SAKURA ふるきよきうつくしきもの 

包む 結ぶ 遊ぶ いにしえに学ぶ

簡単香袋

2007-04-30 15:30:14 | 







牡丹花咲く候となりました

昨年は月見さんがお庭の牡丹を宅急便で送って下さり急ぎ牡丹の華包にしてアップしましたっけ~
撮影中にお花がどんどん開いて困ったのを思い出します。一年は早いですね。

連休が始まりました。お天気にも恵まれるようでよい連休になりそうです。
お出かけでない方は家でこんな物を手作りしては如何でしょう。すぐに作れる香袋です。

写真のものはお茶の古帛紗で応用しました。裂だとこのようにふくらみも出ていいので、15センチ角の出来上がりの裂を用意して縫い合わせて作ってみましょう。


縫うのが面倒な方は折紙でも作れます。図の点線ように十字に折って中心を2cmで折ると一辺が3㎝の四角が出来ます。それをABの線のみ山折にして後は全て谷折に、aとa bとbを合せると出来ます。
3月16日のポチ袋のような形にしたい時は底辺を四角でなく菱形にすると出来ます。

裂の場合は折る必要はなくaとa bとbをつまんで合せるだけで裂の厚みで底辺が出来ます。
裂を好きなように引っ張ると写真のようにいろいろな形も出来ます。
古帛紗は紐が通せないので結んだ紐を糸で綴じ付けただけなのでいつでも復元可能なのがミソです。 中に香りの物と石など入れると座りよくなります。

(月末はなにか手軽に出来る手作りの提案が出来たらいいと思っていました。先月末のおかいしきもそのつもりでしたが毎月続くか心配で触れずにおきました。試みて下さった方も居られたようで嬉しく思いました。
ちょっとの間で出来る手作りの小物で暮らしに和のコーナーが出来たらよいのですが~)



源氏香 総包

2007-04-25 23:43:29 | 







霜止み苗出ず の候となりました

朝晩はまだ冷え込むことの多いこのごろですがうららかな日にはよく鶯が鳴いてくれます。今年はちょくちょくやってきてくれるので嬉しいかぎりです。鶯の音はやはりいいものです。

この写真は「源氏香」の総包みです。
前回の総包みと形が違いますがこちらが通常の形です。
私が包みを作りそれに友人が絵を描いて下さいました。総包にはよく行われる何十組かにはだいたい決まった絵柄があります。源氏香は寝殿の図柄です。
源氏香は五種類のお香が各五包あり、全部で25包の中から五包をランダムに抜いてそれを当てる組香です。 一包を1本の縦棒で表し、五包全部が違っていれば縦棒が五本で、箒木です。同じ種類のお香があれば横棒でつなぎます。同香が二組ある時も三つ同香が出る時もあります。これが源氏香の図です。 
意匠としても優れた源氏香の図柄ですがこれは「源氏香」から生まれた同香を示す意味のある図柄なのです。

小包にも決まった組香には決められた包み方があります。お香では他言が許されないこともありますのでちょっとおっかなびっくり書いていますが源氏香の小包の包み方も決まっています。


総包と小包

2007-04-20 23:15:21 | 







穀雨となり葭始めて生ず の候となりました

各地で雪が降ったり、季節が逆戻りしたかのようです。雨も続いていますがこの雨が若葉や花たち、穀物の恵みの雨なのでしょう。

今月はお香関係が多くなりましたのでついでにこんなものを載せました。これは2月に行ったお香会の総包小包です。
賀のお席でしたので赤い小包にしましたがリバーシブルの厚い紙で15包みを入れたら総包みが常のものでは納まらずに作りました。 この小包に香木を入れそれを取り出して焚きます。その数は組香によって違いますが多くなればそれだけ難易度も上がります。この時はお正客が全問正解でした。
包方の違うものは試香と言って本香で焚くお香のテースティング用の包です。 今回は同じ紙で折り方を変えましたが普通は本香とは別の綺麗な紙を使って区別します。
お香もお茶のお席のようにその趣旨や季節、連中のことなどあれこれ考えて組香を決めたり香木を選んだり小包の紙の模様を選んだりします。それも楽しい時間です。

(ちょっと話が変わりますがこの総包みは4月10日の↓「蛤包」の形に似ていますでしょ?しかし裏側の形が蛤包とは全く違うのでその解明に苦労したのです。それは包む物によって包方を変える合理的なもので感心しました)


香の日

2007-04-15 00:08:00 | 







虹始めて見る候となりました

初夏の陽気となって急に藤の花が咲き出しました。
若葉も青々と早万緑の感じです。

 4月18日はお香の日でだそうで、こんな写真を載せてみました。
これは伏籠で、これに衣類を掛けて香りを焚きしめます。
もっと小さいのを作ろうと思っていたのですが友人がとても廉価に買って下さったので頂きました。 手作りでない物を載せるのは不本意なのですが珍しい物なのでご覧頂くことに致しました。

ところで4月18日がお香の日に指定されたのは日本書紀に 「推古天皇三年(595年)夏卯月に沈水淡路嶋に漂着れり、その大きさ一抱き、嶋人、沈水と言うことを知らずして薪に交てて竈に焼く。その煙遠く香る。即異なりとして奉る」とあるのに因ったようです。
香木が日本に漂着した4月を「お香の日」の月に決め、18日と言うのはこじつけで『ノ十八日』と書いて香の字になるからのようです。
そろそろ、薫風、若葉薫る 候ですから卯の花の香る卯月はお香の日に相応しい月なのでしょう。



大発見

2007-04-10 23:16:03 | 








雁水へ帰る候となりました

木蓮、蘇芳、雪柳、シャガ、気の早い躑躅や鈴蘭まで咲きだしてお庭が花の色に染まってきました。桜も大分北へ移り行くようです。

 この写真は徳川美術館の図録、香箱の蒔絵の図柄からおこしたお包みです。随分苦労してやっとここまで辿りつきました。(しかし先日もっと近いと思われる折り方を見つけてどちらが本物に近いのか迷ってるところです。なにせ見本は蒔絵の図柄だけしかないので決め手がありません)

このお包みは香包に似ているので香包みとばかり思っていました。それで「折りたい」と思ったのですが折り方を模索している内にどうやら違うことに気付きました。
図柄をよく見ると裏が見える部分が多く開きが広いのです。これでは香木又は香道具を包むのに適しません。では何のお包みか?
その答えも図柄の中にありました。蛤です。
実際に蛤を包んでみると蛤の厚みが開きの部分でカバーされてピッタリでした!!
蛤は女子への贈答に相応しく、蒔絵の絵も写真のように紙を襲ねた贈答用のような豪華なお包みです。そんなことを考えると「蛤包」はあってもいいのですがその名称をまだ聞いたことがありません。

折形は厚みのある物を包むには不向きで、厚みのある物は幅を広くとって包むしかありません。亥の子餅を包む玄猪包もそうなっています。
このお包みにもそうした工夫が見られます。

もし私の考えが当っていてこれが蛤包みならば大発見だとワクワクしているのですが~果たして??
なにか文献が見つかればいいと思っていますがご存知の方がありましたらお教え下さいませ。


以前冷泉家展で ちいさな貝を包んだ畳紙を見ました。これは三つ折の普通のたとうでしたが中に浜辺の絵が描かれた貝を包むのに相応しい素敵なものでした。確か「貝包」とあったと記憶しています。でもこれは貝だけを包む個有の「貝包」ではありません。折形はそのものだけを包む固有の形があるので、固有の蛤包みの情報をお寄せ願います。