佐久市 ヤナギダ 趣味の店

長野県佐久市野沢93番地
ヤナギダ☎0267-62-0220

ショート・ショート小説

2019-05-04 18:37:04 | 日記
気が済むまで泣いたあと、ふと
思い立って、パソコンを立ち上
げた。

紹介されたホームページにアクセス
してみた。ふらっと立ち寄ってみた、
いくつかの貼られていたリンク。

その中のひとつに、わたしの目は
釘づけになった。
『こちら黒いウサギの絵本館』。
睫毛にくっついていた涙の塊まりを、
指で拭い取ってから、細かい文字を
もう一度、見た。

間違いない。そこには確かに
「黒いウサギ」という文字が並ん
でいた。

クリックしようとして、マウスに
伸ばした指がふるえた。思いが
交錯した。入り乱れた。光と影の
ように。幻と現(うつつ)のように。

あなたは、誰?
会いたくて、会いたくてたまらない、
なのに、会えない―――
わたしの、愛しい人。

「行ってきます」と言って、わたしの
前から旅立ったあと、それきり、
戻ってきてはくれない―――

クロウサギさん、あなたは今、どこに
いる?
もしかしたら、あなたは「あな
た」なの?
黒ウサギさん、あなたは、わたし
のクロウサギさん?

あり得ない。
人違いに、決まっている。
絶望すると、わかっている。
それでも、どんな小さな可能性
にも、今はすがりつきたい。

会いたい。会いたい。会いたい。
胸の中に、ずっと閉じ込めてきた
はずの恋が、激しく波打っている
のがわかった。

YouTube
Time After Time - Cassandra Wilson

https://www.youtube.com/watch?v=afNI2CI9oyU

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金曜の六時に会うために始まっている月曜の朝

2019-05-04 13:04:00 | 日記
男がかわいいと思うのは
”ちょっと手のかかる女”
小さく困らせ、

小さく頼るのが
ポイントなのだ。

だから
”できないフリをする”という
のは賢いやり方なのだ。



金 K18   ¥3350
プラチナPT950 ¥2800
【5月4日買取値】吉日
※店オープン中
連休中不定期でご連絡くだ
さいませ。

※ビスクドール64嬢。
美術館への貸出日は未定。
(二ヶ月)

佐久市野沢93番地十二町
ケヤキの木の真向かい
アーケード十二町側
  ~ヤナギダ~
☎0267-62-0220

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「人を好きになること」

2019-05-04 11:34:57 | 日記
あの日、駅に向かう道で、
あなたと手をつなぎたかった。
と言ったら笑いますか?

僕はまだ、あなたのことを
よく知りません。そんなこ
といつになってもわからない
かも知れないけれど。

あなたの思いつめかたや、
集中力、だけどどこか抜
けているところ、そして
自由さ、

矛盾を案外簡単に飛び越
えてしまうところ、

いっぽうの小心さ、日常
的なレベルでの冒険心と、
可愛いような平凡さ、強引
さと謙虚さ、そんなものが
なかなかひとつの像を結び
ません。

ある時はあなたの放つ光を
浴びて、本当にあなたを
眩しく感じ、ある時は距離
を感じ、ひどく落ち着かな
い気持ちになります。

でも僕は今、それらをある
がままに受け止め、あなた
をもう少し知りたいと思っ
ています。

生意気な言い様かも知れ
ませんが、そのことを考
えるのは、楽しいことです。

YouTube
King Gnu - 白日

https://www.youtube.com/watch?v=ony539T074w&list=RDMMony539T074w&start_radio=1



金 K18   ¥3350
プラチナPT950 ¥2800
【5月4日買取値】吉日
※店オープン中
連休中不定期でご連絡くだ
さいませ。

※ビスクドール64嬢。
美術館への貸出日は未定。
(二ヶ月)

佐久市野沢93番地十二町
ケヤキの木の真向かい
アーケード十二町側
  ~ヤナギダ~
☎0267-62-0220


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「砂丘のたもとにて」 ―Ⅱ―

2019-05-04 00:00:11 | 日記
「順ちゃん」
あなたのお父さんの順作さんのこと
を、わたしはそう呼んでいました。

最初の頃は「小林くん」。それから
しばらくのあいだ、まわりの人たち
を真似て「こばやん」と。

そして、ある夜を境に、順ちゃんは
「わたしの順ちゃん」になって、そ
のあとはずっと、順ちゃんのまま。
だからここにも、順ちゃんって書か
せて下さいね。
出会ったのは、わたしが二十九の時
です。

順ちゃんはわたしよりもふたつ年下。
本人から直接聞いて、知ってるかも
しれないけど、順ちゃんは二十歳
(はたち)の時、大阪の大学を中退
してニューヨークに渡り、五年間、
音楽修行を積み重ねたあと、日本

にもどってきて、順ちゃんの言葉
を借りれば「五年間、引越し屋、
夜は太鼓叩き」をしていました。
そう、あなたのお父さんは若か
りし頃、夢に向かって突き進ん
でいる、情熱的なドラマーだ
ったのです。

わたしは当時、学習塾向けの教材
や模擬試験問題集などを出して
いる小さな会社の事務員で、同じ

いる引越し屋さんのオフィスが
ありました。
出会った場所は、その雑居ビル
の地下の駐車場。
なんだか全然、ロマンチックじゃ
ないでしょう?

固くて冷たいコンクリートに囲ま
れたところ。もしかしたら、あな
たが収監されている場所に、似て
いるのかもしれません。

それを思うと、心が痛みます。
あなたがひとりでつらい思いを
していないか毎日、そのことば
かりを考えてしまいます。

話しを駐車場にもどしましょう。
そこは窓もなく、天井も低く、
昼間でも晴れた日でもうす暗く
て、じめいめしてて、あたりに
漂っているのは、排気ガスとい
うか、ガソリンというか、そん
なものの匂い。なのだけれど、

今、静かに目を閉じて、その場所
を思い浮かべてみると、そこは
信じられないくらい明るい、ま
ばゆい光に包まれているのです。
そうしてわたしのまぶたには、
細かい光の粒子に縁取られた、
順ちゃんの姿が浮かんできます。

かれこれ、二十年あまり前のこ
とです。


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