りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“バーナード” ―全16場― 6

2012年10月26日 20時11分11秒 | 未発表脚本

         サミーと入れ代わるようにバーナード、

         テーブルへ戻って来る。

 

  バーナード「・・・お待たせ・・・(椅子に腰を下ろす。)」

  シェイラ「お帰りなさい!(嬉しそうに、バーナードを見詰める。

       )・・・どうかした・・・?」

  バーナード「え・・・?」

  シェイラ「何だか顔色が・・・」

  バーナード「あ・・・そんなことないよ。(微笑む。)サミーと何の

         話ししてたんだい?楽しそうな笑い声が、電話の

         ところまで聞こえてきたよ。」

  シェイラ「(微笑んで。)秘密!」

  バーナード「何だよ、それ。あいつまた俺の悪口でも言い触ら

         してたんだろ、全く・・・」

  シェイラ「悪口なんかじゃないわよ!(真面目な顔付きになっ

       て。)・・・私・・・もっとあなたのことが知りたい・・・(自分

       の言った言葉に焦ったように。)・・・あ・・・ごめんなさ

       い・・・変なこと言って・・・(笑って誤魔化す。)」

  バーナード「(シェイラを見詰める。)シェイラ・・・俺は・・・」

  

         バーナード、立ち上がって歌う。

         (いつの間にかバーナードとシェイラ、

         スポットに浮かび上がる。)

 

         “いつからだろう こんな気持ち・・・

         長く忘れていた心のときめき・・・

         おまえが側にいるだけで

         全てが違って見える・・・

         全てが輝き

         全てが素晴らしい!!”

 

  バーナード「シェイラ・・・(シェイラの手を取って、立ち上がらせ

         る。)・・・愛している・・・本当に・・・愛しているんだ

         ・・・(シェイラの手に口付ける。)」

  シェイラ「・・・バーナード・・・」

 

         バーナード、シェイラの手を取って前方へ。

         カーテン閉まる。バーナード、再び歌う。

         シェイラ、嬉しそうにバーナードを見詰める。

 

         “いつ気付いたんだろう この感動に・・・

         おまえが側にいるだけで

         こんなにも世界が違って見える・・・

         今まで気付こうとしなかった

         全てのものが愛しくて

         おまえが側にいるからだと・・・

         ああシェイラ・・・いつまでも・・・

         抱きしめたい・・・”

 

         バーナード、シェイラを強く抱きしめる。

         暗転。

 

        ――――― 第 10 場 ―――――

 

         カーテン開く。絵紗前。(事務室。)

         アルバート、ジェイムス、ソファーに座り、

         話し込んでいる。

 

  ジェイムス「しかし、あの女の言っていることを、全て信用する

        のはどうかと・・・」

  アルバート「私もそれは分かっている。」

 

         ジェーン、お茶を運んで来る。其々の前に

         2人の話しを聞くように、ゆっくりコップを

         置く。

 

  ジェーン「どうぞ。」

  アルバート「しかし、今は少しでも疑いのある者は、全て調べて

         おかなければ、敵の尻尾は掴めまい・・・」

  ジェイムス「だが、営業課の超エリート社員であるバーナードが

        まさか・・・」

 

         ジェーン、お茶を配り終え、強張った面持ちで

         出て行く。

 

  アルバート「守衛の証言からも、バーナードがあの日、社内に

        残っていたのは確かなのだ。だが、彼は猛烈社員

        の異名を持つ者・・・残業届けなどどうでもいいのだ

        よ。」

  ジェイムス「そうですね・・・まぁ、聞いてみるくらいはいいでしょ

        う。ただ、このことはシェイラ・ハミルトンに聞いたこ

        とにし、態々バーナードの耳に入れて欲しいと言った

        ダイアナは一体何を考えているのでしょうか・・・」

  アルバート「さぁ・・・社員のプライベートには興味はないが・・・

         美しく変身したシェイラに嫉妬でもしたのだろう。」

  ジェイムス「美しく・・・ですか・・・?(不思議そうな顔をする。)」

  アルバート「何だ、君はまだ美しく変身したシェイラに会ってい

        ないのかね?」

  ジェイムス「変身・・・?」

  アルバート「あれは変身と言うより、別人だな・・・。まぁ、彼女

         のことはどうでもいい・・・」

  ジェイムス「はぁ・・・」

 

         その時、扉をノックする音。

 

  アルバート「入りたまえ・・・」

 

         ジェイムス、立ち上がる。

         扉を開けて、バーナード入る。

 

  バーナード「お呼びですか・・・?」

  アルバート「・・・まぁ、掛けたまえ・・・」

  バーナード「失礼します・・・。(ソファーに腰を下ろす。)」

 

         ジェイムス、再び腰を下ろす。

 

  アルバート「どうかね?仕事の方は・・・。君にもう慣れたかね

         ?と聞くのは、愚問だな。もう今や君は、我が社の

         期待の星・・・。(笑う。)」

  バーナード「そんなことはありません。」

  アルバート「君程の人材が今まで・・・(机の上の書類を手に取

         り、ペラペラと捲くって見る。)名前も聞いたことの

         ないような・・・失礼・・・」

  バーナード「・・・いえ・・・」

  アルバート「中小企業に埋もれていたとは・・・全く不思議なこ

         とだな。ところで・・・(真面目な顔付きになる。)こ

         れから君に聞くことは我が社にとって、とても大事

         なことなのだが・・・(ジェイムスに話すように、目で

         促す。)」

  ジェイムス「(咳払いをして姿勢を正す。)実は・・・今月の6日

        の金曜日に・・・レジャー産業部門の金庫から、ある

        重要書類が何者かによって、盗み出されたのだ・・・

        」

  バーナード「・・・盗み出された・・・?」

  アルバート「そう・・・。それで我々は犯人捜しに躍起になって

         いると言う訳なのだが・・・」

  バーナード「・・・それで・・・私に何か・・・?」

  ジェイムス「あの日、君は残業していたようだね・・・?」

  アルバート「・・・だが残業届けは出ていなかった・・・」

  バーナード「残業届けなしで残っていたから、私が怪しいと・・・

         ・?」

  アルバート「いや・・・ただあの日の君の行動に、不審なところ

         があったと・・・ある女子社員からの報告を聞いて

         ね・・・」

  バーナード「・・・女子社員・・・?」

  アルバート「何もその報告を信じている訳ではないのだが・・・

        一応・・・」

  ジェイムス「(紙をバーナードの前へ置く。)これにサインを頂け

        ますか・・・?」

  バーナード「(紙を手に取って。)・・・身辺調査の同意書・・・?」

  ジェイムス「これは君だけに頼んでいるのではないのだ。あの

        日、社内にいたもの全てにサインをもらっているの

        だ。」

  アルバート「書類の中身は言えないが・・・あの書類が他社に

        流出したことによって、我が社の損害は計り知れな

        い・・・。その責任の追及先を定めたいと言うことな

        のだよ。」

 

         ジェイムス、ペンをバーナードへ差し出す。

         バーナード、それに目を遣るが、自分の

         スーツの内ポケットからペンを出し、紙に

         黙ってサインをする。

 

  バーナード「・・・これでよろしいですか?」

  アルバート「・・・あ・・・ああ・・・それではもう仕事に戻りたまえ

         。」

  バーナード「失礼します。(立ち上がって出て行こうとし、入り口

        のところで振り返る。)一つだけ・・・いいでしょうか・・・

        」

  アルバート「ああ、何かね?」

  バーナード「さっき、仰ってた・・・女子社員とは・・・?」

  アルバート「(ジェイムスと顔を見合わせる。)・・・庶務課の・・・

        シェイラ・ハミルトンだ・・・。君は知っているかどうか

        ・・・」

 

         バーナード、アルバートの話しを最後まで

         聞かずに顔を強張らせて出て行く。

 

  アルバート「(溜め息を吐く。)・・・猛烈社員の異名を取るだけ

        あって・・・中々難しい男だな・・・」

  ジェイムス「はぁ・・・」

 

         暗転。カーテン閉まる。

 

 

 

 

 

 

 

      ――――― “バーナード”7へつづく ―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

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“バーナード” ―全16場― 5

2012年10月25日 20時17分50秒 | 未発表脚本

  ――――― 第 9 場 ―――――

 

         カーテン開く。

         舞台はカフェ・バー。明るく楽し気な雰囲気が

         漂っている。

         歌手サミー、軽快なジャズを歌っている。

         そこへシェイラをエスコートしてバーナード

         入って来る。お互い顔を見合わせ微笑む。

         2人、空いているテーブルへ進み寄り、

         バーナード、椅子を引きシェイラに勧め、

         自分も座る。

         バーナード、手を上げてボーイを呼び、

         何かを注文する。シェイラ、落ち着きなく

         珍しそうに周りを見回している。

         サミーの歌が終わり、静かな音楽流れる。

 

  バーナード「どうしたんだい?」

  シェイラ「何だか・・・何もかもが新鮮で・・・」

  バーナード「こう言うところは初めて?」

  シェイラ「ええ・・・。仕事が終わると毎日家へ直行・・・寄り道な

       んて・・・」

  バーナード「(笑う。)面白いことを言うな。」

  シェイラ「本当よ。」

 

         ボーイ、飲み物を2つ運んで来る。

 

  ボーイ「お待たせしました。(テーブルへ飲み物を置く。)」

  バーナード「ありがとう。」

 

         ボーイ、下がる。

 

  バーナード「(グラスを持って。)素敵な夜に乾杯!(グラスに

         口を付ける。)」

  シェイラ「頂きます・・・(グラスに少し口を付ける。)」

 

         サミー、嬉しそうに2人のテーブルに

         近寄る。

 

  サミー「お久しぶり!バーナードさん!(横から椅子を取り、反

      対向きに置いて座る。)どうしてたんすか?」

  バーナード「よぉ、元気か?相変わらずいい声してるな。」

  サミー「ありがとう!(チラッとシェイラの顔を見る。)彼女?」

  バーナード「(シェイラに微笑みかけて。)ああ・・・同じ会社の

         シェイラ・ハミルトン・・・」

  シェイラ「初めまして・・・」

  サミー「どうも!じゃあ君もNYイン・・・」

  バーナード「(慌てて。)サミー!!プリンセス・コーポレーション

         だ!!」

  サミー「おっと・・・そりゃ、どっちも大手だ。(笑う。)」

  シェイラ「(不思議そうに。)・・・どっちも・・・?」

  バーナード「(シェイラに笑いかけて。)何でもないよ。サミー!

         !おまえいい加減にしろよ!!」

  サミー「ごめん、ごめん!!でも、羨ましいよなぁ・・・。バーナ

      ードさんはこんな美人の彼女がいて!!(立ち上がって

      。)綺麗な彼女!!ごゆっくり!!」      ※

 

         サミー、カウンターの方へ行く。

 

  シェイラ「綺麗だなんて・・・冗談ばっかり・・・(下を向く。)

       」

  バーナード「(微笑んで、シェイラを見詰める。)あいつは、嘘

        を吐くような奴じゃないよ。心からそう言ったんだ

        。」

  シェイラ「(顔を上げて。)バーナード・・・」

  バーナード「俺も奴とは同意見だな。」

  シェイラ「・・・私が何故・・・この会社を選んだか分かる・・・

       ?笑われるかも知れないけれど・・・名前がね・・・気

       に入ったの・・・。プリンセスだなんて、とっても素敵

       じゃない?私には一生縁のない言葉だもの・・・。せめ

       て毎日、働きに行く場所は、こんな素敵な名前の会社で

       もいいかな・・・って・・・。可笑しいでしょ・・・?

       」

  バーナード「そんな風に思っていたのかい?シェイラは今まで、自

        分の魅力に気付かなかったんだな、きっと・・・」

  シェイラ「魅力・・・?」

  バーナード「そう。今まで君はダイヤモンドの原石のようなものだ

         ったんだ。磨けば磨く程、美しく輝いていく・・・。本当

         に気付かなかった・・・?」

  シェイラ「(首を強く振る。)・・・私は今まで劣等感が強くて・・・姉

       がね・・・一人いるんだけれど・・・」

  バーナード「ああ・・・」

  シェイラ「姉は昔から頭が良くて、美人で、両親自慢の娘だった

       の・・・。反対に私は、姉みたいに優等生じゃなかったか

       ら、その頃から私は劣等性のお墨付きだったの・・・。姉

       のようになりたいと思って頑張れば頑張る程、自分が

       自分でなくなっていくような気がして・・・それでも私も両

       親自慢まではいかなくても、少しでも姉に近付きたいと

       思ったわ・・・。でもね、ある日突然思ったの・・・いくら頑

       張って姉のようになれたとしても、それは嘘の私であっ

       て、本当の私ではないんだ・・・って・・・。それからは優

       等生でなくても、私は・・・私らしく生きよう!って・・・そう

       思ったの。ごめんなさい・・・変な話しして・・・」

  バーナード「(微笑んで。)いや、構わないよ。」

  シェイラ「私、今こうしてあなたに出会えて、私の中にあった劣等

       感が少し軽くなった気がする・・・あなたのお陰で・・・」

  バーナード「俺は単なる、加工職人みたいなものだよ。君は君の

         力で輝き出したんだ・・・シェイラ・・・」

  シェイラ「・・・私が・・・私の力で・・・?」

  バーナード「そう・・・」

 

         バーナード、シェイラを見詰めたまま、

         テーブルの上を滑るように手を延ばし、

         シェイラの手を握る。

 

  シェイラ「(驚いて思わず手を引っ込めようとする。)バーナード

       ・・・」

  バーナード「(シェイラの手を強く握ったまま、シェイラを見詰め

         る。)」

 

         その時、サミー再び近寄る。

 

  サミー「(2人を見て肩を窄めながら。)やれやれ、いいムード

      のところ、お邪魔様!」

  バーナード「(シェイラの手を放して、溜め息を吐きながらサミ

         ーを見上げる。)野暮な奴だな。」

  サミー「仕方ないよ。バーナードさんに電話だもの。(電話の

      方を指差す。)」

  バーナード「電話・・・?可笑しいな・・・(独り言のように。)ここ

         に来てることを知ってる奴なんかいない筈なのに

         ・・・(立ち上がりながら。)シェイラ、少し待ってて

         くれ。」

  シェイラ「ええ。」

  サミー「バーナードさん、俺が彼女の相手しててやるから、ごゆ

      っくり!」

  バーナード「余計なこと、喋るなよ!!」

  サミー「OK!」

 

         バーナード、電話の方へ歩いて行く。

         サミー、さっきと同じように椅子を反対向け、

         腰を下ろし、シェイラと楽し気に会話し始める。

 

  バーナード「(電話を取って。)はい・・・(受話器を見て。)可笑

         しいな・・・」

 

         バーナード、受話器を置くと、背後に

         人の気配を感じ振り向く。

         (ジャック、立っている。)

         店の音楽、少し静かになる。

 

  バーナード「おまえは・・・」

  ジャック「矢張り彼女は美しい人でしたね。(サングラスを取り、

       ニヤリと笑う。)」

  バーナード「また俺達を付けていたのか・・・」

  ジャック「・・・シェイラ・ハミルトンをね。さっきはいいムードの

       ところ、邪魔して申し訳ありません。」

  バーナード「じゃあ、この電話はおまえが・・・?」

  ジャック「まぁ・・・ね。一言忠告して差し上げようと思いまして

       ・・・」

  バーナード「何だ・・・」

  ジャック「彼女に本気にならないことですよ・・・。彼女の命は

       私の手の中にあるのですからね・・・。」

  バーナード「待ってくれ!!彼女はあの日、俺の顔は見てい

        ないんだ!!重度の近眼で、あの日はメガネを掛

        けていなかった・・・!!」

  ジャック「・・・それで・・・?」

  バーナード「だから彼女を殺す必要はないんだ!!」

  ジャック「それは困りましたねぇ・・・。しかし私は、一度引き受け

       た仕事は、如何なる事情があろうと、必ず遂行する人間で

       す。残念ですが・・・」

  バーナード「金なら常務が約束した分も俺が払う!!それなら文句は

        ないだろう!?」

  ジャック「・・・やれやれ・・・私の忠告は遅過ぎたようですね・・

       ・」

  バーナード「・・・何・・・?」

  ジャック「あなたは彼女にどうやら・・・本気で惚れてしまったよう

       だ・・・。しかし、あなたには私を止めることは出来ない

       。(サングラスを掛け、出て行く。)」

  バーナード「・・・おい!!」

 

         バーナード、暫くジャックが出て行った方を

         呆然と見ている。

         再び、音楽大きくなる。

 

  サミー「・・・で、バーナードさんったら、柄にもなく向きになって

      怒るんだ。いつもみたいに“サミー!!いい加減にしろ

      !!”ってね。」

 

         シェイラ、サミーの話しに、可笑しそうに

         声を上げて笑う。

 

  サミー「(そんなシェイラの様子に嬉しそうに。)あんた、美人な

      のに全然気取ったとこないね。」

  シェイラ「・・・え?」

  サミー「普通、あんたみたいに綺麗な人は、俺らみたいな野郎

      と話して、ゲラゲラ笑ったりしないよ。(楽しそうに。)」

  シェイラ「(恥ずかしそうに下を向く。)ごめんなさい・・・あまりに

       あなたのお話しが可笑しくて・・・」

  サミー「謝ることなんてないさ!俺は褒めたつもりなんだから。

      あんたがバーナードさんの彼女でなかったら、俺が申し

      込むのに・・・。バーナードさんじゃ敵わないや。(立ち上

      がって。)彼氏、戻って来たよ!じゃあ!(手を上げて行

      きかけて、振り返る。)またいつでも来いよ!奢ってやる

      からさ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

      ――――― “バーナード”6へつづく ―――――

 

 

 

 

 

 

 

   ※ この“サミー”君のような青年、とても好きなキャラで、

     特に昔に書いた趣味的な作品には、よく登場します^^;

     

 

 

 

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“バーナード” ―全16場― 4

2012年10月24日 19時47分02秒 | 未発表脚本


  ジュディ「勿論、本当です!!それからこれにはオマケの話し

       が付いてて、営業課の私の彼、フランクに聞いたんだ

       けど、なんと!!」

  ビル「なんと!?」

  ジュディ「営業課のエリートハンサムボーイのバーナードさんと

       シェイラがどうも付き合ってるらしいって!!」

 

         一時置いて、再び一斉に大笑いになる。

         ダイアナだけは、何か思い詰めた表情を

         している。

 

  ジョー「フランクの言ってることだろ?当てになるもんか!!」

  ジュディ「そんなことないわよ!!彼、バーナードさんとは親しく

       してもらってるもの!!現に、シェイラの変身はバーナ

       ードさんのアイデアらしいわよ!!」

  スティーヴ「まさか!!」

 

         そこへ、ジェラルド、ジャッキー入って来る。

 

  ジェラルド「どうした?皆、集まって。」

  ハッティ「課長!シェイラはもう来てます?」

  ジェラルド「さぁ。今日はまだ見てないな。もうそろそろ来るんじ

        ゃないか?」

  ジュディ「ジャッキーさん!!更衣室にシェイラいませんでした

       か?」

  ジャッキー「さぁ・・・私が行った時は、誰もいなかったけど・・・。

        シェイラがどうかしたの?」

  ダイアナ「それがジュディが更衣室で、美人になったシェイラを

       見たって・・・」

 

         ジェラルドとジャッキー、お互いの顔を

         見合わせて、一時置いて大笑いする。

 

  ジェラルド「何、馬鹿なこと言ってるんだ?」

  ジャッキー「天地が引っ繰り返っても、シェイラが美人になるな

        んてこと、ある訳ないじゃない!!」

  ジェラルド「そりゃそうだ。」

 

         今まで黙って聞いていたリチャード、皆に

         近寄る。

 

  リチャード「シェイラは・・・彼女はいつもはあんな格好している

        から分からないけれど・・・綺麗だったよ・・・」

 

         皆、一斉にリチャードに注目して、再び笑う。

 

  スティーヴ「(リチャードの肩に手を置いて。)矢っ張り、おまえ

        シェイラに惚れてたんだな!」

  リチャード「それは・・・」

  スティーブ「隠すことないだろ?別にああ言うのが好みの奴も

        たまにはいるだろうさ!」

 

         その時、入り口からシェイラ入って来る。

         シェイラ、昨日までとは打って変わり、一変

         して洗練された美人オフィス・レディになって

         いた。皆、一斉にシェイラに注目して、ただ

         ポカンと口を開け、呆然と見詰める。

 

  シェイラ「(いつもと変わりなく。)おはようございます。」

 

         シェイラ、自分のデスクへ行き、書類を整える。

         皆、まだシェイラに注目したまま、目が離せな

         いで呆っとしている。

 

  シェイラ「(皆の方を向いて。)あの・・・これは何処へ運べばい

       いでしょうか?」

  ジェラルド「(ハッとして。)・・・あ・・・ああ・・・あ・・・(皆を見回す

        。)」

  スティーヴ「・・・お・・・俺、行って来ます!!コピー室ですよね

        !!(慌ててシェイラに近寄り、書類を持つ。)俺が

        行って来るよ!!」

  シェイラ「でも・・・」

  スティーヴ「いいって!!」

  ダイアナ「スティーヴ!!」

 

         スティーヴ、ダイアナの声は聞こえていない

         ように出て行く。

         リチャード以外の男子社員、いつの間にか

         シェイラの周りに集まる。

         女子社員、面白くないと言った風に、遠巻き

         に見詰める。

         リチャードだけは、少し淋しそうな面持ちで。

 

  ジェラルド「一体どうしたんだ、シェイラ!!」

  ジョー「偉く変わったなぁ!!」

  ビル「まさかこんなに美人だったなんて!!」

  ビリー「俺は最初から分かっていたさ!!彼女がそこいらの女

      共より美人だって!!」

  ジョー「調子いいぞ、おまえ!!」

  ジェラルド「おまえら始業時間はとっくに過ぎてるんだぞ!!

        さっさと仕事に就けよ!!」

 

         ジョー、ビル、ビリー顔を見合わせて。

 

  ビル「ちぇっ!一番調子いいのは、課長じゃないか・・・」

  ジェラルド「何か言ったか?」

  

         皆、其々仕事に就く。が、目線は専ら

         シェイラの方を向いている。

 

  ジェラルド「(シェイラの両肩を持って、椅子に座らせながら。)

        さぁ、君はここに座って、ゆっくりしときたまえ。」

  シェイラ「(ジェラルドを見上げて。)でも・・・」

  ジェラルド「いいの、いいの!!美人は課の宝なんだから、何

        もしなくていいんだよ!!」

 

         ジェラルド、入り口から出て行く。

         シェイラ、周りを見回して、ただ黙って下を

         向く。シェイラと目が合った男子社員、

         ウインクを返したりする。

         その時、入り口からバーナードとフランク、

         入って来る。

         バーナード、椅子に座っているシェイラを

         認め、近寄る。フランク、ジュディのデスク

         に近寄る。

 

  バーナード「おはよう、シェイラ!」

 

         皆、驚いた面持ちで2人に注目している。

         女子社員、2人に注目しながら、ダイアナ

         のデスクに近寄って行く。

 

  シェイラ「(顔を上げてバーナードを認め、嬉しそうに立ち上が

       る。)バーナード!!」

  バーナード「今日、お昼一緒にどう?」

  シェイラ「・・・でも外回りは?」

  バーナード「午前中は近くだけだから、大丈夫さ!イタリア料理

         でどう?」

  シェイラ「(微笑んで。)・・・私は何でも・・・」

  バーナード「じゃあ予約しとくから!(シェイラの頬に口付ける。

         )」

  シェイラ「バーナード・・・(恥ずかしそうに。だが嬉しそうに、

       バーナードの背中を見詰める。)」

  バーナード「(フランクを認めて。)フランク!!行くぞ!!」

 

         バーナード、出て行く。

 

  フランク「(慌ててバーナードの後を追う。)待って下さいよー!

       !」

  

         女子社員残して、カーテン閉まる。

         ジャッキー、少し皆と離れて立つ。

 

  フィービー「一体何!?バーナードさんと付き合ってるって言う

        噂も本当な訳!?」

  ハッティ「何か頭きちゃうわよね!!」

  ジュディ「だから言ったでしょ!フランクは嘘なんて吐かないも

       の!!」

  ハッティ「でも、どうしてバーナードさんがシェイラなんかと!?

       確かに見た目はよくなったけど・・・。」

  ジュディ「そこまではフランクだって知らないわ。ただ言い寄っ

       たのはバーナードさんからだって。」

  フィービー「本当!?」

  ダイアナ「・・・許せないわ・・・」

  フィービー「え・・・?」

  ダイアナ「許せないわ・・・!!彼は私が先に目を付けたのよ

       !!それをちょっと綺麗になったからって、横取りす

       るなんて絶対許せない!!」

  ジュディ「え・・・あ・・・でもダイアナさんには・・・スティーヴがい

       たんじゃ・・・」

  ダイアナ「(鼻で笑って。)スティーヴ?あんなの何でもないわ

       !!あいつは綺麗になったシェイラに、一番に鼻の

       下伸ばして寄って行ったのよ!!馬鹿にしてるわ!

       !覚えてらっしゃい!!」

  ジャッキー「(腕組みしながら。)でも男って正直な生き物よね

        ぇ・・・悔しいけど、誰もシェイラに勝てやしないわ・・・

        。あなたもね、ダイアナ。」

 

         ジャッキー、下手へ出て行く。4人、後に

         従うように出て行く。

         入れ代わるように、下手よりアルバート、

         ジェイムス、ロベール出る。

         ダイアナ、振り返り3人を見ながら出る。

 

  アルバート「それで先週の金曜日に、残業届けが出ていた者

        の中で、怪しい者はいなかったと言うのか。」

  ジェイムス「はい。一応、一通り問い質したりはしてみたのです

        が・・・。後一人、庶務課のシェイラ・ハミルトンには

        まだ聞いていないのですが、彼女は多分大丈夫で

        しょう。ただ・・・残業届けを出さずに、社内に残って

        いた者も数名いるようですし、実際誰があれを盗ん

        だか・・・となると、多分捜し出すのは無理ではない

        かと・・・」

  アルバート「あれがNYインターナショナルに流れたことによっ

         て、我々の今回の計画は握り潰されたも同然・・・

         なんとしてでも犯人を見つけ出す・・・!!(ロベ

         ールの方を向いて。)ロベール、NYインターナショ

         ナルの方はどうだ?何か情報は入ったか?」

  ロベール「はい。NYインターナショナルの方は、着々とクリア

        島全土に進出して来ている模様です。」

  アルバート「・・・前回の仕返しのつもりか・・・」

 

         その時、ダイアナ再び出る。

 

  ダイアナ「(3人に近寄って。)アルバート専務・・・」

  ジェイムス「(驚いて。)何だ!!君は!!」

  ダイアナ「庶務課のダイアナ・バリーです。さっき・・・お話しが

       チラッと聞こえたのですが・・・」

 

         3人、其々強張った顔を見合わせる。

 

  ダイアナ「・・・私も先週の金曜日・・・社内に残っていました。」

  アルバート「何・・・?」

  ダイアナ「(目を輝かせて。)そのことで、お話しがあります・・・」

 

         暗転。

 

 

       

 

 

 

     ――――― “バーナード”5へつづく ―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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“バーナード” ―全16場― 3

2012年10月23日 20時45分30秒 | 未発表脚本

        一時置いてジェラルド、ダイアナ、スティーヴ

         入って来る。

 

  ジェラルド「おい、シェイラ!何、呆っと突っ立ってるんだ!」

  シェイラ「あ・・・すみません・・・」

  ジェラルド「片付けだ!片付け!」

  シェイラ「・・・片付け?」

  ジェラルド「全く、上の奴らのやることはよく分からん!今日の

        会議は中止だとさ!一体、庶務課を何だと思ってや

        がるんだ。」

  スティーヴ「本当ですね、課長!」

 

         4人、机の上の書類を掻き集める。

         ダイアナ、そっとシェイラに近寄って。

 

  ダイアナ「さっきまで、ここにバーナードがいたでしょう?」

  シェイラ「え・・・?ええ・・・」

  ダイアナ「何してたの?(意地悪気に。)」

  シェイラ「・・・別に・・・」

  ダイアナ「私には教えられないって言う訳・・・?」

  シェイラ「・・・そんな・・・」

  ジェラルド「どうした?」

  ダイアナ「課長!シェイラったら今までここで、営業課のバーナ

       ードさんと2人っきりだったんですよ!怪しいと思いま

       せん?」

  ジェラルド「冗談だろ?(笑う。)あの営業課のエリートハンサム

        ボーイが、このシェイラと怪しい関係な訳あるかよ!」

  スティーヴ「(笑いながら。)当たり前だろ!(急に真面目な顔付

        きになって。)あ・・・まさか、おまえ・・・あのエリートボ

        ーイのこと・・・そうなのか!?ダイアナ!!」

  ダイアナ「煩いなぁ・・・そんなこと、どうでもいいじゃない!」

  スティーヴ「どうでもいいはないだろ!!俺はおまえに惚れてる

        んだから!!」

  ダイアナ「あああ、鬱陶しいなぁ・・・」

  スティーヴ「それはないぜ!!」

  ジェラルド「(笑いながら。)冗談はそのくらいにしろ!さぁ、行く

        ぞ!!」

 

         ジェラルド、ダイアナ、スティーヴ出て行く。

         シェイラ、うつむき加減に3人に続いて去る。

         暗転。カーテン閉まる。

 

       ――――― 第 6 場 ―――――

 

         カーテン前。

         ジャック、ポケットに手を突っ込み、ブラブラ

         歩いている。

         後ろからウォルター、追い掛けるように

         付いて出る。

 

  ジャック「(歩を止めて、前を向いたまま。)俺に何か用か・・・」

  ウォルター「あ・・・いや・・・」

  ジャック「何故、俺に付きまとう・・・」

  ウォルター「(ジャックに近寄りながら。)あの・・・ボールデン常

        務とは・・・その・・・いつから・・・」

  ジャック「(しらばっくれた風に。)・・・さぁ・・・(振り返って、ニヤリ

       と笑う。)何故そんなことを聞く・・・」

  ウォルター「・・・常務の命令で・・・今まで何人・・・手に・・・」

  ジャック「命令じゃない。これはビジネスの上での取引だ。俺は

       獲物が欲しかった・・・あいつは消して欲しい奴がいた

       ・・・」

  ウォルター「その・・・取引で・・・何人も・・・」

  ジャック「・・・さぁ・・・あいつとの付き合いは長いんでね・・・。何

       人か・・・なんてのは忘れちまったなぁ・・・。おまえもあ

       まり首を突っ込まない方が賢明だと思うがね・・・。俺の

       獲物にはなりたくはないだろう・・・?(笑う。)」

  ウォルター「(一瞬、体が強張る。)・・・それは・・・」

  

         ジャック、大声で笑いながら下手へ去る。

         入れ代わるように上手より、シンディ登場。

 

  シンディ「(呆っとしているウォルターに近寄り。)ウォルターさん

       ?どうされたんですか?」

  ウォルター「(振り返り。)あ・・・?シンディか・・・」

  シンディ「顔色があまり良くありませんわ。」

  ウォルター「・・・いや、何・・・たいしたことはないよ。シンディ、

         君は常務の秘書として勤務して、長いのかい?」

  シンディ「そうですわね・・・もうかなり長く経ちますわ。それが何

       か・・・?」

  ウォルター「その・・・君は、常務がどう言う人物であるかは、よく

         知っているようだね・・・。」

  シンディ「・・・ジャックさんのことですか・・・?」

  ウォルター「・・・まぁ・・・そう言うことだ・・・」

  シンディ「私は最初から、必要以上に常務のことを知ろうとは

       しませんでしたから・・・。」

  ウォルター「見て見ぬ振りをしてきたと言う訳か・・・」

  シンディ「あまり知ろうとなさらない方が、ウォルターさんの為だ

       と思いますけど・・・」

  ウォルター「今・・・ジャックにも同じことを言われたよ。そうする

         のがよさそうだな・・・」

 

         暗転。

 

      ――――― 第 7 場 ――――― A

 

         カーテン開く。

         フェード・インする。と、夕暮れ時の公園。

         木々がネオンに彩られ、仕事を終えた人々は、

         ゆっくりと家路につく。

         バーナード、下手よりゆっくり登場。続いて

         シェイラ、うつ向き加減に登場。

         擦れ違う女性達、バーナードに憧れの眼差し

         を向けるが、後ろのシェイラに気付くと、

         クスクス笑う。

         バーナード、そんな彼女達の反応に、溜め息

         を吐く。

         そんな2人の後を、隠れるようにしてジャック

         が付いている。

 

  バーナード「・・・あの・・・さ・・・シェイラ、どうしてコンタクトレンズ

         にしないの?」

  シェイラ「・・・眼鏡・・・変?」

  バーナード「あ・・・いや、似合ってるよ、すごく。だけど、コンタ

        クトもいいんじゃないかなって・・・」

  シェイラ「・・・でも・・・ずっと眼鏡しか・・・それに高いし・・・」

  バーナード「あれ・・・?この間してなかったかい?」

  シェイラ「いいえ・・・コンタクトは持ってないもの。」

  バーナード「だけど、あの日・・・確かに君は眼鏡はかけていな

         かった・・・」

  シェイラ「(微笑んで。)ひょっとして・・・先週の金曜日のこと?」

  バーナード「あ・・・ああ、そう金曜日!」

  シェイラ「あの日は偶々、社内で転んだ時、眼鏡をなくしちゃっ

       て・・・。あの後、何も見えなくてとても困ったのよ。(笑

       う。)」

  バーナード「それじゃあ・・・(少し考えるように。)」

  シェイラ「え?」

  バーナード「いや・・・(嬉しそうに。)俺がコンタクトをプレゼント

         するよ!!」

  シェイラ「・・・でも・・・」

  バーナード「さぁ、買いに行こう!!(シェイラの手を取る。)」

  シェイラ「あの・・・」

  バーナード「眼鏡なしの君が見てみたいんだ!!」

  シェイラ「・・・じゃあ・・・(眼鏡を外して、バックに仕舞う。)」

  バーナード「・・・シェイラ・・・(思わず呆っとシェイラを見詰める。

         )」

  シェイラ「バーナード?」

  バーナード「あ・・・矢っ張りそっちの方がいいよ!!・・・そうだ

         ・・・いいことを思いついた!!俺に任せてくれ!!

         」

  シェイラ「いいこと・・・?」

  バーナード「服を買って美容院に行って・・・」

  シェイラ「・・・え・・・?」

  バーナード「お金のことなら心配は無用さ!!(独り言のように)

         連れて歩くのに、恥ずかしい思いをしなくて済むん

         なら、安いものさ・・・」

  

         バーナード、先々進む。

         シェイラ、ウロウロとしながら木にぶつかり

         謝ったり、他の人の服を掴んで付いて行き

         そうになったりする。

         バーナード、呆れたようにシェイラを見て

         近寄る。

 

  バーナード「(ボソッと)先ず、コンタクトを買おう・・・(シェイラの

         手を取って歩き出す。)」

 

         バーナード、その時ジャックの存在に気付き

         立ち止まる。

 

  シェイラ「バーナード・・・?」

  バーナード「シェイラ・・・眼鏡をかけていいから、先に行って駅

         で待っててくれないか・・・?会社に大事な書類を

         忘れてきたようだ・・・」

  シェイラ「一緒に行きましょうか?」

  バーナード「いや・・・走って行ってくるから、君は先に行ってて

         くれ。」

  シェイラ「分かったわ。(バックから眼鏡を出しかける。)」

  バーナード「じゃあ、直ぐに追い付くから!(走って行きかける。

         )」

 

         シェイラ、下手へ去る。

         シェイラの後を付いて行こうと進み出た

         ジャックの前に、バーナード立ち塞がる。

         2人残してカーテン閉まる。

 

       ――――― 第 7 場 ――――― B

 

         カーテン前。

 

  バーナード「おまえは誰だ・・・。何故、俺達に付きまとう・・・?」

  ジャック「別にあなたに付きまとっている訳じゃあ、ありません

       よ・・・バーナードさん・・・。(ニヤリと笑う。)」

  バーナード「・・・どうして俺の名を・・・!?」

  ジャック「私はシェイラ・ハミルトンを殺る為に、あなたの上司に

       雇われた殺し屋です・・・。」

  バーナード「・・・殺し屋!?」

  ジャック「ただ今直ぐ殺す訳ではない・・・まだOKはもらってませ

       んからね・・・。楽しみですよ・・・。あんなに美しい女性

       を殺るのは、少々勿体無い気もしますが・・・」

  バーナード「・・・美しいだと・・・?」

  ジャック「隠さなくてもいいですよ。あなたも気付いた筈だ・・・。

       彼女はあんな格好をしてはいるが・・・しかし彼女は自

       分自身も気付いていない程の美人だと言うことを・・・

       (笑う。)」

  バーナード「それは・・・」

  ジャック「精々、生きている間に自分好みの女性に作り替え、

       楽しむんですね。それこそ男の究極の喜びと言うもの

       です。私自身もその方がもっともっと楽しめる。今でも

       腕がうずうずして困っているのですから・・・」

  バーナード「・・・今直ぐ殺さないと言った・・・何故だ・・・」

  ジャック「さぁ・・・私は言われた通りにやるだけですから・・・。

       あなたの上司は私を丸で犬か何かと勘違いなさって

       るんじゃないでしょうか・・・。今の私はご馳走を前に、

       お預け状態ですから・・・。(大笑いする。)」

 

         暗転。

 

     ――――― 第 8 場 ――――― A

 

         カーテン開く。絵紗前。(庶務課のオフィス。)

         其々始業前の時間を過ごしている。

         そこへジュディ、走り登場。

 

  ジュディ「ねぇ!!ねぇ!!見た!?見た!?(息を切らせて。

       )」

  フィービー「見たって何を?」

  ジョー「(楽しそうに。)どうしたんだよ、一体。そんなに慌てて

      ・・・」

  ハッティ「ジュディはいつもこうよ!」

  ジュディ「それがさっき、更衣室で見たことのない美人がいたか

       ら、“新入社員の方ですか?”って聞いたら、なんと!!

       」

  ビリー「なんと!?」

  ジュディ「シェイラだったのよ!!」

 

         一時置いて、一斉に大笑いになる。

 

  ジュディ「本当なんだってば!!冗談なんかじゃないのよ!!」

  ジョー「こりゃいいぜ、全く・・・。」

  ビル「一体、何を見たのかと思えば・・・」

  フィービー「そんな筈ないでしょ!!」

  ハッティ「あのシェイラが、美人な訳ないじゃない!!」

  ジュディ「でも、本当なんだから!!」

  ビリー「誰かと見間違えたんじゃないのか?ダイアナさんとか

      ・・・」

 

         ダイアナ、スティーヴ、近寄る。

 

  ダイアナ「私ならさっきからここにいるわよ。今の話し、本当?」

  

     

 

 

 

 

 

 

 

     ――――― “バーナード”4へつづく ―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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“バーナード” ―全16場― 2

2012年10月22日 19時56分26秒 | 未発表脚本


       ――――― 第 3 場 ―――――

 

         カーテン前。

         上手よりゆっくりボールデン、部下ウォルター、

         少し遅れて秘書シンディ登場。

         

  ボールデン「(何やら深刻な顔付きで。)矢張りもっと早い時期

         に、手を打っとくのだったな。」

  ウォルター「しかし、もう遅すぎたと言う訳でもないのですし、バ

         ーナード君が持って来る書類に目を通してから、早

         急に対策を立てればまだ大丈夫でしょう。」

  ボールデン「ふむ・・・。それで具体的な島の買い付け金額など

         が分かれば・・・そうだな、それからでも遅くはない

         だろう。全く、前回のリゾート計画ではプリンセスコ

         ーポレーションに、まんまとしてやられ、今回のクリ

         ア島には私の首がかかっているのだ。何としても

         成功させなければ・・・。忌々しい会社だ。」

  ウォルター「全くですね・・・。しかし問題なのは、バーナード君

         の顔をプリンセスコーポレーションの社員に見られ

         たと言うことですね・・・。」

  ボールデン「その通りだ。だがそのことに関しては昨夜、バー

         ナードから連絡を受けた時に、直ぐ手は打ってあ

         る。ただ私としても、こんな手はあまり使いたくは

         ないのだが・・・仕方あるまい・・・」

  ウォルター「・・・では・・・ジャックを・・・?」

  ボールデン「(ウォルターを見る。)」

  ウォルター「・・・しかし・・・盗みはまだしも・・・ジャックを使うこ

         とは・・・」

  ボールデン「(思わずウォルターの襟元を掴む。)相変わらず

         甘い奴だ!!私がどうやって今の地位まで上って

         きたか知りもしないで、余計な口出しは止めてもら

         おう!!」

  ウォルター「・・・常務・・・申し訳ありません・・・」

  ボールデン「(掴んでいた手を放す。)・・・言った筈だ、必ず成

         功させると・・・。(振り返ってシンディを見る。)シン

         ディ、ジャックをここへ。」

  シンディ「はい。」

 

         シンディ、上手へ一旦去る。

         ウォルター、不安気な面持ちでシンディの

         背中を見詰める。

 

  ボールデン「(そんなウォルターに気付き。)なぁに・・・そんなに

         心配するな。」

  ウォルター「常務・・・」

  ボールデン「何も今直ぐにその社員を捕まえて来て殺すと言っ

         ている訳ではいのだから。時と場所は心得ている

         ・・・」

 

         上手より再びシンディ登場。

 

  シンディ「常務、呼んで参りました。」

 

         ボールデン、ウォルター上手を見る。

         上手よりいかにも怪し気な黒のスーツ

         に身を包んだジャック、ゆっくり登場。

 

  ボールデン「(ジャックに近寄りながら。)待っていたぞ。」

  ジャック「(かけていたサングラスを外しながら。)今回の獲物

       は?」

  ウォルター「(驚いたように。)・・・今回・・・?」

  ボールデン「(チラッとウォルターに目を遣る。)」

  ジャック「この間みたいな爺じゃ、殺る気が起きないぜ。(ふて

       ぶてしい態度で。)」

  ボールデン「安心しろ。今度は女だ・・・。」

  ジャック「女か・・・いいねぇ・・・。で?今直ぐか・・・?」

  ボールデン「いや、まだだ。その時が来れば連絡をする。」

  ジャック「なぁんだ、お預けか・・・。」

  ボールデン「見張りはバーナードに任せてある。おまえは、い

         つでも殺れるようにその準備を怠るな・・・。いいな

         ?」

  ジャック「女の名前は・・・?」

  ボールデン「プリンセス・コーポレーション社のシェイラ・ハミルト

         ン・・・。」

  ジャック「・・・シェイラ・・・(不気味に笑い出す。)」

  ウォルター「何が可笑しいんだ!!」

  ジャック「(笑いを止めて。)なんだかワクワクしてきたねぇ・・・」

 

         ジャック、サングラスをかけて去る。

 

  ウォルター「(溜め息を吐いて。)常務が彼と長い付き合いだと

         は知っていましたが・・・。まさか・・・本当に・・・」

  ボールデン「どうした・・・?」

  ウォルター「・・・いえ・・・なんでも・・・」

  ボールデン「あまり深く考え込むのは、おまえの為にもよくない

         ぞ・・・(意味あり気にウォルターを見る。)」

  ウォルター「はい・・・」

 

         暗転。

 

       ――――― 第 4 場 ―――――

 

         カーテン開く。絵紗前。(社内の廊下。)

         バーナード、ジェーン、お互いそ知らぬ顔で、

         立ち止まりながら。

 

  バーナード「彼女のことは分かったか?」

  ジェーン「はい。シェイラ・ハミルトン・・・プリンセス・コーポレー

       ションに入社して5年・・・以来、ずっと庶務課に勤務し

       ています。父と母、姉の4人家族・・・現在はニューヨー

       クシティのアパートに一人住まいをしています。社内で

       の勤務態度は至って真面目・・・業務内容は事務一般

       ・・・と言っても、主に他の社員の雑用係で、何故か同

       僚達からはあまり好かれていないようで、行動も単独

       であることが多いようです。」

  バーナード「・・・好かれていない・・・?(思わずジェーンの顔を

         見る。)」

  ジェーン「はい・・・。多分、彼女の見た目からだと思われますけ

       ど・・・。」

  バーナード「そりゃ可哀想だ。見た目と言っても、それは彼女の

         せいでもないだろうに。」

  ジェーン「・・・あなたはどう思われました?」

  バーナード「いや・・・あの時は、自分の顔を隠すことで、精一杯

         だったからな・・・。まぁいい、後は俺が自分で考える

         。ありがとう。」

  ジェーン「今、丁度向こうから書類の山を抱えて来るのが彼女

       です。」

 

         ジェーン、上手へ去る。

         擦れ違うように、シェイラ、上手より登場。

         バーナード振り返り、思わず可笑しそうに

         シェイラに近寄る。

 

  バーナード「やぁ・・・!」

  シェイラ「こんにちは。(そのまま行こうとする。)」

  バーナード「(慌てて。)重そうだね。半分持とうか?」

  シェイラ「ありがとうございます。でも、これは私の仕事ですから

       ・・・」

  バーナード「どこへ持って行くんだい?」

  シェイラ「第1会議室です・・・」

  バーナード「よし!(シェイラの持っている書類を、半ば強引に

         取る。)持って行ってやるよ!」

  シェイラ「(驚いて。)でも!」

  バーナード「来いよ!(先に歩き出す。)」

  シェイラ「(慌てて後を追いながら。)あの・・・でも・・・叱られます

       から・・・!」

  バーナード「俺が勝手にしたって言えばいいさ!」

 

         2人、上手へ去る。

         暗転。

 

    ――――― 第 5 場 ―――――

 

         舞台上は第1会議室。

         ジェイムス、会議用の机の上に、書類を

         配って置いている。と、そこへ慌てて

         ロベール、駆け込んで来る。

 

  ロベール「ジェイムスさん!!大変です!!」

  ジェイムス「(手を止めてロベールを認める。)どうした?慌てて

         。」

  ロベール「我々の“クリア島開発計画”の精細が書き込まれた

        重要書類が、何者かによって盗み出されました!!」

  ジェイムス「(思わず声を荒げて。)何だと!?それでどうした!

        ?」

  ロベール「はい・・・それが・・・」

  ジェイムス「何だ!!ハッキリ言え!!」

  ロベール「NYインターナショナルに流れた模様です・・・!!」

  ジェイムス「NYインターナショナルに流れたたど・・・!?それは

        本当か!!」

  ロベール「残念ですが・・・間違いありません。ある重要筋から

        極秘に入手した情報です。それに金庫の中からは

        確かに書類がなくなっているのです・・・。」

 

         2人、暫く深刻な顔付きで考え込む。

         その時、アルバート専務入って来る。

         ジェイムス、アルバートを認め駆け寄る。

         ロベール、続く。

 

  ジェイムス「専務・・・申し上げ難いのですが、大変なことになり

        ました・・・」

  アルバート「どうした?」

  ジェイムス「我々の計画が、何者かによってNYインターナショ

        ナルに流されたのです。精細書類と共に・・・」

  アルバート「(顔色が変わる。)何だと・・・!?何時だ!!」

  ロベール「はい・・・3日前の極秘会議の後から、今日までの間

        だと思われます・・・」

  アルバート「何故もっと早くに気が付かなかったのだ!!馬鹿

         者!!」

  ロベール「(項垂れながら。)申し訳ありません・・・。まさかあの

        金庫が破られるなどとは思いもしなく・・・」

  ジェイムス「・・・だが、一体誰が・・・」

  アルバート「兎に角、今日の会議は中止だ!!私の部屋で、

        対策を立て直すぞ!!」

  ジェイムス「はい。ロベール!メンバー達に今日の中止の連絡

        を頼む・・・。」

  ロベール「分かりました。」

  アルベール「考えたくはないが・・・我々の社内に、奴らのスパ

         イが紛れ込んでいる可能性があるな・・・。」

 

         3人、出て行く。

         一時置いて、書類を持ったバーナード

         入って来る。シェイラ続く。

 

  バーナード「どこに置く?」

  シェイラ「あ・・・机の上に・・・。後は私がやりますから・・・。」

  バーナード「OK!(机の上に書類を置く。)」

  シェイラ「本当にどうもありがとうございました。重かったでしょう

       ?」

  バーナード「(楽しそうに。)君はいつもこんな重い書類の山を

         運んでるんだろ?」

  シェイラ「あの・・・慣れましたから・・・」

  バーナード「男共にやらせればいいのに。」

  シェイラ「そんな!・・・あ・・・男子社員の方は、皆さんお忙しい

       から・・・。それに私、暇ですし・・・」

  バーナード「お礼してくれる?」

  シェイラ「あ・・・今、私お金は・・・(困ったように。)」

  バーナード「(微笑んで。)お金なんかいらないさ。今夜、僕とデ

         ートしてくれれば、それでいい!」

  シェイラ「(呆然と。)でも・・・私なんかと・・・」

  バーナード「何?」

  シェイラ「(下を向いて。)私なんかと・・・一緒にいると、あなた

       が恥ずかしい思いをするだけです・・・。あなた、営業

       課のバーナードさんでしょ?先月、入社した・・・」

  バーナード「どうして僕のことを知ってるんだい?」

  シェイラ「だって・・・うちの課の女子社員の間でも、あなたのこ

       とはいつも噂になってます。私はただ聞いているだけ

       ですけど・・・一目見て分かりましたわ・・・。だって、皆

       が言うようにとても素敵な方・・・(小声になる。)だから

       私なんかと・・・」

  バーナード「(微笑んで。)僕も君のこと、知ってるよ。庶務課の

         シェイラ・ハミルトン・・・入社して5年目・・・」

  シェイラ「どうして・・・?」

  バーナード「気になったから、ちょっとね・・・。黙って調べたりし

         てごめん。」

  シェイラ「・・・気になった・・・?」

  バーナード「ああ・・・。一生懸命に働く君を見てるうち・・・君の

         ことが好きになったのかも知れない・・・」

  シェイラ「嘘でしょ・・・」

  バーナード「どうして?」

  シェイラ「だって・・・私・・・(下を向く。)」

  バーナード「(シェイラの手を取り。)僕と付き合ってくれるかい

         ・・・?」

  シェイラ「(驚いたように一時バーナードを見詰める。クスッと笑

       って。)」

  バーナード「可笑しい?」

  シェイラ「ええ・・・。だって、今までそんな風に言われたこと、一

       度だってないんですもの・・・。」

  バーナード「・・・今夜、デートしてくれるかな?」

  シェイラ「・・・バーナードさん・・・」

  バーナード「バーナードでいいよ。」

  シェイラ「・・・バーナード・・・本当に・・・?」

  バーナード「ああ・・・」

  シェイラ「(黙って頷く。)」

  バーナード「よかった!じゃあ僕は行くよ!今からまた営業だ。

         終業後に下のフロントで待ってるよ!」

 

         バーナード、手を上げて出て行く。

         シェイラ、答えるように手を上げて、

         呆然とバーナードの背中を見詰める。

 

  シェイラ「(呟くように。)夢を見ているのかしら・・・」

  

          

  

       

 

 

 

 

     ――――― “バーナード”3へつづく ―――――

 









 

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