新業態の台頭に加え,生活様式の変化もあって,映画館,喫茶店,文具店・・・・といった,旧来の業種店が街角から消えていくのは,昭和生まれに撮っては寂しい限りである。
そんな中,衰退の一途であった映画館にも復興の動きが見られる。
◆昨年の映画興行収入、邦画は最高を記録
日本映画製作者連盟が、2012年に日本で公開された映画の興行収入(興収)によると,洋画の興収は発表を始めた2000年以降、最低の670億900万円にとどまった。
一方、邦画は過去最高の1281億8100万円を記録した。邦画は1位の「BRAVE HEARTS 海猿」が73億円。「テルマエ・ロマエ」「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」なども60億円近くの興収を上げた。
洋画の興収は2002年の1434億8600万円をピークに、増減を繰り返しながら漸減傾向にあったが、700億円を割ったのは初めて。11年は「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」が約96億円を記録したのを始め、50億円を超える作品が3本あったが、12年は53億円に達した「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」だけとなり、洋画の総額は前年比17・9%減となった。 邦画、洋画と合わせた興収は、東日本大震災の影響で落ち込んだ前年に比べ7・7%増となった。
◆参考-鹿児島市内のシアター一覧
・フレスポジャングルパーク
全10スクリーン,総座席数1984席。ゆったり座れるワイドシートを導入している。鹿児島県鹿児島市与次郎映画館(TOHOシネマズ)
・鹿児島ミッテ10
全10スクリーン,1905席+(車椅子17席)。鹿児島県鹿児島市中央町1-1 アミュプラザ鹿児島 6F
・天文館シネマパラダイス
全7スクリーン,820席。 天文館シネマパラダイスの座席は、全てゆったりのワイドサイズ。鹿児島県鹿児島市千石町19‐1 LAZO表参道 3F
参考)九州各県のスクリーン数(2009年):福岡 160,熊本 53,長崎 30,大分 28,佐賀 27,宮崎 18
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┗■ ケーススタディ 「天文館シネマパラダイス」
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私は,一昨年のマーケティングの集中講義で,当時建設予定の「天文館シネマパラダイス」を取り上げて,「天文館の持続的発展を考えると,「天文館にシネマ劇場映画館新設には反対」である,と論じた。その講義内容は概ね下記の通りである。今回の集中講義でも,「天文館シネマ」を取り上げ,現状分析そしてその将来性を論じる予定である。
◆鹿児島国際大学での集中講義を終えて ーマーケティング論・11「複合型映画館(シネコン)天文館シネマ」
http://blog.goo.ne.jp/rk_kobayashi/e/a87acf5c154330dde17cb32d63d791b3
右往曲折の末,天文館に来年5月オープン予定の複合型映画館(シネコン)の名前が「天文館シネマパラダイス」と決まったとのことです。この映画館は天文館周辺の事業者らで作る株式会社「天文館」が15億9000万円をかけシネコンを建設するものです。7つのスクリーンやテナントが入る地上6階建で床面積は6200平方メートル,座席数は820席。 来年3月の完成、5月1日のオープンを目指す,と発表されています。
今回のテーマ「天文館の持続的発展を考える」にあたり,学生には,「天文館にシネマ劇場映画館新設には反対」である。天文館発展の方策は,鹿児島市の中心市街地活性化基本計画にある,中央駅・天文館・ウォーターフロントの3つの拠点の回遊性向上により市街地活性化に取り組むべき,との私の考え方を授業冒頭で明確に伝えました。
反対とする理由・根拠としては次の4点をあげました。
1 鹿児島市内には既に、与次郎ヶ浜と中央駅アミュプラザに映画館があり,地域ニーズを満たしている。
2 シネコンの最大手、TOHOシネマズ(東京・千代田)は,人ロ40万~50万人以上の都市での1劇場が採算ラインと見ている。鹿児島市の場合は,人口規模からして共倒れの恐れがある。
3 日本映画製作者連盟によると,2010年の入場者数は,約1億7400万人でと09年比3%増えたが、01年以降は頭打ち傾向にあり,入場者数および入場料金とも大幅増は見込めない。
4 鹿児島県全体として,人口減少傾向にある。加えて高齢化の進行は著しい。したがって,シネマ劇場での大幅な顧客吸引,さらには天文館への来街促進は不可能である。
なお,学生に強調した点は,「これはあくまで私の考え方である。100%正しいと言いきれるものではない。異論,反論,大いに結構。またそれを望む」という点です。私の目論見は,この授業を通じて問題発見,問題解決能力につながる構想力と分析力を養ってもらいたいということです。
出典:日本映画製作者連盟(http://www.eiren.org/)
:::::::::::::::::***** 映画館復権の兆し ****************::::::::::::
◇映画館を新規開館(東京)
東京・新宿で「新宿武蔵野館」を運営する武蔵野興業は、2スクリーンの映画館を開館した。同社が映画館を新規開館するのは14年ぶり。ハリウッド作品のような大作を避け、韓国や香港の作品などを含め幅広く上映する。「選択肢を増やし相乗効果を生み出す」狙いだ。
◇シネコンに対抗 中小映画館、切り札は「個性」
「ミニシアター」などと呼ぶ中小映画館が、鑑賞傾向を分析して上映作を選ぶ手法などで生き残りを図っている。日本を代表する映画雑誌「キネマ旬報」を発行する映画雑誌の老舗、キネマ旬報社(東京・港区)は中小館の運営受託に参入した。シネマコンプレックス(複合映画館)の台頭で館数は減ったが、封切りではない「新古作品」に絞って調達コストを下げるなど黒字を実現している例もある。
◇千葉県柏市-映画館を再興
キネマ旬報社は、貸会議室業のティーケーピー(東京)と業務提携し、映画館の運営事業に参入した。昨年3月に閉館した千葉県柏市の映画館をティーケーピーが賃借し、キネマ旬報社が運営を受託する。
劇場は最大3スクリーンで、今春オープン予定。雑誌などと連動して新作や過去の名作を上映する。他の劇場運営や映画の上映会なども今後検討するという。同映画館は柏駅に直結したビル内にあるが、2012年3月末で閉館している。
キネマ旬報社はインターネット上で無料で映画の鑑賞記録を作成できる映画ファン向けサービスのデータも活用。約1万人のデータをもとに、柏市周辺で人気が高いジャンルなどを割り出し、作品選びに生かす。
◇新作避け仕入れ費減(東京・新宿)
ギンレイシネマックス(東京・新宿区)が運営する飯田橋ギンレイホール(東京・新宿)は1スクリーン206席と小ぶりながら、年間約15万人を動員し、営業黒字を維持している。上映するのはほとんどが封切り後1年以内の作品で、2週間ごとに作品を入れ替える。
新作の場合、収入を配給会社側と映画館で分け合う歩合制が基本で、配給会社側が5~6割を取る場合が多い。ギンレイの場合は原則、作品1本につき一定額を支払う契約で、仕入れコストを抑えられる。
通常料金は2本立てで1500円。会員になれば年間1万500円で見放題という割引サービスもあり、話題作を数多く割安な料金で見たい映画ファンを囲い込んでいる。入場者の3分の2を会員が占める。
◇高齢者の取り込み (広島市)
広島市中心部の百貨店内で「八丁座」を運営する序破急(広島市)は、高齢者などを取り込んで営業黒字を確保している。
■芝居小屋風の造り
八丁座は閉鎖された映画館を全面改装し、2年前にオープンした。時代劇撮影に使っていたふすまやちょうちんを飾るなど江戸時代の芝居小屋を意識した造りが特徴。ゆったりとしたソファのような座席などを取り入れたことも高齢者に受けた。
◆関連HP マーケティング&マニュアルゼミー |
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