彩雲弦楽器工房

山形市にあるギター等の弦楽器工房です。製作、メンテナンスや修理、改造はお任せください。

大晦日に接着について考える

2012年12月31日 | つれづれ
先日の335の修理をしていて感じた事ですが、
あのギターは接着があまかったので衝撃でネックが外れていました。
接着面から綺麗に。

接着が甘いというのは普通に考えれば良くない事ですが、今回の場合接着の甘さが逆にいい結果となりました。
というのも、もしがっちり接着されていたとすれば強い衝撃が加われば接着面からでなく木部のダメージが激しかったでしょう。
今回のように接着面から綺麗に剥がれてくれればもう一度製作の時と同じ要領で接着し直してあげれば修理痕も無く綺麗に仕上がります。

ではどのくらいの接着の強さがいいのか。
普段使用している時は問題なく(ネック元起き等無く)、しかしある程度の力が加わった時には剥がれる。
イメージとしては電気のブレーカーのような感じでしょうか。
それは木の細胞同士の結合力よりほんの少し弱い接着力がベストという事になるかと思います。

しかし接着力の強さをコントロールするのはかなり難しい技術です。
ニカワや水溶性のボンドの場合、水で薄めれば接着力を弱める事ができますがその加減を間違えるとあっさり剥がれてしまいます。
さらに木の種類によっても薄め具合を変えなければならないだろうし、接着する箇所によって求められる接着力も変わってくるでしょう。
・・・これは大変だ。

来年の目標はこのさじ加減を習得する事かな。



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