黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

エンジェル・ビル #01

2006-03-17 11:41:55 | 東京 URBEX
昭和49年~50年(1974~1975)の10月から3月にかけて、
『傷だらけの天使』というドラマが放送されました。
萩原健一と水谷豊が主演、
そして怪優、岸田今日子と岸田森が脇をかためる、
一部のファンの間では伝説化しているドラマです。



岸田今日子がなかば趣味で経営する探偵事務所の、
いわば下請けの萩原健一が、
ヤバい仕事を請け負っては弟分の水谷豊と事件を解決しながら、
時に人情に涙し、時にせつない優しさをみせたりする、
1話完結の帯ドラマでした。

そして主役の萩原健一と水谷豊がねぐらにしている、
都内某所のビルのペントハウスという設定の部屋が、
山手線沿いに実在する部屋だったというのは、
このドラマを知る人の間では周知の事実だと思います。



雑然とした街並みの中にあって、
1階に店舗を構える商店はそれほど違和感がなく、
しかもその殆どが営業中なので、
目線で歩いていると気が付きませんが、
見上げて周囲のビルと見比べると、
その古さが歴然とします。

地上6階、地下1階、屋上ペントハウス2階建ての雑居ビルで、
『傷だらけの天使』のファンの間ではそのタイトルをもじって、
<エンジェル・ビル>と呼ばれています。

250円ラーメンで有名な1階にある中華食堂は、
戦後すぐの、まだビルが出来る前からこの場所で営業していた老舗で、
店の人に聞いたところ、このビルは
昭和36~37年(1961~62)にかけて建設されたそうです。



以前ビルの2階にあったロシア料理屋で食事をした人が、
店のマスターから仕入れた、
「まだその部屋は撮影当時のまま保存されているらしい」
という話を聞いて以来ずっと気になってはいましたが、
ある日ふと思い立って行ってみると、
そこには変わり果てながらも、
あの『傷だらけの天使』で見たペントハウスが、
そびえ立っていました。

NEXT>>

■シリーズ:エンジェル・ビル■
・#02 ビルの中へ1
・#03 ビルの中へ2
・#04 屋上、70年代
・#05 廃優-緑魔子と第七病棟
・#06 ペントハウスへ
・#07 思い出の場所がないということ
 



最新の画像もっと見る

1 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (チイコ)
2006-05-12 16:49:27
ご親切にありがとうございました。

なんとか入口を探し当てて入ってみたいと思います。。

見つかったときのことまで心配していただいてなんとお礼を言ったらよいのか・・・
返信する

post a comment