新「廊下のむし探検」

大阪北部のマンションの廊下で見つけた虫の名前を調べています

廊下のむし探検 甲虫

2019-05-31 20:23:54 | 廊下のむし探検
廊下のむし探検 第28弾


5月25日にマンションの廊下で見つけた虫です。虫は6月がもっとも多いのですが、5月も25日ともなるとかなりたくさんいました。とりあえず、今回は甲虫から。





最初はコメツキです。この写真は別個体なのですが、コメツキはいまだにさっぱり分かりません。採集して調べても、亜科が分かれば御の字で属までもなかなか達せません。今年はこういう虫の空白区を埋めようと思っていたのですが、こうマンション管理組合の仕事が忙しいととてもじゃないけど虫を調べている暇はありません。



次はホタルカミキリ



そして、これはキンオビハナノミではないかと思っている種です。



これは「原色日本甲虫図鑑II」を見て、フタホシアトキリゴミムシ Lebia (Poecilothais) bifenestrataだと思いました。なお、学名には、「日本列島の甲虫全種目録 (2019年)」を見て、亜属も加えておきました。



アオハムシダマシとアカハムシダマシは腿節の色で見分ければよいことを以前書きました。それによれば、これはアオハムシダマシだということになります。



問題はこちらです。腿節のほんの先端だけが黒くなっています。アオの変異なのか、別種なのかよく分かりません。





次はキアシカミキリモドキ。この2枚の写真は別個体です。





最後はびっくりするぐらい触角の長いカミキリです。しかも触角の途中が膨れています。こんなカミキリはコブヒゲカミキリ属の♂で、日本産は9種記録されています。ただし、本州産に限定すると、マルバネとセミスジの2種になります。「日本産カミキリムシ」の検索表によると、マルバネ♂とセミスジ♂は触角の長さで区別できます。つまり、体長の1.8-2.1倍だとマルバネ、2.4倍以上だとセミスジです。この写真からは明らかに2.4倍以上なので、たぶん、セミスジコブヒゲカミキリ Rhodopina lewisiiだと思われます。セミスジの名前は前胸背板に黄色の縦筋が3本あることによっているようです。

マイマイガの刺毛

2019-05-30 20:19:49 | 虫を調べる
この間、家の近くの道沿いの茂みでマイマイガの幼虫を見つけました。以前、蛾の幼虫の刺毛を調べたことがあった(こちらこちらこちら)のですが、だいぶ忘れてしまっていたので、復習の意味で調べてみました。



これがマイマイガ Lymantria dispar japonicaの幼虫です。とりあえず、頭部、胸部、腹部に分けてみました。胸部は前胸、中胸、後胸に分けられるのですが、それぞれにI、II、IIIと番号を振っておきました。ついでに、腹部も見える範囲で番号を振ってみました。「原色日本蛾類幼虫図鑑(上)」によると、腹部は10体節とのことですが、背側から番号を振ると9節しかありませんでした。たぶん、第9腹節の下側にもう1節あるのでしょう。

この図鑑にはマイマイガの属するLymantria属とマイマイガについて胸部、腹部に関して詳細な特徴が載っています。それを転載してみます。

Lymantria属
①副前頭の上方に二次刺毛を有する
②第1~4腹節の背上に特殊な毛束を欠くが、各1対の小さい腺状物を有する
③第6、7腹節の背上には背腺を有し、体には二次刺毛を欠く
④各腹節の瘤起SD1とL1は隣接、L2はL1より大きい
⑤D1はD2よりはるかに小さいかあるいは欠く
⑥各瘤起から棘状刺毛および刺毛を多数生じる

マイマイガ Lymantria dispar japonica
⑦前胸の背面は黄色;背楯の瘤起は青色で黒色の短い棘状突起を生じる;気門前瘤起は橙赤色で大きく盛り上がり、黒色の棘と白色の長毛を前外方に突出する
⑧中胸から第4腹節までのD2は青色、第5腹節から後方のD2は赤色、共に黒色の棘を射出し、周辺に短い白色毛を生じる
⑨中・後胸のD1は小さく青色でD2の直上に位し、腹節のD1は赤色で小さく、D2の大きさの約1/8位で、ほとんど背線に沿う高い位置に位する;それぞれ1~2本の黒い棘と数本の白色毛を生じる
⑩第1~4腹節のD1後方の腺状物は非常に小さく橙赤色を帯びる

用語がなかなか難しいのですが、分かる範囲で調べてみることにします。まず、③の「第6、7腹節の背上には背腺」というのはこの写真で示した部分だと思われます。



これは胸部と腹部第1~3節を拡大したものです。刺毛は瘤状突起(瘤起)の上に生えています。瘤起にはそれぞれ名前がついていて、上の図鑑によると、Forbes式、Fracker式、Grerasimov式、Hinton式、それに、この図鑑の筆者である六浦氏の方式が載っています。ただ、本文中で用いられている記号はHinton式でした。刺毛の名称については次の本にも載っています。

N. P. Kristensen, "Lepidoptera, Moths and Butterflies Vol. 2: Morphology, Physiology, and Developement", Handbook of Zoology Volume IV, Walter de Gruyter (2003).

この本ではHasenfussの論文を引用しているのですが、基本的にはHinton式と同じようなので、先ほどの特徴を見ながら記号をつけてみました。いずれにしても、この写真からは②、⑤、⑥、⑦、⑧、⑨、⑩あたりを確かめることができます。(追記2019/05/31:記号の意味は、背面(D)、準背面(SD)、側面(L)、準腹面(SV)、腹面(V)のようです



この写真からはさらに④を確かめることができました。というので、項目のだいたいは確かめることができました。



これは別の個体のマイマイガの頭部です。頭部も調べればよかったのですが、今回は時間がないのでパスしました。前胸のD2が上の写真の個体では薄色だったのですが、この写真では青いですね。齢と共に、色が変化していくみたいですね。毛虫もこうやって調べてみると、意外に面白いものです。

家の近くのむし探検 甲虫、蛾ほか

2019-05-29 20:46:12 | 家の近くのむし探検
家の近くのむし探検 第14弾


5月22日に家の近くの道路脇の茂みで見つけた虫の続きです。



最初はジョウカイボン科です。「新訂 原色昆虫大図鑑II」の図版を見ると、マルムネジョウカイ Prothemus ciusianusに似ています。「日本列島の甲虫全種目録 (2019年)」を見てみると、Prothemusで本州産はマルムネとヒガシマルムネの2種がいます。ネットで見る限りはこの両者は前胸背板の模様が違うようです。たぶん、マルムネジョウカイでよいのでしょう。





次はマイマイガの幼虫です。刺毛の配列を見ようと拡大して写したのですが、まだ、調べていません。



これはナナホシテントウの蛹だと思います。



アリはよく分かりません。





また、毛虫です。これも名前が分かりません。(追記2019/05/30:akaitoriさんから、「緑色の蛾は、ヒロバモクメキリガに似て見えました。」というコメントをいただきました。確かにそうですね。ヒロバモクメキリガによく似ています。ヒロバモクメキリガは成虫でも見ているので大いに可能性があります。コメント、どうも有難うございました



これはたぶん、クロバエ科かなと思うのですが・・・。



これはシリグロハマキ





翅脈が微かに見えるので「日本産ハナバチ図鑑」の検索表を調べてみると、コハナバチ科かなと思ったのですが、よく分かりません。



クズノチビタマムシ



これはたぶん、ケヒラタアブ



最後はジョウカイボン

六甲高山植物園で見た花6

2019-05-28 19:46:01 | ちょっと足を伸ばして
5月16日に六甲高山植物園で見た花の最後です。この日だけで50種ほど撮ってきたので、写真の整理も大変でした。







この日の目的の一つはこのクリンソウを見ることでした。期待通り、一面がクリンソウで覆われていました。やはり綺麗ですね。





これはよく分からなかったのですが、ちょうど近くでリュウキンカとエンコウソウの違いを説明していたのでたぶん、リュウキンカの方だと思います。花弁のように見えるのは蕚片で全部で5枚。雄蕊は多数、雌蕊は数本。これは「山に咲く花」に書いてありました。



で、こちらがエンコウソウ。説明では、茎が横に這っているのがエンコウソウだそうです。でも、「山に咲く花」を見ると、エンコウソウはリュウキンカの変種になっていました。









綺麗な花なので、ついいっぱい撮ってしまいました。





これはバイカイカリソウかなと思ったのですが、花がやや紫がかっています。図鑑を見てみたのですが、やはりバイカイカリソウかなと思われます。





これはオキナグサ。上は花、下は果実です。





そして、ワタスゲ





ツツジはラベルがなかったのでよく分かりません。





このシャクナゲもよく分かりません。





こちらはオオイワカガミ



そして、最後は目立たなく咲いていたキヌガサソウです。これで、六甲で見た花の紹介はすべて終わりました。

家の近くのむし探検 甲虫、トビケラなど

2019-05-27 17:37:07 | 家の近くのむし探検
家の近くのむし探検 第13弾


5月22日にいつもの道端の茂みに行ってみました。最近は管理組合の仕事が忙しくて顕微鏡で調べたり、文献を読んだりする時間はほとんどありません。せめて散歩代わりにぶらぶら歩くことにしています。



最初はハムシダマシです。これはいつもの茂みに着く前に見つけました。



そのすぐ近くにトビケラがいました。これは名前が分かりませんね。



次はアシナガバエ。いつもフラッシュをたくと逃げ回るのですが、不思議とじっとしていました。M1+2脈が分岐し、M1脈が前縁側にほぼ直角に曲がってから翅縁側に伸びています。こんな翅脈を持つのは、Amblypsilopus, Condylostylus, Sciapus, Sinosciapusあたりです。ここから先がいつも分かりません。



次はツマグロキンバエ



やっといつもの茂みに着きました。最初に見つけたのはこんなハチです。翅脈からヒメバチの仲間かなと思うのですが、これもよくは分かりません。





次はマイマイガの幼虫です。この2枚の写真は違う場所で撮ったものですが、よく探すと結構あちこちで見つかります。以前調べたように、刺毛を調べてみようかと思って近寄ったのですが、今は時間がないかな。



次はカミムラカワゲラではないかと思っている種です。



そして、これはズアカシダカスミカメかな。



最後はヤマギシモリノキモグリバエだろうと思っているハエです。ちょっと写真が駄目でした。この種については以前調べたことがありました(こちらこちら)。これでまだ半分くらいなのですが、残りは次回に回します。