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自衛隊の輸送艦「おおすみ」が1月15日、広島県大竹市の沖の瀬戸内海で釣り船と衝突しました。釣り船は転覆して乗っていた4人が海に投げ出されました。全員を救助したものの、船長が死去され、乗客のお一人が心肺停止の重体ということです。大変な惨事になってしまいました。
お亡くなりになった方に哀悼の意を捧げるとともに、重体の方のご回復をまず祈りたいと思います。
この事故を起こした一方当事者の「おおすみ」は平成10年3月に竣工(しゅんこう)した「輸送艦」ですが、全長178メートル、幅25.8メートルで基準排水量は8900トン、通常の乗員は約135人、戦車やトラックを数十台運べる大きさと巨大なものです。
このように、おおすみは航空母艦のような外観で、竣工時には空母だと騒がれました。もちろん、災害時の救援などにも活用でき、2013年11月のフィリピン台風災害で救援物資を輸送しました。また、東日本大震災でも物資輸送活動を行っていますが、本来の軍用としてはイラク戦争の時にイラクに派遣もされています。
おおすみは戦車を陸に揚げる手段として、ホーバークラフト型の輸送用エアクッション艇LCACを2隻搭載しています。ホーバークラフト型のエアクッション艇というとのんびりしたイメージですが、実際はこんなに巨大で戦車を何台も載せられる大きさです。
さらに、後部には2機のヘリコプター発着場があり、ここにオスプレイを乗せられるように改造予定です。自衛隊が危険な「未亡人製造機」オスプレイを導入すべきかどうかもこれから議論されるべきことなのに、もうはやくもオスプレイ採用を前提に改造予定では、確かに「空母」と言われても仕方ありません。
未亡人製造機オスプレイ 米軍事故調に上層部圧力で事故隠しと事故率操作 もはや日米安保条約を見直す時
この「おおすみ」には、離島防衛・奪還作戦における「海兵隊的機能」を付与するため、オスプレイだけでなく、隊員を乗せて前線に進出する水陸両用車も載せられるように大規模な改修を始める予定でした。海兵隊とは米軍の攻撃=侵略部隊です。
おおすみは高性能20ミリ機関砲を2門備えており、こうなると輸送艇という語感から想像されるのんびりしたものではなく、まさに武器・兵器・軍隊を運ぶ攻撃用の戦闘艇というべきもので、専守防衛を超える用法が予定されているというべきでしょう。
海上自衛隊の艦艇が民間の船と衝突した過去の例は、1988年に、潜水艦「なだしお」が神奈川県の横須賀沖で遊漁船と衝突し、30人が死亡したほか、2008年にイージス艦「あたご」が房総半島沖で漁船と衝突し、漁船に乗っていた親子2人が死亡しているという事故があります。
今回の事故の原因はこれから究明されるべきものですが、秘密保護法の先取りのような軍事機密の壁がまた立ちはだかるというようなことのないように監視しなければなりません。
それにしても、こういう軍艦、それも今回のように攻撃用の、憲法9条に抵触しかねないような艦艇が、事故の当事者だということに複雑な感情を抱きます。
こんな船が海に居さえしなければよかったのに、と。
こんな船要らないとはっきり言おう。
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記事を拝見させていただきましたが、本来別個で語られた方が良いのでは?と思われるテーマが混在しているように見えましたが、衝突事故の件でエントリーを書かれていたのでそちらでコメントさせていただきます。
民間船舶だからとか、護衛艦だからという理由では事故は起きません。操縦は人間が行うものですし、海上の事故は陸上と違い回避義務などの関係から事故の主体となった側の不注意で起こるものです。ですから貴方の仰る「こんな船が海に居さえしなければよかったのに」は貴方自身の政治的思想からくる、言葉は悪いですけども「難癖」にしか聞こえません。
あたごの事故で、自衛官が無罪となった理由をよくお調べになってください。
弁護士というには、法科大学院の教授というにはあまりにも一方的で客観的な視点の欠いた記事であったと言わざるを得ません。
自衛艦を見て素人目ですが、妙な違和感を持ちました。「空母」という言葉で納得できました。
そういう事なんですね。
被害者のご冥福と、重体の方のご回復。そして助かった方々が後遺症がないことを祈ります。
法律的にどうだったとか、どのような経緯で事故になったのかとか、そちらがより重要なのでは?
個人的にはもう9条は維持が難しくなりつつあるので、改憲すべきという立場です。
これが同じくらいの大きさの船同士なら、転覆になどならなかったかもしれません。
ぶつかったらひとたまりも無い漁船相手に向かって行ったとしか思えない航行の方向転換の不自然さも大いに疑問です。
車で人身事故を起こした場合は殆どが車の運転手に非が有るとされますが、空母対漁船は対比的にはそのようなものではないかと思います。
過去の判例で自衛官が無罪になったというのは、それこそ政治的判断なのではないでしょうか。
なお、今回の釣り船側の乗員の方々の回復を心より願うという気持ちについては、私もこちらのブログ作成者様と同一であるということを申し添えます。
まず、輸送艦「おおすみ」および自衛隊に関する基本的な知識についての誤りを列挙させて頂きます。
①『実際はこんなに巨大で戦車を何台も載せられる大きさです。』←LCACは戦車(戦車とは戦闘車両の総称ではなく、現在においてはMBT(Main Battle Tank)=主力戦車のことを指す場合がほとんどです)を1両しか積むことが出来ません。自衛隊の代表的な戦車である90式戦車は、重量が約50tもあるのです。
②『本来の軍用としては……』←「本来の」という表現はいかがなものでしょうか。自衛隊は「おおすみ」型をはじめとする艦艇の「本来の」任務の一つとして、災害派遣等への利用を明示しています。
③『海兵隊とは米軍の攻撃=侵略部隊です。』←海兵隊のことを侵略部隊と定義するには無理があります。海兵隊とは元来、帆船時代において艦内の治安警備を目的として組織されましたが、第二次世界大戦以降においては上陸作戦時の先鋒を務める部隊として組織されています。「侵略」を「他国の領土を侵す行為」と定義すると、自国の領土を奪回するためにも使用可能である「海兵隊」と、「侵略部隊」を等号で結ぶことが不可能なことは明らかでしょう。
④『おおすみは高性能20ミリ機関砲を2門備えており、こうなると輸送艇という語感から想像されるのんびりしたものではなく、まさに武器・兵器・軍隊を運ぶ攻撃用の戦闘艇というべきもので、専守防衛を超える用法が予定されているというべきでしょう。』←高性能20ミリ機関砲(CIWS)の用途を誤って理解なさっているようです。CIWSは近接してきた航空目標(主に対艦ミサイル)の迎撃が主目的であり、副次的な利用法としては接近してきた小型艇の迎撃を行います。後者は、米国のイージス駆逐艦「コール」に、爆薬を積んだ小型艇が突入し(つまり自爆テロです)、米艦が大破した事件が発端となって付け加えられた役割です。以上の用途から考えると、CIWSはあくまで自衛的に用いられる装備であることがご理解いただけると思います。また、海上の警察組織たる海上保安庁の巡視船ですら40ミリ機関砲を備えており、他国のコーストガードに至っては76ミリ砲等のより強力な武装を備えています。この状況下で『攻撃用』『専守防衛を超える用法』に、CIWSしか備えていない「おおすみ」を用いるのだとしたら、自殺行為以外の何ものでもないと言えるでしょう。何しろ巡視船よりも貧弱な武装なのですから。
加えて、『輸送艇』という表現をお使いですが、本来「艇」とは小型の船舶に用いる名称です。500トン以上もあれば通常、「船」ないし「艦」とよばれます。「おおすみ」の場合には明らかに「艦」が用いられるべきでしょう。
最後に、『こんな船が海に居さえしなければよかったのに、と。』との文章を、震災の際に「おおすみ」による救援を受けた方が目にした時、一体どのような印象を受けるでしょうか。こちらのブログの内容が、あまりにも原理主義的な自衛隊批判のように見えてなりませんでしたので、コメントを投稿させて頂きました。
一個人が使用する自動車でも後方が見えるようなカメラが付いているのに、戦闘に使う艦船に死角があるなど、あり得るのでしょうか。まさか戦艦だから「寄らば切るぞ」というポリシーで作っているわけではないでしょう。バスやトラックのように車体全部が見えるような装置が付いているのが当然ではないのですか?
もう1つは、「漁船にぶつかるくらいだから、自衛隊の中でも一番ぼろい老朽船で、艦長も一番無能な人の暇つぶし的仕事としてあてがってあるのだろう」くらいに思っていたら、イラク戦争にも参加した現役バリバリの軍艦なのですね。そういう船に、漁船にぶつかるような人たちが乗っているというのも怖いです。これで実戦で役に立つとしたら、予定通りのことが起こっている場合のみという感じですね。
この漁船と同じような角度からテロリストの小船がなにげなく近づいても、船体に「テロリストです』とか『アルカイダです」とか書いておかないと気付かないかも。
これで国を守ろうといっても豚に真珠というかキチガイに刃物というか、危なすぎるのではないですか。まだ平和的な民間交流のほうがよほど国防に役立っているのでは。
輸送船ではなく、輸送艦なのです。
一応、多少の自衛のための武装は仕方がないと思います。
多分、このコメントは表には出ないと思いますが、
私は、極端な右寄り思想は大嫌いです。
が、極端な左寄り思想も大嫌いです。
どんな船にだって死角は有ります。
スワンボートだって船首が水を切る部分は見えませんし、
船体が水に接している部分は1箇所も見えません。
一方、おおすみをはじめとした護衛艦は、瀬戸内や東京湾を走るときには見張りを立てているので死角はありません。
マスコミは報道しない自由で無視を決め込んでいますが、すでにおおすみのGPS航跡でプレジャーが周りをうろついて突っ込んだことは明確になっています。
舵を曲げてから曲がり始めるまで何十秒もかかる大型船に突っ込んでくる小型船を避けるすべはありません。
これがテロリストの特攻船だったら、防げないのは確実ですね。
それを海上だけで確実に防ごうとしたら・・・・個人経営の漁師はみんな首を吊るしかありませんね。思いつきで酷いことを言う人もいたものです。
新聞における記述について、やや誤解が生じているようですのでコメントを投稿させて頂きます。
「近くにいる船は艦橋から死角になる」と「戦闘に使う艦船に死角がある」との間に等号は成り立ちません。艦橋とは、「艦体上に設置された、操舵室のある構造物」を指します。確かに、輸送艦「おおすみ」の艦橋は写真でもよく確認できるように右舷側に設置されていますので、左舷側や艦首・艦尾側に対しては自らの艦体が障害物となり死角が生じます。
しかし、その死角をカバーするために、自衛艦においては、艦橋以外の場所にも見張員を立たせています。なお一般的には左右両舷および艦尾に配置することが多いようです。
したがって、「艦橋からは死角になる」としても、見張員からも視覚情報が得られる訳ですから「艦にとって死角になる」ことは無いわけです。換言するならば、「艦橋に死角が存在する」ことは、「艦に死角が存在する」ことに対して、必要条件ではありますが十分条件ではない、と表現できるでしょう。
また、「おおすみ」に対して『戦艦』との呼称を用いることに対しても違和感を覚えます。本来『戦艦』とは「大口径の主砲(最低でも口径28センチ以上)と、自艦の搭載する主砲の砲弾に耐えうる防御力を備えた軍艦」のことです。この定義はあくまで輸送艦でしかない「おおすみ」には全く当てはまりません。ただし、上述の定義はあくまで軍事学上で用いられるもので、一般的には「戦闘に用いる船」との定義も用いられる(国語辞典にはこの定義も掲載されています)傾向があることも申し添えておきます。厳密にいうと本来の定義からは外れた表現であるということをお伝えしたかったので書き込みました。
最後に、「おおすみ」の乗員の方に対して「豚に真珠」や「キチガイに刃物」といった言葉を用いて批判を行うのはいかがなものでしょうか。今回の事件は誠に残念な出来事であり、自衛艦と民間船舶の衝突事故などあってはならないことである、という内容については私も全くもって同意見です。しかし、批判を行う場合には、相手の立場についても充分に理解した上で、というのが礼儀ではないでしょうか。
日本において海自の艦艇は、他国の艦艇と比べた場合、大いに軽んじられていると言わざるを得ません。例えば、小型の民間船舶の間では、海自の艦艇の舳(へさき)スレスレを通過できれば幸運が訪れる、などといったジンクスが流行した時期すらあったそうです。しかし同じ行為が米軍等の艦艇に対して行われることはありません。なぜなら彼らは、他の船舶が急接近してきて警告にも応じない場合には発砲するからです(これは国際的には明らかな正当防衛行為に当たります)。海自は決してそのようなことをすることはありません。さらに付け加えるならば、「アルカイダです」「テロリストです」と書いてある小型船舶が急接近してきた場合でも、自衛艦は相手が攻撃(発砲や体当たり)してきた後でなければ反撃できない、としているのが現在の日本の法律なのです。このように自国民からも軽んじられ、嫌がらせまがいのような行為まで受けることがある、という自衛艦の状況を、少なくとも批判を行うのであれば知っておかねばならないでしょう。
亡くなられた方の哀悼を祈る気持ちは私もN.O.様と全く変わりません。しかし、衝突の詳しい状況も確定されていない状況下で一方的に、「おおすみ」を加害者、遊漁船を被害者(ないしは犠牲者)と決めつけるのは如何なものでしょうか。N.O.様は『そういう船に、漁船にぶつかるような人たちが乗っているというのも怖いです。』とコメントなさっていましたが、これは遊漁船側にあてはめると『あれだけ大きな輸送艦にぶつかるような人たちが乗っていた。』ということになってしまいます(なお、これはN.O.様のロジックが適切とは言えないことを示すために用いた表現であり、遊漁船側の乗員の方々を非難する意図は私には全くないということを明記させて頂きます)。
今回のような事故の場合は両者の主張を公平に聴かねばなりません。また、批判を行う場合には相応の知識を身に付ける義務が生じます。このことをN.O.様にご理解頂きたかったので、コメントを投稿させて頂きました。最後に、以上の内容は決してN.O.様を非難するものでは無いということを申し添えます。
長文失礼致しました。