立冬となり椿開き始む 候となりました。
縁側での日向ぼっこが気持ちいい小春日和が続きます。垣根の山茶花も咲きだして短い秋も終わりのようです。
今月は迎春用のものを作り方と一緒に載せようと思っていましたがまだ出来ません。
そんな折り筥迫工房のROM筥さんから「これなんでしょう?」と数枚の画像が送られてきました。最近手に入った紙挟みの中に入っていたものだとか~ 中を見れば玉虫色で一目で紅と分かりました。
画像は50年以上前の京紅で暫くぶりにに取りだしてみましたら少し剥げていましたがちょっと前までは損傷ないものでした。今でもちゃんと玉虫色の光沢があり紅が付きます。(下に山を描いてみました~)
紅花から抽出する口紅は貝に塗ったり皿やお猪口に塗って販売されましたがとても高価なもので庶民には高峰の花でした。中でも
京紅は都への憧れもあって女性達の垂涎の的でした。遊女たちはこれを塗り重ねて赤緑色の玉虫色の光沢を財力の証として誇ったようです。この緑色は笹紅と言われこの紅を付けた美人画は錦絵にも多く残っていてその流行がうかがえます。
下の画像はROM筥さんからの写真の一つですが左の紙挟みの中に入っていた右側がお尋ねのもので、
中を開けると見開き両面と真中に一枚、計三枚の厚紙か板が緑色に塗られていました。口紅と知ったROM筥さんは興味津津になって調べたらしくその後それが
板紅だと確信したと言うメールがありました。
私もいろいろ婦人の持ち物を見ていますがそうした名は本でも見覚えがないものでしたがネットでは
丁度有職の菊置き上げの紅板を見つけました。⇒
http://www.sawanoi-sake.com/kushi/01now.html
携帯の化粧道具としては
紅板の方が納得できる気がします。(板紅は紅の形状では~)
厚みのあるものは
紅筥と言って装飾製の高い女性の持ち物ですがこちらは
練り紅も入れたのだと思います。
身分のある方は紅筆を使いましたが一般にはこの京紅を薬指を濡らして溶いて付けました。薬指は薬を塗る指ですが紅を指す指でもあります。横道にそれますが芝居では眼病の人が必ず紅絹の布を持っています。紅花は薬でしたからそれで染めた紅絹は殺菌作用や血行を良くして体を温める効果から腰巻に最適でした。紅花染めをしていると体が温かくなると聞いたことがあります。京紅もリップクリームとしての役割もあったでしょうね。
そう云えば棒状の墨のような
棒紅もどこかにあったと思うので探してみましょう。
今日は急な思いつきでこんなふるきよきうつくしきものでご勘弁下さい。