◎ K.Tという畏友がいる。大学が同じ文学部で、陸上部の中長距離パートでも共に走っていた。言葉に関わる才能は友人誰しもが舌を巻くほどであった。「大学入試英語は精選されているので試験では満点は取れない、その点、独語で受験すると易しいから」という理由で独学で学び、見事満点をとったそうな。部員の特徴を見抜いては「あだ名」をつけたり、ドイツ語でテーマソングの替え歌を作ったりしていた。(私が今も覚えているドイツ語といえば、その歌詞くらいだ)
途中で事情によって退部し、陸上部の同期の集まりには出ないため音信も途絶えていたが、それぞれがリタイアを迎えるころくらいから交友関係が復活した。
彼はやはりその才能を生かし、大学で独語・独文学を教えていたが、スペイン語も手掛け技能検定試験で文部科学大臣奨励賞を受賞した経歴を持つ。しかし、体はボロボロで、長い時間の運動はできず、歩行も休み休みだ。
そんな彼が、今、まさにライフワーク的に、ネット上に「スペイン語を話す人々のための日本事典」を発信し続けている。
「このホームページは、スペイン語を母語とする日本在住者に、日本の政治や文化や言語を広く、現代的 視点 から紹介することを課題としています。内容は日本事典とトピックスの二部からなり、前者は①日本の自然、②伝統行事 ③思想 ④歴史 ⑤社会・風俗 ⑥俗語 ⑦日本食 ⑧娯楽という八つのジャンルに分け、それぞれキーワードを取り上げて解説します。第二部は政府や民間団体の重要な声明などをできるだけ注釈を交えずに紹介するつもりです。本誌の記事は定期的に補充し、みなさんのご意見を取り入れながら修正を施しことになるでしょう 2012年8月」と述べられている。2015年10月で31回目となる。 中南米のスペイン語圏の国々や、ブラジル、そしてアジア・アフリカの人々の新渡日者がニューカマーと言われてすでに久しいが、「辞書」的な意味は随分調べることが容易になってきたとはいえ、異文化理解というのはそうたやすいことではない。彼がその能力を生かし続けている作業は、社会的にも大きな貢献を果たしていると思う。私も教えられることが多い。ちなみに、その多彩さと、日本語でも見事な説明、博識ぶりをまずはご覧あれ!
スペイン語を話す人々のための日本事典 で検索
または http://www.introducir-a-la-vida-japonesa.info/
◎ 最新31号の「日本の社会と風習」の記事を、私が担当することになった。テーマは「子どもの貧困」である。なぜこんなことになったかというと、実は読書会の延長線上の話である。先に述べた大学陸上部の同期会は年に一度持ち回りで懇親会をやっているのだが、関西在住の者に声をかけて今年7月から読書会を始めたのである。文系の部ならともかく、体育会系で古希を超えたようなおじいさんが数人集まってくるのである。変わっているのかもしれない。卒業後、しばらくは、同人誌みたいな感じで、文集みたいなものもつくっていたし・・。その1回目、呼びかけ人でもあるK.Tさんが、「オウム真理教」のチューターを勤め、2回目は私が「子どもの貧困」についてまとめた。その論議を下敷きに投稿してほしいというK.Tさんの要請に応えたというわけだ。
◎ スペイン語を話す人々のための日本事典 投稿記事「子どもの貧困」
(スペイン語は上記HPで見てください)
「学校へ来るのが楽しい。給食が食べられるから・・」という小学生がいる。「朝は食べてない」のだ。深夜徘徊して、自動販売機の釣銭口に指を突っ込んだり、時にはゴミ箱まで漁る子どもがいる・・・。
★子どもの貧困とは? 今、「経済大国」の日本で信じられない事態が進行している。戦争地域や発達途上国の最貧国で見られるような飢餓や生命の危機ではないとしても、あるいはストリート・チルドレンのように群れをなしているわけではないとしても、貧困にあえぐ子どもが増加しているというのだ。事態を重視した日本政府も、2013年「子供の貧困対策法」を定め、翌年には「子供の貧困対策に関する大綱」を閣議決定するなど、対策を取りだした。生存そのものの危機である絶対的貧困に対し、全世帯の平均収入の半分以下の世帯の状況を相対的貧困と呼んでいる。それに該当する世帯で暮らす子どもは全子ども数(18歳未満)の16.3%、何と、子ども6人に一人の割合ではないか!
★子どもの貧困が増加する理由? なぜこんな事態になったのか? 一時期、日本は「一億総中流社会」とまで言われたが、バブル崩壊、「失われた20年」、そしてリーマンショックなどの大激動の中で、格差がとめどなく広がっている。新自由主義という考え方が優位を占め、「自己責任」という言葉で弱者を切り捨てる言説が大手を振ってまかり通るようになった。
★子どもの貧困の問題点は? 低収入の世帯に生まれた子供は、金銭的・物質的欠如や不自由さを覚えながら生活しなければならないだけでない。人格形成上、クリアすべき発達課題の達成にも困難がつきまとう。世帯収入と子どもの学力の相関関係は、早くから指摘されてきたところである。低学力であることは低学歴にほとんど直結しており、学習意欲の減退、自信喪失、疎外感や孤立感をひきおこす。低収入の、あるいは生活の余裕がない親からネグレクトされたり、暴力・虐待にさらされる子どももいる。健康面への影響も憂慮される・・・。
これらが悪循環をなし、中学卒業時、経済的制約や低学力によって進路の選択が極めて限定され、低学歴のまま非正規的労働に就くという確率が高くなってくる。自らが家庭を持った時にも低収入となりやすく、これを貧困の連鎖と呼ぶ。
★母子世帯のしんどさ 世帯構成と収入・貧困率をめぐる調査によれば、両親と未婚の子によって構成される世帯や、三世代世帯の貧困率はそれぞれ1割強だが、ひとり親世帯の貧困率は半数を越える。中でも、124万世帯(2013年)を数える母子世帯では、およそ2/3の世帯が相対的貧困となっている。8割以上の母親は何らかの形で就業しているものの、日本の長年にわたる悪しき雇用環境や、女性の社会参加への障壁から、非正規労働につかざるをえなくなり、低収入の者が多い。単に経済的格差だけでなく、生活に追われる母は、子どもとの接触・養育時間をはく奪されてもいる。
★公的対応 貧しい母子世帯や、老人、障害や傷病等により生活困難な世帯に対しては、国・地方公共団体は生活保護制度によって各種扶助を行っている。子どものいる世帯には教育扶助がある。生活保護世帯だけでなく、生活保護費の1.1~1.3倍程度の低収入の世帯(準要保護世帯)にも教育費用が支給されている(就学援助制度)。この援助を受けている子どもは全体の15.6%に相当し、上記の相対的貧困率に近い。また、死別や離婚などのひとり親世帯には、児童扶養手当が支給されている。
★今後の方向性 子育てや雇用に関わる女性政策、教育等、関連する一般施策は多岐にわたり、その充実を図ることが望まれている。それだけでなく、子どもの貧困の連鎖を断ち切るためには、ひとり親、とりわけ母子世帯の安定した収入を確保できる家庭支援、および貧困の子どもへの支援を車の両輪とする必要がある。その際、国・地方・雇用主・学校・地域・社会施設、さらにはNPOやボランティア団体等それぞれが連携・協力して取り組みを進めるべき時が来ていると言えよう。
途中で事情によって退部し、陸上部の同期の集まりには出ないため音信も途絶えていたが、それぞれがリタイアを迎えるころくらいから交友関係が復活した。
彼はやはりその才能を生かし、大学で独語・独文学を教えていたが、スペイン語も手掛け技能検定試験で文部科学大臣奨励賞を受賞した経歴を持つ。しかし、体はボロボロで、長い時間の運動はできず、歩行も休み休みだ。
そんな彼が、今、まさにライフワーク的に、ネット上に「スペイン語を話す人々のための日本事典」を発信し続けている。
「このホームページは、スペイン語を母語とする日本在住者に、日本の政治や文化や言語を広く、現代的 視点 から紹介することを課題としています。内容は日本事典とトピックスの二部からなり、前者は①日本の自然、②伝統行事 ③思想 ④歴史 ⑤社会・風俗 ⑥俗語 ⑦日本食 ⑧娯楽という八つのジャンルに分け、それぞれキーワードを取り上げて解説します。第二部は政府や民間団体の重要な声明などをできるだけ注釈を交えずに紹介するつもりです。本誌の記事は定期的に補充し、みなさんのご意見を取り入れながら修正を施しことになるでしょう 2012年8月」と述べられている。2015年10月で31回目となる。 中南米のスペイン語圏の国々や、ブラジル、そしてアジア・アフリカの人々の新渡日者がニューカマーと言われてすでに久しいが、「辞書」的な意味は随分調べることが容易になってきたとはいえ、異文化理解というのはそうたやすいことではない。彼がその能力を生かし続けている作業は、社会的にも大きな貢献を果たしていると思う。私も教えられることが多い。ちなみに、その多彩さと、日本語でも見事な説明、博識ぶりをまずはご覧あれ!
スペイン語を話す人々のための日本事典 で検索
または http://www.introducir-a-la-vida-japonesa.info/
◎ 最新31号の「日本の社会と風習」の記事を、私が担当することになった。テーマは「子どもの貧困」である。なぜこんなことになったかというと、実は読書会の延長線上の話である。先に述べた大学陸上部の同期会は年に一度持ち回りで懇親会をやっているのだが、関西在住の者に声をかけて今年7月から読書会を始めたのである。文系の部ならともかく、体育会系で古希を超えたようなおじいさんが数人集まってくるのである。変わっているのかもしれない。卒業後、しばらくは、同人誌みたいな感じで、文集みたいなものもつくっていたし・・。その1回目、呼びかけ人でもあるK.Tさんが、「オウム真理教」のチューターを勤め、2回目は私が「子どもの貧困」についてまとめた。その論議を下敷きに投稿してほしいというK.Tさんの要請に応えたというわけだ。
◎ スペイン語を話す人々のための日本事典 投稿記事「子どもの貧困」
(スペイン語は上記HPで見てください)
「学校へ来るのが楽しい。給食が食べられるから・・」という小学生がいる。「朝は食べてない」のだ。深夜徘徊して、自動販売機の釣銭口に指を突っ込んだり、時にはゴミ箱まで漁る子どもがいる・・・。
★子どもの貧困とは? 今、「経済大国」の日本で信じられない事態が進行している。戦争地域や発達途上国の最貧国で見られるような飢餓や生命の危機ではないとしても、あるいはストリート・チルドレンのように群れをなしているわけではないとしても、貧困にあえぐ子どもが増加しているというのだ。事態を重視した日本政府も、2013年「子供の貧困対策法」を定め、翌年には「子供の貧困対策に関する大綱」を閣議決定するなど、対策を取りだした。生存そのものの危機である絶対的貧困に対し、全世帯の平均収入の半分以下の世帯の状況を相対的貧困と呼んでいる。それに該当する世帯で暮らす子どもは全子ども数(18歳未満)の16.3%、何と、子ども6人に一人の割合ではないか!
★子どもの貧困が増加する理由? なぜこんな事態になったのか? 一時期、日本は「一億総中流社会」とまで言われたが、バブル崩壊、「失われた20年」、そしてリーマンショックなどの大激動の中で、格差がとめどなく広がっている。新自由主義という考え方が優位を占め、「自己責任」という言葉で弱者を切り捨てる言説が大手を振ってまかり通るようになった。
★子どもの貧困の問題点は? 低収入の世帯に生まれた子供は、金銭的・物質的欠如や不自由さを覚えながら生活しなければならないだけでない。人格形成上、クリアすべき発達課題の達成にも困難がつきまとう。世帯収入と子どもの学力の相関関係は、早くから指摘されてきたところである。低学力であることは低学歴にほとんど直結しており、学習意欲の減退、自信喪失、疎外感や孤立感をひきおこす。低収入の、あるいは生活の余裕がない親からネグレクトされたり、暴力・虐待にさらされる子どももいる。健康面への影響も憂慮される・・・。
これらが悪循環をなし、中学卒業時、経済的制約や低学力によって進路の選択が極めて限定され、低学歴のまま非正規的労働に就くという確率が高くなってくる。自らが家庭を持った時にも低収入となりやすく、これを貧困の連鎖と呼ぶ。
★母子世帯のしんどさ 世帯構成と収入・貧困率をめぐる調査によれば、両親と未婚の子によって構成される世帯や、三世代世帯の貧困率はそれぞれ1割強だが、ひとり親世帯の貧困率は半数を越える。中でも、124万世帯(2013年)を数える母子世帯では、およそ2/3の世帯が相対的貧困となっている。8割以上の母親は何らかの形で就業しているものの、日本の長年にわたる悪しき雇用環境や、女性の社会参加への障壁から、非正規労働につかざるをえなくなり、低収入の者が多い。単に経済的格差だけでなく、生活に追われる母は、子どもとの接触・養育時間をはく奪されてもいる。
★公的対応 貧しい母子世帯や、老人、障害や傷病等により生活困難な世帯に対しては、国・地方公共団体は生活保護制度によって各種扶助を行っている。子どものいる世帯には教育扶助がある。生活保護世帯だけでなく、生活保護費の1.1~1.3倍程度の低収入の世帯(準要保護世帯)にも教育費用が支給されている(就学援助制度)。この援助を受けている子どもは全体の15.6%に相当し、上記の相対的貧困率に近い。また、死別や離婚などのひとり親世帯には、児童扶養手当が支給されている。
★今後の方向性 子育てや雇用に関わる女性政策、教育等、関連する一般施策は多岐にわたり、その充実を図ることが望まれている。それだけでなく、子どもの貧困の連鎖を断ち切るためには、ひとり親、とりわけ母子世帯の安定した収入を確保できる家庭支援、および貧困の子どもへの支援を車の両輪とする必要がある。その際、国・地方・雇用主・学校・地域・社会施設、さらにはNPOやボランティア団体等それぞれが連携・協力して取り組みを進めるべき時が来ていると言えよう。
府知事選の告知がされました
どなたが支持されるのか興味深い所ではありますが
出来れば弱者が救われる世の中になってほしいと願うのは当たり前の現実かと
資産のある方には判りえない生活の苦をどれだけ視線を下げて考えてくれるのか
そんな議員が何人おられるのか
法律はあっても隙間を掻い潜り違法に楽な暮らしをしている人が多く居る中で
まっとうに生きようとしているのに
志通らず当たり前に高い税金・高い健康保険・年金を支払うことを余儀なくされている人ひと
「真面目な人がばかをみる」世に中にはしてほしくないものです
話がずれましたが(すみません)
弱者のための政治
上に立つ方は高い収入に見合った行いを!
机の上だけの論議で片づけることなく、
実際の状況をしっかりと見据えて、それぞれの分野でそれぞれの要望に見合った援助成り支援をしてほしいと思います