SAKURA ふるきよきうつくしきもの 

包む 結ぶ 遊ぶ いにしえに学ぶ

張子のベル

2010-11-27 00:11:00 | 







北風木の葉を払う候となりました

今年の夏は事の外暑かったせいか我が家の桜紅葉も赤く綺麗です。
時候の通り落ち葉は頻りで夫は朝夕掃いてくれています。散り敷く風情もいいのですが夫の労には感謝しましょう。

今月の作ってみましょうは張子のベルです。
小さな寅を置きましたが張子は犬張子に代表されるような昔からの玩具に多く見られます。

動物は難しいので形の容易でクリスマス用にベルにしてみました。
手作り風に和のテーストにして来年の干支の兎の千代紙を貼ってみました。これはちょっと贅沢に兎の柄のところを切ったので逆さの兎が居ないのがミソです。クルクル回るとさまざまな兎が出てきます。いっそお正月っぽくと思い花結びまで付けてしまいました~
お好きなように作って楽しんで下さい。

一応私の過程を書いておきます。
 ベルのような形のもの(左の画像は花入れです)にラップをおいて油粘土を詰めます。ラップごと引き出してベル形の粘土に障子紙などの和紙を切ってはります⇒長い三角形に切るとよいでしょう。
画像は張り終えたところです。乾いてから粘土を型から抜き出すと貼った紙だけになります。これに好みの紙を貼って下さい。


組紐

2010-11-22 23:51:00 | 





小雪となり 虹隠れて見えづ の候となりました

花兆会も終わりました。搬出の昨日は銀座は歩行者天国で賑わっていました。クリスマスの飾り付けが不似合いなほど暖かくコートも要らない陽気です。

花兆会へおこし頂いた皆さまありがとうございます。
ブログを見て来て下さった方もあり有難いことでした。お話も出来て嬉しかったですがRENさんのようにお目にかかれない方も居て申し訳なく思います。
皆さまにこの場から御礼申し上げます。

今月はテーマもなく煩雑になりました。
画像は私の組んだ組紐です。9月から始めてこの3つが出来ました。下の二つはまだ房が完成していません。薄紫は四組、下の薄緑は八組で、細いのは体験講座で習った変わり四組で、几帳結びと裏菊結びをしてみました。
夕方に撮りましたので暗いのですが~。



手記録盆の帙

2010-11-17 00:09:00 | 







金盞花香しの候となりました

急に寒くなりました。銀座はもうクリスマスのディスプレィです。

花兆会が今日より松島ギャラリーで始まります。 
今回は香道具の仕覆を作りました。
画像はその一つの手記録盆の帙です。他にも試香盤、本香盤の帙、香炉 重香合の仕覆 筒札の網袋 とそれらを納める箱を母の羽織を解いてお揃いで作りました。

今回の難関は印籠蓋の二段箱で作り方に迷い最後まで手こずってぎりぎりに仕上げました。この箱の仕覆は定家文庫様に角だけに襞を集めて作るつもりで今回のメインになるはずでした。型紙も最初に気負って取り、襞の感じも型紙上は綺麗に出て満足し、布地も柄のよい所を確保していました。仕覆は着せるものに合わて作るので先に作るわけにいかず一番作りたかった念願の箱の仕覆は結局間に合いませんでした。
重香合の仕覆はその試作用で角だけに襞をとって作ってみました。
その内箱のお仕覆や建の網袋も仕上げてお揃いの皆具を完成させたいと思います。

 左の画像は手記録盆と一緒に撮ったもので、この盆が納まります。手記録盆は三十六人家集の重ね継ぎなどの継紙と描き模様をモチーフに作ってもらったものですが慣れない模様に職人さんにはずいぶんご苦労をかけたようです。憧れの西本願寺さんの三十六人家集の香道具に母の布のお仕覆が着せられて一層いとおしいお道具になりました。

sakura私は19日の2時頃からと21日3時頃に会場に居るつもりです。SAKURAをご覧の方はお声をかけて下さいませ。sakura
訂正 21日は事前に大事な用がありまして終わり次第駆けつけますがちょっと時間が微妙になりましたのでおことわりしておきます。11/18夜記




葛籠

2010-11-12 00:11:00 | 







地始めて凍る候となりました

三日月さまが綺麗です。凍てつく月も清らかで凛としていますがいまだそんなに寒さを感じません。寒がりが治ったのか、それとも暖かなのでしょうか?

7日に続きまた手作りのものでなくてすみません。
これは葛籠屋さんで作った葛籠です。隠れているところに名取名が入っていてもう50年近く使っていますがまったくそんな気配もありません。
母は姉妹が名取になると喜んで頂いた名前を入れて誂えてくれていました。結婚後はすっかりお稽古事から遠のきましたがよい記念になっています。
大事箱としてその折りの大事なものを入れて使い今はお香の小物など入っています。
下の大きな家紋入りのものは姑のものですが大きいので檀紙や千代紙など大きな紙を入れています。

葛籠は本体が軽いので行李として使われていました。お相撲さんには明荷として欠かせないものですが明荷は竹も太く頑丈に造られているようです。
行李には懐かしい柳行李もありましたが今ではちょっと見かけません。

竹に紙を貼ったものに一閑張があります。どちらも強度や防水の為柿渋を塗ってありますが、この柿渋はすばらしい発見で、なくてはならない ふるきよき素材ですね。

http://www.tokyochuo.net/issue/traditional/2004/06/index.html



京紅

2010-11-07 00:21:00 | 








立冬となり椿開き始む 候となりました

縁側での日向ぼっこが気持ちいい小春日和が続きます。垣根の山茶花も咲きだして短い秋も終わりのようです。

今月は迎春用のものを作り方と一緒に載せようと思っていましたがまだ出来ません。
そんな折り筥迫工房のROM筥さんから「これなんでしょう?」と数枚の画像が送られてきました。最近手に入った紙挟みの中に入っていたものだとか~ 中を見れば玉虫色で一目で紅と分かりました。

画像は50年以上前の京紅で暫くぶりにに取りだしてみましたら少し剥げていましたがちょっと前までは損傷ないものでした。今でもちゃんと玉虫色の光沢があり紅が付きます。(下に山を描いてみました~)

紅花から抽出する口紅は貝に塗ったり皿やお猪口に塗って販売されましたがとても高価なもので庶民には高峰の花でした。中でも京紅は都への憧れもあって女性達の垂涎の的でした。遊女たちはこれを塗り重ねて赤緑色の玉虫色の光沢を財力の証として誇ったようです。この緑色は笹紅と言われこの紅を付けた美人画は錦絵にも多く残っていてその流行がうかがえます。

下の画像はROM筥さんからの写真の一つですが左の紙挟みの中に入っていた右側がお尋ねのもので、中を開けると見開き両面と真中に一枚、計三枚の厚紙か板が緑色に塗られていました。口紅と知ったROM筥さんは興味津津になって調べたらしくその後それが板紅だと確信したと言うメールがありました。

私もいろいろ婦人の持ち物を見ていますがそうした名は本でも見覚えがないものでしたがネットでは
丁度有職の菊置き上げの紅板を見つけました。⇒http://www.sawanoi-sake.com/kushi/01now.html

携帯の化粧道具としては紅板の方が納得できる気がします。(板紅は紅の形状では~)

厚みのあるものは紅筥と言って装飾製の高い女性の持ち物ですがこちらは練り紅も入れたのだと思います。

身分のある方は紅筆を使いましたが一般にはこの京紅を薬指を濡らして溶いて付けました。薬指は薬を塗る指ですが紅を指す指でもあります。横道にそれますが芝居では眼病の人が必ず紅絹の布を持っています。紅花は薬でしたからそれで染めた紅絹は殺菌作用や血行を良くして体を温める効果から腰巻に最適でした。紅花染めをしていると体が温かくなると聞いたことがあります。京紅もリップクリームとしての役割もあったでしょうね。

そう云えば棒状の墨のような棒紅もどこかにあったと思うので探してみましょう。
今日は急な思いつきでこんなふるきよきうつくしきものでご勘弁下さい。