「おごれる人も久しからず,只(ただ)春の夜(よ)の夢のごとし」。思い上がった権力は必ず滅びると,「平家物語」は伝えている。
足らざる点があったとし,「李下に冠を正さず」という言葉を何度も繰り返した--−。今月24,25日の衆参両院の予算委員会で,安倍晋三首相は学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画について,自らの説明不足をこう認めた。しかし,低姿勢な言葉とは対照的に,答弁は肝心な点をはぐらかしていた。
◆安倍政権の終わりは日本経済の終わり?まずはアベノミクスの推進を
フォーブス誌に寄稿した早稲田大学政治経済学部の若田部昌澄教授は,一連のスキャンダルは日本経済に関係するとし,安倍首相が失脚することは,アベノミクスの終わりを意味すると論じている。すでに自民党内には「反アベノミクス勉強会」も出来ており,消費増税,金融緩和の「出口戦略」の早期実施を求める政権に変われば,政策全体が完全に逆行し,日本経済回復の道は絶たれてしまう可能性もあるとしている。
本の窓 2017年 08 月号 [雑誌] |
|
100円(税込み)で読める小学館のPR誌。 人気作家の読み物や新刊情報を掲載して います。 |
|
小学館刊 |
>>>故菅原文太さん夫人菅原文子さん 辛辣に安倍内閣を批判
100円で読める小学館のPR誌『月刊 本の窓』に,故菅原文太さんの夫人,菅原文子さんが「朝(あした)の紅顔 夕(ゆうべ)の白骨」と題するエッセイを連載執筆されています。その筆さばきは,簡潔,明快で見事です。
「おごれる人も久しからず、只(ただ)春の夜(よ)の夢のごとし」。思い上がった権力は必ず滅びると、「平家物語」は伝えている。
「朝(あした)の紅顔 夕(ゆうべ)の白骨」 菅原文子
出典: 『本の窓』 8月号 3ページ ・小学館発行
怪し気な愛想の良いオッチャンが開設を企て頓挫した豊中市の小学校の新設問題も、ゴミ問題から始まった。そこには、八億円も値引きするほどの厄介な量と質のゴミがあったのか。「ゴミが出る、幽霊が出る」などとインネンをつけて不動産を値切るのはよくある手口。安倍政権に火がつきそうな状況になり、慌てて火消しで国が土地を買い戻す、と簡単に言うのも甘い話だ。保守系組織「日本会議」元メンバーのオッチャンが破れかぶれで暴走しないように、宥める手を誰かが考えているのだろう、と思.ったら逆で国権が破産しそうな民間人を脅しにかかっている。オッチャンの登場で、超保守系の正体、そして口ほどでも無いレベルが見えた。謙虚で控えめだった日本人は、いつからこんなに上ほど自信満々となり、倣憶に振る舞うようになったのだろうか。世界有数の経済力が付いてからだろうか。謙虚で徳ある東洋の小国、心のジパングにこの国をしたいものだ。
『本の窓号 6月号』 2~3ページ
籠池騒動から見える大阪人の気風は、王城の都へのコンプレックスと憧れが混在し、視線は常に中枢権力を向いているようだ。京都また東京の副都としての実力、浪花文化への強烈な自負心を持ちながら、長い日本の歴史の中でついに王都になることが無かった大阪。維新の党が安倍政権にすり寄っていったのは、そんな気風が根底にあるのかもしれない。東国人の勝手な感想だが、教育勅語を奉じる安倍晋三記念小学校という発想は、大阪でなくでは考え付かない突飛なアイディアだ。籠池氏も昭恵夫人も教育勅語は読んでも、日本国憲法、教育基本法はろくに読まずに公教育に関わったのだろうか。安倍総理もポツダム宣言を承知していないと答弁していたが、その程度で総理大臣になれてしまうこの国なのだ。
安倍内閣は「教育勅語」を去る三月三十一日、「憲法や教育基本法に反しないような形で教材として用いることは否定されない」という決定をしたことが報じられた。
日本は敗戦時に、「教育勅語」の「皇国の臣民」をやめる総意の決断をした。以来、主権を持ち納税の義務を負う国民であり、「臣民」に戻ることはできない。
核兵器、化学兵器が第二次世界大戦時とは比較にならないほど精度を上げ、拡散している今日、自由資本主義か共産主義かのたった二つの政治思想に色分けすることができない危険で複雑な世界に生きている。敢えて分けるとしたら、過去の歴史に学ぶか、学びたくないか、この二つに国民は分れている。過去の歴史から学ぶ人は、政治思想を超えた普遍的な人道主義に立つ社会と世界を目指し、過去の失敗に学びたくない人は、かつてひと握りのエリート層に権益をもたらした思想を統治の基柱と考えている。今はこの二派が闘っているが、私たちが服従的な臣民に戻ることは決して無い。歴史に学ばなければ、人類を含む地球の環境と生態系にとって危険だからだ。科学の発達がもたらす恩恵では釣り合いが取れない、壊滅的な災厄を招く危険だ。
安倍総理がフィリピン訪問時に、ミサイル提供をドゥテルテ大統領に申し出た。大統領が返した言葉は「第三次世界大戦を始めるなら、世界の終わりになるだろう」と、安倍総理の申し出を一蹴したとフィリピンの新聞が報じた。籠池さんの証人喚問以来、テレビで見る安倍首相の顔からオーラが消えている。
その証人喚問の場で、高位の方々の煽てに舞い上がり実力以上の事業に手を出して破産しかけている地方の幼稚園経営者を、天下の与党国会議員が挙げて国民の面前で脅迫する寒々とした光景には、サヨナラ安倍自民党の思いを強くした。
『本の窓号 7月号』 4ページ
一方で、フランス国民も韓国国民も、相次いで超保守の政権を退ける選択をした。六月に行われるイギリスの総選挙の行方も目が離せない。世界がダイナミックに揺れ動いている中で、メディアが安易に繰り返す「安倍一強」というイメージが固定し、日本の政治は選択肢もないままに停滞し膠着している。安倍内閣のオソマツ人事は人材払底ではなく、有能な人物を周辺に登用したくない総理と総理周辺の深慮かもしれない。部下の失敗を庇ったり弁明したりすることで、比べれば有能そうな頼りがいのある上司に安倍首相が見えてくる。また有能な閣僚はそのままライバルだ。目立つ活躍の場を与えては、次の総裁選での強敵を育てるようなものだ。事あるごと
に安倍総理が口にする「私、内閣総理大臣は」の連発から、権力の座への執念が歴代総理と比べて際立って強い気質が見てとれる。答弁でのウソや言い逃れを恥じない図太さを支えているのも、政治家三代で築き上げた職業上のスキルとともに、総理の座への執着なのだろう。偉くなるためには幸運と才能だけではなく、執念が大事なのだろう。
国会内では通用しているらしい安倍総理の威圧感も、硬骨漠、森友学園の元理事長籠池氏と私たち庶民にはあまり通用しない。籠池氏の捨て身の一本気と比べると、安倍総理が、ただのスレッカラシの一ビラ議員に見えてくる。日を追うごとに焦燥感さえ漂う姿には、国政選挙を待たずともそろそろオウンゴールが近いかと期待している。人気取りなのか、あちこち動き回っては、頻繁にテレビに露出することを心掛けているようだが、屋台骨がそんなに動き回っては家の強度が持たない。
::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::
改憲案、今秋提出を堅持=参院合区解消目指す―自民
出典:時事通信 / 2017年7月26日 18時54分
自民党の憲法改正推進本部(保岡興治本部長)は26日の執行役員会で、今秋の臨時国会に党の改憲案を提出するとした安倍晋三首相(党総裁)の方針を堅持することを確認した。また、この後の全体会合で、改憲によって参院選挙区の「合区」解消を目指すことで合意した。
保岡氏は執行役員会で「従来通りの予定に沿って、丁寧にしっかりと議論を進めたい」と強調。全体会合でも「憲法改正はわが党がリードしないといけない」と述べ、首相が掲げる2020年の新憲法施行に向け意見集約を急ぐ考えを示した。
ただ、最近の内閣支持率急落を受け、党内には改憲について慎重な対応を求める意見も出ている。執行部と距離を置く石破茂前地方創生担当相はこの日の一連の会合を欠席した。
日本国憲法 新装版 (講談社学術文庫) | |
戦後日本を理念的に照らしつづけた〈憲法〉。それは「人類普遍の原理」「崇高な理想と目的」を掲げながら、一貫して最大の争点でもありつづけた。日本国憲法に、大日本帝国憲法、教育基本法、児童憲章、英訳日本国憲法、日米安全保障条約の全文を収録した新装版。読んでから考えたい、語るために読みたい、〈憲法〉。(講談社学術文庫) | |
講談社刊 432円 |