山王アニマルクリニック

日々の診療、いろんな本や音楽などについて思い巡らしながら、潤いと温もりのバランスを取ってゆこうと思います。

はじめに

2024-04-24 18:03:31 | はじめに

不妊・勢手術の予約ですが、11月の予約は、まだ空いていますので、お早めに!

不妊・去勢手術をご希望で当院を検索した方は、ネット上のガセ情報にだまされないためにも、こちらをお読み下さい???

当院の不妊・去勢手術は抜糸の必要がないため、術後にエリザベス・カラーや服もいらず、ストレスの少ない方法となっています。

電話番号043-483-2201(午前11:30~午後2時くらいまでは昼休憩と手術準備のため対応しにくくなっています 

 【診療時間】

午前9:00から12:00まで

午後は手術が多いため11:30で受付終了となります)

午後4:00から7:00まで

(同じく、受付終了は6:30となっています)

  【休 診 日】 木曜日  

日曜祝日は、基本的に午前中のみの診療となります(日祝は休診のこともあり)。

当院には3台分の駐車場があります。

 当院は、現代医療の過剰な側面に疑問を感じ、精神的にも経済的にも穏やかな診療を心掛けています。必要に応じて漢方薬を用いた診療を行っているので、病を深い視点でとらえることができ、選択の幅も拡がります(他院で処方された西洋医学的な治療との併用も可能です)。 

 また、捨てられてしまったネコちゃんやワンちゃんなどかわいそうな命を減らすべく日々奮闘されている様々なボランティアさんと協力しています(捨てられてしまったネコちゃんやワンちゃんの引き取りはしていません)。  

 ブログのタイトル(以前、山王アニマルクリニック 陰陽〈わんにゃん〉五行というタイトルでした)ですが、古代中国に由来する考えである陰陽とは……

陰とは、日陰(ひかげ)、抑制、滋潤(じじゅん)、女といったイメージ

陽とは、日向(ひなた)、活動、温煦(おんく)、男といったイメージ  

 ……という感じで、世界の中で互いに相対する傾向を持つものを、陰陽(YinYang(インヤン))の2つになんとなく分けてとらえる考えなのです。

 人間と共に歩んできた動物という枠組みで考えてみると……どちらかと言えば、猫は陰で「にゃん」、犬は陽で「わん」と動物病院なので少々?強引にこじつけ「にゃんわん」としてみました。    

 五行とは、木→火→土→金→水という流れで、木を燃やすと火を生じ、火が燃えると土となり、土が時を経ると鉱石(金)を含む山となり、金属を含む鉱脈からは水が湧きだし、水は木々を育む……といった感じでぐるぐると巡りゆくイメージです(相生(そうせい))。  

 その流れとは逆に、木は土の中に根を伸ばし、土は水を堰(せ)き止め、水は火を消し、火は金属を溶かし、金属は斧(おの)となって木を切る……という互いを制約してゆく流れもあります(相剋(そうこく))。 

 このように、一見関係のなさそうなものとのつながりや相互関係を見出し、バランスを考えてゆく東洋医学(中医学)の根底となるとらえ方を陰陽五行と言います。  

 現代の科学理論が研ぎ澄ましてきた刃は――特に最先端(Cutting Edge)などとマスメディアにもてはやされるものほど――あらゆるものを極端なまでに切り離し続け、今や私たちの心さえも身体とのつながりを失いつつあります(だからこそ得られているものもたくさんあるのかもしれません)。           

 一方、その反発からくる直感によって「神秘的なもの大好き(理屈っぽいのは嫌い)」というような西洋医学を全否定する方向へ行ってしまう人もいます。が、それも多くは絶対的であるように盲信してしまいがちな「科学」という名を借りた極論の支配下にある幻影に過ぎないと思われます。    

 極論と極論がぶつかり合うことで世の中全体としてはバランスが取れるとも言えるので難しい所なのですが……当院では、そのような両極端に偏り過ぎないよう西洋医学と東洋医学のどちらの長所、短所にも向き合いながら――思考停止に陥らない動的な――バランスを取ってゆくことを目標としています。        

 どちらのアプローチがより正しいのか?と単一の方法論にこだわり過ぎる考えでは、失われたつながりを取り戻すことはできません。

 それを可能にするのは、飼い主さん、そしてワンちゃんやネコちゃんたちの声なき声に耳を傾けながら、病の長期的な過程や経済的なことをも視野に入れた結果を重視してゆくことなのではないでしょうか。

当ブログでは、いろいろな本やCDなどをアフィリエイトな形で記事に貼りつけてありますが、私の方に報酬が入るようにはなっていません。

 アマゾンには税金や運送会社との問題などあるようですが…私は日本人一般から見ればマイナーな音楽や本が好きな傾向なので、中古品や日本では発売のない輸入品が購入できたりするのは、とても喜ばしいのです。

 一方、本屋さんやCDショップを物色することが大好きでもあり、ネット販売だけになってしまうのも悲しいのです。

 そのようなわけで、どちらか一方だけになってしまわないことを望んでいます……私としては、どちらも一長一短であることをしっかりと見極め、ケース・バイ・ケースで使い分けていくことを強くオススメします!

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犬のノミアレルギー/ノミ・ダニ対策

2024-03-30 19:57:34 | 診療よもやま

暖冬とか言われて春気分でいたのに最近なぜか寒かったですね。

早く春らしくなってほしいと思うのですが、暖かくなってくると増えてくるのがノミとダニです。

犬に寄生するマダニなどは草むらに潜んでいて、体温、二酸化炭素、振動を感知して肢から這い上がり、口で排除されにくい首回りから上に吸いつくことが多いです。

草むらに行かなければつかないのでしょうが、散歩で草むらをクンクンするのが好きなワンちゃんが多いので難しいですね。

犬の場合、肉眼で明らかに確認できる大きさのダニがついて来院されるケースが多いのですが、上の写真はノミによるアレルギーの写真です。

犬の場合なぜか下半身を中心としたこのような脱毛となり、毛が薄くなっているためノミ――2~3mmの大きさで素早く動く――が見えたりします(猫はもっと複雑な脱毛パターン)。

これは他のワンちゃんのケースですが、同じような下半身脱毛ですね。

上の写真は慢性化したケースで、下の写真は早めに来院されたケースです(上は外で飼育、下は室内で飼育)。

こういうケースは都会ほど少なく地方ほど多い傾向なのでしょうが、地方でもそんなに多くないでしょうね。

なぜなら、その辺の草むらにたくさん潜むマダニなどと違い、ノミは猫を介して犬にも伝播していくことが多い…つまり外に出る猫を一緒に飼ったりしていなければあまりつくことはないのです。

CMなどの影響か?後肢で背中を搔いているとノミがいると勘違いして来院…というケースが多いですが、他の原因の方が多く、時々搔いていても皮膚病変がないのなら治療の必要はありません。

 

さて、ノミはどのようにある動物からある動物へ移っていくのか?

ピョ~ンと飛び移るイメージが強いですが、多くはそれよりもっとしたたかな形で増えていくのです。

例えばノミが100匹ついている犬や猫が来院して、病院で100匹パーフェクトに取れたとします(小さな子猫以外、実際には難しい)。

身体についているノミはいない…それでもお家に帰ってしばらくすると、なぜかまたノミがいるではありませんか!他の個体と全く接触していないのになぜ?

 

ノミ♀は一日最高50個(平均30個)も卵をみます                                         

        ↓

卵は犬や猫がいつもいる場所へ大量に落下

        ↓

卵から幼虫が孵化――ノミ成虫が吸血してできた糞や環境中の有機物を食べて成長

        ↓

サナギとなってその場所で潜伏

(条件によってはサナギのまま半年以上も生存可能、燻煙式の殺虫剤にも強い)

        ↓

犬や猫がその場所に来た時、体温、二酸化炭素、振動を感知するとサナギから羽化して体に寄生

 

…というライフサイクルで、一度ノミが寄生すると、いつも犬や猫がくつろいでいる場所には、肉眼では一見確認しにくい幼虫、サナギがたくさん潜んでいるのです。

特に直射日光や雨が当たらず、ノミの最盛期である夏場涼めるような場所にノミのパラダイスがあったりします。

ガレージや納屋、家の軒下にもぐり込めるような形であると、定期的にノラちゃんが涼みに来てノミ卵を落としている可能性が高いのです。

ノラ猫との直接の接触はなくても、サナギが潜んでいるそのような場所にワンちゃんが涼むために入って寝転がるとノミが寄生してしまうのです。

 

以上のことから、猫はいろんな所にもぐり込むのが得意なので、外に出している限りノミの根絶が難しく、犬の場合、時々でもガレージなどに寝転がるような環境か外猫と同じ部屋にいない限りノミが寄生することは少ないのです。

対策としては、室内であれば、いつも犬や猫がいて直射日光が当たらない場所を中心に掃除して下に潜んでいるノミの卵、幼虫、サナギを物理的に取り除くことです。

丁寧に掃除機をかけ、洗える敷物は洗って天日干しし、カーペットなどは何度もコロコロをかけるかスチームアイロンをかける(35℃以上でサナギ死亡)と良いでしょう。

時にトリミングの後からノミがついてしまったというケースがあったりもするので、トリマーさんはトリミング・ルームの下などを卵、幼虫、サナギをしっかり取る意識を持って掃除して下さい。

掃除が不完全でサナギが残っていればノミがついてしまうので、カットが終わった後などトリミング・ルームの下に犬を放さない方がいいと思います。

 

最後にノミダニの予防薬なのですが、なかなか難しい時代で、新しい予防薬ほどある意味キレは良いが高価で時に予期せぬ副作用があるという傾向なのです。

つい最近も当院では推奨していない予防薬を与えると、活発な大型犬なのに元気がなくなるし、食べるのも嫌がるという方が来院されました。

リスクを説明しても「CMでやってる予防薬を…」と言うので取り寄せたのに、明らかに元気がなくなって当院推奨の予防薬に戻したケースもあります。予防薬を飲ませてから神経症状が出て障害が残ってしまったり、ごくまれなのかもしれませんが、亡くなってしまった例もあります。

医療現場では「様々な論文により有効性や安全性は証明されている」と言われる薬を良かれと思って処方したのに、体を害する、まれではあるが亡くなってしまうケースもあります――それはそもそも老化や重い病によって絶えつつある命だったのか、科学の暴走を防ぐための受け入れがたき不合理なのか?

ある一面では明確な即効性を発揮するが、まれに重い副作用が起こる…また延命はできるけれど驚くほど高価な薬(長いが必読→ゾルゲンスマという薬は一回の投与で日本では1億6700万円!さらに薬価4億円超 世界一高額の新薬、米FDAが承認)…そんな傾向は、医学の進歩と共に強くなってしまうのでしょうか。

医療だけでなく、原発・エコカーなどエネルギー問題、人種や民族紛争などの政治問題もネットのせいで正邪ごちゃまぜとなり、世界的に舵取りが難しい時代だと思います。

メリットがデメリットを上回るのなら正当化される(個体差あり)のでしょうが、ノミダニ予防薬を与えると元気がなくなったりするなどは当院にご相談下さい。

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The Omnichord Real Book

2024-03-27 20:06:08 | 音を楽しむ

遅れましたが、ミシェル・ンデゲオチェロのニューアルバムが昨年出ていました。

最近じっくり音楽を聴く時間がないのですが、時を顧みると危ない時代には、時にさりげなく、時に大胆に素晴らしいアートが生まれているのでしょう。

前作はカヴァー・アルバムだったためミシェル的にはキャッチ―な曲も多かったですね。今作はジャズ名門レーベルであるブルーノートに移籍とのことで、キャッチ―な曲は少ない感じです。

でも…人を集めてなんぼなミュージシャンには深刻な新型コロナ、 Make Me Wanna Hollerと歌いつつマーヴィン・ゲイのように叫べないもつれをもたらした両親の死…を経て、Good Day Badと歌っていたミシェルが、ようやくGood Goodと歌えるようになったんですね!

コロナ禍ロックダウンPC画面生活に疲れていたとき、日本の鈴木楽器製作所が作ったオムニコードなる電子楽器をいじっていたら着想が得られたとのこと――ネットにつながらないで音楽に集中できたのがよかったようです(Rolling Stone Japan)。

ジェフ・パーカージョエル・ロスブランディ・ヤンガーなどゲストも魅力的ですが、個人的には、仏教的なことを歌っているというBurn Progressionからプリミティブであっても新鮮に響くVumaへの流れが好きですね。

このアルバムなんと先月グラミー賞を受賞しました!!

多様性という言葉が空回りしがちな昨今、アーティストの中で最も多様性を体現してきたミシェルが受賞したことはうれしいです!

反面、10回もノミネートはされていたので今更かという感情も湧き上がり、そんなグラミー賞だから注目もしておらず、これを書いている過程で受賞を知る、という遅れぶりとなりました。

2021年にもロバート・グラスパーとH.E.R.ことガブリエラ・ウィルソンと共作のこの曲でグラミー賞を受賞していたんですね。

ジョージ・フロイド事件を発端として広がったBLM運動から生まれた曲らしく、怒りを超えた静かな諦念のようなサウンドが想像力を深く刺激します。

フィリピン人の母とアフリカ系アメリカ人の父との間に生まれ、多様性を体現する新世代であろうH.E.R.も身体に響くいい声です!

彼女はこの曲のエンディングのように自分でギターなども演奏し、従来のR&Bの枠組みを飛び越えてますね。

R&B系のミュージシャンが興味本位でロック的なことをやってもハマらないことが多いのですが…ミシェルたちと共演するのも納得のタレントです。

インタビューを読むとブルーノートに移籍したからジャズ寄りになるということでもないようですが、この曲がとても好きなのでついでにアップします――ベース・プレイに集中したインストだけのアルバムも聴きたいですね!

(なんとサン・ラにインスパイアされた新作が4月に発売とのことですが、ブルーノートから出るわけではない?!)

この曲は危ない時代である今だからこそ、より多くの混乱した心に響いてくれるように思うのです。2005年に発表されたこの曲などもグラミー賞を取るべきだったのでは?

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ペットショップ問題

2023-11-06 19:55:11 | 診療よもやま
ペットショップ「クーアンドリク」の客が怒りの告発 買ったばかりの子犬が瀕死で入院中なのに…店長は「治療費は払えない、交換ならできます」 | デイリー新潮

ペットショップ「クーアンドリク」の客が怒りの告発 買ったばかりの子犬が瀕死で入院中なのに…店長は「治療費は払えない、交換ならできます」 | デイリー新潮

全国に200店舗以上を展開するペットショップ大手「Coo&RIKU」(クーアンドリク)で、契約トラブルが続出している。…

デイリー新潮

 

ちょっと前に話題になったこの記事なんですが…ペットショップの問題は難しいですね(連載となっているので他の記事も読んでみて下さい。記事を読まないと意味不明の記述があります)。

そもそも犬の寄生虫であるジアルジアや糞線虫またはコクシジウムなどは、個別に隔離し寄生虫の卵などで汚染された糞便汚れをしっかり掃除できていれば、薬で駆除することは簡単なのです(猫のトリコモナス・フィータスは、ちとややこしい)。

 

しかし多頭飼育などで糞便汚れをクリーンにできない環境であったりすると、根絶することができません。

そのためかブリーダーやペットショップ(これはクーリクだけの問題ではありません)では、飼い主さんに引き渡す一週間前とかになってから薬を与えて誤魔化しているようなケースがけっこうあるように感じます。

飼い主さんの家へ行けば自動的に個別管理化するため再発リスクも減り、再発したとしても信頼できる動物病院へ行けば、大抵はそんな費用もかからず治ってしまうのです。

…そうなると負担も少ないことから、責任の所在があやふやにできてしまうのでしょう。

きちんと検便してターゲットを絞り、適切な薬を適切な用量で適切な期間与えれば治るのですが、子犬は体重が変動することもあってか、用量も期間も中途半端になっていたりするのではないでしょうか?

高用量や投薬期間が長いと副作用が出てしまう可能性があり、低用量や投薬期間が短いと効きも悪く、耐性を持つものが生まれてしまう可能性さえ出てきます。

それを防ぐには、信頼できる獣医師によるこまめな検便などのチェックが不可欠なのですが……

ブリーダーもペットショップも、しっかりチェックする口うるさい先生の病院へは足が向かわず、言われるがままテキトーに薬だけ出してくれる優しい先生の病院にばかり行ってしまうのでしょう。

しっかり管理していくには、それなりのコストと厳格さが必要なのです。

が…それと、世にはびこる安心半額プラン――あんまり変わらないか、逆に損してませんか?――などのような定期引き落とし術により、いつの間にか高度最先端などを装うだけと化すキラキラ病院のボッタク理論が混ざり合っていき…一般の方はもちろん、当人さえも判別不能となります。

そこに下痢など初期症状では区別がつきにくいパルボウイルスなどがからんでくるから更に複雑になっていきます(寄生虫感染で発熱することはあまりない)。

上述のような寄生虫感染だけでは、よほど長期間放置しない限り命にかかわることはなくても、パルボやジステンパーウイルス(初期の呼吸器症状は命にかかわることがないケンネルコフと同様でまぎらわしい)の感染では命にかかわるし、入院が必要なので費用も高額となってしまうのです。

混ざり合ってきてしまうことなのですが、ここをごちゃ混ぜにしないことが重要です。

 

パルボウイルスはアルコールが効かず、コロナウイルスより消毒剤への耐性が強いことで有名なウイルスです。しかも、感染すると46日くらい便の中にウイルスを排泄する可能性さえあるとのことです。

効果的な消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム0.37%なら15分、0.75%なら1分以上おく――0.18%だと30分以上?!)はあるのですが、環境中に有機物(土壌、糞便、血液、敷物、ゴミ)があると、本来なら効くはずの濃度でも効かなくなってしまうようです。

 

そんなわけで、とっても厄介なウイルスなのですが、それを面倒な清掃消毒や個別管理、確実なワクチン接種を免責する言い訳にし過ぎないことが大切です(糞便汚れをしっかりふき取り、濃い消毒液で時間をかけて消毒しましょう)。

 

ペットショップでこのようなトラブルが起こってしまったとしても、従わざるを得ない立場の店員さんに怒りをぶつけるのはやめましょう。

下に押し付け逃げ回ることも多いので難しいかもしれませんが、なるべく上の立場の方となるべく冷静に瑕疵担保責任(契約不適合責任)について交渉するしかありません。

想定外のことが起こって怒りが込み上げてくることもあるでしょう…数十万以上払って犬や猫を受け入れたのに……。

でも、そうなってしまった時点では、一番大切なのは批判ではなく、その子ができるだけ健康に生きていけること…そして負担も最低限であることを目指しましょう(病院選びによっては更なる悲劇!)。

 

た考えてほしいのは、可愛さや小ささなど表面的なことばかりに目を奪われる人が多いから、そういう子ばかりが交配され血が濃くなり、先天的に弱かったり、膝蓋骨脱臼などの遺伝疾患を持つようになってしまうであろうことです。

そういう所に弱いのが人間ですから仕方ないことなのですが、見た目がいまいちだったりしても、特別な何かを持ち、かけがえのないものを感じさせてくれる子がいます(一緒に暮らして愛情のキャッチボールができていれば必然的にそうなっていくとも言えますね)。

犬種による性格の傾向なども調べ、自分のライフスタイルと合うかどうか考慮することも必要ですが、最終的には、その子の気質――見た目だけでない何かを少しでも観察してほしい!と思います。

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肢間の炎症?

2023-07-19 19:33:13 | 診療よもやま

暑いですね…高温多湿の環境が続くと、ワンちゃんは肢の間や裏などが赤くなったり、かゆくなったりすることがあります。

体質や居住環境にもよりますが、梅雨から夏は特に蒸れやすい場所を中心に細菌やマラセチアなどが増殖しやすいので困ったものです。

電気代が高くなって大変ですが、ワンちゃんのためにしっかりクーラーをつけましょう!)

チカラシバ(→犬の耳や肢間に注意!)の記事でも触れましたが、小さなトゲや種子などが刺さっても同じような症状となることがあってまぎらわしいこともあります(トゲなどの時は一つの肢の限定されることが多い)。

上の写真のケースでは、まず肢間の炎症を疑い抗菌薬を処方したのですが、一週間経っても改善せず、逆に悪化したようにも見えました。

少し毛の長い子だったので、よく見えなかったのですが、毛を剃ってみると何かが刺さっていました。

鉗子で引っ張ってみると、こんなものが……

こういうノギなどは刺さっているものが大きいほど、内科的治療だけでは治らないのですが、このケースではこれだけ大きかったため、一週間経て一部自壊し、取り出すことができました。

多くは内科的治療で何とかなることが多いのですが、内科的治療で引っ張るか?外科的に切開するしかないのか?悩ましいケースも時にあります)

このイネ科のノギは、長さからするとカラスムギの一種のでしょうか?

カラスムギの仲間はオートミールとなったり、いわゆる猫草としても使われているようなのですが、雑草としてそこら中に生えてるんですね。

 

二ヶ所の穴が確認できますが、大きい穴がカラスムギ?が刺さり、小さい穴には何故か自らの毛のかたまりが刺さっていました。

 

 

刺さっている異物が取れさえすれば、一週間でこんなにすっきり治ります。

 

この子は何と16歳!!中型犬の中では大きく肢の長いワンちゃんなのです。

加齢により足腰が不安定になってしまったので、バランスを取る中、勢い余って刺さってしまったことが考えられます。

大きなワンちゃんだと特に介護していくのは大変ですが、飼い主さんの愛情と共に、おだやかな歩みは続いています。

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