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 「氷河期世代の長男は一生働かない」40歳・不肖の息子の人生を背負う親の莫大な代償

2021-07-26 15:30:00 | 日記

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です  記事はテキストに変換していますから画像は出ません

就職氷河期世代の男性(40)はこれまで一度も働いたことがない。半ばひきこもり状態であることを、実家で同居する年金暮らしの父親(73)からたびたび叱責され、関係は悪い。父親がファイナンシャルプランナーに家計相談すると、一定の資産があるおかげで、両親が他界後、長男が80代になっても赤字転落は免れることがわかった。それにより父親の不安や焦りは軽減されたものの、“一生無職”を貫く長男の老後のために身代わりで払う代償の大きさとは――。
就職氷河期世代の40歳男性、努力はしたが働かないまま今に至る
私(ファイナンシャルプランナー)の事務所は東京にありますが、面談による相談だけでなく、郵送での相談も受け付けています。地方にお住まいの方も東京に来ることなく相談できるようにと始めましたが、コロナ禍で面談を避けるために利用する人も増えました。
今回ご紹介するのは、5年ほど前の相談ですので、新型コロナとは関係ありませんが、郵送でのご相談の申込みでした。
【家族構成】
・父親:73歳(年金生活)年金額198万円
・母親:70歳(年金生活)年金額85万円
・長男:40歳(無職)
________________________________
【資産】
・預貯金:約3500万円
・自宅:戸建て持ち家
________________________________
【家計】
・収入 年283万円(夫婦年金合計)
・支出 年252万円
(内訳)
生活費 年210万円(月17万5000円)
住居費 年30万円
保険料 年12万円
73歳父「社会復帰をさせ、自立した生活ができるようにしたい」
ご相談を申し込んできたのは父親(73)です。子供は息子(40)ひとりですが、ひきこもり状態で仕事をしていません。大学卒業時は就職氷河期で、就職が決まらないまま卒業を迎えてしまいました。資格取得を目指したものの、なかなか試験に合格できず、就職もしないままに時間だけが経過し、ますます就職が難しくなってしまいました。
親は、長男が仕事をするようにと、いろいろと手を打ちましたが、うまくいきませんでした。結局、一度も働いたことがありません。特に父親は仕事をしない長男をたびたび叱責しましたが、本人はかえって心を閉ざしてしまい、ひきこもり状態になってしまったそうです。
今では親子の会話もほとんどありません。
手紙の文面では、「なんとか社会復帰をさせ、自立した生活ができるようにしたい」と、父親の心境がつづられていました。
生涯にわたって“働けない”ことを前提にシミュレーションを作成
郵送でのご相談の場合は、こちらから「質問シート」という記入用紙を送ります。そこに家計の状況や保有資産額、家族の状況などを記載してもらい、返送してもらいます。私は、いただいた情報を分析し、将来の家計状況をシミュレーションします。将来の状況が厳しいと予想されれば、改善策を提案します。
一般の家計相談の場合は、ご相談者夫婦が、80歳、90歳になるぐらいまでを分析しますが、働けない子どものご家族からの相談では、子どもが80歳、90歳になるまでを分析していきます。
子供の年齢によっては、かなり長い分析となり、誤差が小さくないのですが、現状から将来の状況を把握していただくことが目的です。
親が健在なうちは、働かない子どもがいても、それほど問題はありません。特に介護費用がかさばらなければ、親の年金で当面の生活費は賄えます。しかし、親が亡くなった後は、貯蓄を取り崩しながらの生活になります(親は、平均的な年齢で亡くなるものとして計算します)。
本人の平均寿命ぐらいまで貯蓄が維持できるようであれば、ひと安心です。ひきこもりの子は支出が少ないことも多く、けっして無理な話ではありません。
逆に、早期に貯蓄が枯渇し、資金不足となる場合は、何らかの対応策を検討します。自宅の売却を行ったり、兄弟姉妹で遺産の配分を考慮してもらったりすることもあります。
子どもが少しでも収入を得られれば、本人の老後の状況はかなり改善されます。しかし、基本は子どもが生涯にわたって“働けない”ということを前提にシミュレーションを作成します。もちろん、働けるようになればそれに越したことはないのですが、シミュレーションではあえて悪い状況が続くものとして、対応策を考えておきたいものです。
長男が40年後に80代になっても赤字転落せず、貯蓄が維持できる
今回も、「質問シート」に記入していただいた情報を基に分析をし、現在の状況が続いた場合での長男の将来の家計状況のシミュレーションを作成しました(父親は87歳で他界、90歳で他界、長男ひとり暮らしの際の支出は月16万4000円という想定)。
この家族の場合は、親がある程度の金融資産(貯金3500万円)と自宅(戸建て持ち家)を保有しており、さらに、ひとりっ子ですべての財産を相続することができたため、長男が40年後に80代になっても貯蓄が維持できそうでした(長男が85歳時の親の貯金残高は約900万円)。本人が浪費家でなかったことも幸いしたようです。現状、家族3人の基本生活費(食費や光熱水費、日用品費など)は月17万5000円で、長男のための特別大きなコストはないようです。
父親からの電話「困るよ。これでは息子に見せられない」
私はご提案資料に書きました。
「現状では、ご長男の老後まで貯蓄が維持できそうで、親亡き後もそれほど心配はありません。ただし今後、支出が増えてしまうと資金不足となることもありますので、くれぐれも油断は禁物です」
こちらから送ったご提案資料が届いたころ、父親から電話がかかってきました。
「困るよ。これでは息子に見せられない」
父親は、今のままだと将来は厳しい状況になることを見せて、本人に危機感を持たせたいと考えていたようです。それまでも「このままでは将来生きていけない」と、長男の奮起を促す叱責を繰り返しており、私の家計診断もその材料としたかったようです。そのために私にシミュレーションの作成を依頼したのに、届いた結果が「今のままで問題ない」では怒るのも無理からぬことです。
確かにこのままの状態が続けば、親亡き後、長男は親が築いた貯蓄を取り崩しながら生活していくことになってしまいます。
しかし、長男は収入を得られないものの、浪費家ではなく、支出は多くありません。「自立した生活」とは言えないまでも、比較的「堅実な生活」であり、ひきこもりの子どもの中では、比較的良いケースだと言えるでしょう。ささやかな生活を維持していけば、生活保護などの公的支援を受けずに、生涯を送ることは十分に可能です。
「お金が不足すれば働くわけではない、安心させてあげてください」
「お金が不足すれば働くようになる、というものでもありません。このままでも心配ないと、まずは安心させてあげてください」
私は言いました。父親の返事の声からは、怪訝そうな顔を浮かべている様子が想像できました。
このあたりは、郵送での相談の至らない点かもしれません。面談でのご相談であれば、いろいろと話ができますので、十分なコミュニケーションが取れます。ご相談に来られたご家族も、こちらの意図を汲み取ってくれます。その点、郵送だけのやり取りでは気持ちの問題など、お互いに把握が難しい部分があります。
その時のご相談はそれで終わりましたが、数年後に父親からまた連絡をもらいました。それによると、提案書を受け取った時は納得できなかったけれども、「働かなくても生きていくことはできる」とわかり、親としても焦らなくなったそうです。無理に働くことを勧めなくなり、就職の話はしなくなりました。
すると徐々に、親子で会話が増え、コミュニケーションが取れるようになってきたそうです。まだまだ社会復帰ができたと言える状況ではありませんが、以前と比べると、家の中がギスギスすることなく、雰囲気が良くなってきたと、明るい声で報告してくれました。
子どもが50歳前後になると、親の心境にも変化が生じてくるケースが少なくありません。「子どもが立ち直ることを諦める」とも言えますが、「子どもの現状を受け入れる」ということでもあります。
すると親子の関係が、それまでの敵対関係ではなくなり、打ち解けた関係に変わってくるというのです。子どもにとっても、親が自分の現状を受け入れてくれてこそ、心を開こうという気になるのではないでしょうか。
村井 英一ファイナンシャルプランナー


難病で終わったはずの人生を救ったのは、弟の腸内細菌だった

2021-07-26 13:30:00 | 日記

下記の記事は朝日新聞Reライフからの借用(コピー)です


大腸にすむ腸内細菌は、検査法の飛躍的な進歩などにより、私たちの健康増進に役立つさまざまな働きが明らかになってきました。最新の治療例や、医療現場の動向などをリポートする「大腸最前線」。その1回目は、難病の潰瘍(かいよう)性大腸炎を「便移植療法」で乗り越えた、神奈川県在住で公認会計士の片山武蔵さん(35)の体験談を紹介します。

 あれは29歳の時でした。突然、食中毒のような症状に襲われたのです。原因不明の急性腸炎で、吐き気や下痢が収まっても、腹痛や体調不良が続き、出勤することもできなくなりました。
 色々な病院で診てもらって1カ月後ぐらいで、ようやく潰瘍性大腸炎と診断されました。
 潰瘍性大腸炎は、国の指定難病です。その原因は解明されておらず、「治す方法はない」とも言われました。一度発症すると完治するのが難しい病気なのです。一般的な治療は、免疫抑制剤を飲むこと。5年ほど前は、体の免疫系の暴走が原因ではないかと、考えられていたのです。
一時は「人生終わった」とも
 でも私は、免疫抑制剤を服用することを拒みました。というのも、当時の主治医の話では、免疫抑制剤はだんだん効かなくなり、そうなるともっと強い薬に替えなければならなくなる。その繰り返しが一生続くのではたまりません。免疫抑制剤に頼るのは、もう他に選択肢がなくなった、最後の手段にしたいと考えたのです。
 それで、免疫抑制剤以外に治療法はないか、本を読んだりして必死で探しました。東洋医学の漢方やおきゅう、民間療法も試してみました。でも、やはり効果はありませんでした。
潰瘍性大腸炎と闘っていたころを振り返る、公認会計士の片山武蔵さん (撮影)村上宗一郎
 その間にも症状は進んでゆきます 。何がつらいかと言えば、おなかはすくのに食事ができないこと。荒れて血だらけになった腸内に、塩を塗りこんだような激痛に襲われるので、固形物が食べられないのです。それで、プロテインの粉のような、水に溶いて飲む栄養剤をとるのですが、これがまずくて閉口しました。腹痛は24時間続くので、眠ってもすぐ目覚めてしまいます。食べていないのでトイレにかけこんでも、血の混じった粘液しか出てきません。そんなこんなで半月ほどで15キロ以上も体重が落ち、最後には文字どおり骨と皮になってしまいました。
 そんな調子では仕事にもなりませんので、勤めていた外資系の大手会計事務所も辞めました。実家に戻り、ぼうぜんと日々を送る中で、公認会計士の仕事も、将来の結婚も諦めなければならないのかと、人生が終わったような気持ちでしたね。
腸内細菌に注目 臨床研究に参加
 一方で私は、治らない病気だという事実が受け入れられませんでした。それで医学書だけでなく健康や人生に関する本などにあたって読みあさりました。
 そんな折に、テレビで腸内細菌についての特集番組を見たのです。そこでは、がんや糖尿病、アレルギーといった病気や、肥満、老化の原因などに腸内細菌が関係していることが紹介されていました。また、抗生剤の投与によって腸内フローラのバランスが崩れ、ある細菌が異常に増殖することで腸内に炎症などを起こす偽膜性大腸炎についても触れていて、米国では、健康な人の腸内細菌を移植する便移植療法が行われ、効果を上げつつあることも知りました。
 調べると、国内でも便移植療法の臨床研究が行われていることがわかり、わらにもすがる思いで、順天堂大の石川大准教授のもとを訪ね、相談しました。発症から1年後の2015年3月のことです。診察の結果はかなりの重症で、石川先生から治療内容について詳しくお話を聞き、納得して臨床研究に参加することを決断しました。
 翌月から、2週間にわたって3種類の抗菌薬を服用しつづけました。いったん腸内細菌を極限まで減らし、無菌状態に近い環境までリセットするためだと聞きました。それが済めば、いよいよ移植です。手術は4月22日に行われました。
 石川先生の話だと、現在は、誰の腸内細菌を移植するのが有効か、色々調べて最適なマッチングを探すのだそうですが、5年前は、まだ研究開始間もなくであり、安全性の面から健康な家族の便を使う方式になっていました。なので私は、弟に便の提供を頼みました。体質的に、彼が一番自分に近いのではないかと考えたのです。
 便移植療法というのは、酸素に触れない環境下で、便を生理食塩水と混ぜ合わせ、そこから抽出した腸内細菌溶液を、内視鏡を使って私の腸内に移植するというものです。
抗菌薬併用便移植療法の概念図(提供:順天堂大学消化器内科学講座 石川大准教授)
劇的な効果実感 体重も元に
 手術が始まってから約2時間して麻酔から目が覚めると、明らかな体調の変化を感じました。その日の夕食は出された病院食を完食でき、それだけでは足りないと感じたぐらいで、その変化は「治った」と思えるほど劇的な感じでした。逆に言えば、術前の体調がそれほどひどかったということなのかもしれません。
 あれほど悩まされていた腹痛がなくなり、ずっと下痢だったのが普通の便が出るようになりました。毎日、3食おいしく食べることができるようになり、2カ月ほどで体重も戻って、今では65キロぐらいあります。
 私は便移植療法のおかげで潰瘍性大腸炎の症状が劇的に改善されたのですが、同じ治療を受けた全員に効果が出るとは限りません。石川先生によると、臨床研究を受けた170人のうち7割近くの人で効果が確認できたのだそうです。私がうまくいったのは、弟の腸内細菌との相性が良かったのか、あるいは私があえて免疫抑制剤を使わなかったため、免疫力が落ちていなかったのではないか、などと想像しています。
 潰瘍性大腸炎の研究は、依然として道半ばで、原因の解明も決定的な治療法もいまだ分かっていない状況です。でも、便移植療法を経験した私は、腸内細菌の異常が原因で、その改善こそが治療のカギになると信じています。
 便移植を受けてから5年。いつか再発するかもしれないという不安は、今も抱えています。現在は、新型コロナウイルス感染拡大により便移植療法の臨床研究の新規受付は一時中断中とのことですが、同じ病気に悩む皆さんが誰でも受けられる治療法として認められる日が、早く来ることを願っています。今も私は、石川先生の元に3カ月おきに通い、定期的に腸内環境などをチェックしてもらっています。私は定期健康診断のつもりで受診を続けているのですが、この間の私の検査データが、今後の研究にもいかされることを願っています。(談)
片山 武蔵(かたやま・むさし)
公認会計士
1984年、神奈川県生まれ。大学卒業後、外資系の会計事務所で勤務するが、潰瘍(かいよう)性大腸炎の発症により退職。


眞子さまのご結婚問題 小室佳代さんの「告白」で強固になった膠着状態

2021-07-26 11:00:00 | 日記

下記はNEWSポストセブンオンラインからの借用(コピー)です

日本中が注目する秋篠宮家長女・眞子さまの結婚問題の進展に影響を与えかねない“事件”の発生に、皇室関係者が頭を抱えている。眞子さまの婚約内定者である小室圭さんの母・佳代さんが、6月22日発売の『週刊文春WOMAN』に登場。小室さんについて語る一方、眞子さまとのプライベートなやり取りも明らかにしたのだ。本来ならば、皇族方とのやり取りを許可なしに公にすることはあり得ない。宮内庁関係者も、
「もし眞子さまが小室家に嫁がれることがあれば、佳代さんはさらに皇室のプライベートを知りうる立場になります。それなのに、皇族方との私的なやり取りを公にすることの重大さを理解していないのは、本当に恐ろしいことです」
 と、驚きと戸惑いを隠さない。しかも佳代さんは、
《いつ死んでもいいと思うこともありました。明日死のう、と。今だってそう思うことはあります。本当に心身ともにつらくて……》
《二年ほど前には周りの人たちに『さようなら』と別れを告げて、いなくなろうとしていたんです》
と、自死願望があったことまで語った。今回の佳代さんの告白は、眞子さまのご結婚問題にどんな影響を与えるのだろうか。
「この告白で、結婚問題が前進することはありえないでしょう。むしろ、佳代さんは“しゃべってしまう”ということを印象づけたに過ぎません。『自殺願望』という恐ろしいことを、記者との雑談で平気で口にするとは、皇室の関係者としてありえないことです。皇室も宮内庁も、眞子さまが結婚されるか否かにかかわらず、徹底して佳代さんと距離を置くでしょう」(前出・宮内庁関係者)
 これだけの逆風の中では、国民の祝福を得て「納采の儀」を行い、皇族における通常の結婚に至るのは不可能に近いだろう。その一方で、4月に小室さんが金銭トラブルを説明した文書について、「眞子さまのご意向が大きかった」と明かされるなど、眞子さまが小室家の借金問題に介入されていることは明白だ。
「もう、眞子さまのお心は秋篠宮家ではなく、小室家にある。眞子さまはもはや『小室家の一員』と言う人までいます」(皇室記者)
さらに、今回の佳代さんの告白が、膠着状態をより強固なものにさせそうだ。
「ご夫妻への“恫喝”とも取れる佳代さんの『自殺願望』告白によって、今後ますます皇室側から破談は言い出しづらくなるでしょう。かといって、現状では結婚させることも難しい。もう今後何年もこの膠着状態が続いていくのかもしれません」(皇室関係者)
 5月に留学先だった米フォーダム大学ロースクールを卒業した小室さんだが、いまだ動きは見せていない。小室さんが何らかのアクションを起こさない限り、ご結婚問題が前進することはないだろう。
「眞子さまが小室家の金銭トラブル対応の“陣頭指揮”を執られているままでは、結婚を進めることは難しいでしょう。秋篠宮ご夫妻は、はじめこそ眞子さまに“目を覚ましてほしい”と願われていたそうですが、近頃はもうお手上げ状態。眞子さまを説得されることは諦めつつあると聞きます」(別の宮内庁関係者)
 佳代さんの「告白」は、結果的に眞子さまのご結婚の日を遠いものにしたようだ。


「肺活」が今、何より重要だといえる医学的理由

2021-07-26 08:30:00 | 日記

下記は東洋経済オンラインからの借用(コピー)です

自律神経研究の第一人者・小林弘幸医師。自律神経の重要性を一般に広めてきた小林氏は、日本人が今もっともケアしなければならない体の部位は「肺」だと警鐘を鳴らしています。
肺機能が衰えることによる自律神経や心身のパフォーマンスへの影響を「呼吸器研究」「循環器研究」「自律神経学」の視点から紐解いている『最高の体調を引き出す 超肺活』より一部抜粋、再編集。「今、肺トレーニングが必要とされる理由」をお伝えします。
エクモが教えてくれる「肺」の重要性
新型コロナウイルス感染症(COVID19)の流行によって、ECMO(エクモ)の存在が一般にも広く知られるようになりました。エクモのメカニズムを知ると、私たちの肺が普段どんな働きをしているのかよくわかります。
エクモによる治療は、まず太ももの付け根の静脈にカニューレという太い管を挿入したあと、血液を体の外に取り出し、ポンプによって人工肺に血液を送ります。ここまでの血液は二酸化炭素を含んでいるため「暗い赤色」をしています。人工肺に送られた血液は、酸素と二酸化炭素の「ガス交換」が行われ、カニューレを通して首の血管に戻されます。このときの血液は、酸素を含んでいるため「鮮やかな赤色」をしています。
このようにして、エクモは肺の機能を代理で行い、その間に肺の回復を待ち、通常の治療ではただちに絶命してしまいかねない患者の命を救っているのです。
私が外科研修医時代、エクモの勉強でもっとも驚いたのが、含まれているガスが二酸化炭素か酸素かによって変わる「血液の色」についてでした。
二酸化炭素を含んだ濁った血液が、人工肺を通過すると鮮やかで健康的な色に生まれ変わるさまを見て、「肺」がいかに健康状態に大きな影響を与えるかを思い知りました。そして、知識としてはもちろん知っていましたが、「酸素は血液に乗って全身に運ばれていく」ということを、エクモを目の当たりにして痛感したのです。
肺が担っているもっとも重要な役割は、「呼吸(ガス交換)」です。
酸素と二酸化炭素のガス交換は、肺の中に張り巡らされた気管支の先端にある、「肺胞(はいほう)」と呼ばれる部位で行われています。肺胞の大きさはわずか0.1ミリ程度で、およそ3億から6億個あるといわれています。
肺胞には、毛細血管が網の目のように取り巻いています。息を吸うと、酸素は3億から6億個ある肺胞の中に入り、毛細血管内の血液に溶け込んでいきます。血液は心臓に送られ、心臓から動脈を経由して全身の毛細血管に送られ、およそ1分かけて心臓に戻ってきます。心臓に戻ってきた血液は、肺胞に戻され、また酸素と二酸化炭素がガス交換されて、二酸化炭素は口から吐き出されていくわけです。
新型コロナウイルス感染症の重症患者が、脳梗塞などの「血管系の病気」になることに疑問を抱いた人もいるでしょう。肺の機能は、心臓や血液循環とも密接に関わっているため、呼吸の質によって全身の健康状態は大きく左右されるのです。
肺機能の低下が、心身を不健康にする
さて、肺機能が弱まり、肺胞から酸素を十分に取り込めないと、全身の細胞が酸素不足に陥ります。全身に張り巡らされた毛細血管まで酸素が行き渡らないため、ダルさや慢性疲労を引き起こし、酸欠状態になった細胞はがん化の原因にもなります。
また、脳に十分な酸素が届かないと、集中力が減退したり、うつなどのメンタルトラブルや認知症の一因にもなります。最近、集中力が足りないと感じている人は、肺が衰えて、必要な酸素を取り込めていないという可能性が考えられます。
さらに、肺胞から十分に酸素を取り込めないと、血中の酸素濃度が下がり、足りない酸素を補うために呼吸の回数が増え、浅い呼吸になってしまいます。浅い呼吸は、自律神経のバランスを崩す原因です。
自律神経のバランスが崩れると、血流や腸内環境にも不具合が生じ、血管や内臓の疾患を引き起こしたり、腸におよそ7割生息している免疫細胞の働きを悪くします。
その結果、全身の免疫力が低下する危険性があります。
つまり、ウイルスや病気に負けない強い体をつくるには、諸悪の根源である「肺の劣化」を防ぐことが絶対に必要なのです。
肺の機能の衰えは、自覚しにくいものです。しかし、20代から加齢とともに誰でも肺は衰え、40代になると急速に機能低下が進行することがあります。食生活や生活習慣に気を使っているのに心身がベストではない人は、肺機能の衰えを疑ってみる必要があるでしょう。
肺の衰えは、あきらめるしかないのでしょうか。
答えは、否です。「肺活トレーニング」をすれば、呼吸1回の換気(かんき)量を増やすことができ、血液に酸素を取り込む量を増やし、血中の酸素濃度をアップさせることができます。
換気量とは、呼吸によって出入りする空気の量のこと。安静時の1回の呼吸では平均500ミリリットルの空気が呼吸器の中を出入りしています。このとき注目すべきは、500ミリリットルのうち、およそ150ミリリットルはガス交換に関与しない空気で、この量は「死腔(しくう)量」と呼ばれ、つねに150ミリリットルで一定しています。
解剖学的に死腔とは、呼吸器系の中で肺胞が存在しない部分(鼻から気管支までのスペース)のことを指します。ガス交換に直接関与していない呼吸器です。つまり通常、呼吸1回で500ミリリットルの空気が出入りしても、肺胞に到達するまでに150ミリリットルが失われ、残った平均350ミリリットルの空気が肺胞でガス交換されているわけです。
何歳になっても遅くない! 肺トレで肺を鍛えよう
1回の換気量は、肺活トレーニングによって胸郭(きょうかく)の可動域を広げれば、誰でも増やすことができます。たとえば、1回の換気量が1000ミリリットルに増えれば、死腔量の150ミリリットルを引いて、850ミリリットルの空気がガス交換に使われることになります。
このことが何を意味するかというと、1回の換気量さえ増やせればガス交換に使われる酸素が増え、その結果、血中の酸素濃度も高めることができるということです。
『最高の体調を引き出す超肺活』(アスコム)。
たとえるなら、換気量を増やすこととは、パソコンのCPUを増やすことに似ています。CPUを増やせばスムーズにパソコンを動かせるように、換気量を増やすことでスムーズに肺が酸素を取り込めるようになるイメージです。多少パソコンが古いものでも、CPUが最新なら、問題なく使うことができます。
それと同じで、肺が加齢によって多少衰えていても、換気量を増やせば、いつまでもたっぷりの酸素を体内に取り込むことができるのです。
脳の衰えを防ぐために「脳トレ」が有効なのと同じで、肺の衰えを防ぐためには「肺トレ」が必要です。『最高の体調を引き出す 超肺活』では、医学的に効果が実証されている「肺トレ」を一般の方にもわかりやすく紹介しています。
「肺トレ」により息を吹き返した肺は、ウイルスに負けない免疫力の獲得、質の高い血液循環への改善、そして自律神経の大幅なパフォーマンス向上に貢献してくれることでしょう。ぜひ「肺トレ」を実践し、大変な時代を生き抜く力としてください。
小林 弘幸 : 順天堂大学医学部教授