旅にはちょっとしたハプニングがつきものですが、うまく利用すれば、へたな名所、旧跡よりよほど思い出に残ることもあります。
かれこれ20数年前のことです。海外視察団の一員として、アメリカのピッツバーグに泊まりました。ほかのメンバーは、事前に予約していたコンサートの方へ。私とヤマモト君の二人は、夜の予定が何もない。ホテルで訊いたら、大リーグの地元パイレーツ対メッツの試合あるという。メジャーリーグの試合を生で観る機会が来るとは夢にも思ってませんでしたから、スーツケースを置くのももどかしく、タクシーでスタジアムに駆けつけました。こちらが、そのスリー・リバース・スタジアムです。
10月の初めなので、消化試合のはずですが、チケットは、6層式の球場のなんと最上階。球場全体の様子はよく見えますが、プレーヤーは、打ったり、走ったりしてるなぁ、というのが分かる程度。風が冷たい。
スタジアム全体が地元一色で、電光掲示板に応援を促すメッセージが出たりします。今では、あたりまえの球場風景ですが、当時は物珍しく、目に映りました。
さて、ビール片手の観戦をしながら、二人ともあわてて飛び出して来たので、カメラを持ってくるのを忘れました。20数年前のことですからねぇ~、証拠写真くらい撮っておきたいのに・・・・・
で、ふと隣を見ると、アメリカ人の親子連れがいて、父親はおもちゃのようなカメラを片手に、熱心にスコアを付けています。ここは一番、頼むしかありません。
日本のアドレスを書いたメモを用意して、まずは事情説明から。「我々は、日本から来た旅行者で、初めて大リーグの試合を見て興奮している。記念に写真を撮りたいのだが、カメラを持ってくるのを忘れてしまった」
「うん?」ちょっと、怪訝そうな父親に「ついては、あなたのカメラで、我々の写真を撮って、このアドレスに送って貰えないだろうか?」
なんとか、英語が通じて、父親は破顔一笑。球場をバックに二人の写真を撮ってくれました。
「日本にもプロ野球のチームはあるか?」「2つにリーグで、12チームあるよ」
「アメリカンフットボールはどうだ?」「プロはないけど、大学ではポピュラーなスポーツかな」
おかげで、スポーツをめぐってささやかな日米交流もできました。後日、無事に写真が着いたので、気持ちばかりの品を添えて、礼状を送りました。私とヤマモト君だけの心に残るハプニング、ささやかな思い出です。
いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。