S&R shudo's life

ロック、旅、小説、なんでもありだ!
人生はバクチだぜ!!!!

真冬の狂想曲20-2

2006-11-22 23:59:02 | 真冬の狂想曲
 缶コーヒーを飲み干し、バスルームで顔を洗っていると、もう一つのカードキーでドアを開けて松が1211号室に入ってきた。
「おはよう!やっちゃん。よく眠れた」
 朝からこのテンションだ。高血圧の奴が羨ましい。
「まーボチボチの」
 朝は機嫌の悪い俺は低い声で愛想無く答えた。
 部屋の奥に進んだ松は、転がっている平井に気付き俺に振り返った。
「こりゃなしか!すぐほどいてやれ!いったい何のつもりなんか!」
 ほとほと甘い松は下着姿で転がっている平井に同情でもしてるようだ。自分を引っ掛けた相手にお優しいもんだ。
「お前何言いよんか。こうでもせんと俺達が安心して眠れんやんか。縛りもせんで寝ちょって逃げられたら俺にやかまし言おうが!だいたい甘いんよ松は」
 俺の言っている事が理解出来たのだろう、溜息を深くつきながらも納得したようだ。
「解ったけ、もうほどいてやってくれ」
 俺はザキに目で合図して、平井の手足のロックタイを切断させた。平井は怒気をおびた目で俺を睨みつけたが、平井には何も出来ない。睨みつける事ぐらいが精一杯だった。
「兄さん、松崎さん、俺コンビニ行って来ますけど何か要りますか?」
「おう、俺温かいコーヒーと煙草買ってきてくれ。松は?」
「俺もコーヒー買ってきて」
 俺はベッドの下に放り投げていたコートのポケットから千円札を2枚取り出し、平井にもコーヒーを買ってやってくれと頼み、ザキに金を渡した。
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真冬の狂想曲20-1

2006-11-21 22:37:00 | 真冬の狂想曲
 携帯電話のアラームで叩き起こされる。ベッドサイドの時計は7時30分を指している。隣のベッドには昨日の昼前に律儀に現れたザキが眠っている。ベッドの下の床には平井が一昨日と同じ格好で転がっていた。それを見ても俺は何も感じない。麻痺してるのか、それとも元々こういう風な冷淡な一面を持ち合わせていたのかは解らない。俺はザキを起こし、平井を蹴飛ばした。そろそろ松も現れるはずだ。
昨日、松からの電話で今日の10時頃、中村が新飯塚駅に降りるはずだと佐々木から連絡があったと聞かされた。詳しい時間はまた佐々木から連絡が入るようになっているらしいが、俺達は9時頃までには新飯塚駅に着いていないといけない。早めに起きて頭をハッキリさせとかないと。俺は昨日の夜買っておいた缶コーヒーの栓を開けた。
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真冬の狂想曲19-2

2006-11-14 20:37:17 | 真冬の狂想曲
 駅の構内にあるコンビニはもう閉まっていた。俺は一人毒づいて真冬の夜中の街に歩きだした。5分も歩いてないが、1時間以上歩いたような気分だった。コンビニに入ると店内の暖気に身体も脳ミソも弛緩した。急に1211号室に戻るのが嫌になった。しかし戻らないわけにはいかない。俺はハサミと缶ビール、缶チューハイと雑誌を買って、また真冬の寒気の中に足を踏み出した。
 1211号室に戻ると、俺に気付いた平井が恥ずかしさに身を縮めた。俺は平井の手足からロックタイを外し、足で平井の身体を仰向けにした。
「平井ー、バスルームからタオル持ってきて自分で掃除せい」
缶ビールの栓を開けながら平井に言った。平井はのそのそと起き上がり昼間俺が買って来た下着に手を伸ばした。
「おい!先に掃除やろうが!俺にお前の小便踏めっち言うんか!すぐ掃除せい!」
 俺は夜中だと言うのに大声を出していた。
「はいっ、すいません。すぐ掃除します」
 平井は慌ててバスルームからタオルを持ってきて、床に這いつくばった。俺は窓際の椅子に腰掛け缶ビールを飲みながら、それを見ていた。
「それが終わったら、バスルームで服洗って来い。下着の換えしか用意してないぞ」

 洗濯が終わり下着を換えて中年の崩れた身体のライン丸出しの平井を跪かせ、またロックタイで手足を縛った。もちろん口にはタオルをくわえさせている。そのままの状態で平井を壁際のベッドに寝かせ、俺は缶チューハイを一気に飲み干した。そして入り口近くのベッドに潜り込んで今日一日を終わりにした。
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真冬の狂想曲19-1

2006-11-10 23:00:57 | 真冬の狂想曲
 ザキを駅近くの駐車場まで送り、ステーションホテルに戻った。平井の待つ部屋に戻るのは憂鬱だったが、戻らないわけにもいかない。俺はエレベーターを待つ間中ずっと憂鬱だった。
 1211号室にカードキーを挿してドアを開けた。かすかなアンモニア臭が鼻をつく。平井が俺に気付き恥ずかしさに震えだした。小便を垂れ流している。そういえば平井を縛ったまま置き去りにして3時間以上経っている。俺は隠そうともせず顔をしかめた。掃除して着替えさせないといけない。俺は平井の手足を縛っているロックタイを外そうとしたが、何か切るものがないと外すのは無理だった。
「平井、悪いの。これちょっと外れんけ、切る物買ってくるわ。しばらく辛抱しちょけよ」
 平井は目を瞑ったまま首を縦に動かした。俺は平井を置いてまた1211号室から出て行った。
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真冬の狂想曲18-6

2006-11-06 16:06:34 | 真冬の狂想曲
 金は豊富にある。何でも好きな物が食えそうだ。恥ずかしながら50万もの大金を持って歩くことは始めてだった。俺もザキももともと貧乏人なんで、金のかかる食事なんてとったことがない。さんざん悩んだあげく、駅の近くの小汚い焼肉屋に入った。
 ホルモンとカルビをビールで流し込み、俺達は空腹を満たした。いくら金を持ってても食う物はいつもと変わらない。1時間程時間を潰し、焼肉屋を後にした。
「ザキ、お前帰ってていいぜ。ホテル帰ってもベッド2つしかないし、どうせする事もないしよー」
「兄さん、一人でしんどくないっすか?」
「全然大丈夫。あんヤツは縛ったままにしとくけ」
「そうですか、じゃーそうします。また明日起きてから出てきます」
「おー、そうしてくれ」
 ザキは頭を下げて、帰ろうとしている。
「ちょっと待て、まだ終電まで時間あるやろ?」
「兄さん、俺車っすよ」
「そうか、ほんならまだ時間いいよのー?」
「えー、まだいいですけど…」
「ちょっと遊んでいくか?金は持っとるけ」
 ザキの顔がだらしなく緩んだ。
 俺達は駅とは反対方向に歩いて、ソープ街へと足を踏み入れた。手前の安い店を通り過ぎて、今まで入った事もない高級ソープに入った。どうせ人の金だ。
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