無理しないでボチボチ

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夕立屋

2015年08月30日 | 落語・民話


夕立屋

男「暑いねぇ、こういう暑い日には、一雨ざーっと来てくれるとありがたいんだけど。」

夕立屋「えー夕立や夕立、えー夕立や夕立。」

男「なんだい、あの夕立屋ってのは、雨を降らそうってのかな、面白い、呼んでみよう、 おおーい、夕立屋。」

夕立屋「へい、毎度ありがとうございます。」

男「お前さん、夕立屋ってぇくらいだから、雨を降らせるのかい。」

夕立屋「へぇ、さようでございます。」

男「へぇ、で、いくらなんだい。」

夕立屋「へぇ、これはもうほんのおこころざし程度で結構でございます。」

男「そうかい、じゃさっそく、三百文ほど降らしてもらおうか。」

夕立屋「へ、かしこまりました。」

なんてんで、男はしばらく呪文を唱えておりましたが、やがて雨がざーっと降ってまい りまして。

男「おや、おかげて涼しくなったよ、だけど、こうして雨を自由に降らせたり、止ませた りできるなんて、お前さん、ただの人間じゃないね。」

夕立屋「はい、実はわたくしは、空の上に住んでおります、龍(たつ)、でございます。」

男「なるほど、道理で不思議な術を知ってなさる、だけどねお前さん、夏暑い時は、こう してお前さんが、雨を降らしていれば商売になるけど、冬、寒くなったら、商売はどう するんだい。」

夕立屋「へぇ、寒くなりましたら、倅の子龍(炬燵)をよこします。」

 

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長い名前

2015年08月30日 | 落語・民話


長い名前

ある所に、双子の兄弟が生まれました、

弟の方は非常に可愛いのに比べまして、

兄の方 はどうもあんまり可愛くない、

そこで母親は仏教の悟りの経文『阿耨多羅三藐三菩提(あ のくたらさんびゃくそんぼだい)』を取りまして、

兄の方へは「あくたら」と言う短い名 前、

弟の方には「さんびゃくさんぼだい」と言う長い名前を付けました。

すると、ある日、 この兄の方が遊んでいるうちに、

間違って、川へはまってしまいました、

母親は必死で 『あくたらが流される、あくたらが流される』と大声で叫んだので、

すぐに近所の人が気 付いて、すくい上げてくれまして、事なきを得ましたが、

またある日、こんどは弟の方が、 川へはまってしまいました、

母親はまた必死で『さんびゃくさんぼだいが流される、

さん びゃくさんぼだいが流される。』と叫びましたが、

近所の人に伝わるのが遅く、その子供 は流されてしまいました、

母親はがっかりして『ああ、せめて三百すてれば、助かった。』

 

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草刈った

2015年08月30日 | 落語・民話

 草刈った

近ごろは生意気な子供が増えておりまして、うかうかしてると、大人でもやり込められてしまいまして。

子供「おじさん、落語やってるんだって。」

落語家「へぇ、さようでございますが。」

子供「じゃ、小噺、知ってるかい。」

落語家「そりゃ、小話のひとつやふたつ、知ってますけど。」

子供「じゃ、こんなの知ってるかい。」

落語家「へぇ、どんなのですか。」

子供「昔々、々、ところにおじいさんとおばあさんがあったんだ。」

落語家「あのね、坊っちゃん、それは小噺じゃなくて、昔話、おとぎ話ってんじゃありませんか。」

子供「いいからだまって聞いてなよ、それで、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行ったんだ、すると川上から、大きな桃がどんぶらこどんぶらこ、と流れてきました、おばあさんは、その桃を持ち上げようしましたが、大きな桃なので、なかなか持ち上がりません、おばあさんは、桃を持ち上げようと、下腹に力を入れて、うーんと力む、途端に、おじいさんのいる山にまで響くような大きなおならがぶー、
すると山にいたおじいさんは、芝を刈らずに草刈った(臭かった)。」

 

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御印文

2015年08月30日 | 落語・民話


御印文

 昔は、この御印文(ごいんもん)なんてのを、お寺でいただかせた事がありまして、これを額のところへ押してもらうと、七罪消滅をして、極楽往生ができると言う。

八五郎「吉っつぁーん、いるかい。」

吉平衛「なんでぇ、大勢そろって、どっかへ行くのか。」

八五郎「うん、これからね、みんなで御印文をいただきに行くんだ。」

吉平衛「御印文って、ああ、あの極楽往生ができるってぇ、ああ、いやだ、俺は極楽往生なんかしたくねぇと思っているんだ、いやだよ。」

八五郎「そんな意固地な事を言わないでさ、みんなこうして集まっているんだから、後でいっぱい飲むから、付き合いなよ。」

吉平衛「いっぱい飲むてぇのなら、付き合うけど、言っとくけど、俺は御印文なんてもらわないよ、ああ、ここだ、じゃ、早く行ってきねぇな、ああ、いいよいいよ、俺ぁここで待ってるから、みんなで早く行ってもらってきねぇ、へへ、ああ、出てきやがった、どうしたい。」

八五郎「えへへ、今、いただいた。」

吉平衛「ぷっ、スタンプみたいなのもおでこにくっつけて、喜んでやがら、みっともないから、早くつばきを付けて、紙で取っちまいな、じゃ、いっぱい。」

八五郎「ま、いっぱいもいいけれども、ちょっとのどが乾いたぁね、ここの茶店で茶でも飲もう、ばあさん、ごめんよ。」

ばあさん「はーい、いらっしゃいまし。」

八五郎「休ませてもらうからな、それにしてもなんだね、大変な混雑だね、よっぽど御利益があるんだろうね。」

ばあさん「さようでございますなぁ。」

八五郎「ええ、なんだってね、ばあさん、この御印文をいただいたやつと、いただかないやつは、偉い坊さんが見ると分かるなんてぇ事を言うが、本当かね。」

ばあさん「さようでございます、なに、お坊さんでなくても、私でも、いただかない方は、ちゃんと分かります。」

八五郎「へぇ、おばあさんに、分かる、門前の小僧習わぬ経を読む、なんてぇ事を言うが、ばあさんに分かるかね、あ、そうだ、ばあさん、実はね、この中で一人だけ、いやだてんで、強情をはりやがって、御印文をいただかないやつがいるんだ、誰だか分かるかい。」
ばあさん「この中で、一人だけ……、あの、はじの方でしょ。」

八五郎「ああら、図星だ、だから言わないこっちゃないんだよ、神仏の事は悪く言えないんだから、お前も、これからすぐ行って、いくらか包んで、いただいた方がいいぜぇ、みねぇ、ばあさんにぴたりと当てられちまったじゃあないか、おい、ばあさん何か、こいつがいただかないってのが、分かるかね。」

ばあさん「分かります、その方が一番利口そうだから。」

あんまり、利口な方はもらわなかったようでございます。

 

 

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酒の粕

2015年08月30日 | 落語・民話


酒の粕

熊五郎「おい、与太郎、何赤い顔して、ふらふら歩いてやんでぇ。」

与太郎「ああ、あにぃかい、あたいね、今、大家さんとこの大掃除手伝ったら、こーんなに大きな酒の粕、二つももらって、それ、焼いて食べたら、すっかりいい心持ちになっちゃって。」

熊五郎「おい、よせやい、いい若いもんが、酒の粕食らったなんて、みっともねぇや、そう言う時はな、うそでもいいから、酒飲んだって言った方が、威勢がいいじゃあねぇか。」

与太郎「ああ、そうか、じゃ、今度からそう言うよ、あ、向こうから、八のあにぃが来たよ、八あにぃ。」

八五郎「なんでぇ。」

与太郎「あのさ、あたいの顔、おかしいでしょ。」

八五郎「うめぇ事言うなぁ、俺は前から思ってたんだ、この町内で、おめぇくらい、おかしな顔したやつはいねえってな。」

与太郎「そうじゃあないよ、あのさ、あたいの顔、赤いでしょ。」

八五郎「そう言えば赤いな、なんだ、おっこってるエビのしっぽでも食って、腹でも下したか。」

与太郎「そうじゃあないよ、あたいね、お酒飲んじゃったの。」

八五郎「なんだって、昼間っから豪勢な野郎だな、どのくらい飲んだんだ。」

与太郎「あのね、このくらいの塊、二つ。」

八五郎「この野郎、酒の粕、食らったな。」

与太郎「あれぇ、見てた。」

八五郎「見てた、じゃねぇや、どのくらい酒のんだって聞かれて、このくらいの塊二つってぇば、酒の粕食らったってのが、すぐわかっちまうじゃあねぇか、そう言う時はな、うそでもいいから、このくらいの猪口でも茶碗でもいいや、二杯きゅーっと飲んだってみろ、その方が、威勢がいいじゃあねぇか。」

与太郎「ああ、そうか、じゃ、今度からそう言うよ、じゃ今度誰のところへ行こうかな、そうだ、おばさんのところへ行ってみよう、おばさーん。」

おばさん「あら、与太さん、どうかしたのかい。」

与太郎「あたいね、お酒飲んじゃったの。」

おばさん「まぁ、ついこの間まで、子供だ子供だと思っていたら、お酒なんか飲むようになったんだねぇ、どのくらい飲んだんだい。」

与太郎「このくらいの猪口でも茶碗でもいいんだよ、二杯きゅーっと。」

おばさん「まあ、ずいぶん飲むんだねぇ、だけど与太さん、飲むなじゃないけど、冷やは毒だよ。」

与太郎「ううん、焼いて食べたよ。」

 

 

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自分の名前

2015年08月30日 | 落語・民話


自分の名前

 昔は、字の読み書きできない、なんてのは、ざらでございまして、中には自分の名前すら知らないなんてぇ、愚かしいものもございましたようで。

客「あの少々ものを伺いますが、このご近所だと聞きましたが、ご商売は大工さんでごさいまして、山田喜三郎さんてぇ方をご存じございませんでしょうか。」

男「山田喜三郎?聞いたことねぇなぁ、大工はこの長屋にもいるよ、今、聞いてやるよ、おおう、キサッペ、おめぇと同じ大工だそうだ、山田喜三郎ってぇ人を知らねぇかって、この人が尋ねてんだがな、おめぇ知らねぇか。」

キサッペ「山田喜三郎?へへへ、殿様みてぇな名前じゃねぇか、山田喜三郎、って、あ、俺だ。」

男「お前、山田てってぇ顔じゃねぇよ、お前なんざ、どこへ出したってじゃまだってぇ顔だ。」

キサッペ「そうでないよ、親父が死ぬまぎわに、お前の名前は、山田喜三郎ってんだぞーってったのを、かすかに覚えていた。」

男「本当かい、ああ、この野郎だそうだ。」

なんてんで、本当にあった話だそうでございまして、これが仲間内へ広がりますと、騒ぎはもういっぱい大きくなりまして。

男壱「おおい、聞いたか。」

男弐「なにを。」

男壱「なにをって、大工のキサッペ。」

男弐「キサッペがどうかしたのか。」

男壱「あの野郎の名前知ってるかい。」

男弐「キサッペは、お前、キサッペだろ。」

男壱「それがそうでないんだよ、キサッペてぇのは、浮き世を忍ぶ仮の名、誠本名は、山田喜三郎ってんだ。」

男弐「へーっ、やつはそんなに悪党かい。」

 

 

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四つ足

2015年08月30日 | 落語・民話


四つ足

男壱「お前は、いかもの食いで、なんでも食うんだって。」

男弐「ああ、肉類は四つ足ならなんでも食べるよ、牛、豚、馬はおろか、らくだだって、羊だって、猿だって食べちゃう、そしたら、この間、この炬燵も四つ足だから、この炬燵食えってやがんのよ、だから俺言ってやったんだ、食って食えない事はないけど、こう言う当たるものは、食いたくないって。」

 

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亀は万年

2015年08月30日 | 落語・民話


亀は万年

八五郎「ねぇ、隠居さん、昔から鶴は千年亀は万年なんて事を言いますね。」

隠居「ああ、そんな事を言うな。」

八五郎「鶴は千年生きますか。」

隠居「生きるそうだな。」

八五郎「亀は万年も生きますか。」

隠居「生きるそうだ。」

八五郎「亀が千年生きたのを見た事ありますか。」

隠居「見た事はないが、生きるそうだな。」

八五郎「この間、隣の子供が縁日で亀を買って来まして、その晩に死んじゃいましたよ。」

隠居「じゃあ、それが万年目だったんだ。」

 

 

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海老床

2015年08月30日 | 落語・民話


海老床

 昔は、床屋さんの事を、髪結床、床、なんて言ったんですが、入り口の障子のところに、 達磨の絵が書いてあって、達磨床、海老の絵が書いてあって、海老床なんてんで、また、 この海老の絵が上手く書いてあったんだそうですね、だから通りすがりのやつが。

町人壱「おおい、源ちゃん源ちゃん、ええこの海老床の海老、上手く書いてあるなぁ。」

町人弐「本当だ、上手く書いてあるなぁ。」

町人壱「まるで生きてる様だな。」

町人弐「死んでるな。」

町人壱「お、この野郎、まともに逆らうなよ、俺が生きてるって言ったら、おめぇも生き
てるって言え。」

町人弐「お前はねそれがいけない、これは絵なんだから、生きてる訳ない、死んでるよ。」

町人壱「生きてる。」

町人弐「死んでる。」

町人壱「生きてる。」

町人弐「死んでる。」

町人壱「生きてる、しょうがねぇな、あ、隠居さんが来た、隠居さんに聞いてみよう、ね
ぇ隠居さん。」

隠居「なんだい。」

町人壱「この海老床の海老、上手く書いてありますねぇ。」

隠居「おお、本当だ、上手く書いてあるなぁ。」

町人壱「生きてる様ですよね。」

隠居「いや、生きちゃいないな。」

町人弐「やっぱり死んでますよね。」

隠居「いや、死んでもいないな。」

町人壱「じゃ、この海老、どうなってます。」

隠居「患ってるよ。」

町人弐「患ってる。」

隠居「よーく見てご覧、ちゃんと、床についてる。」

 

 

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火事の息子

2015年08月30日 | 落語・民話


火事の息子

昔は、火事がたいへん多ございまして、江戸残らず焼いたなんてぇ事もあったんだそう でございますが、ただ今は、消防が行き届いておりまして、そう大火はございません、火 事の夫婦が相談をしまして。

火事の夫「このごろは、消防が行き届いて、いまいましいったらありゃあしねぇ、俺たち 商売上がったりじゃねぇか、燃え上がる事が出来やしねぇ、俺はな、明日あたり 田舎の方へ行って、燃え上がってやろうと思うんだよ。」

火事の女房「ああ、お前さん、それがいいよ、田舎の方へ行って燃え上がれば。」

なんてんで、火事の夫婦が相談をしてますと、そばから、子供が。

火事の子供「坊や(小火)もいっしょに行くよ。」

なんてんで、小火までなくなってしまったそうです。

 

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骨董屋

2015年08月29日 | 落語・民話


骨董屋

骨董屋の主人が毎晩女中の布団の中に入ってきます。

困ってしまい奥様にそのことを相談しました。

「わかりました。今晩は私の布団に寝なさい。私があなたの布団に寝ます」

その夜、亭主が女中の布団の中にもぐり込んできて

「ああ、やはり若い子はいいなあ」

奥さん、ガバっと起きて

「アンタ、骨董屋のくせして、古いも新しいもわからないの?」

 

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もう一合

2015年08月29日 | 落語・民話

もう一合

亭主が仕事から帰ってくると、奥様が必ずお酒の用意を待っています。

ある日、家にお金がないのに気が付きました。

もうじき亭主が帰って来ます。

奥様は緑の黒髪をプッツリと切って、それをお金に換えてお酒を買って来ました。

知らずに亭主が酒を飲もうとしたら、奥様の頭に手ぬぐいが巻いてあるのに気 が付きました。

理由を聞いてびっくり。

よし、俺はもう酒は飲まないと心に決め、その晩はしっかりと奥様にサービスをしました。

頭、口、首と、、、だいた い、その時の男は大名行列だそうですね。下にい、下にい、、、

「あ、もう一合飲める」

 

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左馬

2015年08月28日 | 落語・民話


左馬

昔は、亭主の浮気防止に、男の一物に、左馬を書いたりいたしまして、これだと、浮気をすると字が消えてしまうので、わかるってんですが、それでも男の浮気癖ってのは、おさまりません、品川へ行ったついでに、浮気をして来た男、もう一度、一物に馬の字を書きまして、なにくわぬ顔でうちへ帰ってきまして。

女房「お前さん、品川で浮気なんかしてこなかっただろうね。」

亭主「浮気なんかする訳はねぇ。」

女房「じゃ、左馬を見せてごらん、あら、おかしいねぇ、うちにいる時は、左を向いていた馬が、右を向いてるよ。」

亭主「そりゃ、品川へ行く時は、左を向いてたんだ、うちへ帰ってくる時は、右を向いてるの当たり前だろう。」

女房「そうかねぇ、それに、うちにいた時より、少し馬ってぇ字が、太っていないかい。」

亭主「太ってるかもしれねぇ、品川で豆食わせてきたから。」

 

 

 

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首売り

2015年08月27日 | 落語・民話


首売り

昔、えー首を売ろう、首を売ろう、なんてんで、首を売って歩いている男がございまして、これを見つけました侍が。

侍「これ、その方、首を売るのは本当か。」

首売り「へぇ、本当でございます。」

侍「して、代はいくらじゃ。」

首売り「へぇ、一両でございます。」

侍「ほほう、たかが一両で、自分の首を売るとは面白い、拙者、新しく刀を求めたが、試し切りがいたしたい、その方の首、一両で買おう。」

てんで、侍が一両渡しますと、くだんの男、懐から、張り子の首を放り投げると、さっと駆けて逃げ出しまして、これには侍も驚いて。

侍「これこれ、拙者はこのような、張り子の首を求めた覚えはない、拙者が求めたのは、その方の体に付いている首じゃ。」

ってぇと、くだんの男、自分の首根っこをおさえまして。

首売り「へぇ、これは看板でございます。」

 

 

 

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