厚生労働省は、職場のパワーハラスメント防止対策を強化するための方策の検討を行うため、有識者や労使関係者からなる「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」を設置し、第1回の検討会は2017年5月19日に開催され、10月19日には第5回の検討会が開催されました。
この第5回「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」配布資料に「これまでに出た主な意見(第 1 回~第4回)」と題された資料があります。
→第5回「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」配布資料
職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会
これまでに出た主な意見(第 1 回~第4回)
1.総論
(1)職場のパワーハラスメント対策に取り組む意義
・パワハラは、労働者の人格権を侵害する許されない行為であり、労働者の生産性や意欲の低下を招くだけでなく、人命に関わる重い問題。予防・防止に力を入れていく必要がある。
・パワハラを経営者がやっている例もある。パワハラは経営的な損失にもなり、労働者がメンタルヘルス不調に至る場合には特に損失も大きくなるということをみせていくことが重要。加えて、パワハラ対策をすることにより、職場環境の改善、労働者のモチベーション向上にもつながるという点を示すこともできるのではないか。
・パワハラの要因に仕事のやり方や価値観の押し付けがあるため、それはグローバルでは通用しないという点を示していくという方法もあるのではないか。
(2)原因・要因
・パワハラの要因の根幹は、コミュニケーション不足。
・パワーバランスが上手くいかないことで、職場が上手くいっていないことが原因。
・パワハラには、個人に問題がある場合、組織に問題がある場合、個人に問題があり、その背景には問題に対する組織の対応や対策にも問題がある場合がある。
・パワハラは多様化している。企業規模別、業界別、職種別の実態がわかるとよい。
(3)実態把握の難しさ・パワハラが起きた時の調査は難しい。
・個別労働紛争において、被申請人がパワハラを認めるケースが少ない。類型として多くなっている精神的な攻撃は、特にその傾向があるのではないか。
・客観的にはパワハラではなかったにも関わらず、パワハラがあったと会社に言われ、加害者とされる上司が退職し、その後、その上司が会社側に責任を追及したという事案もある。
・被害者が悪いのでは、というものもある。
・相談に来た被害者が一方的な主張をしており、会社も苦労していると思われるケースもある。
・被害者が加害者の場合もある。
・規模の小さい企業は、第三者がどう関わっていくか、チェックできるかが課題。
2. 職場のパワーハラスメントの定義
(1)定義の目的・位置付け等
・パワハラを定義付けるに当たっては、どのような目的で定義付けるのか、パワハラ防止強化のための実行性を確保するための方策の着地点によって、定義の考え方も変わってくる。
・職場で、労働者が就業しやすい環境を整備する、人間関係を良好に保つという意味では、広い定義が可能だが、政策によって何らかの強制的契機が伴うような措置を講ずることを求める場合であれば、限定的に定義せざるを得ない。
・必ずしも、「職場の優位性」という背景がなく、同僚間や部下から上司へのハラスメントなど、ハラスメントが多様化している実態を十分に踏まえる必要がある。
(2)行為者
・流通・介護業界では、顧客からのハラスメントも無視できない。
・顧客からのパワハラは、労働問題として捉えるべきなのか疑問。職場内の問題に限るべき。
・定義については、職場という範囲に限定し、指揮命令があるところに限定していってはどうか。
・組織文化は企業毎に違うため、企業毎に異なったパワハラの定義があって良い。
・企業や組織の中で、権限に差がないところにおこる問題を、パワハラと定義するのは疑問。
(3)行為の態様
行為の類型
・行為類型が分かりにくく、行為が不適切・違法かどうかという判断が非常に難しい。
・何がパワハラに該当するのかが、はっきりと分からなければ企業も対応できない。
・相談に来た労働者が一方的な主張をしており、会社も苦労している
ケースがある。
指導監督・業務命令との関係
・上司が部下と円滑なコミュニケーションを取るかどうかで、パワハラと受け止められるかどうかが変わる。
・パワハラと業務上必要な指導の線引きが難しい。
3.職場のパワーハラスメント防止強化等のための方策
・特定の行為にサンクションをかけることが、どうすれば可能になるのかを考えるべき。例えば、労災・安全衛生の観点や、労働契約法の観点で絞るなど。
・不法行為の類型を作り、事後的なサンクションを科すことが時期尚早であるというのは理解できるが、事前の予防については法制化していくべき。
・法制化はよくよく検討することが必要。全てに対策を講じるとなると、企業は対応できない。
・サンクションを科す場合は、対象が非常に狭いコアな部分のみになってしまう。行為類型、努力目標を指針に立てて、その上で、第2段階で法制化というのが現実的か・啓発なのか、ある程度のサンクションを科すのか、それによって、概念・定義が決まってくる。
・一定のサンクションを科すのであれば、定義は厳格であるべき。ガイドラインという形であれば、定義はある程度広くても良い。
・あまり厳格に定義すると、身動きができなくなるのではないか。
・広く社会通念で一般化されるパワハラについて、指導方針・ガイドラインを策定し、防止に向けて啓発していくことも方法としてある。
・企業規模が小さいと対策が進まない。顔が分かるので労働者は相談しにくい。
・パワハラが経営的な損失にもなることを見せていくことが重要。(厚生労働省ホームページより)
この第5回「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」配布資料に「これまでに出た主な意見(第 1 回~第4回)」と題された資料があります。
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職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会
これまでに出た主な意見(第 1 回~第4回)
1.総論
(1)職場のパワーハラスメント対策に取り組む意義
・パワハラは、労働者の人格権を侵害する許されない行為であり、労働者の生産性や意欲の低下を招くだけでなく、人命に関わる重い問題。予防・防止に力を入れていく必要がある。
・パワハラを経営者がやっている例もある。パワハラは経営的な損失にもなり、労働者がメンタルヘルス不調に至る場合には特に損失も大きくなるということをみせていくことが重要。加えて、パワハラ対策をすることにより、職場環境の改善、労働者のモチベーション向上にもつながるという点を示すこともできるのではないか。
・パワハラの要因に仕事のやり方や価値観の押し付けがあるため、それはグローバルでは通用しないという点を示していくという方法もあるのではないか。
(2)原因・要因
・パワハラの要因の根幹は、コミュニケーション不足。
・パワーバランスが上手くいかないことで、職場が上手くいっていないことが原因。
・パワハラには、個人に問題がある場合、組織に問題がある場合、個人に問題があり、その背景には問題に対する組織の対応や対策にも問題がある場合がある。
・パワハラは多様化している。企業規模別、業界別、職種別の実態がわかるとよい。
(3)実態把握の難しさ・パワハラが起きた時の調査は難しい。
・個別労働紛争において、被申請人がパワハラを認めるケースが少ない。類型として多くなっている精神的な攻撃は、特にその傾向があるのではないか。
・客観的にはパワハラではなかったにも関わらず、パワハラがあったと会社に言われ、加害者とされる上司が退職し、その後、その上司が会社側に責任を追及したという事案もある。
・被害者が悪いのでは、というものもある。
・相談に来た被害者が一方的な主張をしており、会社も苦労していると思われるケースもある。
・被害者が加害者の場合もある。
・規模の小さい企業は、第三者がどう関わっていくか、チェックできるかが課題。
2. 職場のパワーハラスメントの定義
(1)定義の目的・位置付け等
・パワハラを定義付けるに当たっては、どのような目的で定義付けるのか、パワハラ防止強化のための実行性を確保するための方策の着地点によって、定義の考え方も変わってくる。
・職場で、労働者が就業しやすい環境を整備する、人間関係を良好に保つという意味では、広い定義が可能だが、政策によって何らかの強制的契機が伴うような措置を講ずることを求める場合であれば、限定的に定義せざるを得ない。
・必ずしも、「職場の優位性」という背景がなく、同僚間や部下から上司へのハラスメントなど、ハラスメントが多様化している実態を十分に踏まえる必要がある。
(2)行為者
・流通・介護業界では、顧客からのハラスメントも無視できない。
・顧客からのパワハラは、労働問題として捉えるべきなのか疑問。職場内の問題に限るべき。
・定義については、職場という範囲に限定し、指揮命令があるところに限定していってはどうか。
・組織文化は企業毎に違うため、企業毎に異なったパワハラの定義があって良い。
・企業や組織の中で、権限に差がないところにおこる問題を、パワハラと定義するのは疑問。
(3)行為の態様
行為の類型
・行為類型が分かりにくく、行為が不適切・違法かどうかという判断が非常に難しい。
・何がパワハラに該当するのかが、はっきりと分からなければ企業も対応できない。
・相談に来た労働者が一方的な主張をしており、会社も苦労している
ケースがある。
指導監督・業務命令との関係
・上司が部下と円滑なコミュニケーションを取るかどうかで、パワハラと受け止められるかどうかが変わる。
・パワハラと業務上必要な指導の線引きが難しい。
3.職場のパワーハラスメント防止強化等のための方策
・特定の行為にサンクションをかけることが、どうすれば可能になるのかを考えるべき。例えば、労災・安全衛生の観点や、労働契約法の観点で絞るなど。
・不法行為の類型を作り、事後的なサンクションを科すことが時期尚早であるというのは理解できるが、事前の予防については法制化していくべき。
・法制化はよくよく検討することが必要。全てに対策を講じるとなると、企業は対応できない。
・サンクションを科す場合は、対象が非常に狭いコアな部分のみになってしまう。行為類型、努力目標を指針に立てて、その上で、第2段階で法制化というのが現実的か・啓発なのか、ある程度のサンクションを科すのか、それによって、概念・定義が決まってくる。
・一定のサンクションを科すのであれば、定義は厳格であるべき。ガイドラインという形であれば、定義はある程度広くても良い。
・あまり厳格に定義すると、身動きができなくなるのではないか。
・広く社会通念で一般化されるパワハラについて、指導方針・ガイドラインを策定し、防止に向けて啓発していくことも方法としてある。
・企業規模が小さいと対策が進まない。顔が分かるので労働者は相談しにくい。
・パワハラが経営的な損失にもなることを見せていくことが重要。(厚生労働省ホームページより)