S&R shudo's life

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人生はバクチだぜ!!!!

真冬の狂想曲23-1

2007-12-02 13:54:23 | 真冬の狂想曲
 2日後ノブから連絡が入った。今から新幹線に乗るところだと。ベッドに備え付けられている時計に目をやると、まだ8時前だった。先日坂本から松に入った電話だと、残金と中村の引渡しは今日の午後7時の予定だった。東京から小倉までは5時間半程で着くはずだ。向こうを出るのが早過ぎる。まだ身体は寝ていたが、嫌な感じで脳みそが無理矢理フル回転する。なんとか身体を起こし隣のベッドを覗き込む。両手両足縛られた平井はまだ鼾をたてていた。俺は床に脱ぎっぱなしのジーンズをはき、もう一度平井が寝ている事を確認して部屋を出た。フロアの真ん中辺りにある自動販売機で冷たいブラックコーヒーを買い、胃に流し込みながら松に電話をかけた。3回程留守番電話サービスにまわされたが、4回目の電話でようやく機嫌の悪そうな声が聞こえた。
「どうしたん?こんな早く・・・」
 松の脳みそも起こしてやる必要があるみたいだ。俺はわざと大きな声を出した。
「どうしたもこうしたもねーよ!さっきノブから電話が入ってからよー、坂本達もう新幹線に乗ったっちよ!いくら何でも早過ぎやねーか」
 松は短い沈黙の後口を開いた。
「ほんとのー、確かにちょっと向こうを出るのが早過ぎるのー。何か裏があるかも知れんけ、とりあえずそっちに行くわ、待っちょって」
 そう言って松は携帯電話を切った。もうアイツの脳みそも完璧に起きたようだった。

 松の小倉のマンションからステーションホテルまで30分もかからないはずなのに、電話を切ってから1時間半程して、松は1211号室に現れた。松は一人ではなかった。松の後ろには、歌舞伎町で会った韓国人3人と初めて見る顔が2人立っていた。
「やっちゃん、初めてやったよのー、これ俺の兄弟のパク。兄弟を待っとったけちょっと遅くなったんよ。今回手伝ってくれるけ」
 坊主頭で松より少し背は低いがガッチリとした身体つきの、そのパクという男は膝に手をあて頭を下げて挨拶をした。ヤクザスタイルだ。
「初めまして、ミョンファの兄弟分のパクです。東京に来たときは不在ですいません」
 他の韓国人達とは違って、かなり流暢な日本語だ。名前を聞かなければ韓国人だという事はわからない。ミョンファというのは松の本当の名前だ。もう一人の初めて見る顔は黙ってパクの斜め後ろに立っている。
コメント
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