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「独身男性のゴミ部屋には縛り系のエロ本が多い」数千冊をため込む切ない理由

2021-07-23 15:30:00 | 日記

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です

人生でこんなにエロ本を見たのは初めてだった
普段、私は「エロ本」を目にする機会はない。ところが、独身男性が住むゴミ部屋を片付けていると、必ずといっていいほど目にする。10冊程度であればまだ理解できるが、数えきれないほど出てくる家が少なくない。今月片付けた50代男性の住むゴミ屋敷では、ざっと1万冊以上のさまざまな本があり、その5分の1、つまり2000冊程度が成人向け雑誌、いわゆる「エロ本」だった。たぶん人生でこんなにエロ本を見たのは初めてだ。

運び出しの様子。50代男性の住むゴミ屋敷では、1万冊以上の本があり、そのうち2000冊程度がエロ本だった。
「こんな家に住んでいると、人は死にます」はこちら
石見「たしかに男性のゴミ部屋には多くのエロ本が存在しますね。ゴミ部屋という閉ざされた空間で、イメージだけが膨れ上がり、多く購入しているのかもしれません。恋愛の機会がないのですから、そのような視覚に訴えるものに頼らざるを得ないんでしょう」
その50代男性宅にあるエロ本のほとんどは、“しばられた女性”が表紙を飾っていた。彼はおだやかな雰囲気で、部屋の整理について尋ねる私の質問にも、ていねいに答えてくれた。女性をしばるような乱暴さは感じられない。
他人には見られたくない“宝の山”をどうするか
石見「しばる系のエロ本が多いのも、ゴミ部屋の住人にはよくあるケースです。ゴミ部屋の整理で、亡くなった方ではなく生きている男性が依頼者である場合、ナヨナヨしているといいますか、性格的には“気の弱い人”が多い印象です」
石見良教さんの現場での様子
気が弱くても、あれだけ大量の本を購入する「所有欲」はすさまじい。
現代ではネット配信が主流で、今後大量のエロ本が出てくるゴミ屋敷は少なくなるだろう。ただ、エロ本に限らず、他人には見られたくない“宝の山”を持つ人は多い。私も今、自分が突然死したらと考えると、誰の目にも触れてほしくないものがいくつかある。周囲が認識する私のイメージと一致しないからだ。けれど自分にとっては大切な物だから、それを今すぐ処分することはできない。
「幼い頃に描いた思い出の絵」は処分できない
ある孤独死現場で、亡くなった家主の男性が書いたと思われる「好きだった女性への恨み文」を見つけた。作業を見守る男性の母親にとても見せられなかった。息子が他人を恨み、孤独の中で死んだであろうこの文書を見せることは、気丈に明るく振る舞う高齢の母親に、苦しみしか与えない。
撮影=笹井恵里子
50代男性宅のキッチン。複数の包丁があった。
私がそう振り返ると、石見さんが「反対に家族に知らせてあげたほうがいいケース」を紹介してくれた。
石見「若くして離婚し、その後一人暮らしをしていた男性が孤独死したんです。離れて暮らす元妻と子供からの整理依頼で、過去の嫌な思いしかなかったのでしょう。『あの人は死んでよかった』『物はすべて処分してください』と言う。けれどもわれわれが整理をすると、幼い頃の子供が描いた思い出の絵が大切に保存してある。
そういう時、私は手紙を書くんです。『あなたはすべてを処分してくださいと言いましたが、私にはできませんでした。それは最後まであなたのことをお父さんは思っていたと感じたからです』と記して、その物と一緒に送る。すると大抵の人は、気持ちが変わります」
それを聞いて、“遺品整理人”の仕事が少しわかった気がした。
故人や依頼人の心をつかまなければ「整理」にならない
そもそも遺品整理とは、亡くなった人(故人)の持ち物の整理を行うこと。最近は依頼のうちゴミ部屋化した家、それも孤独死現場が多いから、「整理=ゴミ部屋、あるいは孤独死現場の清掃」という構図だが、本来の仕事は“掃除”ではない。
石見「物の整理は簡単にできるんですよ。でも、最終的に整理してあげたいのは、残された家族の“心の整理”なんです。だから現場で故人の思いを読み取るようにしています。窓からの風景を見て、目の前に桜が咲いていればこの角度に座って見ていたんだろうな、ここで酒でも飲んでいたんだろうなとか、イメージを展開させていく。想像力を働かせ、故人や依頼人の心をつかまなければ本当の整理をしたことにならない」
50代男性宅のキッチン
石見「ゴミ山になるのも孤独死してしまうのも、どこかに原因があるはずです。だから現場に入ると、なぜこの人は孤独死してしまったんだろう、逃れる術はなかったんだろうかといつも考えますね。
殺人現場も印象に残ります。母親が育児に疲れて子供を殺めた事件や、子供が両親を殺害した現場の特殊清掃(遺体でダメージを受けた室内の原状回復をする作業)を行ったことがあるんです。殺人はナイフのケースが多いので、あたり一面に血がばーっと飛び散る。その拭き取りをしていると、むなしさを感じます。『なぜ』『どうして』という言葉で頭の中がいっぱいに……」
一戸建てのゴミ部屋で、居住者は孤独死していた
一つひとつの現場、特に精神的に負担がかかる現場ほど、作業完了とともに忘れるようにしていると、石見さんは言う。
石見「われわれの作業は職人作業と同じで、一つの現場には作品の意味合いもあります。自分の中で仕事が完結していれば終わりにできる。しかし悪い現場ほど記憶に残ってしまう」
50代男性宅のキッチン。ゴミに埋まって使えなくなっていた。
石見「ある一戸建てのゴミ部屋整理で、後悔したことがあります。家主が生存していて、本人の依頼で始まった作業だったのですが、1階部分の整理が完了したところで2階はしなくてもいい、と言われました。2階には大量のゴミが残っていましたが、本人がOKを出してくれなければ作業を進められないのでやむなく手を引きました。
しばらくして、近くの民生委員さんが見守り活動の一環で声をかけると、その家から返事がない。なんとその人は、室内で孤独死していたんです。民生委員さんは責任を感じて仕事を辞めてしまいますし、われわれももっといろんな職種の人たちを巻き込んで、本人を説得し、ゴミ部屋を片付ければよかったと反省しました」
生前整理であれば、生活を再建できる可能性がある
昨年末、私が関わった現場でも、生活再建への道のりがついていない状態で、ゴミ部屋整理の作業を終えることがあり、とてもつらかった。いくら本人が「これでいい」と言っても、これでは人間としての生活が保証されないのではないか、と思った。
孤独死現場では「遺品整理」しかできないが、生前整理であればゴミ部屋に住む人の生活を再建できる可能性がある。だから生前整理の依頼があること、その仕事に関われることには、希望を感じる。
石見「そう。『生前整理』は将来の自分のために整理を行うことですし、それから高齢者が住みやすいように環境を整える『福祉住環境整理』も、まさに生き続けるための片付けといえるでしょう。ですから生前整理や福祉住環境整理を行う際に、『このままでは孤独死します』というようなゴミ部屋を見たら、『このままではまずいから物を捨てよう』と本気で説得します。うちの作業員でも遠慮がちに言うことがありますが、それではダメです。ゴミ部屋化してしまう人は孤独に生きているから、話しかけられると案外うれしいものなんですよ」
「これはあなたが亡くなったら、ただのゴミだよ」
遺品整理であれば、その人の生活に思いをはせ、処分するものと誰かのために残すものを分ける。しかし生前整理の場合、誰のために残せばいいのか。ゴミ部屋には、例えば「レシートの束」や「賞味期限切れの食品」など、物としての価値はないが、当人にとってはこだわりのあるものが数多ある。
整理のために入室しようとする石見良教さん(撮影=笹井恵里子)
石見「私ははっきりと断言しますよ。『これはあなたが亡くなったら、ただのゴミだよ』と。いくら大切に保管してもなんの意味もない、今処分したほうがいいと話します。それでも『処分したくない』と言う人も多いですね。その時は、『じゃあ死ぬまで抱えといていいけど、あなたが亡くなった後に俺がここに来たら処分するからね』と言います。するとハハハと笑って、『いいわよー』と返されるのがオチですが。
でも、これだけは言えます。生前、介護、死後でいうと、死後の整理が一番大変。ですから元気なうちに、身の回りの物の整理を少しでも進めてほしい。エロ本のような“見られたくないもの”があって、自分の死後に見られて恥ずかしいと思うなら、やはり健常なうちに自分の手で始末するしかない。50歳を超えたら考えたほうがいいでしょう」
石見さんのもとには、これまで「自分が亡くなったら遺品整理をしてほしい」という依頼がおよそ70件あったという。中でも依頼して1カ月後に死亡してしまった60歳女性の事例が、興味深い。


 「妻の出世で家庭崩壊」40代仮面イクメンの告白

2021-07-23 13:30:00 | 日記

下記は東洋経済オンラインからの借用(コピー)です

改正育休法が成立するなど、男性の育児参加への環境が整備されつつある今。しかし、共働き家庭の多くは、見えない問題を抱えている。本稿では、理想の家族像を追い求めた1人の男性のインタビューを紹介。熱心な「イクメン」だった彼の家庭は、なぜ崩壊したか。外からは見えづらい「モラハラ」の実態とはどうなっているのか?
20 年あまりに及び男性の生きづらさを取材してきた著者が、男性社会の変化に迫った書籍『捨てられる男たち』より、「モラハラ」のパートを抜粋、再構成してお届けする。
妻からのDVは「僕がモラハラ夫だったから」
2020年の年末、4年ぶりの取材にオンラインで応じてくれた田中徹さん(仮名、47歳)は青ざめてうなだれ、込み上げる感情を必死にこらえながら、たどたどしい口調で語り始めた。
「じ、実は……DV(ドメスティック・バイオレンス)、なん、です……」
「奥さんに手を上げた、ということですか?」
「いえ……そ、そのー、逆で……。妻から……暴力を、受けてしまいまして……」
この間に何があったのか。尋ねた質問に対し、そう答えているときも、うつむいたまま、いっさい視線を合わせることなく、おびえたような表情を見せているのがパソコン画面からもはっきりとわかった。
コロナ禍でのDV増加が指摘されるかなり前から、妻から夫へのDV事例を、もはや“逆DV”という言葉は通用しないほど数多く取材していた。DV被害者の男性は、加害者にも増して、惨めさや情けなさを内に秘めているケースが多い。慎重に言葉を選ばなくてはと言い聞かせ、質問する。
「どうして、そのようなことになってしまったと思われますか?」
顔面のこわばりが弱まったのを見計らって、尋ねてみた。
「僕がモラハラ夫だった、からです……」
まったく予期せぬ答えだった。動揺を隠し切れた自信はない。
「えっ、モラハラ……つまり、モラルハラスメントということですか?」
「そのとおり、です」
そう言うと、田中さんは突如として顔を上げ、説明を始めた。田中さんはどのようにして、“モラハラ夫”と化してしまったのか。20年近くに及ぶ定点取材から彼の人生の一端をたどることで、その背景や妻との複雑怪奇な心理戦、対人的相互作用について解明してみたい。
田中さんとの出会いは、2002年にさかのぼる。当時、男性の育休取得率は0.33%と1%にも満たず、「イクメン」という言葉・概念が登場する5年以上前。自治体の男女共同参画センターが主催した、当時としては先駆的な取り組みである「父親講座」を取材した時のことだった。
翌年、田中さんは30歳で男児の父親になった。田中さんが参加するパパサークルの活動も波に乗っているようにみえたのだが、2006年のインタビューで田中さんは眉をひそめ、本音を打ち明けてくれた。
「みんな、わが子の子育ての楽しさや充実感を語る一方で、悩みや愚痴などネガティブな部分は努めて話さないようにしているようで……。もともと僕自身、父親としての不安や戸惑いなどを一緒に乗り越えていきたいと思っていたんですが……やっぱり、男同士というのはなかなか難しいものですね」
妻に認めてもらうための”仮面イクメン”
それからというもの、田中さんの父親としての苦悩は増す一方だった。主任に昇格して仕事量が増えたため、帰宅時刻は以前よりも遅くなっているという。次第に父親としての悩みの要因は、単に保育所に通う長男とともに過ごす時間が十分に取れないことだけではないように思えてきた。
複雑な心情を語ってくれたのは2009年のこと。当時36歳の田中さんは、視線を取材場所のコーヒーショップのテーブル上に落としたまま、淡々とした表情でこう打ち明けた。
「僕は、イクメンのふりをしているだけなんです」──。
田中さんはそう言ったきり、言葉を続ける気配はない。どうインタビューを展開していけばいいのか、考えを巡らせていたそのとき、彼が静かに語り始めた。
「父親として息子の成長を見守り、子育てを楽しみたいという思いとともに、家事・育児を分担して仕事を頑張っている妻を応援したいとも考えてきました。ただ……妻が、仕事で能力を、発揮して、頑張れば頑張るほど……そのー、何というか……」
沈黙が再び訪れる。育児そのものよりも、自身の仕事も含めた、妻との関係が影響しているのではないかと直感した。
「奥さんの仕事での活躍と、ご自身を比較されて、ということなのでしょうか?」
「そうですね。僕はたくさんの仕事をこなして会社に貢献しても、上司からは何の評価もされない。同期の中には実績を上げ、課長に昇進した奴もいるんです。妻は……以前のように僕に仕事の愚痴をこぼして、アドバイスを求めるようなこともなくなった。もう僕を頼る必要がなくなったんですね」
「でも、それがどうして、イクメンのふりをすることになってしまったのですか?」
「僕の男としての価値、父親としての存在を妻に認めてほしかった。妻は僕が仕事でパッとしないのはわかっていますから……せめて、イクメンを演じるというか、育児を楽しむ父親の仮面をかぶることで……」
だが、田中さんは実際に育児に積極的に関わり、妻の負担を軽減し、仕事に打ち込みやすい環境をつくってきたはずだ。なぜ、“仮面イクメン”を続けなければならないのか。
「妻のほうが子どもと接する時間は長いし、息子も懐いています。でも、それは僕のせいじゃない。会社が女性の仕事と育児の両立には理解があっても、男性が子育てのために仕事を早く切り上げたりすることにはまだまだ厳しいからなんです。でも、妻はそんなことはわかっちゃいない。僕には子育てへの関与を感謝するどころか、『もっと(子育てに)協力して』が口癖です。だから、そのー……今、はやりのイクメンを頑張っている、少なくとも努力している、と妻には受け止めてもらいたかったんです」
ここまで言い終えると、口をつけていなかったコップの水を一気に飲み干した。
夫婦の溝がなおいっそう深まり、やがて危機的な状況を迎えることになろうとは、そのとき、田中さん自身も思っていなかったのではないだろうか。
妻の出世で敗北感を感じた
女性活躍推進法が成立、一部施行された2015年、田中さんの妻は40歳で課長に昇進した。同期入社の男性から2、3年遅れはしたものの、子育てと両立させながら管理職ポストに就くことを諦めずに地道に努力を重ね、実績を上げてきたことが評価されての昇進だった。
「妻に負けた、という敗北感が、妻の課長昇進によって僕の中で決定的になったんです。妻のほうが僕よりも仕事の能力があるということには、10年以上前から気づいていたんですが、実際に出世を見せつけられてしまうと……。僕だって育児に関わらずに仕事に専念していたら、今よりはもっと仕事で評価されたんじゃないかと思うと悔しいですし、実際に出世街道を歩んでいたら子供の世話をする余裕なんてなかったわけですから。それに──、あっ、いや……」
田中さんは何か重要なことを打ち明けようとして、言葉をのみ込んだように見えた。苦渋の表情を浮かべたまま、どこを見るともなく見て視線が定まらない。
「妻のせいで、家庭が心休まる場ではなくなってしまった。とくに(妻が)課長になってからはそうなんです。妻とは必要最低限のことしか話さないし、体の触れ合いなんてとっくの昔に終えています。中学に入学したばかりの息子とは結託しているようで、僕の悪口でもたたき込んでいるのか、息子は僕が話しかけても返事さえしないような状態で……。彼女にとって家庭は、息子の学校生活と進路のことだけ考えていれば、あとはいかに家事も含めて効率的に処理するかという、職場のようになっているんです」
夫婦の溝を埋める手立てはないのか、という問いに、こう語気を強めて即答する田中さんの表情からはむなしさのようなものが感じられた。
「ないですね。残念ながら、今はまったく考えられないです」
在宅勤務でたまった怒りが夫へのDVに
妻からのDVと、妻へのモラハラを打ち明けてくれた、本章冒頭の2020年末のインタビュー場面はこの2016年の取材の後、音信不通の期間を挟んで、続く。夫婦の間に深刻な出来事があり、実はイクメンでもよき夫でもないのだと告白し終えた田中さんは、ほんのつかの間、妻に精神的な苦痛を与えた重荷から解放されたかのようにため息まじりに深く息を吐いた。
妻からのDVは、2020年春、コロナ禍で最初の緊急事態宣言が出され、ほとんどの社員が在宅勤務となっていた時期に起こった。妻はこの前年の2019年に部次長に昇進、田中さんは2018年に課長になったばかりだった。突然、リビングの棚に立て掛けてあった家族写真や、テーブルの上の飲みかけの缶ビールなどを投げつけたり、冷蔵庫の中から持ち出した飲料水の入ったままのペットボトルで田中さんの腕や背中を殴ったりしたという。
投げられた物が後頭部にぶつかって出血し、5針縫うけがを負ったことまである。妻は、いったんは事の重大さに気づいて病院に付き添ったりしてくれるのだが、しばらくしてまた暴力を振るう、という繰り返しが1カ月近く続いたらしい。妻は自身の判断で仕事を続けながら精神科のクリニックを受診、半年以上過ぎた今も月に2回通い、精神安定剤などの投薬治療を受けているという。
「夫婦が顔を合わせる時間が格段に増え、妻はたまった私への怒りを暴力で訴えるしかなかったのではないか」と田中さんは考えている。
妻によるDVのきっかけが、自分が“モラハラ夫”だったためというが、モラハラは無自覚のうちに行為に至るケースが多い。どの時点で妻への行為がモラハラであったと認識したのか。
「妻からDVの理由が僕のモラハラであったと、はっきりと指摘されたわけではありません。ただ……DVが治まってから妻に、僕の『冷たい態度や言葉がとてもつらかった』と言われて初めて自覚したというか……。正直、いつからだったかは覚えていないのですが、妻が課長になった頃だとすると、もう5年になりますからね。妻から受けたDVの期間の数十倍もの長い時間、彼女は僕のモラハラに苦しんでいたんです」
つらい出来事を思い出させるようで心苦しかったが、聞いておかねばならない。
「具体的にどのような言葉や態度だったか、覚えている範囲で教えてもらえますか?」
「前にお伝えしていたとおり、妻とはほとんど面と向かって話はしていなかったんですが、つぶやいたり、妻の後ろから小さい声で言葉を吐き捨てたり、それから時々にらみつけていたんじゃないでしょうか。今メモを見ながら、背筋がゾクッとしました」
〈夫婦じゃなくて、男2人みたいだな〉
〈役員からも気に入られて、同期の男たちはお手上げだろうな〉──。
生気のない顔で、田中さんはメモしてきた言葉を平坦な口調で読み上げた。
モラハラを自覚した衝撃
2020年末の取材以来、田中さんの妻には話を聞きたい旨、彼を通してお願いしてきたのだが、21年春、電話での取材を了承してもらった。ご本人の承諾を得て、内容の一部を紹介する。
「私たち夫婦はともに仕事も家庭も頑張ってきたんですが、どこかでボタンを掛け違えてしまったように思います。それは、女性の管理職登用や男性の育児参加を促す社会の動きも影響していたのかもしれませんね。(略)息子ももう高校3年生になりましたし、これからは夫婦2人の時間も大切にできればと思っています」
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感情の表出を抑えた澄んだ声が最後のほうでかすかに震え、余韻がしばらく耳に残った。
時代とともに変容する夫婦の関係性・ありようは、モラハラをいっそう複雑化させ、深刻度を増している。アメリカの社会学者、アーリー・ホックシールドは、フルタイムで働く女性が増えて共働き家庭が浸透する過程において、家庭と職場の逆転現象が起きていると指摘する。すなわち、夫婦ともに疲れ果て、家庭では仕事を処理するかのように効率的に時間を使い、職場は家庭の面倒なことから逃避する安息の場となっているというわけだ。
田中家の一件は、理想の夫と父親、そしてよき妻と子どもを追い求めすぎたために、行き着いた惨劇ともいえるだろう。男は一家の大黒柱として妻子を養い、家族の精神的支柱であるといった伝統的な「男らしさ」規範から逸脱した“落伍者”としての自分を認めたくない。それゆえにおう悩し、隘路(あいろ)にはまってゆくのである。
奥田 祥子 : 近畿大学教授、ジャーナリスト


小室圭さんが潰した「女性天皇」「女性宮家」 上皇、美智子さまは泣く泣く断念

2021-07-23 11:00:00 | 日記

下記はデイリー新潮オンラインからの借用(コピー)です

 皇位継承策を巡る白熱した議論の末、ついに「有識者会議」のヒアリングが終了した。だが、女性・女系天皇は封印され、女性宮家創設についても手詰まり感が禁じえない。その背景には、皇統を揺るがせた古(いにしえ)の怪僧・道鏡(どうきょう)に擬せられる、小室圭さんの存在があった。
 ***
 日本が世界に誇る皇室の将来を占う会議でも、眞子さまの“婚約内定者”は暗い影を落としている。
 さる6月7日、政府の「有識者会議」は計21人の識者に対するヒアリングを終えた。上皇さまの生前退位を実現させた皇室典範特例法が成立したのは2017年6月のこと。今回の有識者会議は、特例法の附帯決議にある通り〈安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について〉速やかに検討を行うために設置された。政府は今回のヒアリング内容を精査し、次期衆院選後に国会へ報告する見通しだ。
 中世日本史が専門で、『天皇はなぜ生き残ったか』などの著書がある東京大学史料編纂所の本郷和人教授は次のように語る。
眞子さま(他の写真を見る)
「皇位継承について考える際には、タテとヨコのどちらに重きを置くかで答えは大きく変わってきます。歴史的事実に基づくタテの視点に立てば、天皇は成人男子が望ましいと考えられてきたのは間違いありません。一方、ヨコの視点、つまりは同時代的な潮流からすると、男女平等という考え方のもとで女性・女系天皇や女系継承もあって然るべきではないかとなるわけです。これは歴史家が是非を論ずるべきものではなく、それぞれの時代に生きる国民がどう考えるかという類の問題だと思います」
 7日に行われた5回目のヒアリングには、「若い世代や一般の感覚の声を聞きたい」との意向から、芥川賞作家の綿矢りささん、気象予報士の半井小絵(なからいさえ)さん、漫画家の里中満智子さんといった皇室や歴史の専門家以外の顔ぶれが集まった。まさに“ヨコ”の意見を尊重した人選と言えるだろう。
 全国紙デスクによれば、
「意外だったのは、女性・女系天皇の是非や女性宮家の創設という論点について、3名の女性メンバーの意見が予想以上に消極的だったことです」
 主だった見解を並べるだけでもそうした傾向は窺える。綿矢さんは〈女性天皇の誕生を歓迎する風潮もあるかと思う〉としつつ、女系天皇に関しては〈伝統を重んじる観点から、慎重に取り扱う必要があると考えられる〉。また、半井さんは〈(皇位継承資格の)女系への拡大は日本を混乱させる原因となり許容できない〉〈皇位継承資格を持つ内親王・女王が結婚された場合は、従来通り皇籍を離脱すべきである〉と断じている。
「私は過去に開かれたすべての有識者会議でヒアリングに参加していますが、小泉政権下や野田政権下と違い、今回は“アウェー感”を全く覚えませんでした」
 そう振り返るのは、麗澤大学教授の八木秀次氏だ。
「私が訴えてきた男系男子による継承を頭ごなしに否定する方はおらず、旧宮家の皇籍復帰についても議論の俎上に載せられていました。それどころか、専門外のメンバーからも男系継承に肯定的な声が上がっていた。世論は確実に変化していると感じました。やはり、小室圭さんの存在が世論に与えた衝撃は計り知れないものがあったのでしょう」
“コムロ前”と“コムロ後”で、国民世論は劇的に変化していたのである。
「眞子さまと小室さんのご結婚を巡るトラブルが顕在化したことで、期せずして女系継承の問題点が浮き彫りになりました。一般の方々も小室さんのような方が皇室に関わることは望ましくないと感じているはずです。この問題が長期化すれば皇室への敬愛が大いに損なわれかねない、と。小室さんの登場で国民が女系継承に具体的なイメージを抱けるようになり、それが皇位継承に関する議論にも少なからず影響を与えているのだと思います」(同)
 八木氏には、ある歴史上の人物と小室さんが重なって見えるという。その人物とは、皇統を揺るがす大事件を起こした怪僧だった。
即位を目論んだ怪憎
初孫の行く末を憂慮されるご夫妻(他の写真を見る)
 実は、先のヒアリングで、里中満智子さんは次のような見解を示した。
〈女性皇族が結婚なさってその夫も皇族となれば、権威を得る手段として女性皇族を利用する男性が出現しないとは限らない――という、いささか古めいた心配だが、長い歴史の中ではそのような不安は現実となりそうな事例もあった〉
 この見解は女性宮家創設に関する懸念を指摘したに過ぎない。だが、歴史をひもとけば、こうした“事例”は確かに存在するのだ。
「その最たる例として想起されるのが“道鏡事件”です」(八木氏)
 事の発端は奈良時代にまで遡る。事件の渦中にいたのは、聖武天皇の娘・孝謙天皇(重祚(ちょうそ)して称徳天皇)と、その寵愛を受けた僧の弓削(ゆげの)道鏡である。
 聖武天皇といえば、その治世で災害や天然痘などの疫病が頻発し、東大寺の大仏を建立する詔(みことのり)を出したことで知られる。聖武天皇が光明皇后との間に儲けた皇男子は夭逝し、その結果、娘の孝謙天皇が即位することになる。
 皇室の歴史を振り返ると、女性天皇は10代8方を数えるが、ほとんどは男系の男性天皇に皇位継承されるまでの中継ぎ的な役割を果たした。実際、女性の皇太子も、皇太子を経て即位した女性天皇も、孝謙天皇をおいて他に例がない。
 そんな孝謙天皇が病に臥した折、禅師として看病に当たったのが道鏡だった。
 先の本郷氏が解説する。
「孝謙天皇は道鏡を重用するようになり、太政(だじょう)大臣禅師、さらに法王へと引き上げました。加えて、全国の八幡宮の総本社である宇佐八幡宮から“道鏡を天皇にすれば天下は泰平になる”との神託がもたらされ、道鏡が皇位に就きそうになった。ただ、和気清麻呂(わけのきよまろ)が勅使となって宇佐八幡宮に派遣され、〈わが国は開闢(かいびゃく)このかた、君臣のこと定まれり。臣をもて君とする、いまだこれあらず〉という神託を持ち帰り、先の神託を否定したことで道鏡の即位は阻止されたのです。あくまで私見ですが、“道鏡事件”は皇位継承に当たって大きなトラウマになったのではないでしょうか。女性天皇が即位して同様の事態に陥ることを当時の人々が危惧した可能性は否定できません。事実、道鏡事件以降は、江戸時代に明正天皇が即位するまで、実に約850年間にわたって女性天皇は現れませんでした」
 閨房で道鏡を溺愛し、他の臣下の言葉に耳を貸さなくなってしまったという孝謙天皇。思惑をもって女性天皇に近づいた道鏡の野望を打ち砕き、皇統を護った忠臣である和気清麻呂は功績を讃えられ、その銅像は、皇居平川門近くの大手壕端に建立されている。
 令和の皇室に前代未聞の混乱をもたらす小室さんの姿は、畏(おそ)れ多くも即位を目論んだ奈良時代の怪僧を呼び起こした。両者を重ね合わせる声が上がったとしても無理はあるまい。
 仮に、眞子さまが女性宮家の当主となられ、小室さんと結婚されれば「圭殿下」が誕生することになる。場合によっては、おふたりの間に生まれたお子さまが皇位継承権を有し、小室さんが天皇の父親になる可能性も否定できない。だが、奇しくも小室さんに起因するトラブルによって、女性・女系天皇ばかりか、女性宮家創設の機運も潰(つい)えつつある。
国論を二分しかねない
 先のデスクが続ける。
「有識者会議のヒアリングに参加したメンバーからも、“小室さんの問題が片付かない限り、皇室制度について冷静な議論は望めない。小室さんの存在が頭を過る状況では国民的な理解を得ることも難しい”という声が聞こえてきます。すでに有識者会議は、現在の男系男子に限定した皇位継承順位を維持することを確認し、女性・女系への継承資格拡大は見送る方針を固めている。また、菅総理は皇室の在り方への思い入れが乏しく、官邸内には“悠仁さままでは決まっているのだから、先々のことは次世代の人が考えればいい”というムードが広がっています」
 一方、今後も議論が続く女性宮家創設案は、上皇さまの強いご意思で進められてきた。昭和天皇の皇統に連なる愛子さま、眞子さま、佳子さまというお三方の内親王までに限定する方向で、皇室内のコンセンサスも得られていたという。しかし、宮内庁関係者によると、
「ここに来て他ならぬ上皇さまに変化が窺えるようになりました。というのも、女性宮家とセットで旧宮家の男性の皇籍復帰が論じられることが増え、そうしたお考えを持ち合わせておられない上皇さまは議論の趨勢を懸念されているのです。他方、美智子さまは、初孫である眞子さまには皇室に残ってご公務に邁進してほしいと願っておられました。しかし、小室さんの一件で世論が沸騰。眞子さまが“第一号”になるはずだった女性宮家創設についても、このまま議論を進めれば国論を二分する事態になりかねないと、上皇ご夫妻は憂慮されるようになったのです」
 つい先日、現在の上皇さまのお気持ちを象徴するような出来事があった。美智子さまと共に新型コロナウイルスのワクチン接種を受けられたものの、当初は接種日の公表に消極的でいらしたという。
「インフルエンザのワクチン接種は公表しているのに何故なのか、と記者会と西村泰彦長官との間で押し引きがありました。まだワクチン接種を受けていない国民がいるなかで、皇族が優先されるイメージが広まるのを懸念されたのでしょう。また、一部には強硬な反ワクチン論者もいます。上皇さまはこれ以上、賛否が割れるような争点を作りたくないとお考えになり、あえて接種日を伏せられたようなのです」(同)
 上皇・上皇后ご夫妻がワクチンを接種されたからといって、それを咎める声が巻き起こるとは考えづらい。
 問題は、上皇さまが皇室に厳しい世論の動向について、これほどまでに過敏になられ、心を砕かれている点にある。背景に“小室さん問題”があるのは言うまでもあるまい。古の怪僧に擬せられる「海の王子」。令和の皇室を舞台にした“第二の道鏡事件”はいまだ収束を見せない。


 コロナ禍こそ注意!フレイルの要因になるロコモって?

2021-07-23 08:30:00 | 日記

下記の記事はハルメクWebからの借用(コピー)です

健康で長生きするために知っておきたい用語である「フレイル」。コロナ禍で外出を控える生活が続き、運動不足の人が増えている今は「ロコモ」にも注意が必要です。ロコモティブシンドロームとは?という方のために、用語の解説と予防法をご紹介します。
ロコモとは?用語の解説と予防法
目次
    1. ロコモ(ロコモティブシンドローム)とは?
    2. 運動不足の人はすぐ確認!セルフチェック方法を紹介
    3. 家の中でもできる!フレイルとロコモの予防法は?ロコモ(ロコモティブシンドローム)とは?
「フレイル」と「ロコモ」は、高齢者の健康に関する話題で近年、良く出てくるようになった用語です。さらにフレイル・ロコモと同じような用語に「サルコペニア」もあります。
どれもあまり聞き馴染みがない用語ですよね。これらはそれぞれどういう意味で、どう違うのでしょうか。まずはその意味から見ていきましょう。
「フレイル」とは加齢による衰えのこと
フレイルとは「加齢により心身が老い衰えた状態」を指し、英語で「虚弱」を意味する「フレイルティ(Frailty)」に由来しています。ひと言で言えば、要介護状態の前段階と位置付けられています。
フレイルの特徴は身体機能の低下だけでなく、精神的、心理的な衰えも含むこと。気分が落ち込みやすくなったり、やる気が出ないこともフレイルの症状の一つです。
心身ともに機能が低下することで疲れやすくなったり認知機能が低下したりと、さまざまな社会生活上の不具合や健康障害を招き、要介護への危険度が高くなると言われているのです。 
「ロコモ」とは運動機能低下の状態のこと
ロコモとは「ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)」の略で、「運動器症候群」とも言われます。ロコモは、「運動器の障害により移動機能が低下した状態」と定義されています。
運動器とは骨や筋肉、関節や神経などが連携して体を支え動かす部位のこと。移動機能とは立つ、歩くといった動作のことです。つまり筋肉の衰えや関節の病気などにより、立ったり歩いたりしづらくなった状態のことを指します。
高齢者に多い変形性関節症や骨折・骨粗鬆症など、運動器の疾患がある場合は特に注意が必要です。また、バランス能力の低下によって転倒しやすくなり、骨折して介護が必要となる危険性が高い状態もロコモです。 
「サルコペニア」は筋力低下を指す
サルコペニアとは「筋肉量が減少し、筋力や身体機能の低下をきたした状態」を指す用語です。ギリシャ語で筋肉を意味する「サルコ(sarco)」と、喪失を意味する「ペニア(penia)」が由来です。
サルコペニアは、筋力が落ちて日常生活に影響が出ている状態のこと。例えば「握力が落ち、ペットボトルのフタが開けられなくなった」「手すりがないと階段を上れない」などが症状として挙げられます。
フレイルの要因の一つがロコモ!
3つの言葉の意味は似ているようで少しずつ違います。フレイルの範囲は広く、心身とも衰えた状態全般を表します。ロコモはフレイルの中でも特に運動器の機能低下を表し、精神状態は含みません。そして、ロコモの中でも特に筋肉量が衰退した状態が、サルコペニアです。
つまり要介護状態になる要因がフレイル、フレイルの要因の一つがロコモ、ロコモの要因の一つがサルコペニア、というように関連しています。フレイルの大きな輪の中にロコモがあり、ロコモの輪の中にサルコペニアがある、と理解しましょう。 運動不足の人はすぐ確認!セルフチェック方法を紹介
「最近、なんだか疲れやすい……」そんな自覚がある人は多いのではないでしょうか。自分がフレイルやロコモになっていないか、簡単にチェックする方法を試してみましょう。
フレイル・ロコモ・サルコペニアの診断基準は?
まずは、それぞれの診断基準を紹介します。
【フレイル】
フレイルは、以下の5つのうち3つ以上該当する場合に診断されます。2つ該当する場合は予備軍の「プレフレイル」であるとされます。
ダイエットしていないのに、体重が6か月で2~4kg以上減少する
ここ2週間、理由もなく疲れたような感じがする
歩くスピードが落ちた(1m/秒未満)
握力が落ちた(利き手で男性26kg未満、女性18kg未満)
定期的な運動や体操をしなくなった
【ロコモ】
ロコモは、3つの「ロコモ度テスト」によって判定されます。それぞれ難易度や数値によりレベルがあり、ロコモ度を判定します。(参照:ロコモ度テスト | e-ヘルスネット(厚生労働省):澤田 亨)
立ち上がりテスト
異なる高さの台に座り、片足または両足で立ち上がれるかを測る。
2ステップテスト
大股で2歩、歩いたときの距離を身長で割ったときの数値で測る。
ロコモ25
日常生活や身体機能に関する25個の質問に答える。
【サルコペニア】
サルコペニアは以下の3つを測定し、総合的に判断されます。主に筋肉量の減少とともに、筋力や身体機能の低下が見られた場合がサルコペニアとされます。
筋肉量
筋力(握力)
身体機能(歩行速度など)
女性は特に「ロコモ」に注意!
こういった診断は主に65歳以上の高齢者が対象となりますが、油断は禁物。加齢による筋肉量の減少や身体機能の衰えは、なんと30代から始まっています。特に50代からは衰えが顕著になるため、「まだ大丈夫!と思っていたら、いつの間にか……」ということも。
特にデスクワークなど日頃座っていることが多く、体を動かさない人は要注意。コロナ禍で中々思うように運動できない今、身体機能を落とさないことが大切です。
また、要介護状態となった女性の3割近くの要因が、運動器疾患によるものです。女性は50代を過ぎた頃から骨密度が急激に減少することが多く、転倒により骨折し要介護状態になってしまうケースが多くあります。そのため、ここからは主にロコモにならないためにどうすれば良いかをご紹介します。 
まずはセルフチェック
日常生活の動きの中でロコモかどうかセルフチェックする方法もあるようです。例えば「片足立ちで靴下がはけない」などといったもの。こうした症状がある方は、運動器が衰えているサインですので、改善に努めましょう。
特に膝や腰などの関節に痛みがあったり、立ち上がったときにふらつくなどの症状がある場合は、整形外科を受診してください。 家の中でもできる!フレイルとロコモの予防法は?
それでは、ロコモにならないためにはどんなことに気を付ければ良いのでしょうか。コロナ禍の今、外で運動しづらい状況でも、家の中で行える予防法をご紹介します。
運動機能をアップしよう
スクワットなどの運動を行うとロコモを防ぐトレーニングになります。スクワットは体の中で一番大きい筋肉である太ももを動かします。下半身の筋肉量は全身の70%を占めており、スクワットをすることで、効率よく全身の筋肉量を上げることに繋がるのです。
また、スクワットは腹筋や背筋の力も必要な運動です。腹筋・背筋は体を支える筋肉。スクワットをすることで姿勢よくバランスの取れた体になります。慣れていない人は、椅子や壁などを支えにしながら無理をせず行いましょう。
食事でしっかり栄養を取ろう
体は毎日の食事をもとに作られています。主食・主菜・副菜のバランスの良い食事を、毎日3食きちんと取るよう心掛けましょう。特に取るべき栄養素は、たんぱく質。筋肉のもとになるので、肉・魚・卵・大豆製品などを積極的に食べましょう。
たんぱく質とあわせて、エネルギー源となる炭水化物や脂質も一緒に取ることが大切です。エネルギー不足になると、体は筋肉の中のたんぱく質を使ってエネルギーを生み出そうとするので、結果的に筋肉が減ってしまいます。ごはんやパンといった主食も抜かずに食べましょう。
また、骨を強くするカルシウムも忘れずに。牛乳や小魚を意識して取りましょう。カルシウムを効率良く吸収するためには、ビタミンDやビタミンKも同時に取ることが大事です。ビタミンDはキノコ類、ビタミンKは青菜などに多く含まれています。 
孤立しないことも大事な予防法
ロコモになると動くのが億劫になり、活動量が減ってしまいます。活動量が減ると食欲も出なくなり、十分な栄養を摂取できません。すると、さらに体重や筋肉量が減り(サルコペニア)、ロコモが進行しフレイルの状態になってしまいます。
こういった悪循環を「フレイルサイクル」と呼びます。フレイルサイクルの中で転倒したり慢性疾患の悪化が起こると、要介護状態になる可能性が一気に高くなってしまいます。
フレイルサイクルに陥らないためには、運動や食事の他に、動こうとする積極性も重要です。孤立すると人は精神的に落ち込み、気力を失ってしまいます。家族とおしゃべりしたり、リモートでも友人と連絡を取るようにしましょう。
フレイルにならないためにはロコモ予防が重要です。運動器は自分の意思で動かせ、鍛えられる器官です。ロコモに陥るかどうかは自分の意識次第なのです。コロナ禍でも積極的に動いてロコモ、そしてフレイルを予防しましょう。 
監修者プロフィール:かわかみ整形外科クリニック 院長・医学博士 川上 洋平さん