外国人労働者ではなく、日本で技能を身につけて母国に帰って働いてもらうんだという建前の「外国人技能実習生」制度。
安倍政権は外国人労働者の受け入れを拡大させる出入国管理法改定案を閣議決定して今国会で成立させようとしていますが、同法案では、新たな在留資格を設けて人手不足の分野で働く外国人の受け入れを拡大させます。
ところが、日本は現行の外国人技能実習制度のもとで横行する人権侵害さえ解決できていないのが現状です。
法務省の発表によれば、2017年末に日本に在留する外国人実習生は274,233人。実に27万人を超しています。27万人というと、茨城県の県庁所在地である水戸市の人口とほぼ匹敵します。
外国人労働者、ではなくて、外国人技能実習生だけで水戸市ができてしまうのです。
そして、法務省が今年(2018年)2月に発表した『平成29年に外国人の研修・技能実習の適正な実施を妨げる「不正行為」について』によれば、2017年に失踪した実習生は7千人を超し、2013年からの5年間では延べ2万6千人が失踪しているというのです!
失踪する実習生の人数は年々増加しており、2012年には2,005人だったものが2016年には5,058人と倍増、さらに2017年には7,089人となっていて、もう狂っているとしか言いようがありません。
ちなみに2018年1月1日現在の不法残留者数は、6万6,498人に上り、前年同期比1.9%増なのですが、この不法残留者数の約10%を占めるのが、外国人技能実習生として入国した外国人であり、6,914人と前年同期比6.1%増となっています。
ビザ=在留許可が切れたのに日本に残留していると不法残留ということで犯罪になってしまうのですが、その背景には外国人技能実習生を使用する日本企業側の違法行為があるのに、そちらはほぼ放置されてきたのです。
安倍首相が提案している新入管制度で毎年さらに4万人ずつ外国人労働者が増えるという話なのですが、日本国憲法上、在留期間の長短にかかわらず、外国人にも日本人と原則同じように基本的人権が保障されるというのが日本の判例・通説です。
外国人労働者の拡充を図るならその前提としてまず外国人の人権保障を徹底しないといけません。
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参考
平成29年の「不正行為」について「技能実習制度の現状(不正行為・失踪)」・法務省
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2018年11月8日 19時12分 中日新聞
外国実習生、不当な労働実態訴え 野党が合同ヒアリング
立憲民主や共産など野党は8日、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案に関する合同ヒアリングを国会内で開き、外国人技能実習生から状況を聴いた。実習生らは不当な低賃金労働や長時間労働を強いられた経験を吐露。野党は、こうした問題を放置したまま新たな在留資格を設けることに反発している。
岐阜県で縫製の仕事をしていたという50代の中国人女性は早朝から翌日未明まで時給300円で働かされたほか、未払い賃金が427万円に上ると説明した。
20~30代のベトナム人男性3人は福島県での除染作業などに日給5600円ほどで300~400日間従事させられたという。
外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案に関する野党の合同ヒアリングで、不当な労働実態などを訴えて涙ぐむ外国人技能実習生の女性(右端)ら=8日午後、国会内 |
[大弦小弦]時給300円、月165時間の時間外労働…
▼日本で知識や技能を学び、母国で生かす技能実習制度。政府は発展途上国に技術を移転する国際貢献だと説明するが、賃金不払いや違法残業が横行する実態を政府自身が報告している
▼実習生にも労働基準法や最低賃金法が適用される。厚生労働省が昨年、監督指導した5966事業所のうち7割超の4226事業所が残業時間や安全基準、賃金などで法令に違反していた。一部の悪徳業者による例外ではない
▼法務省によると昨年、失踪した外国人実習生は過去最多の7千人に上った。今年は6月までの半年間で4千人。2013年からの5年半で失踪者は3万人を超えた。「実習生」という名の実質的な労働者を違法状態で働かせた結果だ
▼外国人労働者受け入れ拡大の国会論議が始まった。限られた熟練労働者以外は家族帯同を認めないほか、日本人と同等以上の報酬は法案になく後に省令で定めるとする。使い勝手のいい安価な労働力という考え方が透けて見える
▼受け入れるのは血の通った人間だ。それぞれに生活や家族がある。現行の技能実習制度の矛盾を放置、温存したまま、受け入れ拡大の新制度創設は許されない。(田嶋正雄)
「除染作業強制」「残業代300円」 外国人実習生窮状訴え
外国人労働者受け入れを拡大する入管難民法改正案を巡り、外国人技能実習生らが八日、野党の求めで国会に呼ばれ、関係省庁の担当者らに窮状を吐露した。パワハラや労災事故、除染作業など、過酷な実態を涙ながらに訴えた。 (小野沢健太)
「職場でいじめに遭いました。仕事を頑張っても認めてもらえないし、残業もさせてもらえない」
中国人女性の史健華(しけんか)さん(35)は涙を拭い、日本語で静岡県の製紙工場での生活を振り返った。上司から仕事を与えられず、配置転換の願いも無視され、飛び降り自殺を図った。「今、うつ病の治療を受けています」と力ない声で話した。
この日招かれたのは、労働組合などに相談している中国、ベトナム、カンボジア、モンゴルの実習生十六人。岐阜県の段ボール工場で働いた中国人男性の黄世護(こうせいご)さん(26)は、作業中に機械で指を切断した。会社からは帰国を促され、治療費も自己負担を求められた。「けがをしたら、なぜ帰らないといけないのか」とつっかえながら訴えた。
ベトナム人実習生の男性は、岩手県の建設会社で鉄筋型枠の技術を学ぶはずが、福島県内で四百日間、原発事故後の除染作業に従事させられた。「専門技術を学びたくて来たのに…。全然勉強できないじゃないですか」と怒りを押し殺すように話した。
縫製工場で一日十六時間の長時間労働を強いられた中国人女性も。残業代は一時間三百円だった。
実習生を支援するNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」の鳥井一平代表理事は「現状の技能実習制度は奴隷労働と同じ構造。これを改める議論もなく、外国人労働者受け入れ拡大にかじを切るのはおかしい」と批判。野党議員から感想を求められた法務省の担当者は「さまざまな問題が起きているとの指摘。きちんと対処したい」と述べた。
◆入管法改正案「拙速」批判強く
人手不足に悩む経済界の要望を受け、政府は外国人労働者受け入れ拡大のため、在留資格を新設する入管難民法改正案の臨時国会成立を目指している。高度な専門人材に限っていた政策を転換、単純労働分野の就労を可能とする。二日には閣議決定し、与党が十三日の衆院審議入りを目指している。
政府は来年四月一日施行を目指すが外国人労働者の受け入れ業種や規模は明らかになっておらず「生煮え」「拙速」の批判は強い。日本人雇用への影響を懸念する声のほか、外国人を使い勝手の良い労働力とみなす問題点も挙げられている。
移民国家スイスでは「われわれは労働者を求めたが、やってきたのは人間だった」という作家の言葉がある。この日は、違法な長時間労働や賃金不払いに苦しむ外国人労働者の実情を示すため、技能実習生が国会に招かれた。 (池田悌一)
技能実習生の失踪7000人 駆け込み寺、元難民が奔走
ドキュメント日本
JR郡山駅から車で30分ほどの住宅地。古びた2階建ての木造住宅に十数人のベトナム人が暮らしている。6月下旬のある日、1階の和室では数人の若者が教科書を広げ、漢字などの勉強に取り組んでいた。
3月上旬に入居したというベトナム人女性(36)に話が聞けた。16年4月に来日。実習先の山形県内の縫製工場での勤務実態は過酷だった。1日14~15時間働いて休日は年に7日だけ。「仕事が遅い」などと責められ、帰国するよう強く迫られたという。
来日費用を払うため銀行から100万円ほど借金しており、ベトナムの賃金水準では返済できない。祖国に残した10歳と8歳の子供のためにも、日本に残らなければと会社の寮を逃げ出した。
長時間労働、強制帰国の恐怖、上司や同僚からの暴力――。この施設で生活するのは、様々な事情で実習先から避難した10~30代のベトナム人の男女だ。岡部文吾さん(36)が経営していた市内の飲食店をたたみ、1月に受け入れを始めた。
長年空き家だった民家を協力者が提供。約100万円をクラウドファンディングで集め、改修した。収入がない実習生から食費や宿泊費を徴収するのは難しい。支援者からの寄付を除けば費用の大半は持ち出しだ。
岡部さんの本名はファム・ニャット・ブンという。5歳のとき家族とベトナムを脱出、マレーシアの難民キャンプを経て8歳で来日した。「異国で居場所がない実習生を放っておけなかった」
だが、一時的な保護は根本的な解決にならない。多くの実習生は「日本で働き続けたい」と希望するが、技能実習制度では自らの意思で職場を変えることができず、留学生と違いアルバイトも認められていない。
岡部さんらは保護した実習生について入管に通知したうえ、別の職場に移れるよう日本やベトナムの関係機関と交渉している。これまでに実習先の変更が認められたのは2人。10人以上は新たな実習先が見つからない。
働けない間の生活費を確保しようとハローワークにも掛け合い、4人は失業手当を受けられるようになった。ただ、以前の勤務先が申請に必要な書類を出さないなど、手続きが難航することの方が多いという。
実習生側が就労条件などを十分理解しないまま来日したことが原因の失踪もある。法務省が17年に元実習生らに失踪した理由を聞いたところ賃金面の不満が目立ったという。失踪後に不法就労などで摘発されるケースも少なくない。
施設は既に満員状態だが、岡部さんのもとにはSNSなどで施設を知った実習生から月30~40件の相談が寄せられる。
労働力不足解消の一翼として期待される技能実習生。だが、トラブルを抱えたとき、その立場はあまりにも弱い。外国人を受け入れる体制の脆弱さが垣間見えた。
■失踪者40%増 企業の法令違反背景に
法務省の在留外国人統計によると、2017年末時点で日本にいる実習生は27万4千人で前年より20%増えた。一方、職場から失踪する実習生も増加傾向。法務省によると、17年の失踪者は7089人で前年比40%増だった。
厚生労働省は17年に調査に入った5966事業場のうち4226事業場で違法残業や賃金未払いなどを確認。失踪者が増える背景には実習先の法令違反がある。
外国人技能実習機構(本部・東京)は、実習先で不当な扱いを受けた人のために旅館などを一時宿泊先として提供しているが、利用は7月19日時点で10件にとどまる。
外国人労働者問題に詳しい鈴木江理子・国士舘大教授は「機構が宿泊先を提供することが実習生にほとんど知られていないのではないか。実績のある民間の保護施設と連携することも必要だ」と指摘した。
あー保守じゃなくてなんちゃって保守でしたね失礼しましたw
低賃金悪条件で働く外国人辛い
低賃金で働く外国人に職奪われる日本人辛い
誰も得しない最悪な制度
最悪と言えばこれ
良く韓国にイチゴ盗まれたと激怒するネトウヨさんが何故スルーなのか
今までより遥かに盗まれやすいんですよ
種子法無くなるとというか無くなってしまった
リンク貼れないからググッてください
種子法中身知らずに賛成する総務会長w
町内会長やないんやからw
いや町内会長に失礼かw
けさは、こういう記事を目にしました。
失踪技能実習生調査で見つかった重大な虚偽 入管法改定にかかわる重要データはどうねじ曲げられたのか(明戸隆浩)
https://news.yahoo.co.jp/byline/akedotakahiro/20181117-00104428/
その後半に書いてあることが、気になっていたことである。
技能実習生についても、労働法が適用されるわけだけれども、その実態はどうなっているのかということである。
○最低賃金以下の労働がひろく行なわれているのではないか
月額給与「10万円以下」と答えたのが56.7%。
35時間を超えて働いているひとが89.4%。
かりに35時間で10万円の月額賃金だとすると、かりに「1月=4週間」として、時給は714円になる。ところが、調査が行なわれた昨年の最低賃金は、737円~958円。全国平均848円だという。このことが、最低賃金以下での労働がひろくおこなわれていることを示しているのではないか、と記事はいう。
○賃金控除協定
この記事によると(要約)「光熱費など給与から控除される金額については、4人に1人が3万円を超えると答えており、それ以外に不明と答えた人が13人中5人にのぼったので、実際の状況は厳しいものだと予想される」。
10万円未満が多いなかで、3万円超の控除も行なわれているということになる。
たしか賃金には、全額払いの原則というのがあった。賃金から住宅費・光熱費・食費などを控除するには、本人の文書による同意のほか、労使協定の締結が必要のようである。そういう労使協定が、技能実習生だけについて結ばれているのか、どうなのか、送出機関や監理団体との関係はどうなのか、そのあたりのことが気になる。
また、手元の「就業規則ハンドブック」(産労総合研究所)をひらいてみたら、こんな記述があった。〈控除額についても、とくに限度は決まっていません。ただし「民法第510条及び民事執行法第152条の規定により、一賃金支払期の賃金又は退職金の額の4分の3に相当する部分……については、使用者側から相殺することはできない」。上記の数字からは、こうしたことも守られていないこともあるのでは、という疑問もわいてくる。
今回の「移民」「外国人労働」問題には、いろんな論点があって、それぞれ重要だと思うなかで、技能実習制度の実態の問題解決が、その廃止ということも含めて、しっかり議論され、考えられなければならないことだと思いますね。