転勤先はいにしえの名店てやつで 全盛期のころはうちの会社の売り上げ日本一やったこともある店だ。 日本一がいつの間にか 西日本一になって 二番になって 三番になって そうこうしてるうちに なんだかわかんなくなっちゃって。 あげくのはて わしなんかが担当ですか。 あーあーあーあー とほほほほ。 行った途端 前任の残した仕事が てんこもり。 なんだかわけわからんシフトに 合わない経理の後始末、 ついでに決算のやり忘れって何すか、いったい?入店先に挨拶行って 愚痴られて。 頭ぼーっとしてきたさ。おまけに自販機のコンセントだけないとか シュレッダーの中箱ないから動かないとか 掃除機のホースだけないとか 笑かしやがるぜ、どこまでも。
前任はSきぐちの元上司様で Sきぐちに 「おまえなんかもうこの会社に必要ないんじゃ」 言い放った奴。
のんきなSきぐちでさえこの時はさすがにグッタリしていたもんだ。 まあ、今思うとそん時はすでに 会社が十分おかしくなってた時で 後も先も考えず とにかくえらいさん達は人件費減らしてナンボやったし 転職も無事決まった今では 「今の自分があるのはそいつのおかげかも」 とSきぐちも言ってるけど。 そんないきさつも知ってこの店にやってくると いやー なかなか感慨深いってもんでしょ?
元上司様が 悪い奴じゃないのは 知ってるんよ。 そりゃもう若い頃から 美人の愛妻様の顔からご成婚のなれそめまで知ってるしさ。 お子様ちっくなワガママにめまいをおこしても Sきぐちは憎み切れちゃいないし 気持ちがすぐ態度に出てる世渡り下手も言い方かえりゃ正直だ。
でもなー アーティストさんとかならそれも個性だが わしらは一介のサラリーマンだよ。 早いうちにえらいさんの仲間入りをしたからとはいえ あんた下っ端の仕事知らなすぎやって。
会社が潰れたぞってなった時 元上司様は 「俺はすがりついてもここを辞めへん」 言ったそうだ。 実際、元上司様のご友人方が うちの会社に見切りをつけて次々お辞めになったときも 若いうちから えらいさんグループにいたのに 急にわしらとおんなじ下っ端の仕事に降格になっても 「だって他に行くとこないんやもん。」
引き継ぎん時も 「もう少し偉い地位やったら 意外と仕事はあるらしいんやけど 俺なんて中途半端なもんやし」
はあ、なるほど。 わしもね、気持ちはわかりますわ。 シチュエーション同じならきっとおんなじこと言うんやろなあ。
元上司様はなおも続ける。 「誰もちゃんと仕事教えてくれへんし」
なんかなあ、引き継ぎにきたんだか、 人生相談聞きにきたんだか。
まあ、そこそこ大人になると、地位もプライドも出来てくるしさ いまさら仕事の基本なんぞ 聞きづらいわなあ。 下っ端のほうも いちいちえらいさん捕まえて下っ端の仕事教えるより 自分でやったほうが早いし気が楽やもん。
それでも 意地はらんと わからんことは聞いたほうがいいんちゃうのん?
わしら下っ端はいつまでたっても自分の居場所は自分で確保していかなあかんし 何かあった時に とりあえず自分の仕事の始末ぐらいは自分でつけれるだけの技術はほしいやん。 単にわし自身が いつまでたっても中途半端なまんまの 使えないお局になって 自分で自分の居場所失くしてしまうのが怖いってだけなんやけど。
まあ、 仕事はひとりでするもんじゃなし、 今までずうっとそうやってきたように これからも誰かが後始末やっていってくれるかもしんないし、 いまに降格もとけて もとの地位に戻れるかもしんないから わしの心配するこっちゃないんやけどさ。
素直になれないだけで 損することって 意外に多いよね。
前任はSきぐちの元上司様で Sきぐちに 「おまえなんかもうこの会社に必要ないんじゃ」 言い放った奴。
のんきなSきぐちでさえこの時はさすがにグッタリしていたもんだ。 まあ、今思うとそん時はすでに 会社が十分おかしくなってた時で 後も先も考えず とにかくえらいさん達は人件費減らしてナンボやったし 転職も無事決まった今では 「今の自分があるのはそいつのおかげかも」 とSきぐちも言ってるけど。 そんないきさつも知ってこの店にやってくると いやー なかなか感慨深いってもんでしょ?
元上司様が 悪い奴じゃないのは 知ってるんよ。 そりゃもう若い頃から 美人の愛妻様の顔からご成婚のなれそめまで知ってるしさ。 お子様ちっくなワガママにめまいをおこしても Sきぐちは憎み切れちゃいないし 気持ちがすぐ態度に出てる世渡り下手も言い方かえりゃ正直だ。
でもなー アーティストさんとかならそれも個性だが わしらは一介のサラリーマンだよ。 早いうちにえらいさんの仲間入りをしたからとはいえ あんた下っ端の仕事知らなすぎやって。
会社が潰れたぞってなった時 元上司様は 「俺はすがりついてもここを辞めへん」 言ったそうだ。 実際、元上司様のご友人方が うちの会社に見切りをつけて次々お辞めになったときも 若いうちから えらいさんグループにいたのに 急にわしらとおんなじ下っ端の仕事に降格になっても 「だって他に行くとこないんやもん。」
引き継ぎん時も 「もう少し偉い地位やったら 意外と仕事はあるらしいんやけど 俺なんて中途半端なもんやし」
はあ、なるほど。 わしもね、気持ちはわかりますわ。 シチュエーション同じならきっとおんなじこと言うんやろなあ。
元上司様はなおも続ける。 「誰もちゃんと仕事教えてくれへんし」
なんかなあ、引き継ぎにきたんだか、 人生相談聞きにきたんだか。
まあ、そこそこ大人になると、地位もプライドも出来てくるしさ いまさら仕事の基本なんぞ 聞きづらいわなあ。 下っ端のほうも いちいちえらいさん捕まえて下っ端の仕事教えるより 自分でやったほうが早いし気が楽やもん。
それでも 意地はらんと わからんことは聞いたほうがいいんちゃうのん?
わしら下っ端はいつまでたっても自分の居場所は自分で確保していかなあかんし 何かあった時に とりあえず自分の仕事の始末ぐらいは自分でつけれるだけの技術はほしいやん。 単にわし自身が いつまでたっても中途半端なまんまの 使えないお局になって 自分で自分の居場所失くしてしまうのが怖いってだけなんやけど。
まあ、 仕事はひとりでするもんじゃなし、 今までずうっとそうやってきたように これからも誰かが後始末やっていってくれるかもしんないし、 いまに降格もとけて もとの地位に戻れるかもしんないから わしの心配するこっちゃないんやけどさ。
素直になれないだけで 損することって 意外に多いよね。