漫画を描く作業で1番大事なのはネームかもなぁと思っている。
頭の中のお話を「漫画という形」で出力する。
絵が上手いのは勿論重要なことだけど、読んだ人が「理解できる」ように表現できなければ、それは最早「漫画」ではない。
紙にコマを並べて、まるで映画監督のようにキャラクターに演技をさせる。視覚的なインパクトを考えコマの大きさを変える。構図を考えている時はカメラマンの気分だ。キャラクターは今どこにいる?誰と話している?キャラクターの位置関係は?
1番気を配るのは、読んでる人が流れるように読めるか。。。つまり、次のコマに自然に目線が行くか。
セリフが長尺で言葉を選ばないとテンポが崩れる。最小限で効果的な言葉を探す。
エピソード一つひとつも起承転結の中で1番伝えたいテーマの以外は、できるだけ短くカットして表現する。
今、ネームはできているが、下絵をしながら調整をしている。コマの大きさを変えたり、セリフをいじったり、同じような構図が被っていたら「私カメラ」の位置を変える。
読んでいる人が内容を理解しやすい形で表現する。更に「面白く、意外性があるもの」を作らないと、どんなに絵がうまくてもストーリー漫画は「ただのゴミ」だ。
漫画を描かない人、ひょっとしたら描いている人の方が酷いかもしれないけど、「絵が上手い」から漫画でご飯が食べられると思い込んでいる。
それは違う。
私は「絵が下手」と若い頃から散々「編集者」に言われてきた。上手いにこしたことはない。読者が「読む気」になるからである。でも、より求められたのは「もっと面白い話を」だ。面白いはプロとしてお金をもらうには必須条件だ。
デジタル作画が主流になって、見た目上手い漫画が容易く描けるようになった。
私がアナログにこだわるのは「ストーリー漫画」を描きたいからである。見た目上手い絵で、つまらない話を描くよりも慣れた技術で労力を割いた方が得策だと思っているからだ。
ちょっと昨日、YouTubeで衝撃的な動画を見たのだ。
作画を写真で撮ってパソコンでトレスした漫画の制作風景。若いひとらしかったが、確かに原稿は綺麗で上手い。でも。。。もうAIが描いても同じだと思った。もちろん、プロ作家じゃないよ。