景気回復を実感していない人は「たまたま」だ―。安倍晋三首相が5日の衆院予算委員会で、政権の経済政策「アベノミクス」による景気回復の効果を感じられない人が多いという指摘を受け、いら立ちながら反論する場面があった。

 民主党の黒岩宇洋氏がアベノミクスに関し「地方の人たちから豊かさの実感がないという声ばかりが届く」と述べ、首相の認識をただした。これに対し首相は有効求人倍率の改善などを挙げ「実感は人によって違う。数値はうそをつかない」と主張。実感がないという声を「黒岩さんの会った人がたまたまそう言ったかもしれないが、そうではないと言う人はたくさんいる」と切り捨てた。

 共同通信社の昨年12月の世論調査では、アベノミクスにより景気が良くなったと「実感していない」と回答した人が73・7%に上り「実感している」は23・6%にとどまった。(東京報道 津田祐慈)

 

 

2015.1.26 21:38 産経新聞

【本紙・FNN合同世論調査】
アベノミクス道半ば 景気回復「実感せず」が78% 期待度低調

 産経新聞社とFNNの合同世論調査(24、25両日実施)で、安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」による景気回復について「実感していない」が78.2%に達し、「実感している」は16.3%にとどまった。景気回復は道半ばという現状が改めて浮き彫りになり、大都市圏と地方の温度差も鮮明になった。

 「アベノミクスが成功しているかどうか」も聞いたところ「成功している」は22.4%。「成功していない」の61.3%を大幅に下回った。

 景気回復の浸透度を地域別にみると「実感している」が最も高かったのは東京都で21.2%。東海(20.5%)、南関東(18.3%)と続き、人口が多く、大企業が集中する大都市圏を抱える地域が目立った。逆に、北信越は8.5%と最も低かった。

 アベノミクスに対する評価を地域別にみたところ、「成功している」と答えたのは近畿(29.0%)や東京(26.0%)など大都市圏を擁する地域が目立ち、北海道(4.5%)や四国(9.7%)は低い結果となった。

 大都市部は大企業を中心に賃金アップや原油安などで景気が持ち直しつつあるものの、地方では昨年4月の消費税率引き上げが響いているようだ。首相は「日本経済を必ず再生する」と強調し、経済再生を最優先課題に位置づけている。アベノミクスが地方に波及する切り札になるかは、地方創生や規制改革の成否がカギを握りそうだ。