珍しく携帯電話が鳴った。
そしてまた珍しく今回はメールではなく電話だった。
僕の携帯電話を鳴らす原因の40%がメールで、10%が電話だ。
そして残りの50%は自分でもセットしていたのを忘れてしまっていた目覚ましだ。
「お、誰からだ!?」とワクワクして携帯の画面を見たら、大きな時計のマークと「アラーム」という文字があった時のやるせなさといったらない。
40%のメールのうちの半分は迷惑メールや登録していた事も忘れている何かの会員宛のメルマガで、残りの半分は「明日のシフト代わってくれないか?」という、貧乏な僕にとってはそれはそれはありがたいお誘いだ。
そして10%の電話のうちの半分は実家に住む母親からの「ちゃんとご飯食べてるの?」というよくありがちな質問で、残りの半分は僕が住んでいるアパートの大家さんからだ。
そして今回はその5%の確率でやってくる大家さんからの滞納している家賃の催促の電話だった。
「今度の給料が入ったらすぐに振り込みますので…」という10回以上は使ったであろうお決まりの台詞で今回も逃げ切った。
そんな僕の名前は二瓶一之(ニヘイ カズユキ)、23歳。
彼女いない歴は、生きてきた年数から20をひいて20を足した年数である。
プロのギタリストを目指している。
体型は痩せ形で、身長はしばらく測ってないが推定1720mm。
2階建ての木造ボロアパートの1階に細々と生息している。家賃は月5万円。わずか5畳の畳の部屋に小さな台所とトイレとシャワールームが辛うじて付いているような部屋だ。
友達も少なく、彼女もいないので来客は一切無い。
週に5日、近所のコンビ二でアルバイトをして生計を立てている。
わずか5万円の家賃も滞納してしまっているくらいだから「生計を立てている」なんて偉そうな事は言えないのだが。
そんな僕の一番の特技はギターの速弾き、なんかではなく、「ちゃんとご飯食べてるの?」と訊いてきた母親に、電話の最後で「じゃあ今度お米と一緒にお金送るから。」と言わせる事だ。
僕が小中学生だった頃のあだ名は決まって「ビンボー」というあまりにもストレート過ぎるものだった。
「二瓶」の「瓶」の字を「びん」と読み、「一之」の2文字を合体させると「乏」となるかららしい。
そんなビンボーはちゃんとかかっているのかも怪しいボロアパートの玄関の鍵を閉めて、今日もバイト先への夜道を一人歩くのであった。
今は5月。
夜10時過ぎの夜道でも、もうそんなに寒くはない。
(第2章へ続く)
そしてまた珍しく今回はメールではなく電話だった。
僕の携帯電話を鳴らす原因の40%がメールで、10%が電話だ。
そして残りの50%は自分でもセットしていたのを忘れてしまっていた目覚ましだ。
「お、誰からだ!?」とワクワクして携帯の画面を見たら、大きな時計のマークと「アラーム」という文字があった時のやるせなさといったらない。
40%のメールのうちの半分は迷惑メールや登録していた事も忘れている何かの会員宛のメルマガで、残りの半分は「明日のシフト代わってくれないか?」という、貧乏な僕にとってはそれはそれはありがたいお誘いだ。
そして10%の電話のうちの半分は実家に住む母親からの「ちゃんとご飯食べてるの?」というよくありがちな質問で、残りの半分は僕が住んでいるアパートの大家さんからだ。
そして今回はその5%の確率でやってくる大家さんからの滞納している家賃の催促の電話だった。
「今度の給料が入ったらすぐに振り込みますので…」という10回以上は使ったであろうお決まりの台詞で今回も逃げ切った。
そんな僕の名前は二瓶一之(ニヘイ カズユキ)、23歳。
彼女いない歴は、生きてきた年数から20をひいて20を足した年数である。
プロのギタリストを目指している。
体型は痩せ形で、身長はしばらく測ってないが推定1720mm。
2階建ての木造ボロアパートの1階に細々と生息している。家賃は月5万円。わずか5畳の畳の部屋に小さな台所とトイレとシャワールームが辛うじて付いているような部屋だ。
友達も少なく、彼女もいないので来客は一切無い。
週に5日、近所のコンビ二でアルバイトをして生計を立てている。
わずか5万円の家賃も滞納してしまっているくらいだから「生計を立てている」なんて偉そうな事は言えないのだが。
そんな僕の一番の特技はギターの速弾き、なんかではなく、「ちゃんとご飯食べてるの?」と訊いてきた母親に、電話の最後で「じゃあ今度お米と一緒にお金送るから。」と言わせる事だ。
僕が小中学生だった頃のあだ名は決まって「ビンボー」というあまりにもストレート過ぎるものだった。
「二瓶」の「瓶」の字を「びん」と読み、「一之」の2文字を合体させると「乏」となるかららしい。
そんなビンボーはちゃんとかかっているのかも怪しいボロアパートの玄関の鍵を閉めて、今日もバイト先への夜道を一人歩くのであった。
今は5月。
夜10時過ぎの夜道でも、もうそんなに寒くはない。
(第2章へ続く)