新・旅日記 No.2 2009年冬の旅
ルースとトーマス
私にとってドイツは第二の故郷と言えます。以前はそれほど意識にのぼっていなかったこの国には、既に様々な縁で結ばれた友人がいるからです。
2009年の1月、フランクフルト空港に着くとトーマスが出口で待っていてくれました。びっくりしたのは彼が松葉杖をついて立っていたことです。10日前に膝の手術をして2日間で退院したとのこと、少し痛むけれど、それぐらいの方が歩くのに気を付けるからちょうど良いのだと言っていました。それにしてもそんな彼を大分待たせてしまって申し訳なく思いました。車の運転には支障がなく、30分ほどでフランクフルト郊外の家に着くとルースが手料理を作って待っていてくれました。彼女の笑顔と温かな居間の懐かしいこと。何回このお宅に泊まらせていただいたことか。一つだけ残念なのは、1998年に娘と一緒にスイスを旅していた私たちをトーマスに出会わせてくれた犬のミリーが亡くなっていることです。来る度に一緒に散歩したミリー。今回は彼女のお墓参りをしたいと願っていました。でも、翌朝訪ねたお墓は、日本のような動物霊園ではなく、一緒に歩いた森の中にひっそりと埋葬されていたのでした。ミリーがよく遊んだボールがその目印でした。ミリーの優しい目が私たちを見守ってくれているような気がしました。
<私たちを結び付けてくれたミリーが元気だった頃 ルースとミリー>
ここは以前、ミリーとよく散歩をした道 奥の森にミリーのお墓があった <ルースとトーマス> こちらは2月28日、帰国前のひととき トーマスが撮影 <三津夫・緑・ルース>
フランクフルトでは、美術館を回るゆとりもなく、その日はできあがった『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』を手渡したぐらいです。
翌日は、お昼の列車でチューリッヒに行くために、ミリーのお墓参りだけしてお別れしました。旅の最後はまたフランクフルトからの出発でしたので、夜の飛行機に乗る前に、もう一度二人を訪ねてお茶をいただきました。そのときの写真が右上です。2枚の写真の間には35日の時間が流れているのでした。ケーキは全部BIO(有機栽培の穀物で作られたもの)です。もちろん、とても全部は食べきれませんでしたけれど。
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