安愚楽牧場,破産手続き開始決定 東京地裁
報道によると和牛オーナー制度が行き詰まって経営破綻した安愚楽牧場(栃木県)について,東京地裁(鹿子木康裁判長)は12月9日,破産手続き開始決定を出した。破産管財人には渡辺顕(あきら)弁護士が就く。
同社は当初,現経営陣が中心になって会社を立て直す民事再生手続きでの再建を目指した。ただ,同手続き上で財産管理を担当した渡辺弁護士らが財務状況を精査した結果,資金繰りが想定以上に逼迫していることが判明。11月8日付で東京地裁が民事再生手続きの廃止決定を出し,破産手続きに移行することが決まっていた。
同社は自社牧場や預託先牧場を全国展開し,会員は全国7万3千人超とされる。債権者集会は来年5月30日,東京都内で開かれる予定。
管財人の渡辺顯(あきら)弁護士によると,同社直営の牧場は牛も含めて,1社に一括して売却することが決まった。また,全国の農家340戸に飼育を預託してきた牛は,農家や複数の業者への売却手続きが年内に完了する見込み。今後は,東京電力福島第一原発事故による風評被害をめぐって,東電への賠償請求も検討する。
同社は自社牧場や預託先牧場を全国展開し,会員は全国7万3千人超とされる。東京電力福島第1原発事故の影響で牛肉価格が下落するなどして経営が悪化し,民事再生法の適用を申請した。
◆安愚楽牧場,09年に実質債務超過
安愚楽牧場が2009年2月,投資家への会計処理の仕方や情報開示が不適切だとして,当時,和牛預託取引(オーナー制度)の監督官庁だった農林水産省から改善指導を受け,事後点検のための定期報告も求められていた。
安愚楽牧場が契約満期時に買い戻しに応じる条件で投資家に販売した和牛オーナー契約の残高は09年3月期末ですでに2889億円にのぼっていた。同社が投資家向けに公表した財務諸表によると,当時の資産は688億円,純資産は27億円で,2千億円を超す債務超過状態であった。
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