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「田舎の長男」との結婚に絶望した彼女の告白

2021-07-02 15:30:00 | 日記

下記の記事は東洋経済オンラインからの借用(コピー)です

大自然マジックで、農家の長男と婚約
「農家の長男との婚約は、地獄でした。今思うと、本当にあれは悪夢です。今でも、あの村での日々を思い出すとゾッとしますね」
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そう語るのは、都内の教育関係の会社のOLとして働く須藤百合子さん(44)だ。百合子さんは、28歳の時に結婚し32歳で離婚。その後、農家の長男と婚約まで行き着くが、結婚寸前で思いとどまり、ギリギリで婚約破棄。百合子さんが「地獄」と断言する壮絶な女の軌跡を追った。
大学卒業後、予備校で塾講師として働いていた百合子さんは、1年間同棲していた2歳年上の職場の先輩と結婚した。
「結婚って世間体だと思っていて、私も人並みに結婚して、子どもが欲しかった。30歳前になると、周りの友達がバタバタと結婚していくから、波に乗り遅れないようにと焦って当時同棲していた彼と結婚しました。
結婚しても共働きだったし、経済的には何不自由ない生活でした。だけど財布も完全に独立会計で、家事も分担制で寮生活みたいだったんです。仲は良かったけど、お兄ちゃんと生活しているみたいな感じで、ときめきもなかった。子どももできなかったこともあり、お互いまだやり直せるうちに別れようという話になって、トラブルもなく円満離婚しました」
再び一人暮らしに戻り、時間を持て余すようになった百合子さんは、思いつきで簿記の資格学校に通い始めた。
そこで出会ったのが、東京から車で3~4時間かかる、ある県の兼業農家の長男である2歳年下の隆一(30)だった。隆一は資格取得とリフレッシュを兼ねて、その県から毎週高速バスで上京していた。
結婚生活にほとほと疲れ果てた百合子さんは、隆一の都会の男にはない「押しの強さ」に引かれた。
「出会ってそんなに経ってないのに、『君と結婚したい』って猛烈アタックしてきたんですよ。『なんて情熱的な男なの!』って、思わずポーッとなってしまいました。離婚した直後だったし、私、まだ女として終わってないんだと感じて、舞い上がってしまったんですよね。『とにかく早く君と結婚したい、親にも君を早く紹介したいんだ』って言ってくれて、心が動いてしまったんです。そこからとんとん拍子に婚約して、彼の実家にあいさつに行きました。そこは、映画に出てくるような田んぼしかない本当のド田舎でした」
早く男の子を生んで、将来は私たちの面倒を
山間部に位置する隆一の実家は、大自然とのどかな田園風景が広がっていた。澄んだ空気に、全身に力がみなぎるのを感じた。
隆一の実家に足を運ぶと、両親は手作りの郷土料理をテーブルいっぱいに並べて、百合子さんをもてなしてくれた。なんて良い人たちだろう。こんな田舎で大好きな人と一生を送る人生もすてきかもしれない、百合子さんはそう感じた。
隆一の両親が、突然同居話を持ち出すまでは――。
「彼のお母さんから、いきなり『東京の人だから、同居はなじめないかもしれないでしょ。だから、こっちが百歩譲って二世帯住宅にうちを作り替える』という話が始まったんです。頭が混乱しましたね。だって、さっき会ったばかりなんですよ。でもそんなことなんてお構いなしに、『百合子さんも早く男の子を生んでもらって、私たちの面倒を見てもらわないと』って言うんです。
『いや、同居とか二世帯住宅とか、ちょっと待ってください』と言ったら、彼が『母さんの言うとおりだよ~』ってコロッと手のひらを返したんです。私、この村に軟禁されて、一生出られなくなるんじゃないかという恐怖を感じました』
後ほど隆一に問いただすと、「この村では、『私たちの面倒を見てね』という言葉は、君を受け入れたという意味なんだよ。よかったね」と笑っている。それって重荷だし、怖いと百合子さんは背筋が凍るのを感じた。
まだ婚約段階なのにもかかわらず、嫁が来るという噂はあっという間に村中に広まり、長老たちが続々と隆一の家に集まってきた。長老たちは、百合子の顔をいやらしそうな目でなめ回すように見ると、「結婚式は村のしきたりに沿った式にしてもらう」と百合子さんに告げた。すぐに村の公民館で長老たちの会議が始まり、百合子さんはドン引きしたが何も言えなかった。
百合子さんは、それでもまだ隆一を信じたい気持ちもあった。同居を迫る隆一の両親を何とか説き伏せ、村の近くにアパートを借りて、仕事を探し、まずは一人で生活することになった。
「意外かと思われるかもしれませんが、村人は外部から来た人に決して、ウェルカムじゃないんです。向こうで仕事を探そうと思っても、地元の企業には東京の人だと就職できない。『この村の者じゃないよね』『村のどの学校出たの?』と聞かれる。東京から来たというと、それだけでアウトなんですよ」
結局、百合子さんが就職できたのは、東京に本社のある食品の工場だった。
女のバツイチは村の恥
村にとって、離婚歴のある女性はそれだけで恥という存在だった。隆一は、百合子がバツイチであることを「村に知られたら大変だ」とおびえていた。隆一に聞くと、「百合子がバツイチであることは母親のみが知っていて、父親や村の住民たちには金輪際、隠し通すつもりだ」と言う。隠していてもいつかバレるから、せめて彼のお父さんには早く言ったほうがいいと百合子さんは隆一に伝えたが、聞く耳を持たなかった。
百合子さんは、前の夫との間に子どもがいなかったこともあり、土日には2人で海や山などのレジャーを楽しむのが、日課だった。
しかし、せっかくの土日にどこかに外出したいと百合子さんが隆一にせがんでも、首を縦に振らなかった。土日は早朝から夜遅くまで、地元の消防訓練がある。それが、村の男のしきたりだと言うのだ。
「『土日に遊びにいかないの?』って聞いたら、『いや、土日は消防が当たり前だろ。女はそこにご飯とか総菜を作って持ってくると決まっているんだ』って言うんです。聞くと土日祝日は村の男衆が集まって、公民館で消防の朝練を朝5時からして、その後は夕方まで飲み食いしているんです。彼のお母さんも村の女性たちも、みんなそのしきたりがあるから休日でも遊びに行くこともない。『消防って、それ楽しいの?』と彼に聞いたら『いや、楽しいとかそういうものじゃなく、それが村のしきたりだ』としか言わないんですよ。とにかくあぜんとしましたね」
百合子さんも、毎週土日は食べ物や飲み物の差し入れを強いられ、その時間が苦痛で仕方なかった。なんでこんなところに来てしまったんだろうと思うと、泣きたくなった。
「今思うと、彼も嫁要員を見つけるのに必死だったんでしょうね。村で30代というと、子どもが3人くらいいるのがデフォルトなんですよ。異常に地域の連帯感が強いから、消防の応援とか、地域の行事に家族ぐるみで行かなきゃいけない。むしろそれがステータスなんです。そこで30代独身の男性がいると、めちゃくちゃ肩身が狭い。『あいつは、何か性格に問題がある』と陰口をささやかれる。
田舎って、一見癒やしだと勘違いしてしまうんですが、実は閉鎖的で多様な生き方が一切認められないんです。そんな中でも特に犠牲になるのは女なんだと、身をもって実感しましたね」
年に数回ある祭りは強制参加で、女性は料理をして、陰で支えると決まっている。村人の冠婚葬祭があると、仕事を休んで男たちのおもてなしをしなければならない。
そもそも村に住んでいる限りは行事に参加しないという選択肢はない。村に住んでいると、男尊女卑は当たり前で、何かと女だけが馬車馬のように働かされる事実に、百合子さんは違和感を覚えずにはいられなかった。
村の生活に悩み困り果てた百合子さんは、ある日Iターンで東京からやってきたリンゴ園を経営する男性と知り合い悩みを打ち明けた。
喜んで受け入れられると思い込んでいた
すると男性は、「わかるよ。僕も、村の人たちに田舎でリンゴ園やるなんて、立派だと歓迎されると思って東京から来たんだ。でも甘かったよ」と、肩を落とした。
男性は東京生まれだったが、田舎の自然の豊かさに引かれて脱サラ、一念発起し、リンゴ園を開業した。村は、どの地方も抱える問題と同じように少子高齢化の波が押し寄せ、過疎化している。そんな中、まだ30代だった男性は村の貴重な労働力として、喜んで受け入れられると思い込んでいた。しかし、村の住民たちの反応は違った。
男性が東京からやってきたことを話すと、村の住民たちは顔色を変えた。そして、突然、「親を東京に置いてくるなんて、この親不孝者め!!」と罵り始めた。男性は住民たちのいじめに遭い、そのまま村八分になってしまったという。結局男性は、Iターン組だけでグループを形成し、村の住民との交流は完全に断絶していると苦しい胸の内を打ち明けてくれた。
日々息が詰まるような生活を強いられた百合子さんは、たまには1人で羽を伸ばしたいと思い立ち、ある日、1人で高速バスになって大阪に買い物に出かけた。すると村中にその噂が広がり、地元では大騒動になっていた。
「休みの日に女が1人で遠出をするなんて許せん!」
百合子さんは隆一の父親に怒鳴られ、村の住民や家族から大目玉を食らい、その後も白い目で見られ続けた。
「たかが買い物ですよ。女1人で買い物も許されないんです。同じ日本でも、文化が違うだけでこれだけわかり合えないのかと思いましたね。やってられないと思いました」
もう限界だと百合子さんは、隆一との婚約破棄を決意。それを隆一に告げると、携帯の留守電には毎日何十件も「ふざけんじゃねーよ! ぶっころすぞ!」と罵りの電話が入るようになった。恐怖を感じた百合子さんは、弁護士に相談し、命からがら東京へと逃げ出した。結果、隆一とは婚約破棄となった。
恐怖の村から脱出し、東京に帰還
恐怖の村から脱出した百合子さんは東京に戻り、教育関係の仕事を見つけ、そこで知り合った会社員の男性と再婚し、長男を出産。現在は地方出張もこなすなど、バリキャリとして、多忙な日々を送っている。今の夫は働く百合子さんを応援し、子育てにも積極的だ。
「自分の両親には、『あの男とだけは、結婚しなくてよかったね』と言われます。今もあの村に住んでいたら、きっと今のように私が働くことなんか、絶対認めてもらえなかったはずです。ましてや今の仕事のように、遠方に出張とかは無理だったでしょうね。よくテレビで、都会の女性と田舎の男のお見合いの番組とかやってるじゃないですか。あれを見ると、『本当に大丈夫? 私みたいにブラックホールに落ちないでね』って言いたくなっちゃうんです」
人並みの結婚を目指していただけなのに、いつしか思わぬ泥沼にハマりかけ、危機一髪のところで、なんとかはい上がった百合子さん。百合子さんがこれらの経験を経て得た教訓は、一時の情熱や恋愛感情で突っ走らず、結婚相手の周辺に目を向けることの大切さだ。相手の家族だけでなく、相手を取り巻く環境を今一度よく見渡してほしい、と百合子さんは最後に力強いまなざしで語ってくれた。
菅野 久美子 : ノンフィクション作家


高齢者との会話で半生浮き彫り…家族と疎遠の老後の哀しさ

2021-07-02 13:30:00 | 日記

下記の記事は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です

ここのところ、青木さんの顔色が悪い。もともと、あまりいいわけではない顔色が、なおも土色に沈んでいる。

 でもきょうは、午前11時すぎには姿を現し、おいしそうに肉豆腐の昼食も平らげていた。

 ところが夕刻が迫る頃、一大事件が起こった。青木さんが大便を失禁してしまったのだ。

 ベテランの女性ヘルパーが気付き、浴室に連れ込み、ズボンを剥がし、下着も脱がせ、下半身を洗い流した。

 これほどひどい事態は、青木さんを1カ月ほど見守ってきたが初めてのことだ。予想もできなかったのだが、この日の終礼で、身を寄せている養護施設の責任者から、人間としての道理を超えた、信じられない罵詈雑言を浴びせられていたことを知らされたのだ。

「みんなに迷惑をかけているおまえには、生きる権利などない」と……。

 いくら何でもひどすぎるなどと話していると、職員のひとりが僕に「あなたより1歳、若いのですよ」と、冗談交じりで明るく知らされてから、得も言われぬ親近感が生まれた。


 生まれたのは昭和23年、北海道の道東の都市。日本の戦後の復興を担って、高校を卒業後に“金の卵″ともてはやされ上京してきたのだが、どんな仕事に就いたのかはっきりしない。

「おじいさんは、酔っぱらって港を歩いているときに足を滑らせ海に落ちて死んだ。父親は貧しい漁師で、母親は、さびれたバーのホステス」

 そのゆっくりとした歩行と同じようなテンポの、絞り出すような重苦しい言葉で語ってくれたのは、散策の道中で、近くの公園に向かった時だった。
 養護施設の寮への送迎を何度か繰り返すうちに、青木さんとの会話が始まり、これまでの半生が浮き彫りにされてきた。

■若い頃は宝石商で稼ぐも…
小春日和のその日は、青木さんの機嫌もよかったのか、ベンチに腰を下ろして、しばらく会話が弾んだ。

「若い頃は、宝石商をやっていて、日本全国を回った」

 地方の公民館、デパートの催事場、ホテルの宴会場などに出店し、展示即売会を開催して儲ける商売だ。

「宝石商は、利ざやが大きいと聞いています。地方には、お金を持っていても使う機会のない主婦などが多いですからね。たとえば、地方の名門企業の社長夫人や、お医者さんの奥さん……」

「ターゲットは、お金持ちの奥さんではなくて、ふつうの奥さん」

「どうして?」

「彼女たちの虚栄心をかき立てるの。Aさんは50万円の指輪を買いました、Bさんは70万円のネックレス……。すると、私は100万円のイヤリングを……となる。社長や医者の奥さんなどの金持ちは、意外としみったれているものだ」

「最高で、どのくらい稼ぎました?」

「そう……、普通の会社員の1カ月分を、1日で稼ぐなんて、珍しくなかった」

「だったら、随分、残したでしょう」

「まったく残っていない……」

「酒、女、ギャンブル?」

「酒は飲まない、ギャンブルもしない」

「女……?」

「まあ、いろいろとあったな」

 まるで演歌の世界だ。

「結婚は」

「5年で別れた」

「お子さんは……」

「娘が2人いる。それぞれ家庭を持って、俺のことなど構っていられない」

「面会には来ないのですか」

「一度も顔を見せない」

 柔らかな日差しが、青木さんの額を照らし、まぶしそうな表情を見せていた。

 それからしばらくして、何の前触れもなく、施設に来なくなってしまった。噂では、新潟県の山深くにある施設に送られたとか。僕の非番の日に、娘さんがお礼の挨拶に見えたという話も聞いた。気品のある、美しい女性だったと、対応した女子社員は絶賛していた。

 そういえば池のほとりで見せた、青木さんのまぶしそうな目元が涼しく、年上の女性を引きつけるかも知れない、それが原因で……と、僕の妄想はどこまでも膨らんでいった。

 家族と疎遠になった高齢者の老後は哀しい。

夏樹久視作家
1947年東京生まれ。週刊誌アンカー、紀行作家


「皇族の公務が少なすぎる」小室さん騒動で霞む"令和皇室"の本当の大問題

2021-07-02 11:00:00 | 日記

下記はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です

秋篠宮家の眞子さまと小室圭さんの結婚問題が注目を集めている。そもそも皇室のあり方はいまのままでいいのだろうか。関東学院大学の君塚直隆教授は「天皇皇后両陛下と高円宮久子妃を除くと、日本の皇族の方々の公務は、英国の王室などと比べて格段に少ない。もっと国民に近づく必要がある」という――。
置き去りにされた「皇室と国民との距離」問題
2021年3月から、政府は「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議を立ち上げ、安定的な皇位継承に向けて本格的に検討を開始した。
その第5回(5月31日開催)の会議のヒアリングに招かれ、筆者も私見を述べさせていただいたが、本稿ではその一端を簡単にまとめてみたい。
まず読者のみなさんに問いかけてみたい。現在、日本の皇室には15人ほどの皇族方がおられ、日々の公務に勤しんでおられるが、その全員のお顔とお名前を判別でき、おのおのの年齢やこれまでの足跡、どのようなことに関心を持たれ、どういう役職に就いておられるのか、といったことをすべて答えられるかたがどれぐらいいるだろうか。
天皇ご一家や秋篠宮ご一家についてはある程度はご存じであろうが、それ以外の宮家については国民の大半もほとんど認識していないのではないか。
日本の皇室が現在抱えている最大の問題が、この「皇室と国民との距離」という問題にある。それはまた一朝一夕に浮上した問題などではなく、戦後70年以上にわたって政府や宮内庁、さらには国民自身が「置き去り」にしてしまった、問題の積み重ねによる結果ともいえよう。
「公務」の偏在と圧倒的な少なさ
確かに皇族の方々は「公務」をされている。しかしそれはヨーロッパ、とりわけ英国の王室と比べても格段に「少ない」といっても過言ではない。日本の皇室のなかで特に多忙なのは天皇皇后両陛下と、現況では高円宮久子妃ぐらいのものであり、残りの方々は多忙な公務の日々とは決して言えない毎日を過ごしておられる。
たとえば、総裁や名誉総裁、名誉会長として関わっておられる団体の数である。天皇と皇后を除き、現在各種団体に関わっている皇族は12人で、その団体の総数は88である。これが英国王室ともなると、18人の王族でおよそ3000にも及ぶ団体に「パトロン(総裁・会長)」として関わっているのだ。
日本の皇室で最も多くの団体を抱えておられるのが高円宮久子妃であり、2021年現在で29の団体に関わっておられるが、今年95歳のお誕生日を迎えられたエリザベス女王は実に600もの団体のパトロンを今も務め、コロナ禍にあってもZoomで関係団体の人々と会議を開いている。
そもそもが英国はヴィクトリア女王(在位1837~1901年)の時代から慈善団体に関わり、さらに英国のみならずカナダやオーストラリアといった「英連邦王国(エリザベス女王を国家元首にいただく国)」15カ国の団体にも王族が関わっている。
それゆえ日本の皇室とは桁違いの忙しさなのである。また、ベネルクス3国や北欧3国などの王室も、英国ほどの数ではないがそれでも王族各人が少なくとも2桁以上の団体に密接に関わり、文字どおり世界中を飛び回る多忙な生活にあるのが現状である。
SNSを駆使する海外王室
21世紀のこんにち、王室は「国民の支持があってこそ」成り立つものである。英国王室もこうした各種団体に関わる活動は、一昔前までは「慎ましく」「目立たないかたちで」おこなってきた。しかしそれでは国民に十分理解してもらえない時代なのである。
それを如実に示したのが1997年夏の「ダイアナ事件」であった。当時の英国民の多くが、慈善活動に積極的なのはダイアナだけで、他の王族は冷たいとの誤解を抱いていた。
この誤解を払拭するために、王室はホームページやツイッター、ユーチューブ、インスタグラムといったSNSを活用し、自分たちの活動を喧伝した。国民にとってまさに目からうろこが落ちる思いとなった。いまや英国王室は国民からも絶大な支持を集めるようになった。
2020年1月にチャールズ皇太子の次男ヘンリ(ハリー)王子とメーガン妃が突然王室から離脱すると発表したとき、国民からの怒りが王室ではなく夫妻に向けられたのはこうした王室の地道な「広報努力」があったからにほかならない。
2018年3月23日に北アイルランドを初めて訪問したハリー王子とマークルさん
夫妻から「殿下」の称号とすべての公職を取り上げたエリザベス女王の決定は、国民の実に9割近くから「英断」として高く評価されている。
それはまた今年4月に99歳で大往生を遂げた女王の夫君エディンバラ公爵フィリップ殿下に対する国民の敬愛をも反映していた。老公は2017年5月に96歳目前で公務からの「引退」を表明したとき、なんと785もの団体のパトロンを務めていたのである。ハリーとメーガンはその多くをこれから引き継がなければならない矢先であったのに、国民の目から見れば夫妻の行動は「敵前逃亡」と映っていたのかもしれない。
「いまだ雲上人」皇室の広報は不十分だ
いずれにせよ、英国に限らず、ヨーロッパで君主制をいただく国民の多くは、王族たちが自分たちや世界全体のために日夜努力している姿を見て、王室に信頼を抱いているのが現状なのである。そのいずれにおいても英国が「嚆矢こうし」となっており、各国の王室はいまやSNSを活用して、自分たちの喧伝にも努めているのである。
こうしたヨーロッパの王室に比べると、日本の皇室は公務の数もさることながら、国民の前に姿を現す頻度も、さらに広報にしても圧倒的に足りていないというのが現実である。
日本には「宮内庁」のホームページはあっても「皇室」のそれはない。ましてやツイッターもインスタグラムも開設していない。しかも深く関わっている団体が少ないなかでは、皇族の方々の活動も国民にはわかりづらい。いまだに「雲上人」というのが真実なのか。
21世紀のこんにちでは、高齢者や子ども、障がい者、さらにはLGBTの人々、他国籍の国民(多文化共生問題)など、いわゆる社会のなかの弱者といわれる人々に寄り添っていくことが大切である。こうしたときに、日々の政治や外交、軍事や通商(さらには昨今のコロナ対策など)で忙しい政府では手の回らない、これらの問題に積極的に関わることができるのが王族であり、皇族なのではないか。
こうした側面からも、日本でも皇族の方々にさらに多くの各種団体に直接的に関わっていただき、国民により近づいてもらいたい。
「公務の担い手」が減っては国民との距離は埋まらない
ところが、政府から国民に至るまで日本全体が戦後70年以上にわたって「置き去り」にしてきた問題のツケが回ってきている。いわゆる皇族数の減少である。「皇室典範」第12条にあるとおり、女性皇族が皇族以外の男性と結婚される場合には、皇室から離れなければならない。俗にいう「臣籍降下」である。
公務を担える皇族が他にも多数存在する状態であればいざしらず、いまや上記の各種団体に関わる皇族12名のうち実に10名が女性であり、そのうち4名が未婚の皇族である。さらに既婚の女性皇族にしても、三笠宮百合子妃(98歳)を筆頭に常陸宮華子妃(80歳)、そして高円宮久子妃(67歳)と、みなさまいつまでも公務を担えるわけではない。
これからさらに公務を担っていただきたいときに、それを支えられる皇族数が減少していては、皇室の国民からの支持はさらに減退してしまうのではないか。やはり女性の皇族にも男性と同様に「宮家」を創設していただき、その配偶者もお子様たちにも「皇族」となっていただき、天皇皇后両陛下を支えていただかなければ成り立たないのである。特に、高円宮家の三女絢子様が嫁がれた守谷慧氏は、青年時代からボランティアに積極的に関わっておられ、理想的な「皇族」になってくださるのではないか。
「小室騒動」が投げかける令和皇室の深刻さ
そのような矢先に皇室に一石を投じたのが「小室圭さん問題」ではないだろうか。これまで報じられてきた、ご家族での負債の問題などについてはここでは触れるつもりはない。ただしこの一連の報道を通じて生じた現実問題についてだけは触れておきたい。
2017年5月に眞子内親王との婚約が内定して以来、これまでの「騒動」により内親王ご自身についてはもとより、秋篠宮家、ひいては皇室全体に及ぼした影響は計り知れないのではないか。報道内容の真実はどうであれ、このままお二人が結婚されてもそれは国民全体から真に祝福されるご成婚にはならないのではないか。さらに仮に女性皇族も宮家を創設できることになったとしたら、小室氏も「皇族」となるわけであり、これに反対する国民も多数出てくる可能性は高い。
そして宮家の創設だけではなく、この21世紀の現在にあっては「女性・女系天皇」の道を切り開くことも必定となってくるのであり、それが実現すれば将来的に眞子内親王が天皇になられる可能性もありうるわけで、国民からのさらなる反発も予想されよう。
こうした事態を避けるために、「男系男子」の皇位継承にこだわる人々は、終戦直後に皇籍を離脱した旧宮家の男系男子を養子などのかたちで皇室に戻せばよいのではないかと主張している。
しかし、本稿の最初で筆者がみなさんに質問したことについて立ち戻っていただきたい。報道等でもお顔などが出る可能性の高い、現在の皇族についてもなじみの少ない国民が、70年以上も前に皇室を離れ、顔も名前もほとんどわからない方々にどれだけの信頼を寄せられるだろうか。
皇室はもっと国民に近づいてほしい
以上の議論を踏まえて、今後の皇室の進むべき道について私見を整理しておきたい。
現在の皇室を支えておられる女性皇族方を中心に、ご自身が特に関心を持たれている分野に関わる各種団体に総裁等の役職で(パロトンとして)さらに多数コミットしていただき、そうした活動は毎日更新するSNSによって国民にも活発に広報していただきたい。
また、皇室典範第12条も改定し、女性皇族方はご結婚後も皇族として留まり、配偶者やお子様も皇族とし、今後も天皇皇后両陛下を中心とする皇室の活動を支え続けていただきたい。
君塚直隆『立憲君主制の現在:日本人は「象徴天皇」を維持できるか』(新潮選書)
以上のことは、21世紀どころか、明治以降の150年以上に及ぶ日本の皇室史上で初めての試みとなることは百も承知である。しかし幸いなことに、イギリスをはじめヨーロッパにはこうした王室や王族の活動の活性化、SNSの活用について「先達」ともいうべき存在があまたあり、日本の皇室はこれらの王室ともやはり150年にもわたる長いお付き合いで結ばれているのだ。そのノウハウを伝授していただけるはずである。
2018年に上梓した『立憲君主制の現在:日本人は「象徴天皇」を維持できるか』(新潮選書)でも書いたように、21世紀の今日においては「国民の支持があってこそ」皇室は成り立つのである。
「小室圭さん問題」が投げかけた波紋は、一部の週刊誌が報じていること以上に、より深刻な問題をはらんでいることを忘れてはいけない。
君塚 直隆関東学院大学国際文化学部教授


加齢で衰えるが…「噛む力」を維持すれば心臓病を予防できる

2021-07-02 08:30:00 | 日記

下記は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です

「噛む力」が弱い人は、循環器疾患になりやすい――。日本の一般住民を対象とした研究で、そんな相関関係が明らかになった。噛む力を維持することを意識すれば、日本人の死因の第2位である心臓疾患を予防できるかもしれない。

 国立循環器病研究センター、新潟大学、大阪大学の共同研究チームが、大阪府吹田市の一般住民を対象としたコホート研究を解析。50~79歳の一般住民のうち歯科検診を受診した1547人を追跡したところ、噛む力=最大咬合力が低い人は、高い対象者に比べて循環器疾患の新規発症リスクが最大5倍も高いことがわかった。

 これまで、口腔内の環境と循環器疾患の関連を調べた研究はいくつも報告されているが、そのほとんどは歯周病について検討したものだった。それが今回、「噛む力」そのものが心筋梗塞などの循環器疾患と大きく関係していることが明らかになったのだ。

 なぜ、噛む力が弱いと循環器疾患を発症しやすくなるのか。小林歯科医院の小林友貴氏は言う。

「まだはっきりした理由はわかっていませんが、いくつか考えられる要因で、まず挙げられるのは食事の影響です。高齢になると全身の筋力が衰え、噛む力=咬合力も低くなります。そうなると、食べ物をうまく噛み砕けなくなるため、野菜や肉といった硬いものをだんだんと避けるようになっていきます。実際、咬合力が低いと緑黄色野菜や魚介類の摂取が少なくなるという報告もされています。また、咬合力が低くなると、逆に糖質が多く含まれた軟らかいものを選んで食べるようになる。その結果、栄養バランスが崩れ、動脈硬化を予防する働きがある食物繊維や抗酸化ビタミンなどの摂取が少なくなり、循環器疾患の発症リスクが高まることが考えられます」

■全身の血流にも影響

「噛む」という運動そのものが関係している可能性もある。

 われわれが上下の歯を合わせて噛む動作をすると、「噛んだ」という情報が脳の視床下部に伝わり、脳内で「ヒスタミン」という生理活性物質が産生される。ヒスタミンは、アレルギー反応、炎症、睡眠と覚醒、食欲調整などさまざまな働きに関わっていて、産生されると交感神経が刺激される。その刺激により内臓脂肪が燃焼して熱が発生すると、脳は熱を放出して体温を一定に保つため血管を広げ、全身の血流がよくなるのだ。

「噛むという動作が脳の血流を増やし、脳を活性化することも報告されています。とりわけ、記憶をつかさどる海馬や、意欲や集中力をつかさどる前頭前野の血流が増えて活性化するといわれています。噛むときには咀嚼筋などの筋肉や頭部の骨を使います。そのため、噛むと顔をはじめとした上半身の血流がよくなることも知られています」

 噛む力が低下して噛む機会が減っていくと、血流が悪くなって循環器疾患の発症に影響すると考えられる。だからこそ、噛む力をしっかりキープすることが肝心だ。

「噛む力は、口腔内の環境と大きく関係しています。たとえば歯周病などで歯を失ってしまうと、歯の本数が減って噛む力が低下してしまうのです。歯周病を予防して歯の健康を保つことはもちろん、歯が抜けてしまったときはインプラントや入れ歯を適切に使えば、噛む力を低下させずに維持することができます」

 心臓突然死を防ぐためにも、日頃から「しっかり噛めているかどうか」を意識し、歯にトラブルがある人はきちんと治療しておきたい。