★★★ 芦坊の書きたい放題 ★★★

   
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第283回 クイズで磨く推理力−2

2018-08-31 | エッセイ

 厳しい暑さが続いています。こんな時に暑苦しい話題もなんなので、軽快な話題ということで、「クイズで磨く推理力」の続編をお送りします(文末に前回分と、続々編へのリンクを貼っておきます)。一陣の涼風となって、読者の皆様の想像力、推理力の錬成にお役に立てば幸いです。天才的な推理力で正解を連発(そのせいで、いつもオッズは低めでしたが)していた漫画家のはらたいらさんです。



 それではさっそく、前半の5問から。

<問題-1>
明治時代、たばこで大儲けした岩谷松平(いわや・まつへい)は、金(きん)にダイヤをちりばめたある物を持ち歩いていた。それを、ワイロとしてさりげなく渡していたのですが、はたしてそれは?

<問題-2>
フランスの大女優サラ・ベルナールのエピソード。豪華アパートの最上階の部屋に、ある日、ファンが息を切らせてやって来た。「あなたのような人がなぜこんな高いところに?」彼女淋しく笑いながら「今ではこうしないと・・・」さて、どう続くのでしょう? 

<問題-3>
英雄ナポレオンは悪筆で有名。ある時、ドイツからジョセフィーヌに宛てた手紙は、とんでもないものと勘違いされた それは? 

<問題-4>
日本人と結婚したアマゾンの女性が来日した時のエピソード。テレビのインタビューで「何が怖いか」を訊かれた彼女は、日本のある生活習慣をあげた。それは?

<問題-5>
チャーチルが酒を飲んで議会に出た時のエピソード。器量の悪い婦人議員に酔っていると非難された彼は「明日になれば・・・・」さて、そのあと、どう続けてやりこめたか? 

 それでは、前半の問題の解答です。

<正解-1>名刺(名前の文字がダイヤで書いてある。現在の貨幣価値で、1000万円とのこと)
<正解-2>「殿方の胸をときめかせられないから」
<正解-3>地図(殺伐とした時代ですからね。それにしても・・・)
<正解-4>熱い風呂(ぬるめの水ならいくらでもあるんでしょうけど・・・)
<正解-5>「私の酔いはさめるが、君はそのまま」(今なら、立派なセクハラ!)

 それでは、後半の問題です。

<問題-6>
フロリダ州のあるドライブインは、ちょっと変わったサービスで長距離トラックの運転手に大好評。それは、メニューの見せ方に工夫があるから。さて、何に書いて見せる?

<問題ー7>
アメリカ女子プロゴルファーのロペスにまつわるエピソード。パッティングラインを詠むのにあまりにも時間をかけたため、ボールにある事が起こっていた。それは? 

<問題-8>
美空ひばりが金を持たずにタクシーに乗った。「私は美空ひばりです」と名乗っても運転手が信用してくれない。さて、どうやって本人であることを証明したか? 

<問題-9>
先代の金馬師匠が落語をまったく知らない人の前で一席演じた。噺の途中お客のひとりが「なんだ◯○か」と言ったのを聞き、師匠はショックを受けた。その一言とは?

<問題-10>
フランスの喜劇作家トリスタン・ベルナールのエピソード。知り合いの奥さんに道で会い、赤ん坊のことを尋ねると「半年前から歩き始めました」という返事。さて、彼はどんなジョークを返したか?

後半の解答です。

<正解-6>ウェイトレスのボディ。(ビキニを着用し、胸、腹、背中、太ももに書いてあったというですが、いかにも「アメリカ」)
<正解-7>蜘蛛の巣が張っていた。(全米女子オープンでのことだけどーそれにしても)
<正解-8>唄を歌った(これは正解出来た人多かったのでは)
<正解-9>ひとり言
<正解-10>「随分遠くまで行ったでしょうね」

 いかがでしたか?想像力、推理力に磨きがかかったでしょうか。もう少しネタがありますので、続々編をお届けできると思います。

 それでは、次回をお楽しみに。

 追記:前回(第274回)と、続々編(第305回)へのリンクです。


第282回 ネット時代の元号問題

2018-08-24 | エッセイ

 天皇の生前退位に伴う改元が、来年の5月に迫ってきて、世の中もざわついてるようです。「昭和」改元を伝える新聞です。



 秋篠宮家の眞子さんが、昨年9月の記者会見で、婚約者との出会いの時期について、「2012年」と「西暦だけで」答えていたのに危機感を抱き、噛み付いた学者がいます。守旧派として知られた大阪大学名誉教授の加地なる人物ですが、月刊誌「Hanada」の連載で、
「なぜ、西暦というキリスト教の暦に合わせる必要があるのか。我々は生きている時間を、元号によって、天皇の存在と連動して考えてきた。それが失われれば、日本人のあり方そのものが変質しかねない」と書いていたというのです。(2018年7月30日付 朝日新聞)
 守旧派が神経質にならざるを得ない元号問題へのピリピリ感が伝わってくるようなエピソードです。

 確かに西暦は、キリスト教の暦ですけど、元号という制度と、それを表記する漢字だって、考えてみれば、「中国」からの輸入モンです。明治時代に、外国から入ってきた「アラビア数字」とか、アルファベットを組み合わせて、「平成30年」、H30などと表記した時点で、「日本人のあり方が変質」してんじゃないの、とツッコミを入れたくなります。

 それはさておき、平成への改元は、天皇の崩御を前提としたものでしたから、政府側の準備は、極めて慎重かつ秘密裏に取り運ばれました(それでも、水面下の動きが明るみに出て、右翼が総理府に押しかけるという事件がありました)。世の中も、ことがことだけに、病状への関心はあったものの、どんな元号になるのかを予想したり、表立って騒ぐことは憚られる空気でした。ネットもそんなに普及してませんでしたし。
 そんな風潮に乗じて、粛々と、新元号を発表するという政府の思惑通りにことは運んだわけですが・・・・

 あれから30年。退位改元によって事前公表が可能になった、というのが、思いのほか政府の手かせ、足かせになっているようで、私は、高見の見物を決め込んでいます。

 来年の5月1日から新しい元号になるというのは決まってるんですから、世の中で、おおっぴらにいろんな意見、議論、新元号の「予想」ができる状況です。

 現に、今年の5月、「天下のNHK」のバラエティ番組で、元号の歴史が取り上げられました。番組の最後には、ゲストが、新元号を予想するコーナーまで登場して、世の中的に「予想はオッケー」という雰囲気がすっかり定着しました。

 で、今や、ネットの時代。SNSや個人のブログに、既存のマスコミも参戦して、「予想ブーム」の様相です。「新元号 予想」でググると、約82万件がヒットします(2018年8月現在)。

 政府関係者の苦々しい顔が思い浮かぶようです。予想のすべてをチェックするのは困難だとしても、広く出回っている予想、注目されてる予想とカブるのはマズいでしょう。
 「オレの予想が当たった、当った」と騒ぎ立てられるのも大迷惑、そんなことも織り込んでの選定作業(現在進められているとして)も一段と難しくなることが予想されます。

 さて、新元号が公表されてからも、ひと騒動ありそうです。

 東京オリンピックのエンブレムの盗作問題を思い出します。ネット上で、類似性が指摘され、発表から1ヶ月後に撤回に追い込まれた「事件」です。ネットのパワーというか、情報力を見せつけられた事件でした。

 この事件のように、政府にとって、厳粛に制定されるべき新元号が、いわば、ネット上で、「おもちゃ」にされる事態というのは、関係者にとって、想定しうる最悪のシナリオのはず。

 例えば、「安」という字は、「安心」「安全」「安定」などで使われてて、使いたい字でしょうけど、ヘタにそんなことをすれば、
 「アベの「安」かよっ。そこまでして歴史に名を残したい?」とのツッコミが、
 そして、「恵」という字なら、
 「ヨメの「昭恵」の「恵」かよっ」
などというツッコミがネットを賑わすのは必至です。

 このようなもろもろの事態を避けるため、公表は、ぎりぎりになるんじゃないかと、その時期について、私は「予想」してます。自由に予想、議論、「おもちゃ」にできる時間がたっぷり取れて、大いに結構なことじゃないでしょうか。

 いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。


第281回 「ロニオリ」の謎-英語弁講座20

2018-08-17 | エッセイ

 中学校で、英語を習い始めた1960年頃、まわりには、アメリカン・ポップスが溢れていました。

 ラジオで流れるのは、もっぱら本場の歌手が歌うオリジナルの曲。そして、テレビでは、サワリのパートくらいが英語で、あとは訳詞で、日本人歌手が歌う、というのが主流だったように記憶しています。

 オリジナルの歌詞を全部聞き取るなんてことは、とても出来ませんでしたけど、所々、聞き取れる英語、というか単語があるだけで、いかにも新しいことを学んでいるような気分になったものです。

 とはいえ、英語と日本語の壁は厚く、謎の英語歌詞に振り回されたことを懐かしく思い出します。

 まずは、<ルイジアナ・ママ>です。当時のジャケットです。



 飯田久彦がカバーしていた訳詞バージョンが、耳に残っています。歌いっぷりを再現すると、こんな感じです(後年の映像をYouTubeで見ることが出来ます。文末にリンクを貼っておきました)。

 マ、ツ、リ、ガ、アーッタ
 ア、ル、バ、ン、ニ~
 ア、ノコサソッテフタリキリ
 ダンスニイッタノサ、ソシタッラ
 アノコハソットウチアケタ~
 ボク、ガスキダッテ~
 ビックリギョウテンウチョーテン
 コロリ、ト、イカレタヨ
 マールイジアナママ
 ロニオリ

 問題は、最後の「ロニオリ」です。
 私には、そうとしか聞こえませんでしたが、友人の中には、「オリオリ」だ言うヤツ、いや「ロリオリ」だ、「ノリオリ」だと電車みたいな説まで飛び交いました。

 後年、"from New Orleans"(ニュー・オリンズ出身の) だと分かった時は、胸のつかえが取れた気がしました。

 中尾ミエなんかが盛んに歌っていた<可愛いベイビー>にも謎の歌詞がありました。
 「可愛いベイビー、ハイハイ」という訳詞部分に当る英語です。
 あれは、「スチャラカ・ベイビー」だ、いや「ヒチリチ」だ、いや「イチイチ」だと、これも議論百出でした。レコード買って来たヤツがいて、"pretty little baby"だと分かったんですけどね。

 プレスリーの「ハウンド・ドッグ」も、出だしの歌詞(それしか覚えてませんけど)が神秘でした。

 「ユエンナツバラハウンドック」と聞こえます。
 「湯煙?夏原?」まさか俳句の兼題でもないでしょうし。
 "You ain't nothing but a hound dog"(あんたは、(ハウンド・ドッグみたいに)口先だけの犬以外のなにものでもない)なんて、当時は、知りようもありませんでした。

 と書いてきて、思い出したんですけど、PPM(ピーター・ポール&マリー)がカバーしていた「虹とともに消えた恋」という歌がありました。

 確か、私の学生時代に流行った歌で、後年、タモリが、テレビの番組で、「冒頭部分は「しゅ~、しゅ~、修羅場~、修羅~、六尺、修羅婆(ばば)食う」と覚えて、歌ってた」と話してました。確かにそうとしか聞こえません。彼の話を思い出すたびに、頬が緩みます。

 フランス語みたいな響きですが、アイルランドのゲール語だ、という記事をネットで目にしました。英語弁講座担当の私の手には余りますので、ご参考の情報ということで。

 飯田久彦のルイジアナ・ママの映像は<こちら>です。

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。


第280回 関西商法の秘密ー鉄道編

2018-08-10 | エッセイ

 首都圏の鉄道は、あまり路線の競合がありません。山手線と、東海道線、横須賀線などの中長距離は、主にJR。山手線の内側は、地下鉄(東京メトロ、都営)がカバーして、山手線のターミナルから郊外への路線は、私鉄、とまあ、そんな感じでしょうか。最近は、私鉄と地下鉄を中心に、相互乗り入れが進んで、この棲み分けも変わりつつあるようですが・・・

 さて、関西ですが、京阪神という狭いエリアで、競合してます。大阪ー神戸間(約30km)を、阪急、JR、阪神の3路線が、そして、大阪ー京都間(約40km)は、阪急、JR、京阪がほぼ平行して走ってるという具合。
 
 普通だったら、乗客の奪い合いになるとこですが、各社ともムキムキの競争をしてる様子はありません。

 人口規模が違いますから、ラッシュ時でも、首都圏ほどには混みません。人口の流動も比較的少ないですから、乗客のほうも、馴染みと言おうか、贔屓の鉄道を、格別の不満もなく、利用してる感じです。

 それに乗じて、というわけでもないのでしょうが、鉄道会社も、便数増には熱心でなく、ラッシュ時でも、各駅停車の運転間隔は、10分程度が普通。ムダなコストをかけなくても、「そこそこ」儲かるという経営上の「うまみ」を活かしてるように見えます。

 ただし、例えば、甲子園で、タイガースの試合がある時だけは、話が別。阪神の特急はすべて甲子園に臨時停車します。また、試合終了を見計らって、甲子園駅に臨時電車を大増発し、最大5万にもなる観客を、ものの見事にさばいて、売り上げ確保。しっかりしてます。私たちの世代で、阪神電車というと、これです。



 また、かつての切符の自販機全盛時代、阪神電車の梅田駅(大阪)には、20台くらい機械が並んでましたけど、それとは別に、「尼崎競艇場」と「甲子園」行き専用の機械が、それぞれ、5台ずつくらい置いてありました。「いらち(気短か)」で、「気が立ってる」乗客向けのサービスはおろそかにせず、きっちり儲けるという抜け目のなさは、関西ならでは。
 
 国鉄が民営化して、JRになった時、JRが商売気を出して、大阪ー神戸間の快速電車をスピードアップ。何分差かで、私鉄を抜いたことがあります(今もそのはず)。JRはさかんに宣伝するんだけど、私鉄の方は、どこ吹く風。「やりたきゃ、やっときなはれ」みたいな態度だったのが、可笑しかったです。

 とは言え、そこはサービス業。他社との差別化で、各社が、かつて力を入れてたのが、(今では当たり前のサービスですが)車両の「冷房化」。

 「混むのは、しゃーないけど、夏の暑いのはなんとかせえや」という声が多かったのかどうか、昭和50年代中頃から、関西の私鉄各社が、冷房化競争に力を入れだした。大手私鉄で、100%冷房化一番乗りは、阪神電車。昭和58年のことです。総じて、関西の私鉄が熱心に推進し、関西の全私鉄が冷房化率100%を達成した時、首都圏は、確か、70~80%くらいじゃなかったでしょうか。
 非冷房車をやりすごしたのはいいけれど、乗った冷房車は、皆んなが狙うから、かえって混んでて、がっくり、なんて時代が、ちょっと懐かしい。

 さて、鉄道も商売である以上、抜け目なく合理化に取り組むのも関西流。

 その最大のツール、というか、きっかけは、自動改札機ではなかったでしょうか。
 改札という駅務業務が大幅に軽減される(コスト減)のは、もちろんです。が、鉄道会社がおおっぴらには言わない隠れたメリットとして、キセルとかの不正乗車の防止(収入増)に絶大な威力を発揮する、ということがあったはず。

 そこにまず目をつけたのは、阪急電車。昭和42年、北千里駅(大阪府)に設置したのが第一号ですから、もう半世紀になるんですね。阪急はもちろん、他社も、「こんな儲かるもん、どんどん入れまひょ」とがんばって、こちらも首都圏より早く、導入100%を完了した、という歴史があります。

 現状では、輸送と言う分野での合理化、機械化は、東も西も、行きつくとこまで行ってる感があります。
 東京に居を移して10数年。関西の様子はよく分かりませんが、サービス業としての鉄道事業は、(残念ながら)首都圏の方がリードしてるようです。

 駅ビル開発で買い物が便利になりました。エスカレーターが増えたのもシニアには嬉しい。トイレがきれいになったのも助かる。プラットホームの自動扉などの安全対策も(酔っぱらって利用する事が多い私なんかには)ありがたい。

 でも、新しいアイディアを出すのは、関西人は得意のはず。なので、新しい知恵出して、関西の鉄道にも、がんばって欲しいもんです。

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。

<追記>「関西商法の秘密」として、以前にアップしました「広告宣伝編」(第235回)「立ち飲み編」(第257回)も合わせご覧いただければありがたいです。


第279回 スタンド・バーという存在

2018-08-03 | エッセイ

 以前にも書きましたけど、私が10年以上も通い続けているのは、神保町の「しゃれこうべ」というお店です。カウンターが10席くらいで、奥にちょっとしたテーブル席がある小じんまりしたつくりです。ちょっとガンコだけど愉快なマスターが切り盛りしていて、時々、手伝いの女性がカウンターに入ります。スタンド・バーという業態になるでしょうか。こんなお店です。



 通い出した頃は、働いていて、ほかに行く店もありましたから、時々、顔を出す程度でした。でも、5年ほど前からリタイヤ生活に入って以来、自宅からは、1時間ほどかかるんですが、(ほぼ)この店一本です。
 スタンド・バーというのが、リタイヤ生活にはつくづく合うし、ありがたい存在だなあ、と感じます。

 なにより、「ひとりで」気軽に行けるというのが魅力です。

 仕事していた頃は、仲間内でワイワイ、ガヤガヤ飲むだけですから、安ければ、どんな店でも、基本オッケーで、こだわりもありませんでした。
 でも、リタイヤすると、ある程度、予想していたとはいえ、昔の仲間に声をかけるのは、けっこう面倒です。わざわざ連絡取り合ってなどと考え出すと「まっ、いいか」となってしまいます。

 かと言って、大衆酒場みたいなところで、ひとり黙然と酒を飲む、というのも、私にはできません。私の場合は、酒をほどほどに楽しみながら、適度に会話も楽しみたいクチですので。

 その点、スタンド.バーなら、たまたま知ったお客さんがいなくても、接客の合間などに、マスターとのちょっとした会話を楽しむができます。

 また、こういうお店は、ひとりで来られるお客さんが多いです。「ひとりで気軽に来られる」という思いを、皆さん方、お持ちだからじゃないでしょうか。ひとり同士という気楽さもあって、声がかけやすいです。「以前、ご一緒しましたっけ?」 「どんなきっかけで、このお店に?」などと。

 マスターから紹介されたり、マスターを挟んで共通の話題で盛り上ったり・・・そんなことも多々あります。小じんまりした作りですから、混み合ってくれば、知らない人と隣り合わせになる機会が多い、というのも、友だち作りのためには、ありがたい点です。

 それやこれやで、今の店でのお知り合いは、随分増え、マスターのおかげもあって、私にとっては快適至極な空間なのですが、経営はなかなか厳しいようです。

 常連の方々の高齢化で足が遠のきがち、ということもありますが、新規のお客さんの開拓がままならない、というのもあるようです。確かに、こういうお店の場合、ひとりで、いきなり店に飛び込むのには、気持ちの上での、ちょっとしたハードルがあるのは事実。

 結構盛り上がってたりしていて、いい雰囲気そうなんだけど、常連さん同士で出来上がった世界に割り込むみたいで、ちょっと気後れする・・・・・確かに新しい店に飛び込むのって、ちょっとした勇気が要ります。

 実は、最近、(今の店のマスターには内緒なんですけど)自宅の近くに、スタンド・バーを「開拓」しました。先々のことを考えて「いずれは」とマークしていた店です。ネットで調べると、マスターは、この道59年の大ベテラン(なんと81歳)で、女性とふたりで切り盛りしているようです。「取って喰われるわけでもなかろう」と「勇気を奮って」ドアを押しました。

 按ずるより産むが易し。「いらっしゃい!」とマスターから明るく、元気に迎えられて、無事にデビューを果たしました。カウンターの中の女性も、ハキハキして、きっぷがいい。
 「徹夜の仕事明けで飲んだら、利いちゃってさあ」と彼女。
 「えっ、徹夜で飲んだの?」と思わず聞き返したら、
 「違うよ~、母親の仕事を手伝ってたら徹夜になって、その後、飲んだんだよ」
 さっそく、そんな軽口が飛び交って、フレンドリーな雰囲気です。2~3人のお客さんとも親しくなれました。「しゃれこうべ」での「学習効果」でしょうか。最寄り駅まで帰りついて、「余力」があれば、ちょっと立ち寄る・・・そんな使い方を考えています。

 さて、肝心の「しゃれこうべ」のほうですが、いい変化の兆しも見えています。マスター自身や、危機感を共有した常連さんなどの営業努力もあって、若い人を中心に新規のお客さん来店の話題が、「マスターの日報」を賑わすことが増えたように思います。
 若い人たちが引っ張るかたちで、楽しく飲めるお店であり続けてほしいと心から願っています。 
 私みたいなオジさんも体力の続く限り通うするつもりですので・・・

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。