoさんです。

昨日の、ミルクガムの行動を
問い詰めています。

アリバイが確認できたらしく

食べることに集中。

ところが、ふとした拍子に
ミルクガムの欠片が
のどに引っかかってしまいました。

うぐっ。

げほっ。

ごろごろっ。
ぐふっ。

ただ単に、
慌てて食べすぎただけだと思われますが。

ちがいます。

昨夜の段階では本当に
「ミルクガム」と「さつまいもスティック」は
近所のドラッグストアの棚に
仲良く並んで立っていました。

 その仲を、引き裂いてきたのは私です。

そういう予定は
ありません。

 

 

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虫の居所

網戸を一所懸命眺めていると思ったら
向こう側に、虫が一匹、止まっていました。

テントウ虫に似た虫です。
珍しいのか、Cocoさんはずっと
見つめています。

「網戸に、悪い虫がついています。
中に入れてあげましょう」

おそらく、たいして悪い虫ではないでしょうが
中に入れてあげることはしませんよ。

そんなことをしたらあなたが
虫も殺さぬような顔をしながら
いろいろひどい仕打ちをするに、
決まっていますから。

「ふんっ。残念・・・」
思惑が外れて、
腹の虫がおさまりません。

そうやって家の中から

首を傷めない程度に
眺めているのが一番いいですよ。

ところが、ふとした拍子に
虫は網戸を離れて、
飛んで行ってしまいました。

「寂しくなりますね・・・。
私の顔が
虫が好かなかったのでしょうかね」

すっかり、気落ちしてしまいました。

「もしもいっしょ遊べたら
あんなことやこんなことがしたかったのにね」と

虫のいいことを考えている様子です。

外がすっかり暗くなってしまってからも
時々思い出しては
捜している様子でした。

ところが。
次の朝、虫はちゃんと
戻ってきたのです。

網戸の外側、
昨日より高い位置ではありますが
Cocoさんもすぐに気がつきました。

「やあおかえりおかえり。
あなたが帰ってくることは
わたしにはちゃんとわかっていましたよ。

虫の知らせがありましたから」と

得意顔。

 

 

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雨さえしのげればね

雨の多い季節なので
小雨程度なら、お散歩に行きましょう。

屋根のある場所から場所へ
渡り歩くといいですね。

地面が乾いているところは
雨がかからない場所です。

よそのマンションの入り口や

公園を囲む石壁の庇の下。

狭い、などと文句を言ってはいけません。
雨さえしのげれば、この季節
ありがたいと思わなくては！

あの大きな木の下も、
雨やどりができそうですよ。

次は、あの場所を
めざしてちょうだいませませ。

「雨やどり」といえば
「ませませ」です。

ほら、やっぱり
ここも地面が乾いているでしょう。

・・・と、思ったとき
さあっと風が吹き抜けて

木の枝にたまっていた水滴が
一気に降り注いできてしまいました。

これは失敗。

しかし、風さえ吹かなければ
ここも大事な雨やどりポイントです。

 

次は、シャッターの下りているお店の前。

ふと見ると、
Cocoさんのレインコートがなんだか変です。

これが正しい姿ですが

左の前脚がすぐに
襟首から出てしまう模様。

すると、片肌脱いだ
こんな姿になってしまいます。

何度直しても

歩いているうちにすぐに
腕が前から出てしまうCocoさん。

何度も立ち止まって直しているうちに
すっかり嫌な顔をされてしまいました。

確かに言いました。

少々かっこわるいですが
体が濡れなければ
それでいいことにしましょうか。

歩いているうちに
雨も上がりましたよ。

レインコートは
もういらないですね。

 

 

 

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「ポチたま」が気になる

Cocoさんがいつになく
テレビを一所懸命見ています。

見ていた番組は
「ポチたまペットの旅　まさはるくんが行く」

まさはるくんは
ラブラドールレトリーバーのパビー犬で
三代目旅犬として、
少し前から番組に登場しています。

Cocoさんは、まさはるくんが気になるのか
どんどん画面に近づいていき

真ん前で凝視。

先代のだいすけくんにも
先々代のまさおくんにも
興味を示さなかったCocoさんが、
いったいどうしたことでしょう。

画面がきりかわってしまうと

非常に不満げな顔を
見せていました。

番組が再び、まさはるくんや
そのほかのわんこが遊ぶ様子を映し始めましたが
Cocoさんは、もう興味を失ったようで

いつものように
眠りはじめます。

しかし、ふと、何かの音が気になったらしく
顔を上げて、
画面を再び見つめ始めました。

正面から見ると、この表情。

番組では
部屋で寛ぐまさはるくんが
噛むと「ぷー」と鳴るおもちゃを使って遊んでいます。

どうやらCocoさん。
まさはるくん自身ではなく、
そのおもちゃが、とても気になる様子です。

普段から
噛むと「ぷー」と鳴るおもちゃを
こよなく愛するCocoさん。

テレビの中でその音がするたび
落ち着かない気持ちになるようです。

真剣な、まなざし！

あのおもちゃが欲しい、と思っているのでしょうか。

それとも
自分の大切なおもちゃが遠くに行ってしまったと
不安を感じているのかもしれません。

結局番組の中で
そのおもちゃが音を立てている間中
食い入るように、画面を見ていました。

ぷーぷー鳴るおもちゃがいつも出ているような
「ぷーぷーチャンネル」のような放送局があったら
契約してあげましょうか。

退屈な時のひまつぶしに
ぴったりです。

しかし、
テレビに映るおもちゃを見つめる
この顔つきを見る限り

 

あなたにとっては、楽しいというよりは 

 

 

「落ち着かない番組」と言えそうですね・・・。

 

 

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