
夏至となり乃東枯る候となりました 。
石川遼君の全米オープンを見ていましたら影の短さに夏至を実感しました。
梅雨に入ったものの雨の予想が外れてお休みのつもりの大工さんも毎日顔を見せてくれます。思いの外の長帳場になりお互いちょっとお休みしたいところです。
袂落とし と言う袋物を作ってみました。大事な方から頂いた布を生かしたいと思い、裏地も共布で余すことなく使いこんな風に仕上がりました。
袂落としは左右の袂に入れておく袋で左右が紐で繋がっているものです。決まった形はなく男性用は片方を煙草入れにしたりいろいろな形があります。ビーズなどの素材も目にしましたが斬新な感覚に魅入りました。
古い物は緞子や金襴が使われていますから長袖のお公家さんあたりが用いていたのではないでしょうか? 煙草入れを付けたりするのは江戸期まで下がりこの頃多様化したようです。
着物にはポケットがありませんから袂はポケット代わりにしますが袂落としは忘れ物や落とし物をしない工夫でもあったようです。
今回は矢羽根の柄の方にカードとお財布、懐紙が入るように3つの口を付けました。

橘の柄の方はこれも糸綴じなので幅に余裕があります。
袂の中に入れるものですから出来るだけ目立たなく、軽くを心がけ型紙から起こしましたが柄を出すのに四苦八苦、仕立ても迷って難渋しました。
持っているだけで良い事がありそうなおめでたい柄なので小さなバッグに納めて単独で持てるように紐は取りはずし出来るようにしました。きっと着物でお出かけのお守り代わりになってくれることでしょう。
今回はお菓子に因んで袖落としを作るつもりでした。

袂落としとよく似た名前ですがこれは汚れたお懐紙などを持ち帰る御物袋状のものです。
右は綺麗な襞の取り方の参考にしたくて求めた袖落としですが私が作ったものではありません。
袖落としは袂落としからの発想で後に作られたのではないでしょうか。
私が筥迫にうつつを抜かしているうちに、こんなにも多くのお細工物が
出来上がっていましたね!
袂落とし>
すてきです。
西洋文明の影もなかった時代、独自の便利な嚢物を作り出していった
日本人たちのアイデアとセンスには、ホント感心いたします。
先日テレビで、ブータンの民族衣装のことをやっていましたが、
あの着物のような上着を着たブータンの男性たちは、
手にバック類は持たず、襟元を広げて全てお腹の中に荷物を入れるそうです。
かつての日本と同じだなーと感じました。
どうぞURLもお書きになって皆さんにもお知らせ下さい。掲示板もお使い下さいな。
>かつての日本と同じだなーと感じました
そうですよね帯を解くといろいろなものが出てきました~ 昔のお財布も紐付きなのはやはり落とさない工夫でしょうか?
この袂落としの横綴じを七宝繋ぎにしたかったのですがアップの日に間に合わず千鳥にしました。
筥迫の綴じも七宝だといいと思いますよ。