りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“ピンクのももちゃん―ももちゃんとお友達―” ―全〇場― 2

2011年10月27日 22時07分05秒 | 新作(人形劇用)


         その時、何処からか声が聞こえる。

  声「やあ・・・おチビさん達・・・」

  もも「え・・・?」
  ココ「・・・誰・・・?」
  
  声「ここだよ・・・!」

  もも「どこ・・・?」
  
  声「君達の目の前さ!」

         もも、ココ上を見る。

  声「よっこらしょ・・・っと・・・」

         “ゴーッ”と、波がうねるような音が響く。
         と、下手より大きなクジラの顔が覗く。

  もも「わあーっ!!大きなお顔!!」
  ココ「クジラだ!!早く逃げなきゃ!!もも・・・!!」
  もも「私達、おじさんの下に潜り込んでたのね!!」
  クジラ「そうだよ。」
  もも「それで、さっきから薄暗かったんだわ。」
  ココ「ももってばさぁ!!早く行こうよ!!」
  もも「(ココの言うことには、耳も貸さず、クジラに興味津々な
     様子で。)へぇーっ!!何て大きいのかしら・・・!!私、
     おじさんみたいに大きなお魚、生まれて初めて見たわ!!」
  クジラ「そんなに珍しいかい?」
  ココ「お願い!!僕達を食べないで!!」
  もも「ココ?」
  クジラ「(笑って。)食べやしないさ。」
  ココ「・・・本当に?」
  クジラ「ああ・・・。それより、君達2匹にお願いがあるんだけれど
       ・・・。」
  ココ「お願い・・・?」
  もも「なぁに?何でも言って頂戴!」
  クジラ「それが、さっき昼ご飯に食べた魚の・・・」
  ココ「ほらみろ!!魚を食べるんじゃないか!!食べないなんて
     嘘ばっかり!!」
  クジラ「それは自然の法則だからね。君達も小さなプランクトンや、
       藻を食べるだろう?それも皆生きているんだ。君達はそ
       れを食べて生かされている・・・。反対に僕だって、誰かの
       為に、そうなることもあるんだ。それと同じだよ。」
  もも「生かされている・・・?」
  クジラ「そうさ。」
  ココ「だからって・・・仲間も家族も・・・皆食べることないだろ!!」
  もも「どうしたの、ココ?」
  クジラ「僕はそんな風に、何もかも全部食べたりはしないよ。生き
       る為に、必要な分だけ・・・皆に感謝して頂くのさ。」
  もも「そう・・・。」
  ココ「そんなこと・・・信じれるもんか・・・」
  クジラ「それよりさっきの話しの続きだけれども・・・」
  もも「そうだったわね!何、おじさん!お願いって。」
  クジラ「それが、お昼に食べた魚の骨が、ノドの奥に刺さってしま
       って、どうにも取れなくて苦しいんだ・・・。君達、僕の口の
       中に入って、取って来てくれないかなぁ。」
  ココ「何だって!?」
  クジラ「君達のように、小さければそんなこと、造作ないだろう?」
  もも「分かったわ!」
  ココ「待って、もも!!そんな風に上手いこと言って、本当は僕達
     をそのまま丸飲みにするつもりなんだ!!」
  クジラ「そんなことしないよ・・・(“ゴホッ”と咳をする。)ほら、ノドが
       痛くてたまらないんだ。お願いだ・・・。」
  もも「分かったわ、おじさん!ココ!おじさんのノドに刺さった骨を
     取りに行ってあげましょう!」
  ココ「だって時間が・・・」
  もも「大丈夫!ほんの少しの時間よ!さぁ、おじさん!口を大きく
     開けて!」

         “ゴーッ”と、波のうねる音に合わせて、
         クジラ、大きく口を開ける。

  もも「わあーっ・・・」
  ココ「嘘だろ・・・」
  もも「体も大きいけど・・・中もとっても広いのねぇ・・・」

         もも、ココ、クジラの口の中へ入って行く。

  もも「どこかしら・・・」
  ココ「ま・・・真っ暗だよ・・・!!」

         その時、上手方よりサメ吉の声がする。

  サメ吉の声「おーい!!チビすけー!!」

         上手より、慌ててサメ吉登場。

  サメ吉「(息を切らせたように。)おーい!!チビすけ!!一体
       どこ行っちまったんだ、畜生・・・。反対の方向だったか
       ・・・。あ!!(クジラを認めて。)クジラのおっさん!!
       あんた、この辺りでピンク色の小さな魚を見なったか!
       ?」
  クジラ「あ・・・あ・・・(口を大きく開けていて、上手く喋れないよ
      うに。)」
  サメ吉「あ?」
  クジラ「あ・・・あ・・・」
  サメ吉「あ?」
  クジラ「ああ・・・あ・・・」
  サメ吉「もう!!何言ってんだよ!!ああだけじゃ分かんねぇ
       だろ!!仕方ねぇな・・・もうちょい先まで行ってみる
       か・・・。おーい!!チビすけー!!」

         サメ吉、下手へ去る。

  クジラ「あ・・・あ・・・!!あーっ・・・!!」

         クジラの顔、上手へ入る。と同時に、下手より
         珍しそうに回りを見回しながら、もも、ココ登場。
         (上手よりに、一本の柱のような骨が立つ。)

  もも「おじさんの口の中って、広いのねぇ・・・。一体、何処にその
     刺さった骨があるのかしら・・・。」
  ココ「(恐々回りを見回し。)ねぇ、もも・・・早く見つけて、ここから
     出ようよ!!」
  もも「大丈夫!ホント、ココったら心配性なんだから。(笑う。柱の
     ような骨に気付いて。)あ・・・あったわ!!ココ!!見つけ
     たわ!!屹度これよ!!」
  ココ「本当?」
  もも「でも、随分大きな骨ねぇ・・・。一体クジラのおじさん、どんな
     お魚を食べたのかしら。」
  ココ「魚なら何でも食べるんだ、屹度・・・」
  もも「如何したら、この大きな骨を取ることが出来るかしら・・・。」
  ココ「ねぇ、もも!!もう放っておいて、外へ出ようよ!!小さな
     僕達に、こんな大きな珊瑚みたいな骨、取れやしないよ。」
  もも「諦めちゃ駄目よ!!おじさん、苦しんでたじゃない!!助
     けてあげなけりゃ!!うーん・・・どうしたら・・・」

         その時、ノドの奥から声が聞こえる。

  声「うるせぇなぁ・・・」
  
  もも「え・・・?」
  ココ「もも・・・!!(ももの後ろに隠れるように。)」
  もも「(上手方を見て。)誰かいるの?」

  声「そっちこそ、誰かいるのか・・・?」

  もも「私はもも!クジラのおじさんにお願いされて、この骨を取り
     に来たの!」

  声「何だって・・・?その骨を取りに来ただって?」

  もも「そうよ!」

  声「そんなら早いとこ、その骨をどかしてくれないか。俺はさっき
    、クジラに丸飲みにされちまったんだが、逃げようとしたら、
    この骨が邪魔で、ここから出らんなくなっちまったんだ。早い
    とこ、ここから出ないと・・・ほら・・・そろそろ体が溶けてきち
    まいそうだ・・・。」

  もも「溶ける・・・?」

  声「ああ・・・頼むよ・・・。早いとこ、その骨を外して、この俺様
    をこの地獄から助け出してくれ・・・」

  もも「分かったわ!」
  ココ「(小声で。)待って、もも!!(ノドの奥に向かって。)ねぇ!
     ノドの奥にいるお魚さん、あなたはこの骨の間をすり抜け
     られない程大きいの・・・?」

  声「おまえは誰だ・・・。」   

  ココ「僕はココ・・・。ももと一緒に、この骨を取りに来た・・・。」

  声「そうか、それなら2匹で協力して、早いとこ・・・」

  ココ「自分で出てくればいいじゃないか・・・。」
  もも「ココ・・・?」
  
  声「・・・それが、出ようにも体の一部が、その骨に引っ掛かって
    しまって、どうにも出れねぇんだよ・・・。頼むよ・・・、早いとこ
    クジラのおっさんと・・・この可哀相な俺様を助けてくれよ・・・
    。」

  ココ「(ももに聞こえるように小声で。)ねぇ、もも!この骨の間を
     通れないって・・・屹度、もの凄く大きな魚だよ!!この骨
     を取ったら、外へ出るまでに、僕達がそいつに食べられる
     かも知れないよ!!」
  もも「まさか・・・。(笑う。)」

  声「おいおい、2匹で何の相談してるんだ?こうやってる間にも
    、俺様のヒレが・・・あ・・・あーっ!!・・・」

  もも「おじさん!?待って!!直ぐにこの骨を取ってあげるわ!
     !」
  ココ「もも!!」

  声「あ・・・!!あーっ!!く・・・苦しい・・・!!」

  もも「おじさん苦しそうよ!!ね、ココ!!なんとかしましょう!!」
  ココ「・・・でも・・・」
  もも「・・・どうしたらいいかしら・・・」

         その時、先生の声(回想)が響く。

  先生の声(エコー)「小さくたって、皆で力を合わせれば、どんな
              ことだって出来るのよ・・・出来るのよ・・・(繰り
              返す」

  もも「先生・・・。そうだわ!!ココ!!手伝って!!2人で“せーの
     !”で、この骨に体当たりして・・・」
  ココ「え・・・?体当たりって・・・」
  もも「力を合わせれば大丈夫よ!!」
  ココ「で・・・でも・・・」
  もも「小さくたって何とかなるわ!!2人だもの!!」   ※
  ココ「う・・・うん・・・」
  もも「さぁ、行くわよ!!いっせぇのぉで・・・!!」

         もも、ココ、骨に体当たりする。
         が、跳ね返される。

  もも「きゃあっ!!」
  ココ「いってぇ・・・」
  もも「さぁ、もう一回よ!!」
  ココ「うん・・・」
  もも「せぇの!!」

         もも、ココ、再び骨に体当たりする。
         と、少し骨が傾く。

  もも「やった!!もう少しよ!!」
  ココ「うん!!」
  もも「さぁ、頑張りましょう!!」
  もも・ココ「せぇのぉ!!」

         もも、ココ、三度骨に体当たりする。
         と、骨が大きな音を立てて倒れる。

  もも「やったーっ!!」
  ココ「わーい!!」
  もも「どんなことでも、皆で力を合わせれば、何だって出来る
     のよ!!」
  ココ「もも・・・」
  もも「(クスッと笑って。)先生がそう教えてくれたの。」

  声「そうさ・・・だから2匹一緒なら、どんなことでも怖くない・・・」

  もも「え・・・?」
  ココ「もも・・・」

         その時、上手よりサメ1、ゆっくり登場。  ※2

  ココ「(サメを認めて。)角・・・」
  もも「角・・・?(サメを認めて。)サメのおじさん・・・」
  ココ「え・・・?」
  サメ1「サメのおじさんだと・・・?(ももを認める。)おまえは・・・」
  もも「違う・・・あなた、サメのおじさんじゃないわ・・・。おじさん
     を連れて行こうとした悪いサメよ!!・・・でも・・・あの時
     確か漁船の網に捕まって・・・」
  サメ1「(笑って。)お生憎様!!あの時、引き上げられた船の上
       から、俺様だけ命辛々逃げ遂せたのさ!!もう一匹の
       ドジな奴は、おまえのせいで、残念なことになったがな
       !!」
  もも「違うわ!!あなた達が悪いことをしようとしたからじゃない
     !!」
  ココ「それだけじゃない・・・」
  もも「ココ・・・?」
  ココ「こいつは・・・僕のお魚村を・・・僕の仲間達を皆・・・僕の
     パパやママを・・・!!」

         怪しげな音楽流れる。

  サメ1「お魚村・・・?・・・なんだ、あの時の小魚が一匹、逃げ延
      びていやがったのか。(笑う。)あそこの魚は美味かった
      なぁ・・・。お陰で、久しぶりに腹一杯になることが出来た
      んだ。」
  もも「酷い・・・」
  ココ「僕は・・・僕は皆の敵をとる為に、ここまでおまえを捜しに
     やって来たんだ!!」
  サメ1「敵だと?(笑う。)そんなチビっこい体で、何が出来るん
      だ!!」
  ココ「糞う・・・!!わぁーっ!!(サメ1に体当たりする。)」
  もも「ココ!!」
  サメ1「煩い!!(ヒレでココを払う。)
  ココ「わぁっ!!(飛ばされる。)」
  もも「ココ!!(慌てて寄る。)」

         サメ1歌う。

         “俺は海の王者だ
         この水の中では
         誰もが俺様の言う通り
         逆らう奴は丸飲みだ
         俺は海の王者だ
         この広い水の中
         姿を遠目に見ただけで
         皆怯えて背を向ける”

  サメ1「それより・・・俺様がおまえを、仲間のいる所へ送って
      やろう・・・か?丁度クジラのノドの奥に閉じ込められて、
      腹が減ってたんだ・・・。」
  ココ「え・・・?」
  サメ1「空きっぱらでウロウロと、エサを探し回る必要がなくな
      ったぜ。(笑う。)」
  ココ「畜生・・・」
  もも「ココ・・・!!」









           サメに狙われたももとココは、一体どうなる
           のでしょうか・・・?“ピンクのももちゃん―
           ももちゃんとお友達―3”へつづきます・・・。














    ※ “2人”ではなく、本来は“2匹”だと思うのですが・・・
      聞こえが良くないので、敢えて“人”と数えさせて
      頂きました^^;

    ※2、サメに“1”が付いていますが、これは“ももちゃん”
      第2段で登場した“サメ1、2”の“1”と同一サメだから
      です(^^♪
 
     (ももちゃんシリーズの、時期的なことをお話しすると、
      “2”で、珊瑚の森へ向かったサメ2匹は、漁船に捕まる
      数日前に、ココの村を襲っていたのです。) 




 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



      (おまけフォト^^;)
      
          (左より)ジ―ク・ポーラ・クリフ。

     明日の録音日に、メンバーにプレゼントするマスコット
     です♥・・・と言っても、クリフくんは私です^^;
     他のメンバーのマスコットは・・・写真に収める前に、
     撮ろうと思っていたのを忘れて、袋詰めしてしまいまし
     た~(^_^;)

     基本的に声が高めな為、男の子の声はどうしても低め
     になり、女の子の声の時より、ノドの調子が厳しいです
     ~・・・(>_<)・・・のど飴片手に、頑張ります・・・(^^)v  



     (どら余談^^;)

     録音、その編集作業と・・・長時間に渡り、只今帰還致し
     ました~(>_<)まだまだ編集に要する時間は、計り知
     れませんが、一先ず録音したままの状態のものを、持ち
     帰りました(^^♪今回、皆の頑張りが大きく、私的には、
     中々満足の行く、録音具合であったと、自分のことは
     さて置き、とても面白い作品に仕上がりそうで、嬉しい
     限りです(^^)
     来年春公演、楽しみにしていて下さい♥








        http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

      http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 
         http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227