SAKURA ふるきよきうつくしきもの 

包む 結ぶ 遊ぶ いにしえに学ぶ

初音香

2021-02-21 15:02:00 | 

 二月もあと一週間、ポカポカと春の陽が嬉しいです。
SAKURA は出来るだけインスタントと違うものを載せたいと思っていましたがSAKURAをお休み中に作ったものなどはインスタと被りますがやはりこちらに残そうかと思い、少しつづアップすることにしました。(全部ではないのですが毎月アップしたいと思います)
 最初は初音香の盤と立物の梅、鶯です。SAKURAの方にはお馴染みの蜆で作った鶯です。
初音香は競馬香のように白梅方と紅梅方の組に分かれてのグループ戦で香のあたりの多い組がそれぞれの梅に鶯が一コマつづ進みます。中央の梅の木まで行ったら枝に留り、間違えたら降りたり、相手の鶯を取って自分の枝に止めたりの攻防があり、我が枝に二羽留まったりする展開になったりもします。
金銀の短冊も当たると枝に掛けられて梅の木も賑わってきます。
 この盤は2011年の正倉院院展に出品の 「碧地金銀絵の箱」の縁からイメージをいただいて作りました。
金属?が入ったような紙で目打ちでカットするのが大変でした。
 
我が家で初音が聞けるのを楽しみにしています。




恵比寿様・大黒様

2021-01-27 16:13:00 | 

 令和三年の初投稿が遅れました。
 実は秋から三島大社のお守りの恵比寿大黒様の復刻を心がげずっと取り組んでいますが今だに完成に至りません。私自身こんなに熱をいれて取り組んだのも初めてなのですがいつまでも出来ないのは歳のせいか、恵比寿大黒様のお許しを頂けないからか?と悩みます。決して片手間でなく驚くほどの時間をかけているのですが~
 まだまだ形も紙の選択もベストではないのですが一月中にアップしたくこれでご披露します。

 この恵比寿様も大黒様もほぼ同じカットで一枚の折紙で折れています。それさえも最初は想像出来ませんでした。
 以前 SAKURAでも 佐久間八重女氏の「古典折り紙」の中の 内山弘光氏のオリジナルの恵比寿様を折ってアップしました。その折三島大社の恵比寿大黒様も載せましたが、今回のはそれがお手本です。
この「古典折り紙」の中には「からや草」と言う江戸時代の折紙の折り方があり、三島大社の御札の恵比寿大黒様はこの「からや草」にヒントを得た折り方のようです。
お札を折った方は内山氏のお弟子さんだったようで、内山氏の折紙にさらに工夫をこらし恵比寿大黒様を創作されたようです。
その方は今はもう亡くなられたようでこのお札も今は頂けません。
それを残念に思われた方からちょっと頼まれた事もあり軽い気持ちで取り組みましたが三か月も苦戦するとは思いよらぬ事でした。

 そのきっかけで未熟ながら古典の折紙が折れた事はこの歳で貴重な体験でした。
写真は15センチの小川紙ですが今は12センチの紅縁紙で折っています。もっと小さいのも折れるようになりお正月のお箸入れや裏が鯛になりそうな紙などなんでも折っています。

 私が折ったものはご利益もありませんが、早くコロナが鎮圧されこの一年の安寧を願って年初の投稿と致します。
インスタも健康で続けたいと思っています。
よろしくお願い致します。

楊枝入れ

2020-10-12 13:57:00 | 

 ヒーターを入れるほど気温が下がった数日でしたが今日は又汗ばむほどの暑さです。
台風去ってお庭は紅葉した桜の葉が沢山落ちて、金木犀の花も散り敷いています。

 昨日「筥迫は続くよどこまでも」のrom筥さんのサイトで たが袖の楊枝入れ がアップされました。
そろそろSAKURA のアップを考えていたので楊枝入れにしようと急に思い付き楊枝入れの中でも小さな物を出してみました。

 左下のは母の楊枝入れで中に楊枝が入っています。
2セット横並びでピッタリの長さですから多分 さるや さんで楊枝入れごと求めた物でしょう。ずいぶん前の物でしょうが現代の物です。  4センチの黒文字がたっぷり入った たとう2包が入っていました。
今でもこのサイズはあるのかしら? これはSAKURA に初ですがもう一つアップした小さな楊枝入れが見当たらずこれまでとします。

 他のは古い物ですが特に中段左の小さいのがお気に入りです。このサイズの格子柄に飛びつきました。これにも楊枝が入っていました。かなり小さい楊枝でその時は感激しましたがこれは5センチありました。 
上左は切り嵌めですがこれも小さく難しい細工でしょう。その下は更紗の楊枝入れです。柄が面白いので裏にして撮りました。少し大きな刺繍のもあります。それぞれ自分好みのを持っていたのでしょう。

rom筥さんに送った たが袖の画像も載せておきましょう。


これも型紙を取りながらいつかと思うまま放りぱなしの物がひょっこり出てきてrom 筥さんにすぐに送りました。
Rom筥さんが悩んでいたタイミングだったらしくなんと気の通じるお仲間かとびっくりしています。
rom筥さんにはどんどんふるきよきうつくしき 懐中道具の復元を願っています。がんばってね^_^

(rom 筥さんのサイト 右の項目にリンクがあります)

袂落し

2020-09-13 22:15:00 | 
遅い我が家の百日紅も終わり近くなりやっと晩夏となりました。暑い内に雪持笹の画像をお届けしたかったのですが中途半端になりました。
2010年6月に自作の袂落しを載せました。
縁りの袱紗でしたが身近に使える物に活用したくて解いて作った物です。

 SAKURA パート2は自作の物でなくても載せる事になったので立派な袂落しを載せました。
袂落しはポッケトの無い着物では便利な小物入れで両袖の中に入れて使います。繋がっているので袂から落ちる心配もありません。 身分の別なく使ったようで素朴な物から豪華な物まで様々あります。

これはちょっと庶民の持ち物ではなさそうです。
盛り上がったみっちりとした刺繍、金糸はふくら雀でしょうか? 地は羅紗のようです。
ぼかしの玉縁は優雅ですが鎖で繋いでいるのはやはり男物でしょうね。大きさは普通サイズです。

今の着物のイメージでは男性の着物には振りがなく使いつらいでしょうがこの柄は武士好みと思います。
お公家さんの事を長袖といいますから、古くはこうした方が使っていたのかも。
 昔の 懐中道具には素晴らしい技巧の物が多くて惹かれます。

 袖落しと言う残菓入れの袋もありますので気を付けて下さいね。

定家文庫

2020-07-16 00:54:00 | 
この定家文庫は女性の化粧道具入れにふさわしく盛り上がった貝の刺繍が4面に施されています。房の下にも貝は隠れていて裏は金糸で桐紋が刺され、大事に育てられた方の持ち物でしょう。
普通定家文庫はこの形ですが前回アップした定家筥の形も定家文庫と呼ばれていて混同します。
定家筥は松井家所蔵の品に「手いか箱」と墨書があるので天保の頃まで「ていかばこ」と呼ばれていた証になるでしょう。
袋形が定家筥だと名称で定家文庫と区別出来ていいですね

 この二つのルーツは違うように思います。
定家筥のルーツは上刺嚢(うわざしふくろ)で昔は宿衛袋、宿衛物(すくえものの)袋と言ったようです。源氏物語にも出てくる宿直袋又は宿直物袋と同じで御所の宿直の人が泊まりの衣料や用具を入れた嚢です。重量を支えられるよう底は紐をクロスして補強され、全体が碁盤の目のように太い糸で刺子された袋で、古くから御所で用いられていました。
 一方定家文庫は上刺し袋が廃れ、挟み箱や葛籠、櫃等に変わった江戸期に入ってからの新しい形でその原型は惣嚢又は粧(そう)袋といわれますがその形状は今の物と異なります。

左の画像が「守貞漫稿」にある粧袋を持つ女性です。

下は宿直物袋をうつした袋と思います。前回載せた定家筥の襞とそっくりでしょう。
この襞は七本あり紐には房も付いていて優雅ですが34×51センチと新聞紙ほどの大きさです。開くと20㎝ほどの高さの物が入ります。
この実用の大きいな袋を御所の女人達の手技によって女性用の袋に工夫され、さらに洗練されお姫様の化粧道具を入れる定家筥の形になったのでは、と思います。
 
 志野流の袋に底が紐でクロスされ長い房の付いた小さな袋があります。この底は上刺袋の底と同じ形ですがこれと同じ底の袋を雛道具に見つけました。後年、持主にお聞きするとその袋は目録に「上差袋」と書かれていたとお知せがありました。やはり雛道具に定家筥の原型があったのです。
 高貴な方のお道具は棚や台に置かれますが定家筥も豪華な装飾の袋が同じ装飾をほどこした台に置かれ、国立博物館に展示された事がありました。名称は「定家文庫」で、定家筥と定家文庫の区別はまだないようです。この混同は古書の説明が定家筥であるのを後の定家文庫と一緒になった事に原因があるのではと思います。
 
 図の粧袋が今のような形の定家文庫になったのは風呂敷包みが関わったと思っています。
文庫には「手文庫」帯の結方には「文庫結」があるように、文庫はもともと箱の事ですから中が箱の化粧道具入れを定家文庫としたのでしょう。 
定家文庫の蓋の形は箱を平包にしたイメージがあります。包をデフォルメした形のようでスッキリした感じですかそれを大きな菊結びでカバーしているようです。
 私的に定家筥と定家文庫のルーツの違いが分かった気がしますがなぜ「定家」なのかまだ謎です。

 SAKURAにはたくさんの画像が貼れないので宿直袋のうつしと思われる袋や「守貞漫稿」の上刺袋、粧袋の図等鮮明な写真をインスタに来月載せたいと思います。興味のある方はご覧下さいませ。

インスタグラム https://www.instagram.com/tukiyukihana5/

(写真、クリックで大きくなりました)

追記(7/17)
国立博物館蔵の定家文庫は「日本の美術館5」「女の装身具」では「定家袋」となっていました。