「身の丈」経営,「身の程」人生

身の丈,身の程を知って生きる・・・・・

『安楽死を遂げた日本人』-5 <救急隊,家族が蘇生断ったら-中止容認広がる>

2019-07-06 00:15:00 | 安楽死・尊厳死・緩和ケア

安らかに死ぬ――。本当に字義通りの逝き方なのか。患者たちはどのような痛みや苦しみを抱え,自ら死を選ぶのか。遺された家族はどう思うか。


>>>救急隊,家族が蘇生断ったら 消防本部に中止容認広がる
   出典:朝日新聞デジタル 6/25(火) 5:00配信 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190625-00000006-asahi-soci

 自宅や高齢者施設で最期を迎える人が増える中,心肺停止になった際に家族らが119番通報して,駆けつけた救急隊に心臓マッサージなどの蘇生処置を断るケースが相次いでいる。その際,都市部の消防本部の25%が条件つきで蘇生中止を認めていることが,朝日新聞の調査でわかった。中止容認に向け検討を進める本部もあり,広がりをみせる。だが中止について国のルールはなく,救命が使命と考える隊員は,ときに強く葛藤する。

 本人が蘇生を望まず,事前に主治医と意思を確認していても,家族らが119番通報することがある。動転したり,夜間で医師と連絡がとれなかったりするためだ。一方,総務省消防庁の基準は生命に危険があれば応急処置を行うと規定し,消防法は蘇生中止を想定していない。

 対応は地域ごとにわかれる。朝日新聞が5月,都道府県庁所在地と政令指定市の計52消防本部に聞くと,蘇生拒否への対応方針を決めていたのは39本部(75%)。26本部は家族に説明や説得をして蘇生する方針だが,広島や長崎など13本部(25%)はかかりつけ医に指示を受けることなどを条件に中止を認めていた。

  ▼ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ▼

安楽死を遂げた日本人
欧州を拠点とし活躍するジャーナリスト,
宮下洋一氏が自殺幇助団体の代表である
スイスの女性医師と出会い,欧米の安楽
死事情を取材し,「理想の死」を問うノ
ンフィクションである。
小学館刊 宮下 洋一著

              ◇  ◇  ◇

 宮下洋一氏が日刊ゲンダイのインタビューに応えた記事が,6月24日にウェブ https://news.infoseek.co.jp/article/gendainet_552059/ に掲載されている。その要点を抜粋する。

 >>>ジャーナリスト宮下洋一氏「日本で安楽死を法制化するのは反対です」
 出典:日刊ゲンダイDIGITAL / 2019年6月24日 9時26分  https://news.infoseek.co.jp/article/gendainet_552059/

  ――小島さんの最期の場面がNHKで放映された。点滴のコックを開くと、眠るように死んでしまう。私は衝撃を受けた。反響はどうですか?

 医療関係者から「考えさせられた」というメールなど、いろいろありました。番組は好評で、どちらかというと、安楽死に肯定的な反応が多かったですね。

<私は安楽死を勧めているわけでも否定しているわけでもなく、数ある最期のあり方の一つとして提示しただけである。さらにいえば、日本では「死」というものについて公然と語ることは憚られる傾向にあるが、自らの死に方を考えることは生き方を考えることに繋がると、建設的なメッセージを発したつもりだった>。

 でも、映像だと45分くらい。なんだ、日本でも認めてあげればいいじゃないか、という風潮が簡単に広まるのではないかという危惧も少し覚えたんです。

 NHKスペシャルですから、視聴者にとっては見ごたえがあり、中立的な報道だと思った。でも、短い番組の中で、小島さんが安楽死を遂げてしまうと、こんなに簡単にできてしまうのか、という誤解を招く可能性もある。


  ――法制化すると、どんな問題が起こるのでしょうか?

 日本人は空気を読んで生きていくみたいなところがある。法制化されると、家族の圧力によって、安楽死させてしまうことが出てくるかもしれない。患者さんは患者さんで、そろそろ死んだ方がいいと思ってしまったり、医者も患者の明確な意思で判断するのではなく、周りの圧力に流される。そういうケースが増えてくるのではないか。

 法制化は慎重を期した方がいいと思います。

 もうひとつ、安楽死の法制化は当然、国会で審議されることになると思いますが、そもそも多数決になじむ話なのでしょうか? 議会制民主主義ですから仕方ない部分はあるとして、欧米と日本の民主主義に差異はないのでしょうか?

  ――冷静な国民的議論が必要なのですね。

 そもそも、なぜ、安楽死の法制化の話が出てくるのか。子どもを産む年齢が遅いので、働き盛りのときに介護の問題が出てくるわけです。介護される方は子どもたちに迷惑かけたくないので、もう死にたいとなる。もっと早く子どもを産む環境を整える。そうすれば、介護問題も解消されていく。

 人の死は、国や他人が認めることではないというのが、本来の私の思いです。安楽死や人の死について法制化するのではなく、子どもを産み、育てやすい環境を整えることが先決だと思います。

 

みやした・よういち 1976年生まれ。18歳で渡米し、ウェストバージニア州立大卒。スペイン・バルセロナ大学大学院で国際論修士。フランスやスペインを拠点に、世界中で取材し、精力的な活動を続けている。「卵子探しています 世界の不妊・生殖医療現場を訪ねて」で小学館ノンフィクション大賞優秀賞。「安楽死を遂げるまで」で講談社ノンフィクション賞。このたび、その続編「安楽死を遂げた日本人」(小学館)を上梓した。

 

 

安楽死を遂げるまで
宮下 洋一
小学館

 

安楽死を遂げた日本人
宮下 洋一
小学館

内容紹介  ”講談社ノンフィクション賞受賞作品!”

安楽死,それはスイス,オランダ,ベルギー,ルクセンブルク,アメリカの一部の州,カナダで認められる医療行為である。超高齢社会を迎えた日本でも,昨今,容認論が高まりつつある。しかし,実態が伝えられることは少ない。




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« マックスバリユ九州-「三社... | トップ | <男子国内メジャー◇日本プロ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

安楽死・尊厳死・緩和ケア」カテゴリの最新記事