昨日、書いたグレープフルーツ(書いたってほど書いていないけれど・・・)
グレープフルーツはレモンに似ている気がする。
でも、レモンほど文学作品などに登場していないような・・・?
私が知らないだけだろうか?
やはり、高村光太郎の「レモン哀歌」
レモン哀歌
高村光太郎
そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白いあかるい死の床で
私の手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
あなたの咽喉に嵐はあるが
かういふ命の瀬戸ぎはに
智恵子はもとの智恵子となり
生涯の愛を一瞬にかたむけた
それからひと時
昔山巓でしたやうな深呼吸を一つして
あなたの機関ははそれなり止まつた
写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光つレモンを今日も置かう
「智恵子抄」より
美しいけど、悲しいですよね。智恵子は他の人の妻だったら・・・
こんな死に方しなかったかも・・・と思ったり・・・・