あーー行きたくないよー、会いたくないよーと思いつつ、父の胃カメラの日はやって来た。
一応朝、家を出る前に父の携帯に電話してみるが、繋がらない。充電切れかな、どうしたんだろうと思いつつ、家の電話にかけると普通に出る父。しかし、私だとわかった途端、テンションダダ下がりなのが電話でも伝わってくる(こっちだって話したくないわーー)「携帯に電話したけど、繋がらなかったよ」と言うと、「電源を切ってた」と。はあーーー?それって、私から電話がかかってくるのがわかってて、切ってたっていうことか?
そして、「今から出るから9時半くらいかな。胃カメラだから送迎するよ」と言っても、やはり「来んでいい!」の一点張りだ(まだ続いてんのかい!)「お母さんがひとりになるから」と言っても「お母さんはそんなにぼけとらん!」こりゃダメだ…。その上「(俺のことは)どうせ無視するだろう」と。どうも前回私がほとんど口をきかなかったことが無視したことになっているらしい。いやいや普通に挨拶したし。ま、それ以外はほぼほぼ喋ってないけど…。(ここ2~3ヶ月父に喋りかけても一言二言返って来るだけで、不機嫌そうだし。話しかけるのも嫌なんだわ!!)結局、「もう(電話を)切るぞ」と。
ふーーーっ、面倒くさい。電話を切ってから一瞬迷ったものの、やっぱり行くことに。それでも送迎が嫌だと言うなら、母をうちに連れて来て一泊させてもいいかな…と。ところが、着いたのが9時半前なのにすでに父の車がない。母に聞いたら、メモを見て「胃カメラに行ったよ」と。どうも運転して行ったらしい。(前回も胃カメラの後しばらく休んで、その後診察や会計があったりで時間も経ってたんで、運転できないことはないんだろうけど…。ほんと何なんだよー)しかも、メモには「9時半に出る」と書いてあったのに。私が来るのを見越して、早目に出たんだろうな。(どんだけー)
母は前回の父の暴言三昧はすっかり忘れているので、私も特に何も言わず。父のメモに「お昼はおかゆ」と書いてあり、母が「おかゆってどうやって作るんだっけ」と言うので、「レトルトのおかゆを買えばいいよ」と冷蔵庫の中をチェックして買い物に行くことに。
他にも何か時間潰せないかなーと思い、ついでに近くの「図書館(美術館併設)に行ってみようか。美術展とかあってるみたいだし」と。でも、父の日記にも美術展に行ったと書いてあったので、もしかして覚えてるかな…と思って、母に「行った?」と聞くと、「何日か前に行ったけど、何回見てもいいからいいよ」と。えっ覚えてるんかい?冷蔵庫チェックの時は「豆腐があるかな」と何度もチェックしていたのに。
そういえば、この間の診察の時も先生に「橋幸夫のコンサートに行ったんですね?」と聞かれた時「はい」と嬉しそうに答えてたんだよな。あれは本当に覚えてたのか。冷蔵庫の中身は覚えられないのにそういう出来事は覚えてるんだろうか。一時期からすると、やっぱりちょっと回復してるのか。
しかし、美術館に行ってみたら、ちょうど展示物の入れ替えで見れなかったんだけれども…。そして、いつものごとく買い物して、家に帰る。
母は特に妄想めいた話もしないし(時々独り言は言っているけれど、聞き取れない)、落ち着いている感じ。買い物の帰りも、車の前を猫が横切っていたので「にゃんこがおるよ」と言ったら、小走りになる猫。それを見て「(車が来るのが)わかってるんだね」と笑う母。一時期からしたら、だいぶよくなってる感じはする。この調子だったらうちに連れて行かなくても大丈夫かなーと思い(留守中に連れて帰ったら、また父が激怒するだろうし)、父が帰ってくる前に家を出る。(帰って来てまた怒鳴られたらいやだし)
そんな感じでとっとと家に帰り、ケアマネさんに電話。一応今日の出来事をざっと話したものの(ケアマネさんは淡々と相槌を打つ)、一通り話した後、私は結局何を言いたいんだっけ?となる。ただ愚痴をこぼしただけみたいだな…。なので、「しばらく実家とは距離を置きたいので、時々様子をみていただけないでしょうか」「次の診察(あと3週間余り)には実家には行くつもりです」と伝える。で、ケアマネさんの「ヘルパーさんが週一で入っていますから」とか「お母さんはだいぶ落ち着いてきて、料理とかされてるみたいですよ」という話を聞いてる内になぜか泣きそうになり、最後「お願いします」と言う時にはついつい涙声になってしまった。泣くつもりなんてなかったのに。
後でなんでだろうと思ったけれど、ケアマネさんはよかれと思って今の状況を話してくれたのに、私にはそうじゃない感があったんだろうな。「大変でしたね」「とんでもないお父さんですね」「今度話してみますね」とか言って欲しかったんだろうな、きっと。結局、これは私達親子の問題だし。でも、ほんとに嫌なんだ、顔も見たくないんだ、こっちが縁を切りたいんだよーー。