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昨晩遅く、明日の証人尋問の準備に疲れ果て、もう今日はブログ書くのは無理!と思って、村野瀬玲奈の秘書課広報室さんを読みに行ったんですよ。
そしたら、
『ヘイト批判記事を書いた神奈川新聞の石橋学記者を「名誉棄損」として一部敗訴させた横浜地裁判決はおかしい。』
という記事があって、川崎市議選でヘイトスピーチをした札付きのヘイター・ヘイトスピーカー候補に対する神奈川新聞の記事に対して、その候補が名誉毀損で損害賠償を求めていた裁判の判決があったというのですね。
ところが判決は神奈川新聞の記事については名誉毀損は成立しないと棄却したのに、その記事を書いた記者がその候補者のヘイトスピーチ中に「デマだ」と言ったのに対しては、損害賠償請求を一部認容した(15万円)というのです。
そんなおかしなことってある?、それにしてもこの事件のこと全然知らなかったけど村野瀬さんっていつもどうやってこういう人権課題を見つけてくるのかなあ、と思って読んでいったら、最後の行に
『おかしな判決であり、法律の専門家による批判的検証も待たれます。ですよね、宮武嶺さん。』
って書いてあって!
突然の無茶振りに思わず、「ヴエエエエエ」という変な声が出ました(笑)。
この裁判の原告の佐久間氏。
被告にされた石橋記者(左)と原告の佐久間氏。
「ブロガー同士って、こんなダイレクトなご指名、ありなんか?!」と思いつつ昨晩は今これから書くのムリ、と思って寝たのですが、今朝起きたら気になって、資料を集め始めました。
皆さん誤解があるようなんですが、法律の専門家にとって大事なのは法律部分じゃなくて事実の確定なんですよ。
それで、今朝になって村野瀬さんのその記事で紹介されている新聞記事を検索し始めたんですが、肝心の神奈川新聞も沖縄タイムスもみんな有料記事で途中から読めない。。。
というわけで、沖縄タイムスはお試し有料登録(1カ月に5つまで記事が読めるというお得なプラン)、神奈川新聞は1日24時間100円で読み放題という格安プランに申し込んで、記事を調べまくりました。
全部はとても引用しきれないのですが、その成果が末尾の新聞記事群です。皆様もぜひお試しあれ(笑)。
川崎に押し寄せる人種差別主義者たち。
ヘイトスピーチにカウンター(抗議行動)をする良心ある市民たちと、ほとんど人種差別主義者の方を守っているようにしか見えない神奈川県警。
この裁判の原告の佐久間氏。日本第一党の桜井氏など、人種差別主義者が選挙運動を悪用してヘイトスピーチをまき散らす例が増えている。
さて、前置きが長くなりましたが、事案をよくよく読んでみると、この裁判で原告の佐久間氏は神奈川新聞を被告にしていなくて、ヘイトスピーチをした原告が、その批判記事を書いた石橋学記者だけを被告にして訴えた2つの事件が併合されていたんです。
どういう内容かというと、川崎市議選の元候補者佐久間吾一氏が、神奈川新聞の石橋学記者による記事や言動で名誉を傷つけられたとして、石橋記者個人に計約280万円の損害賠償を求めた二つの訴訟の請求が併合された裁判の判決。
横浜地裁川崎支部の山口均裁判長は2023年1月31日、石橋記者が書いた記事3点については公益性などを認定して、佐久間氏の訴えを棄却したのに、佐久間氏の演説中に石橋記者から佐久間氏になされた一部発言を名誉毀損と認め、石橋記者に15万円の支払いを命じた、というのですね。
まず第一におかしいのは、神奈川新聞の記事が名誉毀損だというのなら、普通は神奈川新聞を被告に裁判をするのが当たり前なのに、原告の佐久間氏が石橋記者個人を被告にしていること。
これは完全に石橋氏や市民個人の表現の萎縮を狙った恣意的な「スラップ」(恫喝)裁判です。
280万円の請求のうち15万円の請求が認められただけなのに「勝訴」の旗出しをする佐久間氏のフェイクが酷い。
次におかしいのはやはり、山口裁判長の判決そのもの。
判決では、佐久間氏が2019年に開いた講演会で
「旧日本鋼管の土地をコリア系が占拠している」
「共産革命の橋頭堡ほが築かれ今も闘いが続いている」
と述べるなど在日コリアンに関してしてきた発言を
「悪意に満ちたデマによる敵視と誹謗中傷」
などと指摘した石橋記者の記事3本については、山口裁判長は記事の内容の重要部分が真実か真実と信じる相当の理由があったと認めて、名誉毀損が成立しないとしたんです。
ところが、石橋氏は2019年5月、佐久間氏の川崎駅前での演説を取材し、
「勉強不足だし、誠実さのかけらもありませんよ」
「でたらめを言っている」
と直接佐久間氏に発言したんですね。
これについて、山口裁判長は石橋記者の発言について「公益性が推定される」としながら、この内容を名誉毀損と判断しました。
同じことを言ったり書いたりしているのに、新聞記事は名誉毀損が成立しないけど、演説中に佐久間氏に投げかけた石橋氏の発言は名誉毀損というのはおかしいですよね。
佐久間吾一が石橋学記者を名誉毀損で訴えて「勝訴」したという内容の判決文。
— 猫重力 (@catsgravity137) January 31, 2023
記事については公益性や真実性が認められている。
名誉毀損認定されたのは選挙演説中の佐久間に「そんなことも知らないのは勉強不足」「デタラメ」と批判した件のようだ。こんなのは意見でしかないhttps://t.co/O6i3Dwl89I pic.twitter.com/gwrILS085q
まずこの判決は、表現の自由と名誉権の衝突に関する法律の規定や、最高裁の判決の方向性に真っ向から反しています。
他人の社会的評価を下げるような表現でも、表現の自由と名誉権の調整の枠組みを示す刑法230条の2の第1項は
「公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。」
としているのですが、3項はさらに
「前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。」
としていて、原告の佐久間氏のような市議会議員選挙の候補者に対する表現は手厚く保護され、真実であることの証明があったときは違法性がないとされているんですね。
いずれにしても、最高裁はこの「真実性の証明」が求められているのは表現内容の中の「事実の摘示」の部分だけで、表現者の意見や論評部分については広く自由を認めることで、市民が意見や論評を自由にすることができるようにして、表現の自由を保障するという判決を積み重ねています。
ほとんど勝訴なのだが、渋い表情の神原先生(一番右)。
これを、本件に当てはめてみると、石橋記者が佐久間氏の演説中に投げかけた
「勉強不足だし、誠実さのかけらもありませんよ」
という言葉って、これは石橋氏の意見であり論評であって、事実の適示ではありませんよね。
次に石橋氏が言った
「でたらめを言っている」
というのは、佐久間氏の講演についての事実の摘示と言えなくもないですが、佐久間氏の講演を
「悪意に満ちたデマによる敵視と誹謗中傷」
と批判した石橋氏の記事については山口裁判長自身が真実だと認めているのですから、佐久間氏の講演を「でたらめ」だと言った石橋氏のこの発言も名誉毀損には当たらないはずなのです。
一つの判決文の中でこんなに矛盾した判断をするのがおかしいわけで、これは沖縄タイムスの阿部記者が
『そもそも石橋記者の発言は事実の提示ではなく意見や論評で、名誉毀損が成立するとは通常考えにくい。だが、判決は佐久間氏の主張を一部取り入れて「けんか両成敗」の形を取った。
差別との闘いを「どっちもどっち」で片付けようとする日本社会の病理は司法にも及んでいる。』
と指摘しているのが、まさにこの山口裁判長の判決の「病理」を真正面からついていると言えるでしょう。
多くの市民が抗議に集まった2016年6月5日のデモ=川崎市中原区
『記者の視点=石橋 学 時代の正体〈457〉尊厳守るため不許可を 「ヘイト講演」問題』より
実際、この裁判の原告であるヘイトスピーカーの佐久間氏は、勝てるはずがなかったこの裁判の一部勝訴の判決に喜んじゃって、判決後に
「たとえ一円でも主張が認められたことは満足」
と発言しているそうです。
18分の1勝っただけで18分の17負けているのに、完全勝訴したかのようにネットで報告する佐久間氏。
横浜地裁川崎支部は、これで極右の人種差別主義者たちが図に乗ってヘイトスピーチを激化させたり、それに抵抗する市民たちの表現が萎縮したらどう責任を取るのでしょうか。
判決後の報告集会で、石橋記者の代理人の神原弁護士は
「石橋記者の記事は正しかった」
事が認められたとして、この判決の中でも佐久間氏が差別的な言動や動画を拡散した事実なども認定され、これを非難する神奈川新聞の記事の真実性が認められたことは評価し、
「(川崎市川崎区)池上町の住民の名誉を守ることができた」
と強調しましたが、佐久間氏の請求が一部認められたことについては
「この判決が確定すれば報道機関による政治家への取材・批判の自由が著しく萎縮する」
として、控訴する方針を示したそうです。
ヘイトスピーチとの戦いで連戦連勝の神原さんですから、東京高裁では完全勝利をしてくれると確信しています。
判決後記者会見する石橋記者と神原弁護士。
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そもそも、自分たちの人種差別のヘイトスピーチについてさえ表現の自由があるのだとうそぶく佐久間氏らヘイターたちが、自分らの差別発言を批判する人の表現の自由は許さないだなんて、この裁判を起こすこと自体が間違っているでしょう。
たとえ280万円の請求のうちの15万円でも、こんな人種差別主義者たちの言い分を認めた今回の判決文は、石橋記者と弁護団にとっては青天の霹靂、予想だにしないトンデモ判決だったと思います。
それにしても、石橋氏はこの裁判の本人尋問の中で、2021年8月に在日コリアンが多く住む京都府宇治市のウトロ地区が放火され計7棟が焼損した事件に触れて
「池上町も同じ危機にさらされている。在日コリアンというだけで、火を放たれる恐怖と絶望に苦しめられている」
と訴えたそうなのですが、在日の人を守るためにヘイトスピーカーと真正面から対峙している石橋さんや神原さんには頭が下がりますね。
実は、神原弁護士は人種差別主義者たちから逆に裁判を起こされて被告にされていまして、私も上告審でも弁護団に入ると先週返事したばかりです。
さて、この事件を詳報した沖縄タイムスの阿部記者も辺野古の新基地建設反対運動について、バカにしに行ったひろゆきと猛烈にやりあった名物記者。
石橋記者や阿部記者のような硬骨の記者魂を持ったジャーナリストたちを私たち市民も応援して守らないといけないと、あらためて思いました。
そして、今回の事件を勉強するきっかけをくださった、人権問題にいつも一番高いアンテナを立てている村野瀬さんにも感謝です。
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在日コリアンに関する講演会での自身の発言を悪質なデマなどと報道されて名誉を毀損(きそん)されたなどとして、2019年に川崎市議に立候補した佐久間吾一氏が神奈川新聞社の石橋学記者に計約280万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、横浜地裁川崎支部(山口均裁判長)であった。石橋記者の本紙記事に対する佐久間氏の請求はすべて棄却された。一方、原告側の請求が一部認められ、被告側は控訴する方針。
判決によると、佐久間氏による差別的な言動に対し、石橋記者が本紙記事で批判的に報じたことは公益目的であり違法性はなく、「原告の名誉権を侵害したと認められない」とした。
一方、街頭演説の際、石橋記者の発言によって名誉を毀損されたなどとして、併合審理されていた約140万円の損害賠償請求について一部認定し石橋記者に15万円の支払いを命じた。
「住民守れた」一定評価も控訴方針
「石橋記者の記事は正しかった」。判決後の報告集会で、代理人の神原元弁護士は判決について一定の評価を示した。佐久間吾一氏が差別的な言動や動画を拡散した事実なども認定され、これを非難する神奈川新聞の記事の真実性が認められる判示だった。「(川崎市川崎区)池上町の住民の名誉を守ることができた」と強調した。
訴状などによると佐久間氏は、2019年に開いた講演会で「旧日本鋼管の土地をコリア系が占拠している」などと発言したことに対して石橋記者が「悪意に満ちたデマによる敵視と誹謗(ひぼう)中傷」と報じたことで名誉を毀損された、などと主張していた。判決では、「侮辱行為であるとまではいえない」とした。
一方で、佐久間氏の演説内容に対する石橋記者による現場での発言は「公益目的と一応推定される」としながらも、違法性を認定した。デモ行進で公園使用を認められなかった根拠を、石橋記者は公文書に記載されている通りの内容で指摘をした上で「知識不足だ」などと批判したが、判決では「佐久間氏の発言にも一定の根拠がある」とした。
佐久間氏は判決後「たとえ一円でも主張が認められたことは満足」と話した。
神原弁護士は「この判決が確定すれば報道機関による政治家への取材・批判の自由が著しく萎縮する」と懸念を示し、控訴する方針を示した。(平綿 裕一)
名誉毀損は誠に遺憾
神奈川新聞社の秋山理砂・取締役編集担当のコメント 本紙の報道に関する損害賠償請求を棄却したことは評価できます。一方で、記者の発言を名誉毀損としたことは誠に遺憾です。神奈川新聞社は今後もあらゆる差別根絶のための報道を続け、記者をサポートし、論評の自由を抑圧する訴訟には屈しません。
主催した講演会での発言を悪質なデマなどと報道されて名誉を毀損されたとして、2019年の川崎市議選に立候補した佐久間吾一氏が、神奈川新聞社の石橋学記者に140万円の損害賠償を求めた訴訟の第7回口頭弁論が21年11月20日、横浜地裁川崎支部(飯塚宏裁判長)で開かれた。
回答を求められていた名誉毀損に当たる箇所について、佐久間氏は「ペナルティーのない警告が歯止めにならないことは明らかだった」という記述などを追加。川崎市が公共施設で差別的言動をしないよう発出した警告に従わないヘイトスピーチの常習者のように印象づけられ、社会的評価が低下したと訴えた。
閉廷後の報告集会で、石橋記者の代理人である神原元弁護士は、佐久間氏が主催した講演会では実際、登壇した鈴木信行葛飾区議(当時)らも「日本語を覚えないなら帰った方がいい」「韓国はたくさん人を殺せば英雄になれる野蛮国」といったヘイトスピーチを行っていたと指摘。「記事は事実を書いている」と解説した。
石橋記者は「佐久間氏は次回の川崎市議選に出馬する意向を示している。選挙をヘイトの舞台に悪用し、差別をまともな主張であるかのように偽装する企てを許してはならない」と批判報道を継続する姿勢を強調した。
訴えによると、当時市議選に立候補を予定していた佐久間氏は19年2月に市内で開いた講演会で「旧日本鋼管の土地をコリア系が占領している」「共産革命の橋頭堡ほが築かれ今も闘いが続いている」などと発言した。石橋記者が「悪意に満ちたデマによる敵視と誹ひ謗ぼう中傷」と批判記事を書き、名誉が毀損されたとしている。
次回期日は22年1月11日。
自身の発言を悪質なデマなどと報道されて名誉を毀損(きそん)されたとして2019年の川崎市議選に立候補した佐久間吾一氏が、神奈川新聞社の石橋学記者に140万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が11日、横浜地裁川崎支部(嶋末和秀裁判長)で開かれた。
19年2月15日付の石橋記者の記事で、川崎市が公共施設でヘイトスピーチをしないよう出した警告について「ペナルティーのない警告が歯止めにならないことは明らかだった」と記した一節を佐久間氏が名誉毀損(きそん)・侮辱該当箇所としたことに対し、被告側は「集会の中で登壇者が『韓国はたくさん人を殺せば英雄になれる野蛮国』などの差別的発言をしており、記事は公正な論評だ」と反論した。
市の警告にもかかわらず、実際にヘイトスピーチが行われていたことから、記事が違法なものではないと主張した。
訴えによると、佐久間氏は市内で19年に開いた講演会で「旧日本鋼管の土地をコリア系が占領している」などと発言した。発言を「悪意に満ちたデマによる敵視と誹謗(ひぼう)中傷」と石橋記者に報じられたことで名誉が毀損された、としている。
次回期日は3月15日の予定。
在日コリアンに関する講演会での自身の発言を悪質なデマなどと報道されて名誉を毀損(きそん)されたとして、2019年の川崎市議選に立候補した佐久間吾一氏が神奈川新聞社の石橋学記者に140万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が4日、横浜地裁川崎支部(山口均裁判長)であった。本人尋問で石橋記者は「裁判所には『不法占拠』のデマを打ち消し、ヘイトクライムを批判してほしい」と主張し、結審した。判決は来年1月31日。
訴えによると、佐久間氏は同市内で19年に開いた講演会で「旧日本鋼管の土地をコリア系が占領している」などと発言。これを「悪意に満ちたデマによる敵視と誹謗(ひぼう)中傷」と石橋記者に報じられたことで名誉が毀損された、としている。
本人尋問で石橋記者は、原告が同市川崎区池上町を「コリア系が不法占拠し、そのまま住み続けている」と伝えた18年の動画について、「ヘイトクライムにつながる大変危険なもので、危機感を覚えた」と述べた。
続いて同町の地権者のJFEスチールの担当者が、取材に対し、「不法占拠とは認識していない」と明言したことを指摘。また昨年8月、在日コリアンが多く住む京都府宇治市のウトロ地区が放火され計7棟が焼損した事件に触れ、「池上町も同じ危機にさらされている。在日コリアンというだけで、火を放たれる恐怖と絶望に苦しめられている」と訴えた。
[反ヘイト]神奈川新聞記者に賠償命令 横浜地裁支部 発言の名誉毀損認定
川崎市議選の元候補者佐久間吾一氏(56)が、神奈川新聞の石橋学記者(52)による記事や言動で名誉を傷つけられたとして、石橋記者個人に計約280万円の損害賠償を求めた二つの訴訟の判決で、横浜地裁川崎支部の山口均裁判長は31日、佐久間氏への一部発言を名誉毀損(きそん)と認め、石橋記者に15万円の支払いを命じた。一方、石橋記者が書いた記事3点については公益性などを認定し、佐久間氏の訴えを退けた。
判決などによると石橋記者は2019年5月、佐久間氏の川崎駅前での演説を取材。本人に「勉強不足だし、誠実さのかけらもありませんよ」「でたらめを言っている」と直接発言した。山口裁判長はこの内容を名誉毀損と判断した。
記事3点は佐久間氏の在日コリアンに関する発言を「悪意に満ちたデマによる敵視と誹謗(ひぼう)中傷」などと指摘したもの。山口裁判長は真実か真実と信じる相当の理由があったと認めた。
佐久間氏は判決を受けて「とてもうれしい」と述べた。記事に対する賠償請求は棄却され、「差別的だと誤解される発言は考え直さないといけない」とした。
石橋記者の代理人弁護士は「意見や論評の自由を認めた最高裁判例に反する。この判決が確定すれば政治家への取材、批判の自由が萎縮し、表現の自由を揺るがす」と批判し、控訴する方針を示した。
石橋記者は「差別を許さない報道の正当性が認められたことは良かった。今後も萎縮せず、厳しく批判していく」と語った。
(編集委員・阿部岳)
[解説]批判的報道 不可能に
取材中の記者の発言を名誉毀損(きそん)だと認定した31日の横浜地裁川崎支部判決は、民主主義社会を根底から破壊する危険をはらむ。記事はおろか取材の過程でも批判的な問いかけが許されず、報道が検証のない広報に変質してしまう恐れがある。
特に今回訴訟を起こした佐久間吾一氏は公職である川崎市議に立候補した政治活動家で、問題になったのは在日コリアンに対する差別の言動だった。社会への影響の大きさからも、一般の取材対象よりさらに批判的に検証することは、むしろ記者の義務と言える。判決の悪影響は一般にも及ぶ。名誉毀損を一部認定された石橋学記者側の報告集会で、それはすぐに表れた。街頭で差別者と闘うカウンターの市民が「私たちも訴えられる可能性があるのか」と尋ねたのだった。
そもそも石橋記者の発言は事実の提示ではなく意見や論評で、名誉毀損が成立するとは通常考えにくい。だが、判決は佐久間氏の主張を一部取り入れて「けんか両成敗」の形を取った。
差別との闘いを「どっちもどっち」で片付けようとする日本社会の病理は司法にも及んでいる。だからこそ萎縮せず、差別と厳しく対峙(たいじ)する必要がある。
(編集委員・阿部岳)
てっきり、賠償が1円でも認められた時点で「勝訴」だと思ってたので驚いています。
ほとんど負けておいて「勝訴」という旗出しをするのは異常です。
これで宮武嶺さんに借りが一つできてしまいましたねw
>村野瀬さんっていつもどうやってこういう人権課題を見つけてくるのかなあ
とのご質問ですが、これは簡単で、ツイッターで適切な方々をフォローし、適切な他人のツイートをリツイートしたりいいねしたりしているうちに、価値のあるツイートが流れてくるのでそれをキャッチする、というのが基本的方法です。
宮武嶺さんの本業がブロガーでなくて弁護士であるということをついつい忘れてしまって申し訳ありません。そして、本当にどうもありがとうございました。
借りができたとかそんなことおっしゃらずに。
いつも刺激を下さってることへの僕からのご恩返しの記事でした。
なかなか新しいリベラルブロガーが出てこない中、この業界?!のトップランナーとして、これからもご健筆、よろしくお願いいたします🤲