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トランプvs中国 - 石平著,『トランプvs.中国は歴史の必然である』

2019-06-04 12:44:41 | 書房

 米中貿易紛争は5月に米国が追加関税の発動を決め、本格的な「貿易戦争」へと突入した。米国は次世代高速通信である5G技術で世界をリードする華為技術(ファーウェイ)に対する制裁にも踏みきり、中国も永久磁石などの生産に欠かせないレアアースの輸出規制など対抗措置の検討を始めた。
 中国も対米強硬論を打ち出し、6月に大阪で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議の場での米中首脳会談での合意も困難との見方が強まっている。

トランプ大統領の対中強硬姿勢から,今の事態を見通した論評が,平成29年2月発行の石平著,『トランプvs.中国は歴史の必然である』の「中国は敵」の項で簡潔明快に論じている。さらに石平氏は,「中国経済は骨の髄まで絞られる」(p186~pp188)で,中国は大きなダメージを負い,国内を揺るがす大乱に発展すると予測している。


「中国は敵」 (p9-p11)
 なぜトランプがアメリカ大統領選で勝ったのか。
トランプは大統領選の最中,アメリカ国民の声を代弁し,不満をすくい取りました。行き過ぎた 「反差別主義」 による閉塞感や,中間層の白人労働者に仕事がないことなどを,
独特の過激な表現で明らかにし,それに少なくとも半分のアメリカ人はよくぞ言ってくれたと喝采を送ったのです。
 そのトランプが代弁したアメリカ国民の声の一つに,中国に対する反感がありました。
 トランプの選挙中の発言には,在日米軍の費用負担に関して物議を醸すものもありましたが,じつは中国に対する発言のほうが重要です。
 2015年6月16日,トランプが米大統領選への出馬表明をした際に,彼は明確に中国を「敵」だと位置づけていました。そのときトランプは,こう言いました。
「私が中国を敵として扱うことが面白くない人間もいるが,やはり中国は敵以外の何者でもない。アメリカは深刻な危機に直面しており,かつて勝ち組だったのは昔話である。最
後にアメリカが誰かを打ち負かしたのはいつだった? 中国に貿易でアメリカが勝ったことがあるのか」
「中国は敵だ」と言い切ったところからトランプは,自らの選挙戦を始めたのです。これこそがトランプの中国に対する基本認識です。
 つまり,近年,アメリカは中国に翻弄され,中国に打ち負かされたという意識を,トランプは強く持っています。それが彼の「保護主義」的な考え方にもつながっているのでしょう。確かに中国製の安い商品が大量にアメリカに入ってきた結果,アメリカの労働者は仕事を奪われたのは事実です。中国製品の輸出先として大きな割合を占めているのがアメリカ市場であり,中国はアメリカに製品を売って経済成長を果たしました。

 

トランプvs.中国は歴史の必然である 近現代史で読み解く米中衝突
石平
産経新聞出版 2017/2/3刊 Kindle版1300円 単行本 1404円

【目次(抜粋)】
◎序 章 攻守を逆転させたトランプ
「中国は敵」/当選後1カ月の行動が結ぶ線/中国の「本丸」に攻め込んだ/ぬか喜びした中国/「エア電話会談」/「キッシンジャー路線」をゴミ箱に/「一つの中国」とは何か/台湾問題は中国にとっての「宗教問題」である…など

◎第1章 アメリカの中国幻想 清朝―国共内戦
商人としてアジアにやって来たアメリカ/賠償金を中国に「投資」/アメリカは中国を〝侵略〟したことがない/「中国人は世界でいちばん民主的」/中国は善玉、日本は悪玉というプロパガンダ/ハル・ノートは中国問題/アメリカの三つのアジア政策/中国腐敗の伝統を知らない/共産主義が中国に民主主義を?/「誰が中国を失ったか」…など

◎第2章 騙され続けたアメリカ 毛沢東―胡錦濤
毛沢東はなぜ反米路線に転じたか/なぜ中国は朝鮮戦争に参戦したか/毛沢東の決断と「中華思想」/中国王朝「滅びの法則」/中華帝国に重要な朝鮮の属国化/中華帝国とアメリカが初めて衝突/毛沢東は米ソ二大大国と対立/ピンポン外交と「昔のアメリカ」…など

◎第3章 本性を剥き出しにした中華帝国 鄧小平―習近平
中華帝国史上初めての海の覇権/全力疾走で進める海洋覇権戦略/なぜ中国は南シナ海を狙うのか/「中国の夢」にはアメリカが邪魔/ご都合主義のアメリカへの提案/中国の挑発が始まった/紅衛兵式「戦闘外交」/アメリカの「中国封じ込め」戦略/対中国最前線への米軍再駐留/アメリカは「アジアから出て行け」…など

◎第4章 アメリカ帝国の逆襲 習近平vs.オバマ
習近平を先取りした米アジア回帰/4年間の凄まじい覇権争い/米中冷戦が始まった/伝統的な「連衡策」/「対中国合従」に惨敗した中国/ロシアの威を借りた習近平/「毛沢東の亡霊」/朝鮮戦争タブーを破った「反米路線」/裁定を「紙くず」と罵る意味/「お尻をたたくぞ」と中華思想…など

◎第5章 米中衝突で日本が危ない トランプvs.習近平
トランプVS.習近平/習近平は無為無策/中国最大の輸出先/中国経済は骨の髄まで絞られる/南シナ海では力でもって中国と戦う/トランプは北朝鮮問題でも動く/カードがなくなった習近平の危険性/日本周辺こそが「テスト」に使われる/2012年に飛び出した「琉球は中国領」/本気の「沖縄工作」…など

 

 

 

 

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