
以下は,実際には,2011年(平成23年)1月6日に書きかけた日記です。
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一般的「クラシック・ファン」ならば,年末はベートーヴェンの「第九」,年が明けると「ニュー・イヤー・コンサート」でまったり,という人も多いだろう。
しかし,合唱人(正確には合唱バカ)であるけれど一般的クラシック・ファンでないかも知れない私は,普段,あまり年末の「第九」を聴かない。第九の歌詞の原典がシラーのものだということは有名だが,彼は後半生でゲーテなどとともにドイツ古典主義を提唱(舞台ドイツ語なども実践),精神性においても大きく影響,ベートーヴェンらもこれに大いに賛同していたと思われる。
さて,私があまり聴かない理由は,例年の「N響-国立音大」のメンバーが(団体として)固定しすぎ,そこに年替りで"器楽の指揮者"ばかりを持ってこられても,シラーが発し,ベートーヴェンが心酔し大成した真の意味のクライマックスでの「freude」(フロイデ=喜び)という心の叫びが,私には届かないからなのだ。
ところが今回は初手から違っていた。
「指揮者に,合唱音楽の巨匠,ヘルムート・リリング氏を迎え...」なに?やるなぁNHK!聴きます聴きます(笑)
で,放送時間帯にアホ嫁のせいで色々あり,ケンカ~大立ち回りしてたなんて話は全部省略して,VTR(HD)で鑑賞したことを書きますね。
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以上で書きかけは止まっていて「草稿」として保存されていました。たぶん嫁との悶着が続いたり心身不調だったりで投げっぱなしだったようだ。最終行後は,すっかり忘れてしまっているので,またまた現在の気持ちで素直に続けます。
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リリング氏は,若くして地元のシュトゥットガルトでプロ音楽集団を立ち上げ,後に「バッハ・アカデミー」を作る。結果してバッハ作曲全曲の収録,という偉業を成すのだが,並行して東京,さらには仙台でもバッハ・アカデミーを作られた。
私は,偏狭の,合唱不毛の地にいたが,たまたま仙台に転勤し,グリーン・ウッド・ハーモニー常任指揮者でバッハ・アカデミーを運営しておられた今井邦男先生にお世話になった。
おかげを以って,リリング氏の「マタイ受難曲」も通しで聞くことが出来た
(第九の冒頭,リリング氏の紹介で,平成の初め頃に仙台バッハ・アカデミーを指揮するために緑色の新幹線で到着された場面,にこやかに迎え握手した方が今井先生であった)
映像に流れていたのだが,氏は若い指揮者への指導の中で「オーケストラばかり見ているのではなく,合唱の方を見て指揮しなさい」と教えておられた。
この件は,まさに「我が意を得たり」で,一般にオケ系の指揮者は「最高到達点はオケにあり」という意識が強すぎ「合唱は添え物」という傾向がある。
まさに第九の到達点は「freude」を歌わせる第4楽章,つまり合唱の詩と歌を織り成すものであって,オケこそが添え物である。
つまり,曲によって使い分けが必要だ,ということだ(ごく普通の話だが)
私の地元では,合唱指揮者でオケを振る人はいなくなった。私はヤル気だが(笑)
逆論としては,オケ伴の時は「伴奏側」のオケの人間だけが指揮をしている。
結果「合唱が遅れる」と言うのだが,タイミング論として相対的に正しく聴こえるものの,実際には,オケ側が「ブレスしていないから速いだけ」というケースが多い。
つまりオケ至上なだけで,歌を知らないor歌えない,ということなのかも知れない。