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明日2024年2月24日で、ロシア軍によるウクライナ侵略開始から2年。
ウクライナの調査機関であるキーウ国際社会学研究所は、ロシアがウクライナに侵略して以降、ロシアから奪われた領土奪還について計8回、世論調査を実施しているのだそうです。
同研究所はその中で
「ロシアとの和平を達成するため、妥協の可能性についてより多くの点で同意できるのは、次の二つの選択肢のうちどちらですか」
という同じ質問を続けています。
二つの選択肢とは以下の通りで、
1 できるだけ早く平和を達成し、独立を維持するために、ウクライナは領土の一部を放棄することができる
2 たとえ戦争が長期化し、ウクライナの独立が脅威にさらされるとしても、ウクライナはいかなる状況においても領土を手放すべきではない
いわば、1が和平派、日本の一部のリベラル派が主張するところの即時停戦派。
2が即時停戦派から徹底抗戦派と揶揄される立場です。
さて、2023年12月に行われた最新の調査では、
1の和平派が19%
2の徹底抗戦派は74%
だったそうです。
イスラエル軍に蹂躙されているパレスチナ市民にも、ロシア軍に侵略されているウクライナ市民にも、武器を取って戦う抵抗権が固有の権利=自然権として認められている。
ウクライナの最終的な運命を決めることができる権利を持っているのは、主権者であるウクライナ市民だけなのは議論の余地がありませんが、実にいまだに徹底抗戦派は和平派の4倍もいるということになります。
法律の世界で絶対多数というと3分の2の多数を占めることで、日本国憲法での憲法改正の発議や会社法での合併など、その組織の運命を決める多数決は過半数ではなく、3分の2の絶対多数が求められています。
その例で言うと、主権者の4分の3が徹底抗戦を求めており、和平派の4倍に達しているということは、これは文句なしにウクライナ市民の意志はまだ徹底抗戦にあるということになります。
ロシア軍がウクライナ軍の反攻をしのぎ切ってむしろ押しはじめ、欧米各国ではウクライナ支援疲れが起きてこれからの軍事・経済支援がどうなるか、アメリカを筆頭に先が見えない、という中でも、これだけの人が
「たとえ戦争が長期化し、ウクライナの独立が脅威にさらされるとしても、ウクライナはいかなる状況においても領土を手放すべきではない」
という意見だったのには驚きました。
もちろん、8回の世論調査の中で、徐々に和平派が増え、徹底抗戦派が減ってはきています。
徹底抗戦派は、ロシア軍による大規模侵略が始まった直後、ロシア軍による首都キーウへの攻撃をしのいだ後の2022年5月に行われた最初の世論調査では82%だったそうです。
また、2022年9月(ハルキウ州を奪還した直後)と2023年2月(大規模侵攻の開始から1年後)の調査ではどちらも過去最高の87%を記録していたそうで、やはり戦況や国際環境によって、世論も変化します。
しかし、ウクライナ軍がいろんな点で不利と言われる今の時点でなお、ウクライナ市民がウクライナの領土をロシアに絶対に渡さないという明確な意思があることは厳然たる事実です。
他方、2月21日の英紙ガーディアン(電子版)が伝えたEU加盟12カ国を対象とした世論調査では、2年間の侵略の結果の「支援疲れ」で、ウクライナの勝利を信じる欧州連合市民はわずか10%、ロシアが勝つという回答は20%、「妥協による解決」を予想する人が37%と最多だったそうです。
とにかく、外野は何とでもいえるし予想もしますが、しかし、ウクライナ市民だけがウクライナ戦争にどう向き合うか決める権利があるのです。
そのウクライナ人がどうしても領土を譲れないというのは、ロシア侵略により領土を失ったことによる避難民の多さが一番の理由でしょう。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2月18日時点でウクライナ市民のうち約648万人が国外に逃れ、ウクライナ国内で避難するのは推計で約369万人(昨年末時点)に上り、避難民の総数は1000万人を超えています。
イスラエル軍によるガザ侵攻で家を失って避難している人が150万人ということを考えると、いかにウクライナの避難民の数が莫大かがわかります。
もともと戦争開始時点でのウクライナの人口は約4200万人ですから、2割の領土をロシア軍に占領されたウクライナでは、そのために人口の4分の1が国内外での避難生活を余儀なくされ、帰還のめどもたたないままだということになります。
当ブログでは伊勢崎賢治氏ら反米こじらせ論者の「たかが領土」論がいかに非情かつ非道かを徹底的に主張してきましたが、まさにウクライナ市民も同感だということです。
そして、このウクライナ市民の意見にはパレスチナの民も納得のはずです。
イスラエル軍のガザ侵攻から100日。追い立てられるパレスチナの民「自分たちが先に立ち退いてしまえば次は隣が襲われる」「土地を追われるのは体から魂を奪われるようなもの」。「たかが領土」論の傲慢を知れ。
またこのウクライナ戦争で、国連ウクライナ人権監視団(HRMMU)は2024年2月22日、2022年2月24日にロシアによるウクライナへの全面侵略が始まってから2月15日までに、ウクライナ領内で少なくとも1万582人の民間人が殺害されたとする報告書を発表し、そのうち子どもが587人も殺されたというのです。
負傷者は1298人の子どもを含む1万9875人。
HRMMUのベル代表は
「攻撃が起きるたびに、死者や負傷者、トラウマ、財産の損失や破壊が増え、犠牲者や家族、コミュニティーや生活には甚大な影響が及ぶ」
と言っていますが、この責任はひとえに国連憲章に違反して一方的に侵略してきたロシアのプーチン政権とロシア軍にあるのです。
ウクライナ政府が停戦に応じないからウクライナ市民が死んでいるのではありません。
国際社会の要求に応じず国際法にも従わないプーチン大統領が率いるロシア軍がウクライナ人を殺しているのです。
親露派陰謀論者はウクライナで大統領選挙が延期されたのはおかしい、これではゼレンスキー政権が市民から信任されているとは言えないというのですが、前にも書いたように今大統領選挙をウクライナ全土でやれば、投票所がロシア軍のいい的になるのは火を見るより明らかです。
ウクライナ人の人命が~と言い募るくせに、是が非でも選挙をやってウクライナ人の命を危険にさらせとはどの口が言うのかという話です。
あの議会制民主主義の発祥の地であるイギリスだって、第二次大戦中にドイツ軍の攻撃を受けていたため、1935年から1945年まで総選挙は行なわれていないのです。
ウクライナにだけ不可能を強いる親露派のあくどさは論外です。
ロシア軍の兵士を確保するために中絶の権利を否定。プーチン大統領の政敵ナワリヌイ氏は移送され行方不明。リベラル派の大統領候補は立候補禁止。このプーチン政権の人権侵害がウクライナ侵略を可能にしている。
ロシア大統領選でウクライナ侵略反対の反戦候補の登録を拒否しプーチン氏と親政権の4候補だけに。国連の委員会がロシアにウクライナからの子ども強制移送をやめるよう要求。ロシア軍は即時無条件に完全撤退せよ。
そして、彼らが大好きなロシアでは反プーチンの旗手だったナワリヌイ氏が北極圏の刑務所(矯正労働収容所)で謎の獄死をしていますが、彼らはプーチン大統領に倣って「ナワリヌイ」という言葉さえ発せず、その存在がなかったかのようにふるまっています。
その一方で遺体を引き取りに行ったナワリヌイ氏の老母は可哀想に我が息子の亡骸を見ることさえ許されず、母も妻もロシア当局から遺体を渡してもらえないのです。
当然、ロシア政府がナワリヌイ氏の死因を知られたくないからだと容易に想像がつく話です。
そして、3月に行われるロシア大統領選挙では、反プーチンの大統領候補者は1人も立候補を認められていません。
ロシアの反体制派ナワリヌイ氏がシベリアの刑務所=矯正労働収容所で死亡。懲罰房に27回入れられ絶え間ない寒さにさらされ3年間の拷問に苦しんだ。プーチン大統領の政敵として「殺された」「処刑された」が正しい
大統領選挙に親プーチンの候補者しか出馬できないだけではなく、ロシアでは徹底して言論弾圧が行なわれ、プーチン政権を批判するジャーナリストは殺され、政治家も殺されてきました。
ウクライナ戦争が始まってからは特にロシア人も人権が蹂躙され、投獄されています。
そして、ロシア軍はウクライナで原発攻撃や無差別殺戮などの戦争犯罪を繰り返し、ウクライナ占領地で強姦、拷問、処刑、そして子供たちの大量強制連れ去りと洗脳教育を実施しています。
ウクライナがロシアへの領土の割譲を認めること、今のロシア軍の占領を恒久化することは、プーチン政権とロシア軍がロシア国内やウクライナ領土内で行なっている気が遠くなるほどの虐殺や戦争犯罪や人権弾圧を固定化することになります。
そして、プーチン政権は停戦に応じる条件として
1 ゼレンスキー政権の打倒(非ナチ化)
2 ウクライナ軍の武装解除(非軍事化)
3 NATO加盟を諦めること(中立化)
と、ロシアが国際法に違反して侵略し占領しているクリミア半島とウクライナ東南4州の維持を前提にしています。
だから、ウクライナ市民は和平したくてもできないんですよ。即時停戦派はウクライナ政府に不可能を強いる議論です。
だから、ウクライナ戦争が停戦しないのはウクライナ市民のせいでもウクライナ政府のせいでもありません。
プーチン政権がロシアに入国した外国人にもロシア政府を批判しない「忠誠」を求める法案を準備。ロシアの軍事予算はソ連崩壊後初めて社会保障費を上回り予算全体の4割で22兆円。プーチンロシアは軍事独裁政権だ
米連邦議会上下院の外交委員会が、侵略への経済制裁で凍結したロシア資産をウクライナの再建と復興に使うための法案を可決。年金も払えないのに防戦するなと被害者のウクライナ人に停戦を強制する権利は誰にもない。
ゼレンスキー大統領の「10項目の和平案」に対して、ロシアのラブロフ外相が「完全に実現不可能だ」 「ウクライナと西側諸国が固執するなら、紛争は戦場で解決されるだろう」と断言。即時停戦など不可能だ。
『ゼレンスキー政権の方針は「徹底抗戦」ではありません。正確には「徹底抗戦に必要な軍事支援を米欧日に要求し、米欧日から軍事支援を得て徹底抗戦を行う」です。』
と書いておられますが、ウクライナ政府には米欧日に軍事支援を要求する権利はありません。
法律的にはあくまでも「お願い」ができるだけです。
ゼレンスキー政権が他国に支援を強要などできないからこそ「ウクライナ疲れ」による支援の後退が問題になっているのです。
当然、欧米日にも支援要請に応じる義務はなく、現にトランプ大統領候補などは自分が大統領になったらウクライナ支援を即座に止めると言っているのは、ウクライナに軍事支援を要求する権利がないからです。
また、ウクライナ政府の「お願い」もそれぞれの相手国の国内法秩序の範囲でしているだけで、現に憲法9条のある日本に対しては軍事支援は求めてきていません。
だから白井先生が主張される、
「軍事支援の要求に対しどう対応するかは、軍事支援を要求された国の市民の主体的選択に委ねられべきものです。」
というのは当たり前で、うちのブログでは口が酸っぱくなるほどそれを言ってきましたし、現に各国ともそうしています。
そして逆に、我々欧米日の人間も、ウクライナ人に即時停戦しろとか徹底抗戦しろとか要求する権利はないのです。
ロシア政府が強制的に併合したウクライナ4州でも地方選挙を強行して侵略を既成事実化。ウクライナに即時停戦を促す即時停戦派はウクライナ人に「たかが領土」は諦めて人命尊重を優先すべきだと正直に説くべきだ。
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過去と未来の戦争 停戦は「タブー」―ウクライナ著名作家インタビュー
「ウクライナ東部ドネツク州アウディイウカの化学工場を解放した」。ロシアのショイグ国防相は20日、プーチン大統領に戦況を説明。前線の化学工場は「9年間にわたって要塞(ようさい)化」されたウクライナ軍の拠点だったと主張し、「成果」を誇った。
ショイグ氏は、双方が両岸でにらみ合うドニエプル川で、ウクライナ軍が橋頭堡(きょうとうほ)とした東岸の一部を、ロシア軍が奪い返したとも報告。昨年6月からのウクライナ軍の反転攻勢に終止符を打ったという認識を示した。
プーチン政権は長期戦と経済回復をにらんで軍需産業をフル稼働させ、イランや北朝鮮からも兵器・弾薬供給を受けたとされる。一方のウクライナは、西側諸国の支援の先細りに危機感を抱く。ゼレンスキー大統領は19日、ロシア軍が再占領を狙って攻撃を強化する北東部ハリコフ州クピャンスクで部隊を激励。24日には、先進7カ国(G7)のオンライン首脳会議で支援継続を強く訴える見通しだ。
ただ、勇ましく響く「戦争継続」は双方の政府の論理。両国民とも長期戦に疲れが見え、ウクライナでは追加動員法案を巡って紛糾したほか、ロシアでは交代要員が来ずに帰還できない予備役の妻らが、事実上の反戦運動を始めた。
「ウクライナの勝利を信じる欧州連合(EU)市民はわずか10%」。21日の英紙ガーディアン(電子版)が伝えたEU加盟12カ国を対象とした世論調査では、2年間の侵攻を見詰めた上での「支援疲れ」が浮き彫りとなった。ロシアが勝つという回答は20%。「妥協による解決」を予想する人が37%と最多だ。
こうした世論の変化を背景に、プーチン政権は昨年暮れごろから「停戦交渉の用意」を再び持ち出しているが、ウクライナと支援国の結束にくさびを打つ心理戦を展開しているもよう。プーチン氏は最近、今年の米大統領選を意識して米テレビの元看板司会者のインタビューに応じた。「本当に戦いを止めたいのなら、(米国は)武器供給をやめる必要がある。すべては数週間以内に終わる」と持論を述べた。
ロシア当局「秘密の埋葬」強要 ナワリヌイ氏母、遺体対面
連邦捜査委員会の事務所から出て来たナワリヌイ氏の母親(左)と弁護士=19日、ロシア北部ヤマロ・ネネツ自治管区(ロイター=共同)
ロシアのプーチン政権と対立し、服役中の刑務所で死亡した反政府活動家ナワリヌイ氏の母リュドミラさんは22日、遺体と前日に対面し、当局から「秘密の埋葬」に応じるよう強要されたと批判した。遺体を即時引き渡すよう訴えた。ナワリヌイ氏の広報担当者は、死亡診断書に「自然死」と書かれていたと明らかにした。
リュドミラさんはユーチューブで映像メッセージを公表。21日夜に刑務所がある極北ヤマロ・ネネツ自治管区の中心都市サレハルドで遺体を見せられ、死亡診断書に署名したと語った。当局が葬儀をせずに遺体を埋葬するよう時間や場所を指定してきたと説明した。
「不法な要求を断ったところ『時間がたてば遺体は痛んでいく。プラスにはならない』と脅された」と述べ、遺体の引き渡しを改めて求めた。
ナワリヌイ氏は過去の経済事件などで懲役刑となった。当局の発表によると、16日に刑務所内で散歩の後に気分が悪くなり、意識を失って急死した。当局は遺族への遺体引き渡しに応じていない。ナワリヌイ氏の妻ユリアさんは「夫は殺された」とし、遺体引き渡し拒否は猛毒の痕跡が消えるのを待つためだと主張している。(共同)
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なんで
国外脱出が500万にんなの
おかしい?
「勝った者が正義」と言わんばかりに掌返しをしたい140ヵ国に配慮した結果でしょう(笑)
マリウポリ、バフムトに続いてアウディーイウカ陥落とやらで親露カスが勝利の美酒に酔いあちこちで嬉ションコメントを垂れ流してるのは見ての通りですが、伊勢崎や羽場久美子も喜びすぎて深酒しないようにしてほしいっすね
しかし、露ちゃんは流石ですね
「いい加減な欧米より中国、インドを味方にしたほうがこれからは勝つんだよ、オレって頭良すぎて自分で惚れ惚れするわ」とウラジーミルもご満悦でしょう
今起きてることは一昨年から予想できたことばかりなんで何も先手を打てないウク米側には返す言葉もありませんが、できれば
「ロシアが緩衝地帯として東部4州ではなく、国境隣接の国内州を選ぶような戦線形態を採っていれば講和もウク有利にできたかも」という意見もあったので今となっては残念です
これ以上継戦しても更に領土を削り取られるだけでは?
支援疲れが目に見えて現れている現状ロシアを打倒することが可能だと思えないのです。
そもそも現在は、「勝てるかもしれない」という「期待感」が薄らとあるため、その「希望」がある限り、ウクライナ国民の心は折れません。
しかし、アメリカが軍事支援を止めた瞬間に、「絶対に勝てない」という状況に変化しますので、そうなると「このまま虐殺されたり、更なる領土侵略を許すぐらいならばココで終わろう」と心理的変化が生じる可能性は非常に高いと思います。
ロシアだって、内心ではこれ以上の戦争をしたくないのでしょうから、良くも悪くもトランプ氏こそが、「和平のカギ」を唯一持っている人物だと言えるでしょう。
勿論、「絶対に勝てない中でそれでも戦う」と言うならば、それはそれでウクライナ国民の自由ではありますが、その決断の先には大量虐殺が待っているという事を、当事者の彼らも、傍観者の我々も「覚悟」しておく必要がありそうです。
戦争が継続されていれば、平和にはなりません。
台湾有事を煽り続けるキシダメ首相とアッソウ副首相。目指すは軍備増強という名の軍事費増額、キックバックでぼろ儲け。
極東の緊張を高め、万が一開戦となっても自身と一族は税金で設置したシェルターへ。
これが近・現代の「戦争」。