新「廊下のむし探検」

大阪北部のマンションの廊下で見つけた虫の名前を調べています

植物を調べる ビロードスゲ?

2019-05-09 20:26:50 | 植物を調べる
もう何年も前から、今頃、家の近くの河原を歩くと気になる草がありました。地味なスゲの仲間なので、どうにも名前が分からなかったのですが、今年はちょっと調べてみようと思って、先日、「日本のスゲ」増補改訂を買ってしまいました。そこに載っている検索表を使って調べてみました。

まずは2年前の5月3日に撮った写真から出します。



最初は全体像です。高さ40-50㎝くらいの草で河原のあちこちにいっぱい生えています。



上の方は茶色いのですが、両脇に出ているのは白っぽいことがよく分かります。





その部分を拡大してみました。たぶん、上にあるのが雄花、下にあるのが雌花でしょう。



今回、「日本のスゲ」増補改訂に載っている検索表で調べてみると、比較的簡単にビロードスゲ Carex miyabeiに至ることが分かりました。合っているかどうかは分かりませんが、上に書いた検索過程を写真で確かめていきたいと思います。



初めに全体像からです。本の説明によると、上の方にある花は頂小穂、脇から出ているのが側小穂です。頂小穂とその周辺が雄性、側小穂が雌性のようです。その辺りが分かると、ここに書かれている項目はほぼ理解できます。⑥と⑦は次の写真を見るとさらによく分かります。





上が雄性、下が雌性です。



雌性の側小穂の基部を見てみました。短い柄があります。その基部にあるのが前葉のようです。確かに筒状です。



その部分を拡大してみました。



次は果胞の拡大です。果胞の口からにょろにょろと出ているのが雌蕊の柱頭です。確かに3本あります。次の写真の方がよく分かると思いますが、果胞には毛がいっぱい生えています。先端は細い嘴状になっています。これで④、⑧、⑩、⑪はOKだと思います。





上の写真は果胞の拡大、下は別の果胞の写真です。



これは葉の拡大ですが、毛は生えていません。これで⑨もOKです。



最後は大きさです。左は果胞で、下の目盛りは1mmずつです。右は葉の幅を測ったもので、この場合は4.5mm。確かに3~6mmの範囲に入っていました。ということで、一応、ビロードスゲ属のビロードスゲになったのですが、果たして合っているかどうか。

植物を調べる ツメクサの花

2019-05-02 06:17:28 | 植物を調べる
今日は植物の話です。もともと「廊下のむし探検」なるものを始めたきっかけは身近な生き物の名前を全部知りたいという単純な理由からでした。生き物だから当然動物や植物も入るのですが、ともかく虫の種類が多くて、それで虫ばかり調べることになってしまいました。折角、顕微鏡写真も撮れるようになったので、たまには植物もと思ってやってみました。

先日、家族が植木鉢にツメクサの花が咲いているというので覗いてみると、小さな花がいっぱい咲いていました。これを一度拡大して調べてみようと思って1輪だけ摘んで調べてみました。結果をブログに出そうと思って、ツメクサ全体の写真を撮ろうと植木鉢を見てみると、その日は曇っていて花はみなつぼんでいました。それから、晴れる日を待っていたのですが、なかなか晴れないので、もう出すことにしました。



これが植木鉢に生えていたツメクサです。この日は曇っていて花はみなつぼんでいます。



探すと1輪だけ咲いていました。



これはそのもう少し前に採取した花を実体顕微鏡で見たところです。



手元にある植物図鑑の花の記述の部分を見ながら各部の名称をつけてみました。こうして図鑑の記述を比べてみると、書かれていることはほぼ同じなのですが、「牧野新日本植物圖鑑」が一番詳しく書かれているように思えます。蕚の周辺に膜のようなものがついているのが面白く感じられました。



これは花柱の拡大です。つぶつぶがついているのが花粉なのかな。



そして、これは横からです。背景が白かったので、どうもコントラストがよくないのですが、蕚や花柄に細かい毛が生えていることが分かります。四角で囲った部分を拡大してみました。



先端が太くなった毛がいっぱい生えています。これが腺毛なのでしょう。小さな花でも拡大してみるとなかなか面白いですね。