周平の『コトノハノハコ』

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小説第4弾『この道の先には』~第1章~

2014年01月07日 | 小説
死にたいと思っていた。
死んでしまいたいと願っていた。
どうしたら楽に死ねるだろうと考えていた。
そう。彼と出会うまでは。

そして、きっと死んでいた。
そう。あの男と出会わなければ。

ボクには何の取柄も無く、特に夢も無い。
お金もあまり無く、28歳にもなって恋人もちゃんとできた事が無い。
友達もいない。兄弟もいない。両親ももうこの世にはいない。
バイトも深夜の工事現場の交通整理が週に3、4日あるくらいで、いわゆる「誰かと会話する」事が他人に比べて圧倒的に少ない。

そんなボクにある唯一の趣味といえば、毎週月曜日に発売される週刊少年誌をコンビニで買いはせずに立ち読みする事くらいだ。

果たして、"この道の先には光なんてあるのだろうか?"

これから先、生きていて何か楽しい事はあるのだろうか?
ボクに明るい未来などあるのだろうか?
愛読の週刊少年誌が廃刊にでもなったらどうやって生きてゆけば良いのだろうか?

死にたいと思っているくせに、
死んでしまいたいと願っているくせに、
どうしたら楽に死ねるだろうと考えているくせに、

こうしてまだボクは今日もここに生きてしまっている。
自殺する勇気すらボクは持っていないのだ。
スマートフォンなんかは持っているくせに。

そもそも友達もいないようなボクがスマートフォン(以下、スマホ)なんかを持つ意味があったのだろうか?

それが、どうやらあったらしい。

死にたいと思っていた。
死んでしまいたいと願っていた。
どうしたら楽に死ねるだろうと考えていた。
そう。彼と出会うまでは。

そして、きっと死んでいた。
そう。あの男と出会わなければ。

(第2章へ続く)