大分お休みしました
昨年の旅の記録をまとめ終えてから第3冊目の写真集の編集にとりかかっていました。けれども様々なできごとで心落ち着かず、なかなか進まずにいて、とうとう9月になってしまいました。まだ編集は道半ばではありますが、ブログの更新をぽつりぽつりとでもしていかなければと思い、「追いかけ人」としての18年間を振り返ることにしました。
写真ってむずかしい その1
私はきちんと写真を勉強したことがありません。リーメンシュナイダーを訪ねて回るぞと決意したのは1999年8月のことでしたから、それから18年経っているのですが、最初の頃はこんな自分がカメラを持ってヨーロッパ、アメリカなどの町や村を回るようになるとは考えてもいませんでした。まずは「リーメンシュナイダー作品を自分の目で見る!」、ただそのためだけにドイツを回り始めたのでした。
でもなぜか、私はオリンパスのデジタルカメラを2000年には買っていたようです。このカメラで作品の写真を撮ったはずなのですが、今現在そのファイルが見つかりません。手元にある一番古い写真データが2001年の8月に写したマッターホルン(スイス)でした。この日は大変天候に恵まれて風もなく、リッフェル湖に映る逆さマッターホルンを写すことができたのでした。それが上の写真です。画素数も少なく、質の高い写真とは言えませんが、自然が私に恵みをくれたと感じた一瞬でした。
2004年3~4月には(まだ現役の教員時代)、ヴュルツブルクに春休みを利用して行ってきました。ヴュルツブルクの市制1300周年を記念してマインフランケン博物館でリーメンシュナイダー展が開催されたからです。夏休みになるまで待っているとその大展覧会は終わってしまっているので、無理をして短い春休みに出かけたのでした。その際、発行された2冊の重たいカタログにはたくさんの美しいリーメンシュナイダー彫刻の写真が掲載されており、迷わず買って帰ってきました。それ以来、このカタログが私の第一の参考書となりました。そしてこのカタログに掲載されている作品をできるだけたくさん見て回ろうと決意したのでした。
この頃は、暗い美術館や教会での写真はほとんどうまく撮れないという状況でしたので、作品を見ると一生懸命ノートに汚い字でメモを書き、できるだけ写真の入ったカタログやパンフレットを買っては持ち帰ったものです。従って、どこに何という作品があるのかという記録はとても不正確で苦労しました。急いで書いた文字は自分でも読めなかったりしましたから。
2005年に早期退職し、2006年にドイツ語を学びにドイツ留学したことはこのブログの始めに書きました。この留学していた7ヶ月の間にも拙い技術で何とか作品の写真を撮りためてはきましたが、いっこうに腕は上がりませんでした。
帰国後、あるご縁で小さなブティックの写真撮影のアルバイトをすることになりました。2007年の途中から始めたように記憶しています。そこでは私が持っているよりは高級なデジタルカメラを三脚に立て、服やドレス、鞄、靴、アクセサリーなどに照明を当てて撮影するのです。その画像の処理の仕方を前任者から教わって、見よう見まねでトリミング(大きさや背景との兼ね合いを考えて切り取ること)し、画像処理ソフトのフォトショップ・エレメントを使ってウェブ用に画像サイズを小さくし、ヤフーオークションにアップするという仕事でした。仕事を始めた頃に「一度ちゃんと勉強してきて欲しい」と言われてフォトショップの講習を受けさせてもらえたのは幸運でした。お店の撮影対象はそれほど高級な商品ではありませんでしたが、アップされた画像は本物以上にきれいに見えるようになるのが驚きでした。このアルバイト期間で、1枚の写真をアップするためにはたくさんの明るさやアングルを変えた写真を何枚も写し、その中から一番見栄えの良いものを選ぶということを学びました。
けれども1年ほど経ったある日、このカメラが壊れてしまったのです。私は自分の操作が下手でカメラを壊してしまったのではないかと責任を感じて、今度の旅行で使おうと思って買ってあったニコンの一眼レフD80をお店に持ち込んで仕事をしました。それと並行して自分でもニコンカレッジに通い、一眼レフの扱いを多少勉強しました。おかげでアルバイト中に自分の新しいカメラの扱いに大分慣れさせてもらえたのでした。そして、三脚使用で照明をうまく当てればそこそこの写真は写せるようになりました。
2009年、第1冊目の『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』を出版し、ドイツの友人やお世話になった方々を訪ねながら、もっと真剣にリーメンシュナイダーや工房の作品を見て回りました。本に書いた情報が本当なのか、まだちゃんとその場所で見られるのか、そこまでどうやって行ったらいいのか、確認しながらの旅です。せっかく見た作品は何とか新しい一眼レフで写しておきたいとがんばったのですが、まだまだ美術館や教会ではアングルが悪くて全体が写っていなかったり、傾きが大きかったり。自分用の記録として見た作品を写すのが精一杯でした。ただ、嬉しかったのは美術館の作品の横にある解説カードを書き写すのではなく、写真に撮って帰ってから何度も確かめられるようになったことです。当時、SDカードの容量もどんどん大きくなって、そういう記録が可能になったのだと思います。作品を写してからその作品カードを写すという順番さえ守れば大丈夫。これでいつもメモ帳にカードの内容を書き写していた時間が大分短縮されて助かりました。
※ このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA