新「廊下のむし探検」

大阪北部のマンションの廊下で見つけた虫の名前を調べています

廊下のむし探検 チャタテ、アリなど

2019-11-30 20:54:32 | 廊下のむし探検
廊下のむし探検 第111弾


11月24日にマンションの廊下で見つけた虫の整理をまだしています。







最初はまたチャタテムシの仲間です。後小室の辺がM脈と融合しているので、また、チャタテ科のようです。次の論文にチャタテ科の種の検索表が載っているのでちょっと試してみました。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991). (こちらからダウンロードできます)

それによると次のような過程を経て、Psocidus pellucidusになりました。

①小顎鬚の端節は幅の約2.5倍;触角は比較的に短く、せいぜい前翅長の1.5倍まで
②触角は前翅長より短いか、ほぼ等長
③前翅のCu1a脈の基部の長さは、Cu1a脈の次の区画の長さよりも一般的に長い
④縁紋の後縁は刺脈を持たない
⑤前翅は縁紋を除いて斑紋は持たない
⑥前翅は透明;縁紋は赤褐色;翅脈は黄褐色;前翅長約4.0mm Psocidus pellucidus

上の写真から触角の長さがせいぜい前翅長くらいなので、①と②が確かめられます。③ははっきりしないのですが、基部の長さの方がやや長い感じがします。④と⑤はOKで、前翅が透明というところからPsocidus pellucidusに至りました。「日本昆虫目録第4巻」によると、Psocidus属には2種 japonicaとpellucidusが載っていますが、上の論文と比較すると属の移動がかなりされているのでよくは分かりません。pellucidusだとすると、和名はムモンチャタテ、分布は北海道、本州になっていました。

K. Yoshizawa, "Systematic Positions of the Species Currently Placed Under the Holding Genus Psocidus S. L. Described by Okamoto (Psocodea: 'Psocoptera': Psocidae)", Insecta Matsumurana New Seires 64, 23 (2008).(ここからダウンロードできます)

この種はこの論文にも載っています。詳細はまだ読んでいないのですが、翅脈や斑紋はよく合っているようです。ひょっとするとこの種かもしれません。



そろそろこのハエの季節になってきました。ナミネアブラキモグリバエです。11月頃からマンションの壁にびっしり着くようになります。この間、管理組合にもこれは何で、何とかならないかという苦情が寄せられました。とりあえず、名前をお知らせして、一応、益虫なのですけどと答えておきました。



これはヒラフシアリ



それから、アメリカミズアブ



最後はこの間からいるカタビロコバチの仲間ではないかと思います。

廊下のむし探検 カメムシ、甲虫

2019-11-29 21:07:23 | 廊下のむし探検
廊下のむし探検 第111弾


最近は管理組合の仕事でとにかく忙しく、ゆっくりと写真を整理する時間がありません。とりあえず24日にマンションの廊下で見た虫のうち、カメムシと甲虫だけ整理してみました。



最初はクスベニヒラタカスミカメです。





次はムツキボシテントウ。この間から何度か見ています。









今はともかくこのナミテントウがいっぱいです。それでいろいろな模様の個体の写真を撮ってみました。この模様については以前、遺伝的に模様が決まるという話を書いたことがあります。その時の文章を引用すると、一つは基本的な背景色は黒で、A:二紋型(遺伝子 hC)、B:四紋型(遺伝子 hSp)、C:斑(まだら)型(遺伝子 hA)で、もう一つは背景色が赤のもの、D:紅型(遺伝子 h)です。これらの間には、hC > hSp > hA > h という優性、劣性の関係があり、メンデルの法則が成り立つというものです。上の写真の例では上の3つが背景色黒のもの、一番下が背景色赤のものということになります。こんな目でナミテントウを見ていくとなかなか面白いですね。



最後はマルガタゴミムシの仲間です。

廊下のむし探検 甲虫、ガガンボほか

2019-11-28 20:56:59 | 廊下のむし探検
廊下のむし探検 第110弾


11月24日にマンションの廊下で見つけた虫の続きです。



迂闊にも絞りを絞らずに写真を撮ってしまいました。それで何枚かはこんなぼやぼやの写真ばかり。これはたぶん、アカホシテントウだと思います。



これはカクツツトビケラの仲間だと思うのですが、まだ名前が分かっていません。



これは前回に出し忘れていたチャエダシャク





この日はナミテントウが沢山いました。階段の踊り場ごとに10匹程度。



ガガンボの仲間はなかなか分かりません。ガガンボ科かなと思ったのですが、一応、翅脈を見てみました。



矢印で示した脈がどうも気になります。これがSc脈だとすると、ガガンボ科ではないことになります。ヒメガガンボ科かなと思ったのですが、何となく雰囲気が違います。



これはシマバエ科のHomoneura属かな。



そして、最後はユアサハナゾウムシ。この日はまだまだいましたが、次回に回します。

廊下のむし探検 蛾

2019-11-26 20:24:17 | 廊下のむし探検
廊下のむし探検 第109弾


11月24日にマンションの廊下で見つけた虫です。最近は虫が少ないので、しょっちゅう廊下を歩いて虫探しをしています。



最近は晩秋に見られる蛾がいます。このキリガもその一つで、カシワオビキリガだと思います。



これはウスバフタホシコケガ。確か、この仲間は鱗粉がなく、毛が生えているのだったと思います。



それからアオバハガタヨトウ



最後はウスタビガ♀です。「廊下のむし探検」では昨年11月に多田銀銅山で見たのが最初でした。ということで、マンションの廊下では初見です。



廊下のむし探検 ハチ、カメムシほか

2019-11-25 20:28:59 | 廊下のむし探検
廊下のむし探検 第108弾


11月21日にマンションの廊下で見つけた虫の続きです。







また、コバチです。前胸背板前縁角が角ばっているので、カタビロコバチ科かなと思うのですが、よくは分かりません。



これはタマバエ科。たぶん、以前調べたことがあるLestremiinae亜科のAnaretella属だと思うのですが、それから先は分かりません。



それにナナホシテントウ







時間がかかったのはこのハチ。縁紋の大きいところが目立つのですが、どうも翅脈がはっきりしません。以前撮った写真と比べてみて、コマユバチ科かなと思って、ネットで探してみました。サムライコマユバチ亜科のCotesia属としているサイトがいくつか見つかりました。とりあえず、亜科が合っているかどうか調べるために、亜科の検索表を調べてみました。

C. van Achterberg, "Illustrated key to the subfamilies of the Braconidae (Hymenoptera: Ichneumonoidea)", Zool. Verhandelingen 283, 3 (1993).(ここからダウンロードできます)

サムライコマユバチ亜科は英語ではMicrogastrinaeなのですが、検索表を追いかけていくと、検索表のだいぶ後の部分で登場するので一筋縄ではいきそうにありません。それで、Microgastrinaeの項目だけを見てみました。この写真だけで分かるのは翅脈と触角なので、そこだけ訳すと次のようになります。

触角は18節;前翅の2-SR脈はr脈につながる。

これを写真で調べてみることにしました。



まず触角ですが、辛うじて18節であることがわかります。



翅脈はどうもはっきりしません。それでも上の論文の図に従って名前を付けてみたのがこの写真です。翅縁に向かう脈がはっきりしないのですが、rと2-SRと書いた脈が途中で曲がっているので、たぶん、ここから翅縁に向かう脈があるとすれば、ここで二つの脈に分かれ、上に書いてある通りであることが分かります。でも、採集しないとどうしようもありません。属の検索もできていないのですが、Cotesia属だとしても日本産は30種ほど記録されているようなので、まだまだ大変そうです。



これはマルツチカメムシ。これで廊下で見つけた虫は全部です。



その後、ちょっと外を散歩しました。柿の小さな実がなっていました。



それから、これはカナメモチではないかと思います。