Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

12月20日に記者会見の予定!『防衛費の異常な増加に抗議し、教育と社会保障への優先的な公的支出を求める声明』【案】その2

2018年12月03日 | 人権保障と平和

 

12月20日に記者会見の予定!『防衛費の異常な増加に抗議し、教育と社会保障への優先的な公的支出を求める声明』【案】

の続きです。
 
 

4 主要国で最も貧弱な日本の教育予算

 日本は、GDPに占める教育への公的支出割合が、OECDの比較可能な34か国中で最下位である(2,9%。OECD, Education at a Glance 2018)。日本は「高等教育の授業料が、データのあるOECD加盟国の中で最も高い国の一つ」であり、また「過去10年、授業料は上がり続けている」。「高等教育機関に対する総教育支出に占める公財政支出の割合は34%に過ぎない。この割合は、OECD加盟国平均70%の半分である」(「OECDカントリーノート 図表でみる教育2017年版 日本」)。

 給付型奨学金は2017年にようやく導入されたものの、対象は住民税非課税世帯に限られ、学生数は各学年わずか2万人、給付額は月24万円にすぎない。大学生の75%は私立大学で学んでいるが、国の私学助成が少ないため家計の負担が大きいところ、私大新入生のうち無利子奨学金を借りられるのは15%にすぎず(東京私大教連調査)、多くの卒業生と家族は奨学金という名のローン返済に苦しんでいる。

 国立大学法人化後、その基盤経費となる運営交付金も年々削減され(2004年から2016年までで実質1,000億円以上。文部科学省調査)、任期付き教員の増加など大学の教育・研究に支障をきたしている(「土台から崩れゆく日本の科学、疲弊する若手研究者たち これが科学技術立国の足元Wedge Infinity 20171127日)。

 高等教育だけではない。教育予算が全体としてきわめて貧弱であり人員が少ないため、公立の小・中・高等学校では半数以上の教員が過労死レベルで働いている(「過労死ライン超えの教員、公立校で半数 仕事持ち帰りも」朝日新聞デジタル20181018日)。

 教育という国づくりの最も重要な分野に予算を支出しない国に未来はあるだろうか。納税者から託された税金を何にどう用いるかという財政政策において、教育を受ける権利の実現は最優先事項の一つでなければならない。

 

 

5 日本は社会権規約違反している

 憲法25条は国民の生存権を保障している。また、日本が批准している「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(社会権規約)社会保障についての権利9条)適切な生活水準についての権利111項)を認め、国はこれらの権利の実現のために、利用可能な資源を最大限に用いて措置を取る義務があるとしている21項)。

 権利を認め、その実現に向けて措置を取る義務を負った以上は、権利の実現を後退させる措置を取ることは規約の趣旨に反する(後退禁止原則)。

 社会権規約の下で設置されている社会権規約委員会は9条につい「一般的意見」で、「いかなる意図的な後退的措置が取られる場合にも、国は、それがすべての選択肢を最大限慎重に検討した後に導入されたものであること、及び、国の利用可能な最大限の資源の完全な利用に照らして、規約に規定された権利全体との関連によってそれが正当化されること、を証明する責任を負う」としている。

 このような観点から委員会は、日本に対する2013年の「総括所見」で、社会保障予算の大幅な削減に懸念を示している。また、日本の最低賃金の平均水準が最低生存水準及び生活保護水準を下回っていることや、無年金又は低年金の高齢者の間で貧困が広がっていることにも懸念を表明した(外務省ウェブサイト「国際人権規約」参照)。

 今年(2018年)5月には、10月からの生活保護引き下げについて、国連人権理事会の特別報告者ら4名が連名で、引き下げは日本の国際法上の義務に違反するという声明を発表し政府に送る事態となった。

「日本のような豊かな先進国におけるこのような措置は、貧困層の人々が尊厳をもって生きる権利を直接に掘り崩す、意図的な政治的決定を反映している。」「貧困層の人権に与える影響を慎重に検討しないで取られたこのような緊縮措置は、日本が国際的に負っている義務に違反している」


 また社会権規約は、国はすべての者に教育の権利を認め、中等教育と高等教育については、無償教育を漸進的に導入することによって、すべての人に均等に機会が与えられるようにすることと規定している。適切な奨学金制度を設立することも定めている(132項)。教育に対する日本の公的支出の貧弱さはこれらを遵守したものになっていない。

 後年度負担まで組んで莫大な額の兵器を買い込国家財政を逼迫させる一方で、十分な検討も経ずに生活保護を引き下げることや、きわめて貧弱な教育予算を放置し又は削減すること憲法の平和主義、人権保障及び財政上の原則のみならず国際法上の義務である社会権規約及び同様の規定をもつ子どもの権利条約障害者権利条約など)に違反している。

 我々は、安倍政権による防衛予算の異常な運営抗議し反対の意志を表明するとともに、教育と社会保障の分野に適切に予算を振り向けることを強く求めるものである。


申先生は国際人権法、特に国際人権規約分野では第一人者なわけですが、同時にこのブログの愛読者のお一人。

いわば皆さんの代表でもあるわけです。

ブログ愛読者とブロガー発信の市民運動なんて新しくないですか?

しかも、あの!外国人特派員協会でわたくしも記者会見するかもですよ(笑)。これは要注目!ぜひお力とお知恵をお貸しください。

毎日一日一回でいいので、上下ともクリックしてくださると大変助かります!



コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 締め切りは12月3日正午!... | トップ | 12月20日に記者会見の予... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
良く言えるわね。 (リベラ・メ(私が本物))
2019-01-01 10:00:04
G-7きっての貧弱な予算でありながら、「世界に冠たる日本!」なんて大きな顔していられるわね、安倍総理。「日本人の研究論文が引用されない。」とか「近年、日本人のノーベル賞受賞者が出ていない。」なんて言うけど、元を糺せば、防衛予算にかまけて、教育予算に構わなかったあなた方一番悪いのよ。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

人権保障と平和」カテゴリの最新記事