働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

「過労死等ゼロ」緊急対策のポイント

2016年12月27日 | メンタルヘルス
厚生労働省は2016年12月26日、「過労死等ゼロ」緊急対策を公表しました。「過労死等ゼロ」緊急対策では、違法な長時間労働を許さない取組の強化、メンタルヘルス・パワハラ防止対策のための取組の強化、社会全体で過労死等ゼロを目指す取組の強化を図ることとしています。

「過労死等ゼロ」緊急対策のポイント

1 違法な長時間労働を許さない取組の強化
(1) 新ガイドラインによる労働時間の適正把握の徹底
企業向けに新たなガイドラインを定め、労働時間の適正把握を徹底する。
(2) 長時間労働等に係る企業本社に対する指導
違法な長時間労働等を複数の事業場で行うなどの企業に対して、全社的な是正指導を行う。
(3) 是正指導段階での企業名公表制度の強化
過労死等事案も要件に含めるとともに、一定要件を満たす事業場が2事業場生じた場合も公表の対象とするなど対象を拡大する。
(4) 36協定未締結事業場に対する監督指導の徹底

2 メンタルヘルス・パワハラ防止対策のための取組の強化
(1) メンタルヘルス対策に係る企業本社に対する特別指導
複数の精神障害の労災認定があった場合には、企業本社に対して、パワハラ対策も含め個別指導を行う。
(2) パワハラ防止に向けた周知啓発の徹底
メンタルヘルス対策に係る企業や事業場への個別指導等の際に、「パワハラ対策導入マニュアル」等を活用し、パワハラ対策の必要性、予防・解決のために必要な取組等も含め指導を行う。
(3) ハイリスクな方を見逃さない取組の徹底
長時間労働者に関する情報等の産業医への提供を義務付ける。

3 社会全体で過労死等ゼロを目指す取組の強化
(1) 事業主団体に対する労働時間の適正把握等について緊急要請
(2) 労働者に対する相談窓口の充実
労働者から、夜間・休日に相談を受け付ける「労働条件相談ほっとライン」の開設日を増加し、毎日開設するなど相談窓口を充実させる。
(3) 労働基準法等の法令違反で公表した事案のホームページへの掲載

これらの緊急対策の中でも「2 メンタルヘルス・パワハラ防止対策のための取組の強化」の「(3) ハイリスクな方を見逃さない取組の徹底」に注目しました。

この緊急対策は省令の改正をともなうことになりますが、「過労死等ゼロ」緊急対策(PDFファイル)の8ページには次のように記載されています。

・月100時間超の時間外・休日労働をする方の労働時間等の情報を事業者が産業医へ提供することを義務化し、面接指導等に必要な情報を産業医に集約する。(省令を改正し、平成29<2017>年度より実施)

・過重労働等の問題のある事業場については、長時間労働者全員への医師による緊急の面接(問診)等の実施を、都道府県労働局長が指示できる制度を整備する。(平成29<2017>年度より実施)

ますます産業医の役割が重要になりますが、正直、現在の産業医がそこまでの役割を果たすことができるのか不安です。

→「過労死等ゼロ」緊急対策(PDFファイル)


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