SAKURA ふるきよきうつくしきもの 

包む 結ぶ 遊ぶ いにしえに学ぶ

丸ぐけの紐を作りましょう

2010-05-31 00:00:00 | 







麦秋至る候となりました

更衣を前に片づけた堀炬燵を復活するほど肌寒い日が続いています。先日の京都は袷でも涼しいほどでしたが目には初夏の青楓が鮮やかでした。

月末の作ってみましょうは今月兜を結んだ丸ぐけを作ってみましょう。

写真は丸くげの紐で梅結び、菊結び、几帳結びにしてみました。
丸ぐけで花結びをする時は太さによって要尺がずいぶん違います。
赤い梅結びは紫の梅結びより長いのですが太さがある為窮屈な結びに見えます。紫の梅結びと几帳結び(左から2つ目)はほぼ同じ長さで80㎝ほどですが結び方によって要尺が異なるのがお分かりと思います。
作り方
紫の紐を作りました。長さは80㎝ほどの紐です。

着物幅30㎝くらいの布から5㎝のバイヤスを2本とります。
だいたい50㎝と40㎝ほどの長さが取れると思います。
バイヤスの布を半分にカットして2、5㎝幅のバイヤス4本作ります。好みの長さで2本を斜めに縫い合わせます。(長いの2本で1m、短いの2本では80㎝、長短の組合わせでもよいです)
中表で5㎜弱の縫い代で縫います。下の布を数針縫いループの中に入れ込むようにして針の頭を上にしてループの中を潜らせ引き抜き表へ返します。
 
芯は毛糸がよいですが今回無かったので紐2本をその中に通しました。ひっくり返す時の要領で紐の先を糸で結んで針で中を通して出して下さい。上下を縫い合わせて糸で房を作って出来上がりです。

中に綿を入れるのは難しいので極太の毛糸を何本かまとめると通し易いです。帯締めなどはそれ用のロープなどもあるようですがあまり堅いものは花結びには向きません。用途を考えて太さを調節して下さい。
小さいものを作って根付変わりに下げても可愛いと思います。



網袋

2010-05-26 00:00:00 | 







紅花栄う候となりました

卯の花くたしのような雨の後爽やかな日差しとなりました。
衣更の用意に晴れの日は何度も洗濯をしています。

これは茶巾筒の網袋です。
以前から網袋に魅かれて見本にしたいと思い求めました。

今回『茶箱に仕組む仕覆・網袋』と云う本が手に入り、やっと網袋の七宝編みに挑戦しました。下の画像が奮戦中のもので、こんな風にして作ります。底から増目で編んでいくのかと思いきや逆で上から下へと編むのは目から鱗でした。
後の錆朱の網袋が一作目ですがあまり上手く出来なかったので緒が付いていません。お香の札筒用に作ってみました。

ちょっと苦心しましたがやりだすと楽しくていくつか出来たものを友人に配っています。
私の完成品はまたの機会に掲載したいと思います。


茶碗の仕覆

2010-05-21 00:00:00 | 






小満となり 蚕起きて桑を食う候となりました

先日皇后陛下のご給桑を新聞で読みました。子供の頃香淳皇后がご養蚕をなさっている映画ニュースを見て驚きました。
陛下が稲作をなさり皇后さまが養蚕をなさるのは日本の食と衣を象徴したお姿なのでしょう。小石丸をいとおしむ美智子様のお姿には神々しさを覚えます。

これはプロの方が作ったお仕覆で中は湯飲みが入っています。自分で作ったものではないので申し分けに蜻蛉結びにしてみました。

お仕覆は大事なお道具に着物を着せるようなもので生地も中の布もよく練れた柔らかいものがいいようです。勿論裂地には更紗や金襴、緞子などの名物布や珍しい布が尊重されます。

お茶では「お裂地は?」などと拝見で尋ねたりしますがその点お香は気楽でお道具を尋ねるようなことがないのはよいところだと思います。
そんなおおらからなお香に甘えて自分勝手なものを手作りしているのが私のお香の楽しみの一つでもあります。

私が作ってみたいのは綺麗に四隅に襞が入った定家文庫でお姫様の化粧道具入れとして始めて見た時からずっと憧れています。昨年は襞のものでなく折った定家文庫を作りましたが(まだSAKURAには登場していませんがいずれ~)今年はぜひこの襞の入った定家文庫型お仕覆に挑戦したいと思っています。

昨日「歌舞伎座閉場式」の項目に天井の写真を追加しました。
4月30日の日付けが入ってよい記念になりました。ありがとうございます。




大津袋

2010-05-16 00:02:00 | 







竹筍生づ の候となりました

このところの好天で大工さんの仕事もはかどっています。
一昨日母屋の二間のガラス戸を高さ2メートルのサッシュに取り変えました。張り出していた軒を取り除くと驚くほどの開放感で空が広がりました。雨戸もなくなって、丁度今晩は三日月ですからこれから毎日満ちていく月を居ながらに見られそうで嬉しいです。

先月は本の仕覆とも言える帙を取り上げましたので今月はお仕覆にしたいと思います。
大津袋はお茶入れを入れるものですが私は重香合の仕覆として作りましたので寂びた布ではなく手持ちの布で作ってみました。
始め縮緬で作りましたがやはりちょっとごわごわしたので二作目に鹿の子絞りの布にしました。鹿の子には重香合が入っていますがちょっとおを入れた形と違ってスンナリしています。重香合は三段なのでこうしておくとバラバラにならず持ち運びに便利です。

写真は普段使いの丸い重香合ですが四角い蒔絵の重香合もありますのでその内お仕覆を作ってあげたいと思っています。



丸ぐけで結んだ兜

2010-05-11 00:00:00 | 







みみず出づる候となりました

やっと風薫る清々しい頃となりました。
若葉の緑が眼を癒してくれています。

丸ぐけの帯締めで兜を結んでみました。祖母か母の昔の丸ぐけなので長さが足りず、組紐でもないので思うような兜の形になりませんでした。 下の突起のような部分はしころ(錏)なのでもう少し横に伸ばしたいとこでした。

丸ぐけは今では帯締ばかりですが昔は兜や笠の紐として使われていました。『車引』の梅王丸など荒事では太い丸ぐけを帯として結んでいますし他にも諸々紐としての使い方があったでしょう。

先代の高麗屋さんが亡くなった折り妻の正子さんが真っ白な喪服を着て人目を引きました。
さすが正子さんでもともと喪服は白でした。昔は嫁入りの折りの白無垢を夫との別れに喪服として着用し、自分の死装束にもしたそうです。
喪服が黒に変わったのは明治になってからで、この頃は帯締めも丸ぐけだったようですが今ではほとんど平紐になっています。その為か丸ぐけはなにかレトロな感じが漂います。

お知らせ
先月(4月10日)松岡調先生のご本を載せませたが、今回京都で以下のような展示会が開かれます。
会期中 立礼のお茶会、呈茶もありますのでお近くの方、ご興味のおありの方はお立ち寄り下さいませ。

■ 米寿記念
松岡 調作品とその世界
  詠草と表装の楽しみ in 京都・妙心寺大法院

5月26日(水)~5月30日(日)10時から17時まで(最終日16時終了)

詳しくは工藝サロン梓さん= http://www.azusa-kougei.jp/ のHPをご覧下さい。