飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

国語科 分析批評 2 ものさしを教える 話者

2024年07月02日 07時56分15秒 | 国語科
分析批評における用語指導においては二つの場面についての考えが必要となる。
一つは、ある用語を初めて導入する場面。
もう一つは、指導済みの用語を定着させる場面である。
そして、用語指導の留意点は「どの教材でどの用語を指導するか」ということ。
ある用語を指導するには、それにふさわしい教材を用意しなくてもならない。
なんでもいいわけではない。

たとえば自分なら次のような教材でそれに適した用語指導を行う。

1 話者
・教材「から」

から
          「宮入黎子」

ザリガニが
すぽっと からをぬいだんだ
赤い じょうぶな から
着なれたやつ
田んぼのどろの しみたやつ


やわらかい 白い体なんだ
からをぬぐって
どんな気持ちだろう

ぬぎすてるたび
大きくなる ザリガニ
ぼくにも からがあったら
バリバリ ぬぐ
おとなになって どこへでも行く

◯作者名をふせて子どもたちに詩を提示する。
・追い読みをします。
 先生に続いて読みます。
・題の「から」を先生が読みます。
 続いて本文の全員で読みなさい。
※必要なノートに視写させる。

発問 . 1
◯作者は大人ですか,子供ですか。
※多くの児童は「子供」と答える。
・子供です。

発問 . 2
◯なぜそう考えますか。
・「おとなになって」と書いてあるから
・ザリガニのことを書くなんて子供っぽい
・ザリガニの観察は低学年でするから

発問 . 3
◯作者は男性ですか,女性ですか。
・男性です
※多くの児童は「男性」と答える。

発問 . 4
◯なぜそう考えますか。
・ザリガニに興味をもつのは男の方が多いから
・ぼくにもと言っているから

説明1
この「から」という詩を読むと「作者は,子供で男性である」と考えるのが普通だと思います。
しかし、本当は「男性の子供ではなく、大人で女性なのです。」
作者は「宮入黎子」という大人の女性です。

説明2 
このように詩の中の「ぼく」を作者と区別して「話者」といいます。
詩や物語を書いた人のことを「作者」と言います。
それに対して、詩や物語を実際に語っている人のことを「話者」と言います。
イメージ的には、話者の頭の中に作者がいて、話者の口を借りて、作者の考えを述べている感じになります。
だから、作者は、どんな話者にもなれます。

説明3
詩や物語を読むときに、作者と話者を区別するようにします。
話者がだれであるかは、物語の展開では重要な意味をもちます。




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