俺は腹に突っ込んでいたチャカを取り出した。平井と佐々木の顔が強張った。俺はそれを無視して、チャカからマガジンを抜き、銃身をスライドさせて銃身に残っている1発も抜き出した。そしてその1発をマガジンに押し込み、別々にしたまま松に返した。
「俺もう要らんやろ?帰っていいか?」
松は少し悩んだみたいだったけど、視線を1度ノブに移した後、
「いいよ、やっちゃん。ありがとうまた電話するわ」
と軽く言った。その言葉を聞いた後俺は佐々木と平井を見た。何か気に入らない。2人に近寄り平井から順に思いっきり顔を殴りつけた。佐々木は突然の出来事に何が起こったか解らないといった表情をしていた。平井は歯が折れ口から血を流し、佐々木は鼻血を流していた。少し気分が軽くなったような気がした。俺はベッドの横の電気スタンドの下にあるティッシュの箱を2人に放り投げて背中を向けた。
ドアノブに手をかけたときに、ポケットの中に平井から取り上げた金が残ってる事を思い出した。俺はその金をポケットから取り出した
「松、この金まだ余っちょんけど」
そう言って金を放り投げようとしたら
「なんぼ残っちょん?」
「10万ぐらいは残っちょんよ、数えてねーけど」
松はほんの少し考えて
「いいよ、いいよ、やっちゃん。それ手間賃で持っていき。ノブ、下までやっちゃん送っちゃって」
俺は平井をチラッと見たが、平井はティッシュで口を押さえるのに忙しそうだった。
俺とノブを乗せたエレベーターが1階に着いたときにノブが
「首藤さん、何百万ってくれるって話でしたよね?おかしくないですか?金も回収したのに」
「いつもに事やねぇーか、アイツが口ばっかりなのはよ。お前もそろそろ慣れてきた頃やろうが」
「でも、一番骨折ったのは俺たちですよ…」
ノブが愚痴るのも解るが、俺は小学校の時からアイツを見てるから、どうせこんな事やろうとは思ってた。ショックは受けてない、ただただ疲れていた。
俺はポケットからさっきの金を取り出し数えた。1万円札が10枚と後は千円札数枚とジャリ銭だった。俺は1万円札5枚をノブに渡した。
「いいんですか?首藤さん?」
「いいよいいよ、どうせお前は一銭も貰えんやろ」
ノブは2回断ったが、礼を言いながらスーツのポケットにその金を突っ込んだ。俺達はここで別れる事にした。1階まで下りてしまったので、俺はノブがホテルの中に消えるのを見た後、2階まで上がり駅の改札に向かった。
駅のホームでマイホームタウンに向かう電車を待っている。外気はものすごく寒かったが身体は疲れすぎて火照っていた。自動販売機に平井の金を入れてコーラを買った。冷たいコーラを流し込むと、少し身体も気持ちも落ち着いた。今日は家で眠ることが出来る…。
しばらくして電車がホームに入ってきた。俺は電車に乗った。結構乗客がいて座る事は出来なかったが、開放感で辛くはなかった。
40分弱電車に揺られて俺の町に着いた。改札出てすっかり暗くなった道を肩をすぼめて歩いた。遠くから「MY WAY」が聞こえる…。俺はコートのポケットの奥で平井の金に埋まってる携帯電話を触った。震えていた。俺は舌打ちしながら携帯電話の通話ボタンを押した。受話器の向こうから素っ頓狂な声が聞こえてきた。
「やっちゃん、もう帰り着いた?来週から平井に倒産整理させるけ、一緒にやってくれん?やっぱ、やっちゃんやないと信用出来んけ」
もう勘弁してくれよ。絶対断ろう。これ以上付き合いきれない。
「やっちゃん、やっちゃん?」
「分かった分かった!何時にどこに行けばいいん?」
いつになったら普通の生活が出来るんだろう?いや、これが俺の俺達の普通なのかもしれない。せめて今夜は我が家でゆっくりさせてもらおう。また来週からヒリヒリするような毎日が続くのだから…。
「俺もう要らんやろ?帰っていいか?」
松は少し悩んだみたいだったけど、視線を1度ノブに移した後、
「いいよ、やっちゃん。ありがとうまた電話するわ」
と軽く言った。その言葉を聞いた後俺は佐々木と平井を見た。何か気に入らない。2人に近寄り平井から順に思いっきり顔を殴りつけた。佐々木は突然の出来事に何が起こったか解らないといった表情をしていた。平井は歯が折れ口から血を流し、佐々木は鼻血を流していた。少し気分が軽くなったような気がした。俺はベッドの横の電気スタンドの下にあるティッシュの箱を2人に放り投げて背中を向けた。
ドアノブに手をかけたときに、ポケットの中に平井から取り上げた金が残ってる事を思い出した。俺はその金をポケットから取り出した
「松、この金まだ余っちょんけど」
そう言って金を放り投げようとしたら
「なんぼ残っちょん?」
「10万ぐらいは残っちょんよ、数えてねーけど」
松はほんの少し考えて
「いいよ、いいよ、やっちゃん。それ手間賃で持っていき。ノブ、下までやっちゃん送っちゃって」
俺は平井をチラッと見たが、平井はティッシュで口を押さえるのに忙しそうだった。
俺とノブを乗せたエレベーターが1階に着いたときにノブが
「首藤さん、何百万ってくれるって話でしたよね?おかしくないですか?金も回収したのに」
「いつもに事やねぇーか、アイツが口ばっかりなのはよ。お前もそろそろ慣れてきた頃やろうが」
「でも、一番骨折ったのは俺たちですよ…」
ノブが愚痴るのも解るが、俺は小学校の時からアイツを見てるから、どうせこんな事やろうとは思ってた。ショックは受けてない、ただただ疲れていた。
俺はポケットからさっきの金を取り出し数えた。1万円札が10枚と後は千円札数枚とジャリ銭だった。俺は1万円札5枚をノブに渡した。
「いいんですか?首藤さん?」
「いいよいいよ、どうせお前は一銭も貰えんやろ」
ノブは2回断ったが、礼を言いながらスーツのポケットにその金を突っ込んだ。俺達はここで別れる事にした。1階まで下りてしまったので、俺はノブがホテルの中に消えるのを見た後、2階まで上がり駅の改札に向かった。
駅のホームでマイホームタウンに向かう電車を待っている。外気はものすごく寒かったが身体は疲れすぎて火照っていた。自動販売機に平井の金を入れてコーラを買った。冷たいコーラを流し込むと、少し身体も気持ちも落ち着いた。今日は家で眠ることが出来る…。
しばらくして電車がホームに入ってきた。俺は電車に乗った。結構乗客がいて座る事は出来なかったが、開放感で辛くはなかった。
40分弱電車に揺られて俺の町に着いた。改札出てすっかり暗くなった道を肩をすぼめて歩いた。遠くから「MY WAY」が聞こえる…。俺はコートのポケットの奥で平井の金に埋まってる携帯電話を触った。震えていた。俺は舌打ちしながら携帯電話の通話ボタンを押した。受話器の向こうから素っ頓狂な声が聞こえてきた。
「やっちゃん、もう帰り着いた?来週から平井に倒産整理させるけ、一緒にやってくれん?やっぱ、やっちゃんやないと信用出来んけ」
もう勘弁してくれよ。絶対断ろう。これ以上付き合いきれない。
「やっちゃん、やっちゃん?」
「分かった分かった!何時にどこに行けばいいん?」
いつになったら普通の生活が出来るんだろう?いや、これが俺の俺達の普通なのかもしれない。せめて今夜は我が家でゆっくりさせてもらおう。また来週からヒリヒリするような毎日が続くのだから…。