リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

114. 「追いかけ人(びと)」18年間を振り返る No.3

2017年09月13日 | 日記

写真ってむずかしい その3


     

             

               フォルカッハ、葡萄畑の聖マリア巡礼教会

 

  今までにも書いたかと思いますが、教会や美術館の中で、ガラスのケースに入っている作品は本当に撮影がむずかしいと感じます。自分やカメラの影がガラスケースに映ることもですが、光の反射で大事な作品の全体をきれいに撮ることがなかなかできません。少し斜めから影や光の反射を避けて写すことを覚えましたが、そうなると作品の正面像がなかなか撮れないのです。つい最近わかったことですが(気づくのが遅すぎる…!!)、白っぽい服装はこういう場合、ガラスに映りやすいのですね。撮影日には、できるだけ黒っぽい服装を心がけようと思うようになりました。そして天候も、晴れよりは雨や曇りの日の方が建物内部での撮影には向いているようです。窓から入る逆光で苦労したところは何カ所かあります。例えば、ツェル・アム・マインの聖ラウレンティウス教会にある「嘆きの聖母(ピエタ)像」は、ちょうど窓の真下に設置されています。最初に撮影したときはどうしても正面の全体像がうまく写せませんでした。その後、もう少し日差しが弱い日に教会を訪ねて、何とか写すことができましたが。

 また、トップ写真の葡萄畑のマリア巡礼教会(フォルカッハ)にある「ローゼンクランツのマリア像」の撮影にも苦労しました。この彫刻が壁に掛かっていたのは1962年までです。この年の8月6日から7日にかけてローゼンクランツのマリア像は盗難に遭ったのでした。手を尽くして探しても見つからなかったため、やむを得ず報奨金を出してようやく取り戻すことができたそうですが、ずいぶん批判もあったとのことです。見つかったときにはマリア像は床用のワックスや煤で汚れ、5つあったメダリヨン(薔薇の輪の中にある小さな彫刻部分)も2カ所失われていたと聞きました。修復を受けてきれいになった像は1年後の8月6日に教会に戻り、9月には盛大な儀式が行われたという新聞記事が本(写真・下)に載っていました。それからはローゼンクランツのマリア像は高い天井に吊り下げられています。リーメンシュナイダー関係の本によっては背景がステンドグラスではなくて壁の写真が掲載されているものがありますが、現在はそういう写真は撮れません。私が撮影した日はいつも晴れでしたので、やはり逆光になって苦労したのでした。昨年の旅でここを訪ねたときはちょうど曇りだったので撮影にはよかったのですが、ミサと重なり、自由に撮影することはできませんでした。残念です。

 

 

           この本はヴュルツブルクのウルリヒさんが譲ってくださいました。

      

 これで写真の苦労話は終わりにしておきます。

※ このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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